| 天馬 |
| トウショウボーイ |
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奇跡の血量
馬産において血統を考慮して配合を考えることは非常に大切なことで、良い配合を求めて様々な配合が試みられるが、その期待の配合通りの名馬が生まれることは極まれである。時にはオグリキャップにようにさほど良血とはいえない馬から名馬が生まれることもあるし、超良血といわれた馬が全く走らないということは頻繁に見られる。しかしトウショウボーイは、良血の牝馬にそれに見合った良血の種牡馬を配合して、期待通りの名馬になったという型を具現化した馬である。
母のソシアルバターフライはアメリカから輸入された牝馬で、9勝したトウショウピットやトウショウプリンス、5勝したブルートウショウなど活躍馬を次々に出して「牧場の宝」と言われていた。この牝馬にキタノカチドキなどの活躍馬を出していたテスコボーイを配合して生まれたのがトウショウボーイである。ソシアルバターフライとテスコボーイを掛け合わせたこの馬には、天馬ハイペリオンの18.75%のインブリードがあった。「奇跡の血量」と言われるそれである。トウショウボーイは体型がずば抜けて良く、生まれた頃から牧場の期待を担う馬で、まさに「天馬」のニックネームにふさわしい馬だった。天駆けるスピード
腰に難のあったトウショウボーイはデビューが遅れ、4歳になってからの1月31日にデビューした。この新馬戦には後にTTG(テンポイント・トウショウボーイ・グリーングラス)と呼ばれるライバルのグリーングラス(4着)や、トウショウボーイとの間にミスターシービーを産むことになるシービークイン(5着)が出走していたが、トウショウボーイは2着馬に3馬身差を付けて圧勝した。後つくし賞、れんげ賞を4馬身、5馬身と次第に差を広げて圧勝したトウショウボーイは、皐月賞で宿敵テンポイントと初対決を迎えるが、そのテンポイントに5馬身差を付けて圧勝してしまった。そのスピードはまさに天性のものだったのである。
ダービーでは、加賀操るクライムカイザーにまさかの出し抜けを喰らい、初の敗戦をしてしまう。次の札幌記念はトウショウボーイ、クライムカイザーとその年の春のクラシックホースが揃った超豪華なダート戦となり、札幌の入場者は未だに破られていないレコードを記録したが、ダートの鬼グレートセイカンに破れてしまった。しかし秋になってからのトウショウボーイは神戸新聞杯、京都新聞杯とクライムカイザーに圧勝し、距離不安の菊花賞は3着になったものの暮れの有馬記念ではテンポイントをスピードで圧倒し、4歳最強を見せつけた。
5歳になってからは天皇賞を勝ったテンポイントに宝塚記念で勝利したあと、高松宮杯とオープンをぶっちぎった。特にマイル戦のオープンでは当時としては破格の1分33秒6というレコードを叩き出した。トウショウボーイが得意の中距離を走るとき、もはや敵は見あたらなかった。
天皇賞では7着と生涯唯一の着外に破れてしまったが、引退レースの有馬記念ではテンポイントと史上最高のマッチレースを繰り広げた。まさに「2頭立て」のレースだったこの有馬記念は、今なお最高の名勝負と言われている。総合力のサラブレッド
種牡馬入りしたトウショウボーイは、2年目の産駒から三冠馬ミスターシービーを出し、種牡馬としての地位を確固たるものにした。その後も活躍馬を出し続け、北海道の馬産に大きく貢献した。所有が農協と言うこともあり、種付け料が低く押さえられていたのも馬産地の人々にはありがたかったという。
競走馬には「競争型」と「繁殖型」がいるとよく言われるが、トウショウボーイは、どちらかといえば「繁殖型」に当たる馬だったのだろう。しかしその素晴らしい馬体から繰り出すスピードによって優秀な成績を残すことができた。シンザンが史上最高のサラブレッドなら、このトウショウボーイもまた少し違う方向から「サラブレッド中のサラブレッド」といえるのではないだろうか。
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トウショウボーイ 牡 鹿毛 昭和48年4月15日〜平成4年9月18日
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