2004年 8月28日
2,455m
焼岳
8月最後の休みにどこの山に行こうかという話になったが、商売をやっている悲しさでなかなか二日
続きの休みが取れない。前夜泊なら何とかなるので一日で行ってこられる山を探すことにした。
夏だから当然低山は除外。で7月末の常念岳に味を占めて北アルプスの中から探すことにした。
すると山仲間のKさんが焼岳へは行っていないので此にしようと言った。うむ、此なら何とか行って
こられそうだ。前日の夕方出発。松本から国道158号線に入り、道の駅「風穴の里」に車を駐め
ここで車中泊とする。しかしどうもこの場所はあまり上手くなかった様だ。トイレや自販機があるので
何かと便利と思いここにしたのだが、何せ国道沿いだからかなりの交通量がある。そして道の駅と
いうので深夜でもどんどん車がやってきてここに駐める。おまけに何処かの高校生だか糞ガキか
知らないが、深夜だというのにスケボーをして遊んでいる。やかましくてとても眠れたものではない。
こら糞ガキ共、いい加減にせい!しかし隣のKさんはビールを飲んでもうしっかり寝ている。
うーむ、鈍感と言おうか無神経と言おうか、ともかくこういう人がこんな時には羨ましい。
 で、眠ったのか眠らなかったのか判らないまま朝を迎えた。薄暗い中で辺りの景色を見ると結構
山が迫っていて目的地が近いことを実感させられる。しかし目指す山の方角はガスがかかっており、
一抹の不安を覚える。慌ただしく朝食を済ませていざ出発。梓川を右手に見ながら進んで行く。
昨日は暗かったので辺りの様子は全くわからなかった。梓湖を横切り、乗鞍岳方面への分岐を過ぎ
トンネルを幾つもくぐってようやく上高地と安房峠への分岐点に来る。上高地はマイカー規制が
敷かれているので当然安房峠へと進む。曲がってすぐの所から登る登山口も有るのだが、車を
駐める場所がほとんど無いのと歩行時間の関係でもっと上の登山口に向かった。尤もこれは
たまたま車を駐める所がなかったのでしょうがないから上へ向かったのである。そうしたらこれが
見事に正解。こちらは車が10台程置ける。観光バスもどうやらこちらへ着ける様だ。
 雲行きはあまりはっきりしないが、ともかくここまで来たら登る一手である。7時過ぎに登山口を出る。
道路脇の登山標識
登山道入口
朝露にぬれた登山道を行くがガスのため周囲は全く見えない。しょうがないから花の写真でも
撮るとするか。この山は上高地とセットでツアーが組まれるために団体さんが何組か来ている。
こちらはガスのため写真が撮れないものだから勢い速度が速くなる。りんどう平からの登山道との
合流点を過ぎ、あっという間に頂上近くの尾根に出る。もうこの辺に来ると木は生えてなく、岩肌の
尾根である。団体さんが辺りで休憩している。聞くと頃によるとさっきはブロッケン現象が見られた
という。さもありなん、陽がさしてきたので私も大いに期待してカメラを構えたのだが、残念ながら
お目にかかることは出来なかった。大分歩いたが頂上はまだ先かと思って尋ねると、「この岩の
上ですよ。」と教えてもらい拍子抜けしてしまった。もう頂上近くまで来ていたのだ。
ガスに包まれた登山道を行く
コケモモ
頂上近くの岩稜
頂上のある岩
私達は岩を左に巻いて行った所で頂上への道を探す。上の方を見てみると岩の黄色くなっている
所がある。どうやら硫黄のガスが吹き出しているらしい。その横の上へ登って行くルートがある。
所々岩につかまりながら頂上に出た。ここまでおよそ2時間半。案外と簡単に登れてしまって
おや、もうという感じだ。しかしこれなら早朝出発すれば日帰りも可能だ。
不意にガスがとれてきた。右手を見ると青空を背景にすっくと聳える形のいい山が眼前に現れた。
笠ヶ岳だ。何という立派な山だろう。見とれている内に周囲の山々も次々とガスがとれてくる。焼岳の
最高峰、南峰もガスの中から現れてきた。ここは現在立ち入り禁止だが、よく見るとその火口湖の
方に降りている人が何人かいる。これは危険だから止めて欲しいものだ。何かあったら周囲の人に
迷惑がかかるのは必至だ。南峰の左手奥には乗鞍岳が見える。が、残念ながら槍、穂高連峰は
以前雲の中でその姿を見せてくれない。上高地の霞沢岳か明神岳辺りも雲間に見える様だが
はっきりしない。もう少し粘っていればいいのだろうが、頂上は団体さんで一杯になって来た。
少しお腹に軽い昼食とビールを詰め込み下山にかかる。
ガスの噴出場所
笠ヶ岳
焼岳南峰
焼岳頂上
下山途中にも噴気場所があった。岩ごろごろの道で振り返ると焼岳の荒々しい姿が今度ははっきりと
みることが出来た。旧中尾峠の辺りまで来ると青空が広がってきて素晴らしい眺望が得られた。
展望台の所まで来ると焼岳の全容を見ることが出来る。こうなるとまた戻れば穂高方面が見えるかも?
