ショージ君のよたよた海外旅行
中国・大理

April 2005 / Dali China

少数民族、白(ぺー)族の女性
雲南、大理は文字どおり中国有数の大理石の産地。
観光客には、ペー族伝統の藍の絞り染めが有名。
写真の女性は藍染めの店のスタッフ。「おとうさん、おとうさん」と
カタコトの日本語で商売熱心なんだから、ほんとにもう♪



 中国雲南省・昆明の市街を車で移動中、バス停に立っているひとりの若い
女性に驚いた。突然のことに「まさか?」と思ったがどうしようもない。

 先ごろ、テレビが昨今の中国事情を特集する番組のなかで、山高い貧困の
村で初めて大学受験に合格した娘さんに焦点を合わせていた。彼女が入学す
るためには七万円が必要だという。病弱の父親が、頼りにしている農耕用の
牛を手離しても二万円にしかならない。村民がお金を出し合うがこれも数千
円どまり。もうお手上げという段階で番組はいったん中断した。

 わたしは、抗(あが)らうすべもない、不条理な現実に耐えようとする彼
女のけなげな表情に胸を打たれた。何とかならないものかと自分のことのよ
うに気を揉んだ。
番組が再開して、お金は銀行が村民全員を保証人に融資す
ることになった。返済も出世払いでいいという。(中国の銀行もあじなこと
をするものだ)。よかった。

 やがて大学へ向かうという日、彼女は見送りに集まった村人を前に「卒業
後の私の一生は、この貧しい村の発展のためのささげます」と約束するのだ。
彼女の言葉に微塵のウソも感じられない。なんともはや、いい顔で旅立って
いったのである。

 はじめに書いたバス停の女性。何冊かの本を胸に真っ向を見据えた表情は、
まさしくテレビでみた、あの彼女ではないか! と思ったのだ。偶然にして
はでき過ぎた話だがそう思ったのだから仕方がない。

 いま「先に豊かになれる者から…」と突っ走っている中国。急ぎ足の旅だ
ったが、私の目にもまだまだ勝ち組は少数派だ。テレビでみた彼女の村が豊
かになるには先が遠いという現実をたくさん見てきた。

 いらぬおせっかいだが、あの彼女は間違いなく、反日デモなどと騒いでいる
ひまなどないのにと思っているのに違いない。  (
2005.4.23山陽新聞)