| 世界を震撼させた怪鳥 |
| エルコンドルパサー |
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仏サンクルー大賞 ジャパンカップ NHKマイルカップ 仏フォワ賞 NZLトロフィー4歳S 共同通信杯4歳S 国内7戦6勝・ 海外4戦2勝 競走成績 |
日本史上最高の名馬
凱旋門賞。
フランス・ロンシャンで行われる世界最高峰のこのレースは長い間、ほんとに長い間日本にとって手の届かない憧れであった。
初めて凱旋門賞に日本馬が触れたのはスピードシンボリ。22頭中10着で日本競馬の世界における位置を知った。
次に遠征したのは名門メジロのメジロムサシ。19頭中18着に惨敗したムサシの姿を見て、北野豊吉オーナーは「二度と海外挑戦はしない」と心に誓った。
そして単身ヨーロッパで孤軍奮闘したシリウスシンボリ。歴史的名馬ダンシングブレーヴには歯も立たず14着。
その後の長い空白期間の後、当時の日本最強馬サクラローレルが凱旋門賞を目標に旅立った。しかし舞台に立つことすらなく前哨戦フォワ賞で故障・引退。凱旋門賞で戦える日本馬が今世紀中に出るなんてことは考えもつかない事だった。
しかし1999年10月3日。その馬は衛星生中継されたTVの中で、ヨーロッパの強豪を引き連れてレースを引っ張り、直線で3着以下を引き離し、最高峰の一騎打ちを演じ切った。エルコンドルパサー。肩書きは外国産馬となっているが、日本人によって生産され、日本のスタッフに調教を受け、日本の夢を乗せて疾走した日本の名馬である。可能性無限。
平成7年生まれの外国産馬にはマルゼンスキーの再来と詠われたグラスワンダーがいた。グラスが朝日杯3歳Sを勝ち、休養に入った頃からエルコンドルパサーは頭角を現してきた。年末年始のダート戦で2戦連続後続をちぎり捨てたこの馬は、気の早いマスコミからもう一頭の怪物と騒がれた。
初重賞・共同通信杯4歳S。芝を試すつもりで選んだこのレースはあいにくダート変更。楽勝してダートでは一流の評価を得た。
では芝はどうか。NZLトロフィー4歳S。何のことはない楽勝。芝でも超一流の強さ。
無敗で迎えたNHKマイルC。無敗馬4頭が揃うハイレベルな相手にどう戦うのか。終わってみれば大外回って手前を変えることのないまま圧勝。一つの頂点を究めた。しかしグラスワンダーは休養中。果たしてどちらが強いのか。
そして秋・毎日王冠。史上最大の決戦となったこのレースで、同期のグラスワンダーと最初で最後の対決。直線もがくグラスワンダーを尻目に、ただ一頭前を行く超特急に対して差を詰めていった。破れはしたが、同期の怪物の壁・古馬の壁はクリアした。次の舞台は世界。
ジャパンカップ。同期のダービー馬スペシャルウィーク・サイレンススズカ亡きあと古馬では最強のエアグルーヴが相手として立ちふさがる。さらに2400の距離は未経験。破るべき壁はかなり厚かった。しかしエルコンドルパサーはそれら全てをまとめて破り去った。4歳馬初・わずか7戦目で日本の頂点に立つ。ほぼ考え得る最短距離でエルコンドルパサーは日本でやるべき競馬を終えた。底を見せることなくエルコンドルパサーは日本を離れ、世界へと飛翔した。ヨーロッパ戦線
これまで日本馬が出走する海外のレースは、ほとんどが終わった後新聞等で結果を知るというのが常で、リアルタイムでその馬の走りを見ることはできなかった。しかし昨年は限定されたメディアではあったものの、エルコンドルパサーが出走する全レースがTV生中継された。そしてイスパーン賞・サンクルー大賞、フォワ賞・そして凱旋門賞と全てのレースでエルコンドルパサーは主役を張った。
