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NEW 四会連合協定契約書式等を平成20年11月28日以降に使用する場合の注意事項
19990831委員会決定
四会連合協定建築設計・監理業務委託契約書式を制定
1 「契約書式」は、(1)設計・監理、(2)設計、(3)監理の3種類に分けて作られていますが、
設計と監理を分割して別人格に委託される場合は例外的であり、基本的には設計と監理を一括して同一人格に委託する(1)設計・監理の「契約書式」によることになります。
設計と監理を分割して委託する場合は、一括して委託する場合と比べて「契約約款」と「業務委託書」の内容が異なりますので注意が必要です。
それぞれの種類の「契約書式」とも次の3つの書面からなります。
1) 業務委託契約書 件名、建設地、建築物の用途・構造・規模、委託業務内容、業務の実施期間、業務報酬の額及び支払時期、特記事項を明示する。
2) 業務委託契約約款 委託者・受託者の責任、権利・義務、業務履行の経過で起こる問題への対処方法等を明示する。
3) 業務委託書 設計業務及び監理業務の内容を具体的に記述する。※印を付した特約業務のうち受託するとして合意した業務は、※印の上に○印を付すとともに、契約書に明示する。
2 今回制定した「契約書式」の特徴は次のとおりです。
1) 建築設計団体共通のものとして制定 建築設計関係4団体(日本建築士事務所協会連合会、日本建築士会連合会、日本建築家協会、建築業協会)が共同して制定しました。この点を強調するために「契約書式」の頭に「四会連合協定」の文字を付けることにしました。
2) 委託者・受託者双方の立場を配慮 双務契約の立場に立ち、委託者・受託者双方の立場を配慮しました。そのため、建築関連の紛争についても明るい弁護士の参加を求め、常に委託者の立場を配慮し、悪質な受託者から委託者を守るとともに、悪質な委託者から受託者を守る立場で検討しました。
3) 業務内容を明確化 業務内容を具体的に明示するために「業務委託書」を作りました。
(1) 設計業務は「建設省告示第1206号(昭和54年)」及び「建築設計・監理組織の品質システム(日刊建設通信新聞社刊)」の
付録1「業務運営のプロセス」に準拠し、監理業務は「建設省告示第1206号(昭和54年)」及び
「民間連合協定工事請負契約約款」に定義された監理業務に準拠しました。
監理業務は、建築士法に定める「工事が設計図書に合致しているか否を確認する」という狭義の「工事監理」業務のほか、
工事請負契約の内容とに適合しているか否かを確認する業務、及び工事請負契約の運営に係わる監理者の業務を含むものとしています。
(2) 「業務委託書」は一般的建築物を想定して作成しました。
(3) 委託者の「設計与条件」としての「建設意図」及び「要求条件」は、委託者自らが作成するか、又は特約業務として「調査・企画業務」で作成することとしました。
(4) 基本設計と実施設計の成果物である「設計図書」はプロジェクトによって異なるので、個別に「設計業務委託書」に明示することとしました。
(5) 監理業務も設計内容や施工者の能力によって異なるので、監理の方法と程度については「設計図書(特に工事仕様書)」に定めることとし、監理段階でのその変更の扱いを含めて「業務委託書」に明示しました。 ちなみに、監理業務における「工事の確認」は、「目視による確認、施工者から提出される品質管理記録の確認など、確認対象工事に応じた合理的方法に基づいて行う」としていますが、施工者の品質管理体制が不備にも拘わらず品質管理記録の確認のみに頼った結果、工事に不備が発生した場合には、確認対象工事に応じた合理的方法とは認められませんので、施工者の品質管理体制の確認がまず重要なことは言うまでもありません。
4) 業
務内容説明義務を明確化
業務内容や業務の進捗状況等についての委託者への説明義務を「契約約款」及び「業務委託書」に明示しました。
又、調査・企画、基本設計及び実施設計の各段階において、設計意図とその成果物を委託者に説明の上、「建設意図」及び「要求条件」と一致していることについて委託者の承認を求め、次の段階以降に業務が移行した後、以前の段階で承認された「要求条件」が大きく変更された場合は、協議することとしました。
又、建築士法第24条の5の規定による委託者への書面交付に対応する書式としましたが、
契約時点で未確定のことが多い実施担当者、再委託先等は、確定の都度、別途書面交付することとし、そのための書式を作成して添付することとしました。
5) 設計と監理の分割委託を配慮
設計と監理を分割して別人格に委託する場合は、監理業務の段階において設計業務受託者の怠慢又は悪意によって工事の進行に影響を及ぼすことを防ぐために、
監理業務の段階に最終的に確定されることが予定されているなど、工事中に行われる設計行為である「工事材料・設備機器・仕上見本等の承認」及び「軽微な変更」は
設計業務委託者が行うのではなく、委託者又は監理業務受託者が行うことにしています。
したがって、設計図書の完成度が低い、或いは工事段階でないと設計の確定を行うことができない部分があるなど、
工事中に設計業務受託者が設計行為を行う必要がある場合には、設計と監理を一括して受託する必要があります。
又、設計と監理を分割して別人格に委託する場合には、設計図書の完成度を高めるとともに、工事中に行われる設計行為について指示しておきたい事項がある場合は、
別途、委託者と協議して定めておく必要があります。
民間建築設計監理業務標準委託契約約款検討委員会の経過について
1999年8月31日
1. 委員会の目的
近年、建築物の多様化・大規模化、建築技術の高度化の進展、さらに、環境問題や高齢化問題への対応等、建築設計をめぐる環境は大きく変化してきた。
そこで、建築設計・監理業務内容も多様化・複雑化し、建築設計・監理業務に係わる者に期待される役割や責任は一層重要になっている。
