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法令等の内容は作成時点ものですので、その後、改廃されている可能性がありますので、行政機関等にご確認お願いします。
知事殿建設省住宅局長
長寿社会対応住宅設計指針について
21世紀の本格的長寿社会を控え、高齢者が可能な限り住み慣れた地域社会で安心して生活できるようにすることが住宅施策の重要な課題となっている。
このため、今後建設される住宅については、健常者にとって住みやすいだけでなく、加齢等により一定の身体機能の低下や障害が生じた場合においても、基本的にそのまま住み続けることを可能とし、居住者が出来るかぎり長い間、自立した日常生活を送れるよう建築当初から配慮することが必要とされている。
また、社会福祉施策においては在宅介護の充実が重要な課題となっており、その円滑な推進を図るため、住宅の設計に当たっては介助のしやすさにも配慮する必要がある。
このため、昨年制定された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平成6年法律第44号)の第14条の規定に基づく高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる建築物の建築の促進に関する国民の理解を深めるための教育活動、広報活動等の一環として、別紙のとおり、長寿社会対応住宅設計指針を策定したので送付する。
貴職においては、本指針の趣旨を踏まえ、公営住宅、特定優良賃貸住宅、公社住宅等公的機関が建設する住宅をはじめ広く一般の住宅の設計にあたって、本指針が活用されるよう努められたい。
また、貴管下市町村(政令市を除く。)、地方住宅供給公社及び建築士会等関係団体に対しても、この旨周知徹底されるようお願いする。------------------------------------------------------------------------
長寿社会対応住宅設計指針
第1 総則
1 指針の目的
この指針は、加齢等による身体機能の低下や障害が生じた場合にも基本的にそのまま住み続けることができるような住宅の設計について指針を示すことにより、高齢社会に対応した住宅ストックの形成を図ることを目的とする。
2 適用範囲等
(1)この指針は、主として新築(建替を含む)される住宅を対象とする。(2)この指針は、一般的な住宅の設計上の配慮事項を示すものであり、現に特定の身体機能の低下や障害が生じている居住者のために個別的な配慮を行うときは、その居住者の状況に応じ、本指針に示すもの以外の設計上の工夫を行う必要がある場合がある。
(3)この指針は、社会状況の変化や技術の進展等を踏まえ必要に応じて見直すものとする。
第2 住宅(集合住宅の場合は住戸専用部分)の設計指針
1 通則
(1)部屋の配置
(イ)玄関、便所、洗面所、浴室、脱衣室、居間・食事室及び高齢者等の寝室は、できる限り同一階に配置する。
(ロ)高齢者等の寝室と便所、洗面所、居間・食事室は、できる限り近接配置とする。
(ハ)本指針において、高齢者等の寝室とは、住宅新築時に高齢者等が居住しない部屋であっても、将来高齢者等の寝室に用いることが想定される居室を含む。(ニ)便所、洗面所、浴室又は脱衣室が複数設置される住宅の場合は、少なくともこれらの複数設置された部屋の1ヶ所は本指針によるものとする。
(2)段差
住戸内の床は、原則として段差のない構造のものとする。ただし、玄関の出入口及び上がりかまち、浴室出入口、バルコニー等への出入口にあっては、この限りではない。
(3)手すり
(イ)階段、浴室には、手すりを設ける。
(ロ)玄関、便所、洗面所、脱衣室、居間・食事室、高齢者等の寝室等及び廊下等には、手すりを設けるか設置できるようにする。
(ハ)手すりは、使用しやすい形状、材質とし、適切な位置に設置する。
(4)通路・出入口の幅員
住戸内の廊下等の通路及び出入口は、できる限り歩行補助具及び介助用車いすの使用に配慮した幅員を確保する。
(5)床・壁の仕上げ
住戸内の床・壁の仕上げは、滑り、転倒等に対する安全性に配慮したものとする。
(6)建具
建具は、開閉がしやすく、安全性に配慮したものとする。また、建具のとって、引き手及び錠は使いやすい形状のものとし、適切な位置に取付ける。
(7)設備
(イ)住戸内の給水給湯設備、電気設備、ガス設備は、安全性に配慮するとともに、操作が容易なものとする。
(ロ)住戸内の照明設備は、安全上必要な個所に 設置するとともに、十分な照度を確保する。
(ハ)火災その他のための通報装置及び警報装置等を設けるか、設置できるようにする。