初戦イスパーン賞で惜しい2着に敗れたものの、海外でも十分に通用すると手応えを掴んだ陣営は、遠征前半の目標としてサンクルー大賞を選んだ。対するメンバーは揃いに揃い、前年の凱旋門賞馬サガミクス、年度代表馬ドリームウェル、ドイツ最強馬タイガーヒル、牝馬ながら独ダービーを制した名牝ボルジアなど、古馬ではデイラミを除くほぼベストなメンバーが揃った。さすがに人気ではサガミクスに続く2番人気。しかしレースではジャパンカップを再現するかのように、先団につけると直線後続が追いついてくるのを待って悠々と追い出し、一気に後続を突き放した。我々の期待以上の圧勝劇。このレースでエルコンドルパサーはヨーロッパで2番目のレイティングを得て、夢と思われた凱旋門賞でも堂々優勝候補の1頭に数えあげられた。
日本競馬においてもサンクルー大賞での圧勝劇は衝撃を与え、あまり海外に関心を示していなかったスペシャルウィーク陣営も宝塚を勝てば凱旋門賞に挑戦するとの意思を表明するなどエルコンドルパサーを中心として全てが動き始めた。スペシャルウィークは結局国内線に専念することとなってしまうが、エルコンドルパサーのライバル筆頭として話題となっていたのが、仏・愛ダービーを驚異の追い込みで楽勝していた4歳馬・モンジューであった。凱旋門賞でのエルコンドル最大の敵はモンジューだろう、未来を予感させるように巷ではそう囁かれていた。凱旋門賞
フォワ賞で3頭立てで逃げる競馬を強いられながらきっちり勝利したエルコンドルパサー。まるで一昔前のサクラローレルの惨敗が幻のようであった。日本競馬がついに凱旋門賞という世界最高峰のレースに勝てる能力を十分に備えた名馬を送り出す。長年の夢がついに現実となった。モンジュー・デイラミ・クロコルージュ・タイガーヒル・・・凱旋門賞は間違いなく世界一決定戦となった。
凱旋門賞は歴史上最悪の不良馬場。日本中の競馬ファンが衛生生中継に息をのむ中、ゲートが開いた。一番ゲートから飛び出したエルコンドルパサーだが、行くはずのラビットも馬場に殺されて行けない。なんと先頭に立ったのはエルコンドルパサー。エルコンドルパサーが世界の先頭に立ってレースを引っ張る展開となった。淡々と進む2分間。偽りの直線を抜け、最後のコーナーを回ったところで各馬の手が一斉に動き出した。死力を尽くす叩き合い。しかしエルコンドルパサーが先頭、しかも後続を突き放していく。エルコンドルパサーが突き放す。凱旋門賞制覇へと力を振り絞って逃げる逃げる。だがそこでやはりやって来た。最強馬モンジューが他馬をはじきとばしながら外に出し、一歩一歩差を詰める。そしてエルコンドルパサーに並んでしまった。差し返せ!日本中の願いを込めたNHKのアナウンサーの叫びも空しくついにエルコンドルパサーは破れてしまった。
しかし3着との差は6馬身。惜しくも敗れた日本の勇者にロンシャンの観衆から過去の2着馬としてはおそらく最高の拍手が送られた。名オーナーに支えられて
人々の期待を、日本の夢を叶え続けてきたエルコンドルパサー。最後の夢、凱旋門賞制覇だけは残された。その夢まであと一歩のところまでくることができた最大の功労者は渡辺隆オーナーであろう。外国産馬とはいえ実際はこの渡辺氏によって生産されたエルコンドルパサー。彼の血統へのこだわりを具現化したこの名馬を、常に挑戦者としてより高いところを目指して走らせ、日本の賞金に目もくれず私財を投入してヨーロッパでの夢に実現に賭けた渡辺オーナーは、久々に現れた高い理想を持つオーナーであった。ジャパンカップ当日行われた引退式で、「遙かヨーロッパから来てくれたモンジューくん、タイガーヒルくん、ボルジアさんにも先ほど挨拶を済ませてきました。私の決断が後々必ず評価される時がくるとしんじています。」と演説した彼の願い通り、エルコンドルパサーは国内で一走もすることなく99年度年度代表馬に選出された。
エルコンドルパサーが残した夢の続きは果たしてどんな馬がかなえてくれるんだろうか。彼の子供か、それとも栗毛の怪物か。それとも?(00.01.29)
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エルコンドルパサー 牡 黒鹿毛 平成7年3月17日〜
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