王道邁進
スペシャルウィーク


スペシャルウィーク 東京優駿(日本ダービー)

天皇賞・春

天皇賞・秋

ジャパンカップ


弥生賞
京都新聞杯
AJCC
阪神大賞典
きさらぎ賞

17戦10勝
競走成績

日本の古刀 

 大工が使う釘に洋釘と和釘があるのをご存じだろうか?一般に使われている丸くてぴかぴかしているのが洋釘、それに対して断面が四角く、黒くてあまり光らないのが和釘である。洋釘は大量生産されているため安く、また見た目もきれいであるのに対し、和釘は一本一本刀鍛冶のように鍛えた良質の鉄でつくられている為高価で、また一見すると新品であっても黒く錆びているようにも見える。しかし洋釘は長持ちせず、また極めて錆びやすいのですぐに使い物にならなくなってしまう。和釘はあまり劣化することなく長持ちし、古鉄でも鍛え直せばまた良質の釘にすることが可能である。
 これと同じことが競馬における外国産馬と内国産馬に言えるのではないだろうか。安価で容易に手に入り、また一見すると派手なパフォーマンスで高い能力を示すが、早熟であり底の浅い外国産馬。それに対しスタミナ重視の血統背景のため爆発的なスピードには欠けるものの、丈夫で長持ちし、しかも長い時間をかけてさらなる成長力を見せる内国産馬。スペシャルウィークはまさに後者の典型であった。かつて2冠馬コダマを送り出した日本の名牝系シラオキから始まる母系に、ヒンドスタン・セントクレスピン・マルゼンスキーと当代最高の種牡馬を配合し続け、極めつけに空前の大種牡馬サンデーサイレンスの血を重ね合わせたスペシャルウィークは、まるで刀鍛冶が鋼に何度も何度も火入れをして徐々に鍛え上げていったかのような重厚な奥深さを持ち、しかしながら研ぎ澄まされた鋭さも併せ持つ日本の名刀であった。

ダービー制覇の夢

 武豊が最後まで取れなかったクラシックタイトル・日本ダービー。スペシャルウィーク出現まではその栄冠に最も近づいた馬がダンスインザダークだった。確勝を期して臨んだ日本ダービー。あと少しのところでフサイチコンコルドに足下をすくわれ2着。その後菊花賞を制したものの「三冠を取れる器」と武豊が認めたその素質は未完のままで終わった。2年後、彼に一頭の細身のSS産駒が紹介される。跨った武豊は「ダンスインザダークに似ている」と言った。そしてその馬でダンスインザダークの時と同じく一番人気で臨んだ日本ダービー。その馬スペシャルウィークは直線あっという間に先頭に立つと後続を一気に引き離し、5馬身ものリードを取ってゴールへ飛び込んだ。ダンスインザダークで果たせなかった武豊の一つの夢がスペシャルウィークによって叶えられた。しかし、夢はそれだけでは終わらなかった。武豊とスペシャルウィークの夢には続きがあったのである。

日本総大将

 4歳時はセイウンスカイ・エルコンドルパサーという史上最強世代のライバルの存在のため、ダービー一冠で終わってしまったスペシャルウィークだったが、5歳になって彼は徐々に完成の域へ近づいていった。海外に飛んだエルコンドルパサーに替わり、日本総大将の役を見事に務め果たすことになる。春の天皇賞で現役最強を印象づけた彼は、秋の天皇賞で前走惨敗から劇的な復活を果たし天皇賞春秋連覇。そして、最大目標であったジャパンカップ。凱旋門賞で日本の夢をうち砕いた世界最強馬モンジューがあちらから日本にやって来てくれた。最高の充実期を迎えていたスペシャルウィークは海外の強豪を相手に早め先頭に立って押し切る横綱相撲を演じて見せた。ダービーのタイトルに重ね春秋天皇賞、そして日本最大タイトル・ジャパンカップを獲得。5歳時、彼の敵は日本にはいなかった。ただ一頭、グラスワンダーを除いて。

1900年代最後の名勝負

 グラスワンダーとスペシャルウィークの直接対決はわずか2戦。しかし、そのたった2戦でこの2頭は終生のライバルと語り継がれるほどの激闘を演じた。宝塚記念で3馬身もの差を付けられて完敗したスペシャルウィーク。JCを制した後の引退レースとなった有馬記念。なすべき事はただ一つ。グラスワンダーへのリベンジのみであった。スローにも関わらず馬群の最後方を淡々と進む2頭。第4コーナー手前でグラスワンダーが先に動き出す。それただ一頭だけを倒すためにスペシャルウィークの引き絞られた弓から矢が放たれた。全く並んでゴールへ飛び込んだ最強の2頭。しかしわずかにスペシャルウィークが勝った、勢いで完全に勝っていた。そう見えた。ウイニングランをする武豊。負けたと思い、2着の所へ馬を入れたグラスワンダー的場。しかし、写真判定の結果。首の上げ下げだった。4センチだけグラスが前に出ていた。

史上最強世代

 何の因果か同世代に生まれ、同じ日本で走ることになってしまったスペシャルウィーク・エルコンドルパサー・グラスワンダー。それぞれが単独で完全なチャンピオンホースであり得た超名馬だったが、皮肉なことにスペシャルウィーク・グラスワンダーは年度代表馬になれず、特別賞をもらうにとどまってしまった。
 しかし、これだけは言うことが出来る。我々は伝説めいたものになっているTTGに匹敵する、あるいは越えたかもしれない最強の3頭を、最強の世代を目撃したのである。

(11.04.28)

スペシャルウィーク 牡 黒鹿毛 平成7年5月2日〜
生産地・生産者 北海道門別 日高大洋牧場 総収得賞金 1,092,623,000円
馬主 臼田寿昭 繋養地 北海道早来 社台スタリオンステーション
調教師 白井浩義(栗東) 主な産駒
騎手 武 豊、岡部幸夫、O・ペリエ


サンデーサイレンス
Sunday Silence
(青鹿 1986)
Halo Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edelweiss

キャンペンガール
(鹿 1987)
マルゼンスキー Nijinsky Northern Dancer
Flaming Page
シル Buckpasser
Quill
レディーシラオキ セントクレスピン Aureole
Neocracy
ミスアシヤガワ ヒンドスタン
シラオキ