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法令等の内容は作成時点ものですので、その後、改廃されている可能性がありますので、行政機関等にご確認お願いします。


平成十四年九月三日法制審議会総会決定

建物の区分所有等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

(前注)この要綱において「第○○条」とあるのは、建物の区分所有等に関する法律の規定を示す。

第 一 共用部分の変更

   共用部分の変更は、形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除き、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決するものとする(第十七条第一項参照)。

第 二  管理者及び管理組合法人の代理権及び当事者適格

  一  管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領に関し、区分所有者を代理するものとする(第二十六条第二項参照)。

  二  管理者は、規約又は集会の決議により、一の請求及び受領に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができるものとする(同条第四項参照)。

  三  管理組合法人の代理権及び当事者適格に関しても、一及び二と同様の措置を講ずるものとする(第四十七条第六項参照)。

第 三 規約の適正化

   規約は、各専有部分及び共用部分又は建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設(これらに関する権利を含む。)につき、その形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに各区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、各区分所有者の利害の衡平が図られるように定めなければならないものとする(第三十条第一項及び第二項参照)。

第 四 管理組合の法人化の要件

   第三条に規定する団体が法人となるための人数要件を撤廃するものとする(第四十七条第一項参照)。

第 五  規約・議事録等及び集会・決議の電子化等

  一  規約・議事録等の関係書類の電子化

    1  規約、議事録等(以下「規約等」という。)の関係書類は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作成される記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成し、又は保管することができるものとする(第三十三条、第四十二条及び第四十五条参照)。

    2  規約等を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、次に掲げる閲覧を拒んではならないものとする(第三十三条第二項参照)。

      (一)  規約等が書面で作成されているときは、当該書面の閲覧

      (二)  規約等が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの規約の保管場所における閲覧

    3  議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名に代わる措置を執らなければならないものとする(第四十二条参照)。

    4  その他、規約等の電子化に伴う関係規定の整備をするものとする。

  二  集会における電磁的方法による議決権の行使

 区分所有者は、規約又は集会の決議により、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によって議決権を行使することができるものとする(第三十九条参照)。

  三  書面又は電磁的方法による決議

    1  法律又は規約により集会の決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、各区分所有者は、書面又は電磁的方法による決議をすることができるものとする。ただし、電磁的方法による決議に係る承諾については、法務省令で定めるところによるものとする(第四十五条参照)。

    2  法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなすものとする。

    3  書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有するものとする。

第 六  復旧

  一  買取人の指定

    1  第六十一条第五項の決議(以下「復旧決議」という。)があった場合において、復旧決議の日から二週間を経過したときは、3の場合を除き、復旧決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができるものとする(第六十一条第七項参照)。

    2  1の請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、当該建物及びその敷地に関する権利を第十四条に定める割合に応じて時価で買い取るべきことを請求することができるものとする。

    3  復旧決議の日から二週間以内に、決議賛成者が全員の合意により建物及び敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、1の請求をすることができるものとする。

    4  買取指定者が1の請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずるものとする。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでないものとする。

    5  1の請求を受けた買取指定者、2の請求を受けた決議賛成者又は4の債務について履行の請求を受けた決議賛成者についても、当該買取指定者又は決議賛成者の請求により、裁判所が支払の期限の許与をすることができるものとする(第六十一条第九項参照)。

  二  買取請求権の行使期間

    1  買取指定者の指定がされていないときは復旧決議をした集会を招集した者、買取指定者の指定がされているときは当該買取指定者は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、一の1の請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができるものとする(第六十一条第七項参照)。

    2  1の催告を受けた区分所有者は、1の期間を経過したときは、一の1の請求をすることができないものとする。

第 七  建替え決議

  一  建替え決議の要件

 建替え決議の要件に関しては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数決のみで、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又はその敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができるものとする。なお、多数決に加えて、次の1又は2を満たすことを要件として付加すべきであるとの意見があった。(第六十二条第一項参照)

