2000年 11月3日
1,420m
二王子岳
毎年11月23日の勤労感謝の日に新発田市で行われていたマラソンの新潟県選手権に出場し、
スタートしてから暫くするといつも決まって目に入ってくるのは初冬の二王子岳であった。
折りしも白鳥の渡る季節、なかなか絵になる光景だったが、まさかその二王子岳に登る事に
なろうとはその時は夢にも思わなかった。10月はマラソンレースが毎週のようにあるため、山行
は出来ないので晴れの確率の高い文化の日を選んだ。が、何と言うことであろう、ものの見事に
期待ははずれ、朝から天気はぱっとしない。今にも泣き出しそうな空だ。今度の山行もFさんが
一緒であったが二王子岳はFさんも初めてだと言う。二人共道を知らないので道案内はまるっきり
ナビ任せ。が、五十公野(いじみの)公園迄はマラソン大会がそこの競技場スタートなので大丈夫だ。
だがそこからが怪しい。あちこちを右に曲がり、左に曲がりといった具合でとてもナビが無ければ
迷って登山口には着けないところだ。田貝から南俣と呼ばれる部落に入り、ガイドブックに載って
いる地名が出てきたのでようやく安心した。南俣林道を通り登山口の二王子神社に到着した。
なかなか立派な神社だ。ここには広い駐車場があってかなりの車が置ける。早速身支度をして
登山開始。二王子岳は飯豊連峰の前衛峰で頂上からはその雄大な姿が眺められる。また農村信仰
の根強く生きている山で道のあちこちに石祠がある。杉林から雑木林を抜けてやがて巨岩のある所
に出た。ガイドブックによるとこれは神子石(みこいし)と言うそうな。記念に一枚。だが雨模様で
御覧のようにはっきりそれとはわからない写真となった。ここから少し行って急坂を登りきった杉林の
中に一王子神社と呼ばれる古い石祠があった。傍らにブロックで出来た二階建ての避難小屋がある。
ここでもう一枚。が、もやがかかってこれではまるで心霊写真だ。今日は雨で全くと言って
いいほど眺望が無いので残念だが致し方ない。
道はさしたる急登も無く定高山と呼ばれる一つのピークに着くが、別にどうってことも無い場所だ。眺望
も無い。やがて油コボシと呼ばれる鎖のある急坂に出るが、ここも別に難所というほどではない。
どこの山にでもこれ位の所はある。ただ閉口したのは道の悪さだ。花崗岩質の登山道は雨水で侵食
されやすいのか真ん中が大きくえぐられている。足を左右に広げながら登ることになるので、歩きにくい
ことこの上ない。私の様に足のなが〜い人だったら問題は無いのだが、体の小さい人は大変だ。
頂上付近で会った人(よくこの山へ来ているとのこと)が教えてくれるには、この様な山は残雪期に
登ったほうが良いそうな。なるほど合点である。確かに残雪期なら真ん中のえぐられも無い。流石
地元の人は違う。だがこのえぐられ道が効いたのか、Fさんの調子がおかしい。足がつったようだ。
運悪く雨もまた降り出して来た。小刻みに小休止を取りながら進むと周囲が開けた。天気が良いなら
さぞかし景色も良かっただろうに残念だ。途中で会った人の中には大きな三脚を杖代わりにして登って
行く人もいた。御来光を取るのだそうだが明朝の天気が良くなることを期待しているとの事。だが今の
我々にとっては明日より今日の天気のほうが先決問題だ。道がひどい分、天気には良くなって欲しい。
小さな石祠や池などを通り過ぎて進むと道は平坦になり頂上避難小屋が見えてきた。雨のせいか
小屋の中は盛況であった。ひとまず荷物を置いて「青春の鐘」とよばれる所で記念写真。本来だったら
雄大な飯豊連峰をバックにしたいい写真になったのに。トホホ・・・昼食を小屋の中で取り、下山の仕度
をして小屋を出たら、何と少し雲が切れてきたではないか。返す返すも憎らしい山め。飯豊連峰の全貌
とは言わないまでもちょっぴりその姿を見ることが出来たので少しは気が晴れた。下山するにつれ天気
は益々良くなっていく。皮肉なものだ。雨でろくな写真を取れなかったのでおまけの一枚。紅葉シーズン
も終わりに近づいていた。「あやめの湯」で汗を流し、帰路柏崎へ向かったが大渋滞。帰宅したときは
夜の9時を過ぎていた。今回はつくづくチカレタビー。