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基礎のひび割れ(クラック)は大丈夫 ?
質問/3年前に建売住宅を購入しました。最近、基礎に数ヶ所にひびが入っているのに気づきました。問題はないでしようか。
回答/
基礎にひび(クラック)が入る原因としては次のようなことが考えられます。
1.基礎の立ち上がりの表面を、モルタルを薄く塗って仕上げる場合があります。
この部分が乾燥によって縮まり、細いひびが入ることがあります。
これはヘアークラック(髪の毛程度のひび割れ)といわれ、構造には影響がないので、それほど気にする必要はないでしよう。*但し、本当は問題があるような基礎のひび割れなのに、ヘアークラックだから大丈夫であると
売り主や施工業者などが主張していたような相談事例もあります。
中には、ヘアークラックの意味さえ説明もしていないようなケースもあります。
つまり、ヘアークラックだから問題ないと専門用語を並べ立てて、消費者をごまかしているケースです。
対応方法は下記(赤字部分)を参照下さい。
2.換気口など開口部は力が集中しやすく、普通補強筋を入れますが、入っていないとひび割れがおこります。
3.鉄筋の配置が片寄っていてコンクリートの厚さが足りなかったり、型枠を早く外した場合にひびが入ります。
4.工事中、コンクリートを後から継ぎ足した場合など、コンクリートの乾燥程度が違うため、ひびが入ることがあります。
(新幹線のトンネルの崩落事故で有名になったコールドジョイントといわれているものです)5.アンカーボルトや配管の筒を埋め忘れて、施工後に打ち込んだりした場合、基礎が破損することがあります。
3-5はいずれも施工不良といえます。このようなひび割れがひどくなると、
内部の鉄筋に雨水などがはいり、鉄が錆びて膨張して、建物の強度に悪影響が及ぼす可能性もあります。
対策としては、すき間をエポキシリ樹脂などで充てんしたり、コンクリートを増し打ちしたりして補強をします。
できれば 専門家に見てもらうことがのぞましいでしょう。
6. 重大な欠陥は、構造クラックと通常いいます。
一般的にひびの幅が0.3ミリを超えると注意が必要とされます。
何らかの原因で基礎の内部から生じたひび割れで
基礎の裏側までひびがはいっていたり(貫通クラック)、
ひびの幅が0.3ミリを超える
ひび割れが徐々に大きくなったり、ひび割れが増えるなどの現象がでてきます。補修をせずに放置しておくと、基礎の強度が低下する可能性もあります。
大きく分けて次のような原因が考えられます。
(1)設計ミス:軟弱地盤などに対応したような基礎の設計をしなかった。
(2)施工ミス
コンクリートの調合ミス、コンクリート打設時にかぶり厚さが足りない
コンクリート打設後の養生不足
配筋の施工ミスなど。
(3)外的要因
地震や近隣の工事による振動など。
(4)経年劣化
コンクリートが中性化して、鉄筋がさびる。また、設計ミスの中には「不等沈下」といわれるものがあります。
これは弱い地盤の上に建つ家で、均等に沈下が起こらないケースで、基礎が弱いと割れることがあります。
特に敷地の中で、切り土の部分と盛り土の部分があったりして、地面の固さが違うような時に起こることが多いです。
このようなときは、基礎や地盤の傾きを調べたり、基礎の裏側までひび(貫通クラック)が入っていないか確かめます。
基礎の補強や地盤改良、ときには建て直しが必要になることもあります。見た目で(現象面で)ある程度判断できる、特に注意すべき、クラック(ひび割れ)には次の2つがあります。
早急に専門家に相談してください。・床下換気口の開口部角から下方45度方向の基礎のクラック(ひび割れ)は、
経年劣化や、補強筋の不備、地盤の微細な沈下、開口部上部の柱からの過加重などの原因が考えられます。
1ミリ程度の不貫通クラックなら比較的軽症ですが、早々に手当てが必要でしょう。
・建物のコーナー(特に出隅)部の垂直な基礎のクラック(ひび割れ)は、早急に専門家の調査が必要です。
偏った建物の揺れや、不同沈下の初期症状によく発生します。
いずれにしても、垂直なクラックは1ミリ程度の不貫通クラックでも早急な対処が必要と思われます。
このようなトラブルをさけるために、
住宅を建築したり、購入したりする場合は、
地盤を調査したかどうか(地耐力調査)、
その結果はどうであったか、(調査報告書をもらいわかるように説明してもらう)
結果に応じて基礎をどのように設計したのか
(基礎の図面:基礎伏図:「きそ ふせず」をもらう)などを
確認しておくことが重要です。もし事前に入手していない時でも、
