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映画メモ 2006年1・2月

(劇場・レンタル鑑賞の記録、お気に入り作品の紹介など。はてなダイアリーからの抜書です)

ラヴェンダーの咲く庭で / ユー・キャン・カウント・オン・ミー / ハービー 機械じかけのキューピッド / クランク家のちょっと素敵なクリスマス


ラヴェンダーの咲く庭で (2004/イギリス/監督チャールズ・ダンス )

30年代、イギリスのコーンウォール。ジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・ディンチ)の年老いた姉妹は、海辺の家で二人きりの静かな生活を送っていた。
嵐の去ったある日、浜辺に一人の若者が打ち上げられる。彼の名はアンドレア、ポーランド人で英語は通じない。熱心に世話をするうち、姉妹の胸には、淡い恋心がわきあがってくる。

アンドレアを演じたダニエル・ブリュールは「グッバイ、レーニン!」の主役の人なのですが、この作品においては、とくにどうということのない見目麗しい青年。でもその「どうということの無」さがはまってる。若さの輝き、残酷さってそういうものだもん。
とにかくやることなすこと無神経で、彼、実はバイオリンの名手なのですが、近所の自称「音楽家の端くれ」の医者(仲間とのバンドでコントラバスをひいている)に楽器を貸してもらう際、たどたどしい「模範演奏」を聴いたあと、同じ曲を弾いてみせる。お祭りの日にそのお医者さんにバイクで送ってもらうんだけど、揃って見送る姉妹を振り向きもしない。もう見てるほうがやきもきしちゃう。
しかし、だからこそ併せ持っている無邪気さも輝くというもので、地元の船の発着場…単なる海岸なんだけど…で「アメリカに行きたい」と言うも、地元の猟師たちに当然からかわれれば、すねて座り込む。姉妹の使用人である太ったおばさん(ソーサーなしでお茶を持ってくるような飾り気のないタイプ)を無邪気にからかってみたり。古風な水着姿も見られます。

映画に出てくる「美味しそうな食べ物」と同じく、「不味そうな食べ物」も印象的なものだけど(ちょっとなら食べてみたい、実際口にして「まずい!」と言ってみたい…)、ここに出てきた「魚のパイ」もスゴイ。なま白い皿いっぱいのパイ生地から、ぶっ刺されたイワシの頭や尻尾が突き出てるの。どんな食感なんだろう…


ユー・キャン・カウント・オン・ミー (1995/アメリカ/監督ケネス・ロナーガン)

ドラマ「神はサイコロを振らない」を観て、「一軒屋で暮らすマジメな姉と生活力のない弟」というんで、これを思い出し、ビデオ観返しました。

幼い頃に両親を亡くしたサミー(ローラ・リニー)とテリー(マーク・ラファロ)の姉弟。
町に留まったサミーは銀行に勤めながら未婚の母として一人息子を育て、居場所も定まらないテリーからのたまの便りを楽しみにしていた。
そんなある日、テリーがふらっと帰ってくる。目的はお金の無心。せっかくだからと息子の送り迎えなどを頼むが、頭の痛い問題ばかり起こされ…

見るからに生真面目なサミーは、毎日、白か薄いピンクか薄いパープルのゆったりしたブラウス、同じくゆったりした膝丈スカートという、私なら着ていて全然心が弾みそうにない格好。休日でも変わらない。久々に会った弟には「仕事なの?」「今日は土曜よ」「だって、ちゃんとしたカッコしてるから」…などと言われる。
支店長とひょんなことから男女の仲になってしまった翌日も同じような格好。ただし髪だけはあげている。
(ちなみにこの不倫相手の上司を演じているのがマシュー・ブレドリック。顔見るだけで可笑しい)
弟のほうは、こちらはこちらでシャレ心など全くなく、Tシャツやトレーナーに、腰のところがゴワゴワふくらんだ(イメージ伝わるかな)ジーンズ。ルックス的には、冴えない役柄のときのホアキン・フェニックスといったカンジかな…

地味な内容、演出だけど、これもまた「映画っていいなあ」と思わせられる一作です。
姉と弟、どちらかの視点で物事がドラマチックに描かれるわけではなく、どちらがいいとか悪いとか考えるはめにもならない。サミーと支店長のベッドシーンも、大仰なわけでもなくしみじみしているわけでもなく、ごくごく普通に、生活の一部として描かれる。
二人が暮らす一軒屋も、ほんとに普通の家、風呂場の白い壁に一筋水色のタイル、青いフェイスタオルはああ、いちおう色合わせてるのかなあ、とか思ったり。でも居心地はよさそうで、ちょこっと居座っちゃおう、という弟の気持ちもわかる。