    1  建物が新築された日から三十年を経過したこと。

    2  損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の効用の維持又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。以下同じ。)をするのに当該建物の価額を超える費用を要するに至ったこと。

  二  招集通知の発出時期

 建替え決議を会議の目的とする集会を招集するときは、当該集会の会日より少なくとも二月前に招集の通知を発しなければならないものとする(第三十五条第一項参照)。

  三  通知事項

 建替え決議を会議の目的とする集会の招集の通知をするときは、議案の要領のほか、次に掲げる事項をも通知しなければならないものとする(第三十五条第五項参照)。

    1  建替えの理由

    2  建物の効用の維持又は回復をするのに要する費用の額及びその内訳

    3  建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容

    4  建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

  四  説明会の開催

 建替え決議を会議の目的とする集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項に関する説明会を開催しなければならないものとする。

第 八  団地内の建物の建替え承認決議

  一  一団地内にある数棟の建物(以下単に「団地内建物」という。)の全部又は一部が専有部分のある建物であり、かつ、その団地内の一棟の建物(以下単に「一棟の建物」という。)の所在する土地(これに関する権利を含む。)が当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属する場合において、当該土地(これに関する権利を含む。)の共有者である団地内建物の団地建物所有者で構成される団地管理組合又は団地管理組合法人の集会の承認を得たときは、当該一棟の建物の団地建物所有者は、当該一棟の建物を取り壊し、かつ、当該土地又はこれと一体として管理若しくは使用をする団地内の土地(当該団地内建物の団地建物所有者の共有に属するものに限る。)に新たに建物を建築することができるものとする。ただし、当該一棟の建物が専有部分のある建物である場合にあってはその建替え決議又はその区分所有者の全員の同意がある場合に、当該一棟の建物が専有部分のある建物以外の建物である場合にあってはその所有者の同意がある場合に限るものとする(第六十二条第一項、第六十五条及び民法第二百五十一条参照)。

  二  一の建替えの承認の決議は、当該集会における議決権の四分の三以上の多数をもってしなければならないものとし、各団地建物所有者の議決権は、当該土地(これに関する権利を含む。)の持分の割合によるものとする。

  三  一のただし書の場合における当該一棟の建物の団地建物所有者は、一の集会においては、当該一棟の建物の建替えに同意する旨の議決権の行使をしたものとみなすものとする。ただし、当該一棟の建物が専有部分のある建物である場合において、当該一棟の建物の区分所有者が団地内建物のうち当該一棟の建物以外の建物の敷地利用権に基づいて有する議決権については、この限りでないものとする。

  四  一の集会を招集するときは、その招集の通知は、当該集会の会日より少なくとも二月前に、新たに建築する建物の設計の概要(当該建物の団地内における位置を含む。)をも示して発しなければならないものとする。

  五  一の場合において、当該一棟の建物の建替えが、当該一棟の建物以外の建物(以下「当該建物」という。)の建替えに特別の影響を及ぼすべきときは、一の建替えの承認の決議において、次に掲げる者が当該建替えに同意する旨の議決権を行使しているときに限り、当該建替えをすることができるものとする。

    1  当該建物が専有部分のある建物である場合 一の集会において当該建物の区分所有者が有する議決権の合計の四分の三以上を有する区分所有者

    2  当該建物が専有部分のある建物以外の建物である場合 当該建物の所有者

  六  一の場合において、建替えをする当該一棟の建物が二以上あるときは、当該二以上の建物の団地建物所有者は、各建物の団地建物所有者の合意(当該一棟の建物が専有部分のある建物であるときは、当該一棟の建物の建替え決議を会議の目的とする集会において、当該二以上の建物の建替えについて一括して一の建替えの承認の決議に付する旨の決議(注))により、当該二以上の建物の建替えについて一括して一の建替えの承認の決議に付することができるものとする。

    (注 )当該二以上の建物の建替えについて一括して一の建替えの承認の決議に付する旨の決議は、当該一棟の建物の区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数をもってしなければならないものとする。