表紙映画メモ>2005.09

映画メモ 2005年9月

(劇場・レンタル鑑賞の記録、お気に入り作品の紹介など。はてなダイアリーからの抜書です)

どんな時も / 奥さまは魔女 / ラスト・マップ


どんな時も (1995/アメリカ/監督パトリック・リード・ジョンソン)

うまれたときからデブのアンガス(=牛)くんが、思い悩みつつ、プロムの夜に本物のスターになるまでを描いた物語。いわゆる「負け組」「プロム」というキーワードで語ることができる、ありがちな話なんだけど、結構面白く、しまいには涙ぐんで観てました。

まず最高なのが、冒頭の鼓笛隊の場面。グリーンデイの主題歌(彼等のことあまり知らないんでよくわかんない、すみません)に合わせて、ハイスクールの鼓笛隊がフットボールの応援をする。「恋のからさわぎ」ほど巧みな演出じゃないけど、昔ブラバンやってた私は、こういうのが出てくるだけで胸がじーんとしてしまう。まだ映画始まったばかりだというのが勿体ないかぎり(笑)
主役のアンガスくんは、巨体をいかして猛タックル→大成功するんだけど、折角の手柄は、いじめっこの二枚目・リックのものになってしまうのでした。

以前も書いたけど、こういう映画って、主人公が結ばれるのが「容姿は勝ち組だが中身は負け組(の気持ちを汲んであげられる心優しい)」の女子、というのが、女の私からすると不公平な気がするのですが、この話では、その点のフォロー…じゃないけど(笑)アンガスとその親友でチビのトロイがこんな会話を交わす。「女はカラダだよ」「そんなことない」「じゃあなんでメリッサが好きなんだ?」「彼女は特別だ、彼女を見ると胃の奥が痛くなる」「お前は胃が勃起するのか?」…
ちなみにこの映画での学園の女王・メリッサは「ジュラシック・パーク」に出てた女の子なのですが、とにかく地味。まあ他の登場人物も地味なんで、そう気にならないけど。
アンガスの母親はキャシー・ベイツ、祖父はジョージ・C・スコット。おじいちゃんが「スーパーマンのように恵まれた人間は勇敢とはいわない」と説く場面はなかなか良かったです。


奥さまは魔女 (2004/アメリカ/監督ノーラ・エフロン)

オープニングの曲(Persephone's Beesというバンドの「City of Love」)がカッコよかったので、サントラ買ってしまいました。オリジナルのテーマ曲聴いてると、部屋が一気にキレイになりそう…まあ私の場合は自分の手で掃除しなきゃならないんだけど(笑)
でも作中一番爽快だったのはThe Whoの曲で、へんな言い方だけど、私はふだんwhoにそれほど関心がないのですが、映画(やドラマ)の中で聴くといつも良くって、すごいバンドだな〜と思う。

まずこれだけは言いたい!マイケル・ケイン様がかっこよかった!
冒頭、早々と登場してくれるのですが、とにかく超・超・超ダンディで、劇場であのシーン見るためだけに3000円払ってもいい(微妙な値段?)。その後も神出鬼没に登場するんだけど、スーパーのアレ、笑っちゃった。ああいう魔法って楽しい。ニコールがソファで彼の胸にもたれかかるシーンは心底羨ましかったよ〜。私が言うのも何だけど、うちの父親も年のわりにはイイ男だと思うけど、ああ、あんなパパだったら、毎日ウサギちゃんみたいなカッコしてまとわりついちゃう。

オリジナルのドラマはちょこっとしか観てないし、今回のリメイクに関する前情報もなかったのですが(だからウィル・フェレルがセレブ役で登場してびっくりした!いちおう書いておくと、今回のリメイクは、落ち目のスター俳優のウィルが「奥さまは魔女」を演じるにあたって相手役にスカウトしたのが本物の魔女だったというお話)、面白かったけど、映画としてはかなりこじんまりした印象を受けました。
そもそもノーラ・エフロンのストーリーにウィル・フェレルは合わないだろう(笑)ってのと、ニコールの役柄がちまちましてて、人間界のことに疎いから頭が鈍く見えるのは当然としても、動作や喋りもトロくって、そういう演出なんだろうけど、あのポスターのような爽快感は得られなかったというか。せめてあの「初めて人を怒鳴るシーン」くらいはもっとシャキッとしてほしかった。「奥さまは魔女」ならではの楽しさというより、たとえば「天使とデート」「スプラッシュ」男版なら「ジャングル・ジョージ」(?)といったカルチャーギャップものの色が濃かったように思う。
ケイン様やシャーリー・マクレーンの出番があまりなかったことや、ウィル・フェレルのマネージャーのジェイソン・シュワルツマンはどうなったの?という具合に、脇役があまり生きてなかったのも残念。そうそう、マネージャーがニコールの隣人と踊りながら「シェールがまた新曲を出したんだってさ」と話すシーンがあるけど、私はそこでニコールがかける魔法は当然「隣人女性がシェールに変身する」だと思って期待したのに、全然違うものだったのでガッカリしてしまいました(観てない人には全然通じない、ごめん)
でも、芸能界が舞台だからこその楽しさもあって、ケイン様があんなとこから登場するシーンとか、スタジオで二人が踊る場面とか、良かったです。