(8)温熱環境
各居室等の温度差をできる限りなくすよう断熱及び換気に配慮するとともに、年間を通じて適切な温度が維持できるように暖冷房設備等を用いることができる構造とする。
(9)収納スペース
日常使用する収納スペースは、適切な量を確保するとともに、無理のない姿勢で出し入れできる位置に設ける。
2 住戸内各部
(1)玄関
(イ)玄関の出入口に生じる段差は、安全性に配慮したものとする。
(ロ)玄関は、できる限りベンチ等が設置できる空間を確保する。
(ハ)上がりがまちの段差は、安全上支障のない高さとし、必要に応じて式台を設置する。
(2)階段
階段の勾配、形状等は、昇降の安全上支障のないものとする。
(3)便所
(イ)便所は、できる限り介助可能な広さを確保する。
(ロ)便所の出入口は、緊急時の救助に支障のない構造のものとする。
(ハ)便器は、腰掛け式とする。
(4)洗面所・脱衣室
(イ)洗面所は、手洗い等の利便性に配慮したものとする。
(ロ)脱衣室は、衣服の着脱等の安全性等に配慮したものとする。
(5)浴室
(イ)浴室は、できる限り介助可能な広さを確保する。
(ロ)浴室の出入口に段差が生じる場合は、安全上支障のない形状の段差とするとともに、出入口に縦手すりを設置する。
(ハ)浴室の出入口建具は、安全性に配慮するとともに、緊急時の救助に支障のない構造のものとする。
(ニ)浴槽は、安全性に配慮した形状、寸法とする。
(6)高齢者等の寝室
高齢者等の寝室は、できる限り介助に必要な広さを確保するとともに、遮音性能や避難のしやすさに配慮する。
(7)バルコニー等
バルコニー等については、出入口に生じる段差を安全性に配慮した形状とする等の配慮を行う。
第3 集合住宅の屋外空間及び共用部分の設計指針
1 アプローチ等
(1)主要な団地内通路及び住棟出入口は、歩行及び車いすでの移動の安全性及び利便性に配慮した構造とする。
(2)住棟出入口附近には、できる限り、自動車が寄り付けるようにするとともに、駐車スペースを確保する。
2 共用階段
共用階段の勾配、形状等は、昇降の安全上支障のないものとする。
3 共用廊下
共用廊下は、できる限り車いす利用に配慮した幅員等を確保するとともに、段差は設けない。
4 床の仕上げ・手すり
(1)アプローチ、住棟出入口、階段、傾斜路及び共用廊下等の床の仕上げは、滑りやつまずきに対する安全性に配慮したものとする。
(2)階段、傾斜路及び共用廊下には、手すりを設ける。
(3)手すりは、使用しやすい形状、材質とし、適切な位置に設置する。
5 エレベーター
(1)6階以上の高層住宅にはエレベーターを設置するとともに、できる限り3〜5階の中層住宅等にもエレベーターを設ける。
(2)住棟出入口からエレベーターホールへの通路、エレベーターホール及びエレベーターのかごは、車いす利用に配慮した形状、寸法等とする。
6 照明設備
屋外アプローチ及び共用部分の照明設備は、安全性に配慮して十分な照度を確保する。
第4 戸建住宅の屋外空間の設計指針
1 アプローチ等
(1)住戸へのアプローチ通路等は、歩行及び車いす利用に配慮した形状、寸法等とする。
(2)屋外階段は、勾配、形状等を昇降の安全上支障のないものとする。
(3)屋外の照明設備は、安全性に配慮して十分な照度を確保する。
-----------------------------------------------------------------------建設省住備発第68号
平成7年6月23日住宅主務部長殿
建設省住宅局住宅整備課長
長寿社会対応住宅設計指針の補足基準について
長寿社会対応住宅設計指針(以下「指針」という)については、6月23日付け建設省住備発第63号で通知されたところであるが、本指針の円滑な活用を図るため、具体的な指標等として下記のとおり寸法、仕様等の補足基準を設定した。指針及び本補足基準においては、加齢等に伴う一定の身体的弱化(杖類及び歩行器の補助具を利用して自立した生活が可能な状態)に対して、そのまま又は比較的軽微な改造により対応を可能とする仕様(介助用車いすを利用する場合にあっても、基本的な日常生活を送るため、最小限必要な移動を可能とする仕様)を確保するという考え方に基づき基準を設定している。
項目によっては、安全性、快適性をより高めることや、日常生活に介助を要する場合(たとえば介助用車いす等を利用して動き回れる状態)にもより適切に対応可能とする仕様を推奨基準として設定し、経済的、空間的条件が許せば選択できるようにしている。
なお、本補足基準については、社会状況の変化や技術の進展等を踏まえ必要に応じて見直すこととする。