金城山
2000年 9月24日
1,369m
火打山登頂後、10日足らずでなんとなくまた山へ行きたくなってきた。山登りのベテランのFさんに
話すと「すかんぴんさんは体力があるから低い山なんかじゃ満足しないだろうし、どうせ行くなら
面白い山が良かろう。」ということで六日町と十日町の境にある金城山になった。そして周りの
仲間に声を掛けるとSさんは生憎その日八海山に登るという。が、Yさんは「それ、きつい山
なんだろう。」と言いつつもOKと相成った。山行はあまり多くても困るがやはりそれなりに人が
いた方が楽しい。
 さて当日は運悪く朝から小雨が降る天気となった。Fさんを拾い、Yさん宅へ向かうとYさんは早
支度をして待っていた。しかしYさん、雨が気になるらしく止めようと言う。そりゃあ誰だって雨より
晴れのほうがいいに決まっているが、何も土砂降りというわけでもなし、しかもこの後予報によると
天気は回復に向かうという。そこでYさんの説得にかかるのだが「金城山て岩山で雨で滑るんじゃ
ないの?第一雨の日に登ってもちっとも面白くない。」と応じようとしない。やむなくYさんを残し
とにかく我々二人で登山口まで行って様子を見ようということになった。あまり雨がひどければ
温泉にでも入って帰ればいいという考えだった。
 中川新田の登山口近くの広場まで来たが、どうも登山口がわからない。Fさんによると以前来た
時には大きな看板があったというし、狭い道を入って行った記憶があるという。そこでその広場から
先へ続く細い道を入って行くと、ありました、ありました。鬱蒼とした杉木立の中にその立て看板は
ありました。車を停めるところは結構広く何台か駐車出来る。私たちが身支度をしていると後から
2台ほどやって来た。しかし彼等は下見らしく、どうやら山に登る様子ではなかった。やはりこの
雨でびびっているのか?
 私たちも雨で行くかどうか迷ったが、途中まで行って雨がひどくなれば引き返そうということで、
意見が一致した。
私たちの採ったコースは滝入りコースから水無しコースを経てもとの登山口に戻ってくるというもので
あった。歩き出すと文字通り右手に小さな滝が時折見え隠れする。道は狭く岩も露出したところが
ある。雨が降っていて滑りやすいので足元には十分注意が必要だ。
 最初の休憩頃になると雨は上がっていて雨具の必要はなくなった。どうも今日は我々のほかには
誰も登ってくる気配が無い。気楽に登れる反面、事故が起きた時のことなどを考えると一抹の不安が
頭をよぎる。やがて五合目を過ぎて道は急坂となってくる。この頃から鎖場も随所に見え始めて、
修験道の山だと言う事を実感させる。六合目クイラ沢の頭で大月からの登山道と合流する。
雑木の尾根道を行き、鎖や木の根につかまりながら登り八合目に出ると、今度は雲洞からの道と合流
する。そして梯子坂と呼ばれるところを通過し兎平という所に着く。ここからは金城山の頂上が良く
見える。少し下ってから山頂へ向けて一気の急登となる。(確か少し下ったと思ったが、何ぶんだいぶ
前のことなのでかなり記憶が曖昧です。スイマセン)Fさんはそれまでの私のハイピッチに疲れたのか
「行くの止めようかな。足もつりそうだし。」などと弱気な事をのたまう。「何おー、ブルータスお前もか」
冗談ではない。ここまで登ってきておいていまさらリタイアーは無いだろう。「許さん!」(ここは桃太郎
侍の口調で)何とかなだめすかして頂上へ向かう。こうなるとどっちがリーダーかわからない。
最後の繁みを抜けると山頂要注意の看板があるところに出た。ここが頂上か?当たりは目もくらむ
ばかりの断崖絶壁で、しかも私の立っている所も非常に狭い。風が吹いているので高所恐怖症の私
としては恐怖感が募ってくる。しかしそう言う事になると今度はFさんがでかいツラをし始める。
「お前、こういう所が怖いの?へえー。」と途端に勝ち誇った態度をとる。困ったものだ。しかし山頂を
示す標識が無いのでちょっと行くとありました。ここは先ほどの所よりやや広くて、ここなら私も
怖くない、エッヘン。イワキの頭からは割引岳や巻機山が見えるそうだがこちらにはそんな余裕は
無い。第一どれが男天井か女天井と呼ばれる巨岩なのかわからない。こういう時は他の登山者が
いてくれると色々聞けるのだが、肝心のFさんもこの山に来たのは一度きり。説明しろという方が
無理だ。
こんな物騒なところに長居は無用。すたこらさっさと巨岩の間を抜けて避難小屋の方へ向かう。
この山の最高点はどうやらこの避難小屋の先にあるそうなのだが、そこが何処かははっきりとは
わからなかった。それにしてももっと頂上付近の岩峰群を撮っておくんだった。何せこの頃はホーム
ページに載せるなんてことはまるっきり考えていなかったから、、御覧のようにろくな写真がない。
 さて避難小屋は最近改築したらしくまだ新しかった。ここで昼食休憩となるが小屋の中で食べる
より外で食べたほうが気分がいいので景色を眺めながらの昼食となった。六日町方面が一望の
下に見える。またここからは先ほど通って来た頂上付近の岩峰群が良く見える。紅葉し始めている
のでまるで一幅の錦絵を見るようだ。
 帰路は水無しコースを採ったがこのコースがまたとんでもないコースだった。急坂を一気に降りて
七合目を過ぎた辺りで岩場のトラバースとなる。横鎖が付いているのだが通る道は狭く、雨の時は
難渋しそうだ。そしてまた下っていくと戸隠の蟻の戸渡りみたいな痩せ尾根に出る。このコースは
ホントなかなか楽しませてくれる。そして結構下りなのに時間がかかる。上りは約3時間足らずで
登ったが帰りも2時間半ほどかかりそうだ。最後の急坂を下り、ようやく終わったなと思ったら
川に降りるところの崖にまたもや鎖がかかっている。最後まで気の抜けない山だ。
登山口近くの杉の倒木に耳茸が出ていたので、晩のおかずにととりまくった。ああ、ありがたや、
ありがたや。これで今月は何とかしのげる。
 五十沢温泉によって今日の疲れを癒す。じょんのび、じょんのび。