と少しばかりの色気が出たが、いくら何でもまた来た道を登っていくのは御免だ。それにしてもこんなに
良い天気になるとは。どうせなるんだったらもっと早く良い天気になれ。天気のバカ!
 新中尾峠に出て焼岳小屋に寄る。以前の小屋は昭和37年の噴火で倒壊したそうな。山のご機嫌が
ちょいと悪くなればあっという間の惨事となる。焼岳さん、我々が下山するまで怒らないでね。
噴気地点
登山道から焼岳頂上方面
旧中尾峠
焼岳展望台より山頂を望む
焼岳小屋
焼岳小屋で記念のバッジを買い,上高地側へ向かう。振り返ると紺碧の空が見える。今頃お天気が
良くなるとは癪に障るが、まあこれも私の不徳と致すところでしょうか?こちらの方は登りほど道は
良くない。途中に梯子の架かっているところもあるが、これは大した事はない。途中で焼岳方面を
仰ぎ見ると火砕流?の通った後が生々しい。近くで見ても木や草が全然生えていなくて、まるで
セメントを流した様な色をしている。頂上のところは噴火時はいわゆる溶岩ドームだったのだろう。
ここから見る焼岳はいかにも活火山にふさわしい姿だ。
道をどんどん降って樹林帯に入り、登山口近くの樹上に猿を数頭見かけた。枝の先につかまっている。
登山口の所の広い道路に出るとさらにたくさんいた。じっとこちらを見ているのでなるべく目を
合わさない様にした。ガンを付けられたとイチャモンを付けてきて引っかかれたり、噛みつかれでも
したら翌日の新聞ネタだ。
下山道から紺碧の空を見る。
梯子場
下山道からの焼岳
火砕流の跡
樹上の猿
さてようやく上高地に着いた。梓川から眺める焼岳はなかなか絵になる。頂上では軽く食べた程度だった
ので改めてここで昼食を取り直すことにした。時間があるのでゆっくりとここで休憩した。眼前には川を挟ん
で霞沢岳や六百山、明神岳が見える。目を転ずればお馴染みの河童橋は人で一杯だ。う〜ん、これでは
まるでえんま市だ。(地元、新潟県柏崎市の露店市です。)やはり人の少ないところでゆったりと自然に
浸りたいものですね。上高地からはタクシーを拾って中ノ湯の登山口に戻ることにしたが、渋滞でなかなか
進まない。対向車線は観光バスの長蛇の列だ。運転手さんの話によると紅葉時期は釜トンネルまで車が
続くそうだ。帰りはトンネルを抜けたところにある坂巻温泉にはいる。ここは「全国秘湯を守る会」会員
だそうな。入浴料も500円と手頃な上にお湯もなかなか良い。ここは登山しなくても紅葉時期にはまた
来たくなる様な所だ。この温泉については http://spa.sakamaki.ne.jp/ でご覧になって下さい。
ゆっくりと汗を流して山の疲れを癒し帰路につく。いや〜今回もなかなか良い山行でした。
梓川から見る焼岳
霞沢岳
河童橋