ニコールのカッコはどれも可愛くて、本格的な秋を迎えるにあたって、カーディガンがたくさん欲しくなりました。パーティの夜に着てた服が「魔女の告白」の前フリになってたの(上着がちゃんとマント風なの)も良かった。しかし、報道陣へのお披露目のときの黄色いスーツは、私のような日本人体型の者が着たら、相当野暮ったくなりそう…

(05/09/18・劇)


ラスト・マップ (2004/アメリカ/監督ジョーダン・ロバーツ)

「Around the Bend」がこんな邦題になってたなんて。新作コーナーに並んでたの、見逃すとこだった。

(以下の文章は、映画の結末に触れています)
銀行員のジェイソン(ジョシュ・ルーカス)と、その息子でまだ幼いザック、元考古学者の祖父ヘンリー(マイケル・ケイン)が暮らす一家に、30年間行方不明だった父親のターナー(クリストファー・ウォーケン)がやってきた。ところが突然ヘンリーが死亡。その遺言に従い、男三人は連れ立ってアメリカ横断の旅に出る。

マイケル・ケイン演じる元発掘屋のヘンリーは、奔放でお茶目な老人。彼の遺言とは、各地のケンタッキー・フライドチキンをめぐりながら、とある目的地めざして、自分の遺灰を撒く旅に出よというもの。なぜケンタッキーかというと、四世代での最初で最後の晩餐の場所が、彼お気に入りの近所のケンタだったから。そのため残された三人は、クリストファー・ウォーケン演じるターナーなんてベジタリアンなのに、カーネルおじさんを訪ねて長い長い道のりをゆくはめになる。
ウォーケンは、かつて妻子を捨てたきり行方不明になっていたという設定なんだけど、登場シーンの仁王立ちが可笑しくて(べつに笑えるシーンではない)、髪もいつものように逆立ってて、ありがちといえばありがちなキャラクターなんだけど、まあ良かった。
お茶目老人のヘンリーがひ孫の乳母の寝室をのぞいたりとか、ウォーケンのダンスとか、私にとっては少々わざとらしくって、趣味じゃないとこもあったのですが、落ち着いた話にコンパクトにまとまっており、面白く観られました。
5、6歳の息子のザックを演じた男の子は、すごく可愛くて、沢口靖子に似てました。旅の途中、彼が「家へ帰りたい」と言うんだけど、観ていた私もちょうどそのころ「そろそろ帰っちゃどうか」と思ってたんで(また居心地のよさそうな家なんだ)、不意を衝かれてびっくりしてしまった。

あと、ほんとに単純な感想なんだけど、サー・マイケル・ケイン本人も、いつか亡くなる日がくるのか、なんて思ってしまって、ちょっと寂しかった。

それから、ザックの乳母はデンマーク人で、祖国にはこういう映画がないから、と言って毎晩ホラー観賞に精を出してるんだけど、作中彼女が観てるのは、何か有名な作品なのかな?私はホラー観ないのでわかりませんでした。女の子がキャーと言うと、お母さんの首がスパッと切れるの。

ところで、話はかなりそれて、私が小学校にあがるかあがらないかぐらいの年齢のころ、えらくはまってたのが、「きょうはなんのひ?」という絵本。女の子のとあるお遊びを描いた一冊で、帰宅したママに、はいコレ、と一枚の紙切れを渡す。たとえばそこには「いつものメヌエットをひいて」と書いてあり、それに従ってピアノに向かうと、鍵盤に次の紙がはさんであり、そこには「お茶を飲んで」と書いてあり、カップを取りにいくと、また次の紙がはさんであり…という具合に、指示をたどらせるの。現在私は両親と同じ仕事に就いてるわけだけど、一時期ほぼ毎日、帰宅するなりこんなことにつきあわされてた当時の母の苦労をしみじみ思ってしまう(笑)
この映画みてね、久々にそんなことを思い出したり。


表紙映画メモ>2005.09