気が付いた時点で資料を請求するといいでしょう。
たとえ、問題がないような基礎のひび割れでも
いやがらすに、上記のような資料をすぐ出してくれる(本来は建築前に出すべきですが)、
クラックの位置を消費者と一緒に確認して、経過観察もしてくれる
(図面にひび割れの位置や形状・大きさなど記録し、しばらく立ってから、
また一緒にひび割れが増えていないかどうかを確認する)などが
本来あるべき対応だと思います。
また、補修に関しては、いきなり補修工事をさせるのではなく、
相手方に対してひび割れの原因やその補修計画を
文書にして出すように要求することも大事と思います。原因も調べずに、いいかげんな補修をしているケースも中にはありました。
証拠を残すと同時に、適切な補修を促す上では効果的と思います。すこし難しい用語をまとめてみました。
・コンクリートの中性化
基礎を鉄筋コンクリートにするのは、
コンクリートの圧縮に対する強さと鉄筋は引っ張る力に対する強さや粘り強さを
うまく組み合わせて強くすると同時に、
コンクリートが強アルカリ性のため、鉄筋が錆(さ)びるのを防いでいます。
コンクリートが空気中の二酸化炭素によって中和され、
コンクリートのアルカリ性が低下していく現象を中性化といい、
これが進行すると、鉄筋がサビやすくなり、さらに鉄筋はサビると
膨張して内部からコンクリートを傷めてしまいます。・かぶり厚さ
鉄筋を覆っているコンクリートの厚みのこと。
かぶり厚さが大きいほうが耐久性が高くなります。・基礎の養生
基礎を作るのは、鉄筋を組み、型枠を組み、コンクリートを流し込んで作ります。
コンクリートを流し込むことを打設(コンクリートを打つ)といいます。
打設した後。ある程度硬化が進むまでの間、硬化に適した温度と湿度を保つ事や
コンクリートの強度が十分になるまで、過度の衝撃や荷重を与えないようにしたり、
また風雨、霜、日光などに対してコンクリートの露出面を保護することを養生と言います。
夏と冬では気温や湿度が違いますので、養生の仕方も変わりますし、
型枠を取り外すまでの期間なども違います。
関係法令 <法令の検索は 法令データ提供システムで http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi >
■建築基準法施行令
(基礎)
第三十八条 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
2 建築物には、異なる構造方法による基礎を併用してはならない。
3 建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、高さ十三メートル又は延べ面積三千平方メートルを超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積一平方メートルにつき百キロニュートンを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない。
4 前二項の規定は、建築物の基礎について国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、適用しない。
5 打撃、圧力又は振動により設けられる基礎ぐいは、それを設ける際に作用する打撃力その他の外力に対して構造耐力上安全なものでなければならない。
6 建築物の基礎に木ぐいを使用する場合においては、その木ぐいは、平家建の木造の建築物に使用する場合を除き、常水面下にあるようにしなければならない。
(鉄筋のかぶり厚さ)
第七十九条 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては二センチメートル以上、耐力壁、柱又ははりにあつては三センチメートル以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては四センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて六センチメートル以上としなければならない。
2 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。
■告示
建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件
告示番号:建設省告示第千三百四十七号
組織名:建設省 告示年月日:2000/05/23
下記のURLで検索すると全文が入手できます。
http://wwwkt.mlit.go.jp/notice/index.html