バスで終わる映画って色々あるけど(私が一番に思い出すのはデヴィッド・アークエット&ルーカス・ハースの「ジョンズ」。そう好きな映画ではないけれど、膝折って座ってるルーカスがカワイイ)、この映画もそう。ただ地味な木々が車窓を流れるだけなんだけど、心に残ります。


ハービー 機械じかけのキューピッド (2005/アメリカ/監督アンジェラ・ロビンソン)

人生8割方はショートヘアの私ですが再び髪のばし中。めんどくさくって、くじけそうになってたんだけど、この映画のリンジー見てやる気が出てきました。
女レーサーならではの「ヘルメットとったらファサッ」には興味ないけど、長い髪、いいじゃん。いまの彼女は金髪だけど、この映画みたく自毛?のほうがいいよね。2回見せてくれたミニスカート姿も可愛かった。敵役のマット・ディロンがなぜ心変わりしないかフシギ。ディズニー映画だと太ももの魅力はないものにされちゃうの…?

レーサー一家に育ったマギー(リンジー)は、大学の卒業祝いに、おんぼろのフォルクスワーゲン「ハービー」を手に入れる。それは奇跡のクルマ、意思を持って勝手に走り出す。かつての事故が原因で、パパ(マイケル・キートン)からレース禁止を言い渡されていた彼女だが、何の因果か、トップレーサーのトリップ(マット・ディロン)と競うはめに。
豪華なキャスト、懐かしの曲の数々が楽しいです。

映画において、スケボーみたいのに乗って車の下から顔を出す修理工の人って、カッコいいに違いない!と思ってしまう。本作でも、リンジーが幼なじみに再会するシーンはコレに近い。ただし、この幼なじみは冴えないジャスティン・ロング…でもリンジーにはこれくらい「イイ人」路線の男の子のほうがいいかもね。「タイタニック」のラブシーン(窓ガラスにビタン!と張り付く手)を彷彿とさせる、微笑ましいシーンもあったりして。もっとも私は、リンジーのお兄ちゃん役、ブレッキン・メイヤーのほうが好きだけど…


クランク家のちょっと素敵なクリスマス (2004/アメリカ/監督ジョー・ロス )

クリスマス前にちゃんとDVD発売されてたビデオスルー作品。今頃観てしまった。まあ、東京じゃあ今シーズン初めての雪が降ったわけだし、よしとしよう。

アメリカのごくごく普通の住宅街に暮らすクランク夫妻(ティム・アレン、ジェイミー・リー・カーティス)。今年は一人娘のブレアがいない、じゃあクリスマスを「skip」しちゃおう、とカリブ海クルーズを計画するが、恒例行事に参加しない二人に対し、周囲の風当たりは厳しく…

日本の2時間ドラマにすれば、高田純次と浅野ゆう子の夫妻が、親戚や近所の白い目に耐えつつ、年末年始にハワイへ脱出しようと悪戦苦闘するコメディ、てなカンジ?ご近所(隣組)のボス、ダン・エイクロイドは谷啓あたりに。
冒頭からクリス・コロンバス脚本らしいギャグの連発で、ロビン・ウィリアムズはいつ出てくるかと目をこらして見ちゃったよ。
ジェイミーとティムが披露してくれる、結構長丁場の水着シーンも見ものです。

観ていて印象的だったのが、娘ブレアの好物だという「ヒッコリー・ハニー・ハム」の缶詰。ティム・アレンいわく、中身は「ほとんどゼラチンと脂肪」。名前からして、燻製してハチミツで味付けしたハムなのかな?缶がとにかくデカくて、両手で抱えなきゃ持てないほどなの。アメリカってすごい。結局作中では中身が披露されることはなかったんだけど、開けたらどんなふうに詰まってるんだろう…?

ところで、ティム・アレンのクリスマス映画といえば、デビュー作でもある「サンタクローズ」シリーズ。バツイチパパのティムが、特殊メイクでサンタさんに扮してます。妖精さんたちの国の様子も可愛くて、なかなかお気に入り。
でも私としては、リターンズのラストはちょっと納得いかない。「イブの夜までに奥さんをみつけなければサンタ契約は成立しない」ことに気付いたスコット(ティム)が下界におりて恋をするというハナシなんだけど、久々に人間界に戻った彼は、契約期限がせまるにつれ、ヒゲもなくなり、腹もひっこみ、ようするに、おじいさん然としたサンタの容貌から、普通の中年男(というか素のティム・アレン)に戻ってしまうわけ(「リトル・ニッキー」で最後口だけになっちゃう大王様を思い出しちゃうね)。でもって最後、恋におちた女性が、妖精の国で彼と結婚すると、見る間に彼は元のサンタの姿に…ってそんなのサギじゃん!いきなりおじいちゃんになっちゃうんだもん。まあいいけど。



表紙映画メモ>2006.01・02