しかしながら、建築設計・監理業務に対する社会的認識や評価は必ずしも高くなく、報酬の適正化、契約方法の改善等、
設計・監理業務が適正に実施されるための環境整備が強く求められている。
一方、国際化の進展により、中長期的視点では外国とも相互に理解し、認め合うことのできる建築生産の仕組みへと、建設産業自体の構造改革を行うことが求められている。
こうした環境のなかで、建設省では公共建築の設計委託の適正化のため、1996年1月「公共建築設計業務標準委託契約約款」を制定し、
建築審議会の議を経て公表され、逐次公共発注機関において標準約款に準拠した実施約款が制定されている。
この標準約款作成の過程において、建築設計の独自性については、すでに制定されていた公共土木設計標準約款との整合性から、
その一部を割愛し土木約款に準拠せざるを得なかった。
さらに、今日の設計環境においては、顧客との相互の無理解によるトラブルを防ぎ、又、顧客の満足度を高めるためには、設計・監理業務の内容を委託者に説明するとともに、お互いの責任と権利・義務をあらかじめ明らかにすることが、民間工事においても重要であるとの認識が高まっている。
こうした状況の中で、民間建築工事により相応しい「標準委託契約約款」の制定が急務と考えられる。
そこで、望ましい「民間建築設計・監理業務委託契約約款」を作成することを目的として、建築設計関連4団体である、
日本建築士事務所協会連合会、日本建築士会連合会、日本建築家協会、建築業協会(設計部会)が、合同して
「民間建築設計監理業務標準委託契約約款検討委員会」を組織し、「標準約款」を制定することとした。
2. 検討の経緯
1)1996年5月13日、第1回委員会を開催し、大森文彦弁護士を委員長とし、
各団体から派遣された専務理事を含む3乃至4名の委員を構成員とする委員会が設置された。
2)1996年7月9日、第2回委員会を開催し、原案作成の作業は幹事会を設置して行うこととした。
幹事会は、大森委員長を座長とし、各団体から派遣された1名ずつの委員に吉野弁護士を加えて組織され、当面「標準約款」制定のための検討作業を開始することとした。
3)1997年6月19日、第3回委員会を開催し、幹事会で検討した中間報告として、
これま でに作成された「設計約款」を確認した。さらに、引き続き「監理約款」を検討したのち、「設計・監理約款」を検討することとした。
この段階では、契約書は次の3部構成とし、委託条件書の「設計与条件」については、 委託者自らが作成するか、
又は「設計前業務(調査・企画業務)」として別途委託して作 成するものとした。
○契約書の構成
(1)業務委託契約書(いわゆる鏡、委託業務の名称、委託業務の内容、業務履行期間、業務委託料、委託料の支払方法)
(2)業務委託条件書(設計与条件、業務内容、成果物、その他委託条件)
(3)業務委託契約約款(委託者・受託者の責任、権利・義務及び経過で起こる問題の対応)
4)1999年8月31日第4回委員会を開催し、幹事会で作成した最終原案及び各団体より提 出された意見について検討した。修正作業については幹事会に一任することとなった。
5)1997年度および1998年度の幹事会において、「業務内容」は「約款」の本文に盛り込 むのではなく、具体的に業務内容を示した書類として、別途「業務委託書」を作成すること とし、契約書の種類及び構成を次の通りとして検討作業を進めることとした。
○契約書の種類
(4)建築設計・監理業務委託契約書 (5)建築設計業務委託契約書 (6)建築監理業務委託契約書
○契約書の構成
(1)業務委託契約書
件名、建設地、建築物の用途・構造・規模、委託業務内容、業務の実施期間、業務報酬の額及び支払時期、特記事項を明示する。
(2)業務委託書
設計業務及び監理業務の内容を具体的に記述する。※印を付した特約業務のうち受 託するとして合意した業務は、※印のうえに○印を付すとともに、契約書に明示す る。
(3)業務委託契約約款
委託者・受託者の責任、権利・義務、業務履行の経過で起こる問題への対処方法等を明示する。
6)1999年6月15日の第38回幹事会において契約書等の最終原案が取りまとめられた。
○契約書及び契約約款の名称
四団体が合同して作成したことを表現するために、契約書及び契約約款には四会連合協定の名称をつけることとした。
○1999年8月31日の第40回幹事会において契約書等の最終原案に対する各団体の意見について検討し、修正作業を行い、原案を最終決定した。
3. 契約書原案作成の前提
1)「業務委託書」のうち、設計業務は「建設省告示第1206号(昭和54年)」及び「建築 設計・監理組織の品質システム(日刊建設通信新聞社)」の
付録1「業務運営のプロセス」 に準拠し、監理業務は「建設省告示第1206号(昭和54年)」及び「民間連合協定工事請 負契約約款」に定義された監理業務に準拠して作成した。
2)「業務委託書」は、一般的建築物を想定し作成した。なお、木造住宅等の小規模建築物においては「業務委託書」の内容を適宜加除して使用することも想定している。
3)委託者の「設計与条件」としての「建設意図」及び「要求条件」は、委託者自らが作成するか、又は「調査・企画業務」として別途委託して作成するものとした。
4)基本設計と実施設計の成果品である設計図書は、プロジェクトにより異なるので、「設計業務委託書」に特記することとした。
5)監理業務も、設計内容や施工者の能力によって異なるので、監理の程度については「設計図書(特に工事仕様書)」に定めることとし、「設計業務委託書」及び「監理業務委託書」にその旨を明記した。
なお、監理業務は、建築士法に定める工事が設計図書に合致しているか否かを確認する 「工事監理」業務、その他工事請負契約の内容に適合しているか否かを確認する業務、及び工事請負契約の運営に係わる監理者の業務を含むものとした。したがって、建設省告示第1206号(昭和54年)の「工事監理等」より広範な業務を含む。