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《 地盤について 》質問/土地を選ぶときに大切なのは地盤の強さだとよく本に書いてあります。どのようにして調べたらよいのでしょうか?
回答/
A.土地を買って、建物を建てる場合
一般の人が地盤を調べる方法としては、購入前であれば、
購入後、より正確に確かめるには、地盤調査業者に頼む方法があります。
買いたい土地の履歴(昔はどのように利用していたか)を売主や周辺の住人に聞く方法や、
法務局で土地の地目を調べる方法等があります。
調査方法には、地質までを調査できる「ボーリング」や
地耐力を簡易に調べる「スウェーデンサウンディング方式」などがあります。
これは1カ所だけでは判断できないので、敷地内で3〜4カ所調査します。
調査費用は、一般的な住宅地の場合、スウェーデンサウンディング方式で5〜15万円程度かかります。
これらの調査結果を用いて、その土地の地盤の強さ(抵抗力)を示す値である
「地耐力」を計算し、建物の重さ(規模や構造で変わります)とのバランスを考えて、
最適な基礎の設計します。
(地面に薬剤を注入して行う「地盤改良」や、「杭」を打ったりするのと併用する場合もあります。)
また、造成地などで、切土、盛土の境目に建物を建てる場合は、
不均等に沈下するのを防ぐための対策が特に必要と思います。地盤が弱いといっても適切な対策をすれば、心配はありませんが、
「不動産に出物はない」といわれるように周辺価格より割安の土地でも、
地盤対策で建築費も含めた総費用がかえって高くなることもあるので注意してください。先に建物を設計してもらう建築家を選び、その人に土地の購入前に同行してもらうという方法もあります。
B.建売等を購入する場合
購入前に、切土と聞いていたが、後から盛土であると分かった(嘘をつかれていた)ので
心配といった相談もたまにあります。
現在は、不動産取引に当たって、土地の強度は法律上(宅地建物取引業法)の説明義務はなく、
たいていは口頭で説明されていますので、言った言わないのトラブルとなっています。
(この場合は、嘘をいったかどうかよりも、地盤対策も含め建物が安全かどうかを調査して判断します)購入前には、切土か盛土かを聞くよりも、地耐力調査をしたかどうか(調査報告書を取得する)、
その結果で基礎をどのように設計したのかを聞いた方がいいと思います。
土地が軟弱な場合などは安く仕入れることも可能ですので、地盤対策等をしても、
周辺の建売と比べてリーズナブルな価格にできる場合もあります。
良心的な業者であれば、地耐力調査の結果や基礎設計方法についてきっちりした回答が得られると思います。また、よう壁の欠陥もよく見受けられます。
基礎と同様、設計図などを入手して安全かどうかを確認した方がいいと思います。(下記参照)
○地耐力(ちたいりょく)
地盤が構造物を支持できる強度。調査用の機械を使って調査する地耐力調査の報告書を入手する。
<見方が分からなければ、分かるように説明を求めて下さい>○切土(きりど)盛土(もりど)
切土は斜めになっている土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。
盛土は逆に既存の敷地の地盤の上に新たに土を盛り、よく突き固めて、敷地を造成すること。
山などを造成する時は、切土部分と盛土部分の体積を近づけ、
切土を盛土に用いることで建設コストを安くする方法が取られていることが多い。
(造成の図面をもらうと購入などをしようとしている土地が切土なのか盛土なのか分かります)
元々あった地盤なので、当然切土の部分の方が固い。
盛土の場合は、盛った土がきっちり固めるようにしているかなどの確認が重要です。○よう壁(擁壁、ようへき)
宅地造成などの切土、盛土部などの段差が崩れないようにする壁のこと。
壁体の自重、土の重量による土の圧力(土圧)に抵抗し、傾斜の地盤を支えます。
擁壁の構造や維持管理が悪いと、被害が起きるおそれがあります。
構造面では、建築基準法の検査済証が交付されているかどうかなどをご確認下さい。
特に、宅地造成等規制法という法律があり、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい区域を
宅地造成事規制区域として指定しています。
そこで一定規模以上の工事をする場合は工事の許可が事前に必要です。
(許可の図面や造成工事の検査の書類をもらう)
また、水捌けをよくする裏込め石や水抜き穴を適切な場所に設けるなど、排水処理も重要です。
降雨の際でも、水抜き穴からあまり水が流れないなどの時は調査した方がいいこともあります。