私たち、「労

私たち、「労働者住民医療機関連絡会議(略称:労住医連)」は、 働く人の生命と健康を守り地域の方々と共に 医療・福祉の向上を目指す、 医療機関、医療従事者の団体です。

体です。 

 

迷惑などと言うな!

大分協和病院 山本 真


 4月11日、日曜の朝、ふだんのニュースバラエティを見ようと思ってテレビをつけたがゴルフなんかの中継をやっていた。普段見ない方のチャンネルを回して、凍りついた。これはKさんじゃないか。
 その数日前からイラクで日本人三人が武装グループに捕らえられ、人質にされているというニュースがしきりに流れていたが、他人事であり、あのファルージャの状況があってよく行こうとしたよなあ、ボランティアの二人は仕方ないにしても、ジャーナリストは彼らを止めるべきだったよなあ、という程度の感想しか持っていなかった。人質とされたフリージャーナリストのお母さんという方がテレビのインタビューで喋っていた。息子が生きたまま焼き殺されることがあったら自分は耐えられない、そうコメントしていた。その方は、まさしく私が知るKさんの姿だった。この瞬間から、この問題は一気に身近な問題となった。
 Kさんは、私の大学の先輩達が運営していた(今は運営が変わったのだが)精神病院の優秀なスタッフの一人であった。出身大学から遠く離れた九州の地で、学生時代から交流が続いた。その先輩達とは、この20年ずっと交流があった。その病院の有志の何名かで、スキーに行ったり、ヨットに乗ったりして共に遊んだこともある。また、透析を拒否された
その病院の患者の裁判の支援活動などもしてきた。その仲間の一人であったのが、Kさん(母)である。政治的立場からものを考えるようなタイプではなく、しかし結構一生懸命にかつしなやかに頑張っている姿が魅力的な方だった。
 彼女の願いがかない、Kさんの息子さんも無事帰還を果たせた。ところが、決しておめでとうと祝えない、陰湿な、暴力的な雰囲気がこの国に満ちてしまっているのはなぜなのだ。巷では自己責任論とかいうバッシングが満ち溢れている。こういうバッシングはネット社会では珍しくもない。2chが巷に白昼堂々と現出してしまったような違和感を受ける。一国の首相ともあろう方が、個人の行為(もちろん犯罪などではない)に嫌悪感満ち満ちたコメントを出すし、公明党の幹事長は費用を公表せよという嫌がらせを言う。自民党の幹事長は、かつての売り物であった清新さをかなぐり捨てて、悪態をつく。この異様な現実は一体何なのだ。確かに状況分析に甘さはあったであろう。しかし人間としての尊厳さを失うことなく、あるいは日本人として恥じるべきことをすることもなく、解放されて戻ってきた。そして無事戻れた大きな原因は、彼ら、彼女らがイラクでやってきた、あるいはやろうとした活動が評価されてのことではないか。このような場合、普通いたわりと共感を持って迎えるはずだろう。少なくとも公式見解としては。それが違った。政府、政権党率先しての悪罵といやがらせである。
 一時の悪意に満ち満ちた状況が、やや冷まされてきている感じはしている。新聞などのコメントや、政治家のコメントも、一時よりは穏やかなものになってきていると思う。ファルージャで虐殺行為をやったアメリカは、おそらく未来永劫あの地域で尊敬を勝ち取れないだろう。フランスやドイツを、復興からは除外するとアメリカは嫌がらせをしてきたが、戦後の復興は実のところ、そういう国しか出来なくなるのではないだろうか。わが国に対する印象も、アメリカの追随者という悪印象になったままでは、今も、そして戦後の復興も行うことなどできなくなるだろう。アメリカのやることを、あそこまで酷いことをしても止めようとしない程度の国なら、当たり前の報いである。力はなくとも、せめて品格だけは失いたくないものだ。もし、戦後のイラクにわが国が一定の役割を果たせる局面があるとすれば、自衛隊の派遣ではなく、人質となった高遠さんらの働きのおかげである。わが国は、彼らに対し、迷惑などといえる立場ではないのだ。

(『労働者住民医療』 No.170 2004年4月24日)

多民族・多文化共生の社会に向けて

亀戸ひまわり診療所 平野 敏夫


 最近、出入国管理局や警察から時々電話がかかってきます。亀戸ひまわり診療所を受診している外国人労働者が、オーバーステイ(超過滞在)ということで駅や路上でつかまって収監されるのです。たまたまひまわり診療所の診察券を持っていて、治療状況を知りたいということで電話がかかって来るのです。
ここのところ外国人の犯罪が多いというマスコミ報道があり、外国人に対する取締りが厳しくなっています。駅などで腕章を巻いた
 入管と警察の職員がうろうろして見張っていて、診療所に来ている外国人も怖くて外出できないと言っています。なかには、労働災害で
治療中の患者が治療の途中でつかまって困ることも多々あります。それでも収監中に診察が許されて診療所に来るのですが、入管と警察の職員が5〜6人もついて来て、診察室にも入って監視していて、安心して診療を受けられない状況です。
 日本には現在200万人を超える外国人が暮らしています。在留資格のないいわゆるオーバーステイの外国人も大勢います。しかし、みんな地域で働き、学校に通い、同じ市民として労働者は所得税を納め、いわば日本の産業、経済を下支えしているのです。下町の中小零細企業でも、建築現場やめっき工場などで厳しい労働条件・労働環境で働いています。そこで労働災害や職業病に被災して診療所にやって来る外国人労働者も後を絶ちません。なかにはプレス作業で指を落としたとたん、労災の手続きをしてもらえず解雇され、途方にくれて相談に来る人もいます。一緒に働いている日本人と同じように健康診断を受けることができず、健診を希望して来る外国人もいます。
 町を歩いていても、外国人に会うことは今や珍しいことではありません。人種・民族・宗教などの違いを超えて、多くの外国人が地域で暮らしています。日本の社会は、今や多くの外国人とともに、互いの違いを尊重しあいながら、豊かな多民族・多文化共生社会に向かっているのは間違いありません。にもかかわらず、外国人の犯罪が増えているという理由で外国人に対する取り締まりが強化されているのです。確かに一部マフィアのような外国人の組織的な犯罪があるのは事実ですが、外国人全体で見ると、犯罪率は日本人と比べて決して高くありません。ところが、入国管理局は2月からホームページ上で「不法滞在等の外国人情報」の受付を始めました。匿名で誰でも気楽に「違反者だと思われる人」の名前、住所、国籍などをメールで送信できるのです。しかも、通報の理由という欄があり、「近所迷惑」、「不安」、「違反者のために解雇された」などの選択肢があり、まさに市民に外国人を監視させ、排外主義を煽り、外国人=「犯罪者」という風潮を増幅させ、時代に逆行するものです。どうしてこんな事を国がやりだしたのか理解に苦しみます。当然「移住労働者と連帯するネットワーク」などの外国人労働者サポート団体から非難の声が上がり、法務省に対して直ちにホームページの中止を求めるよう要請行動が展開されました。席上当該の外国人からも悲痛な訴えがなされましたが、当の法務省の役人たちは全く問題意識がなく、立ち会った国会議員も入管の職員に対して怒りをあらわにする場面もありました。しかし一連の交渉が功を奏し、ホームページの撤回はしないものの、通報理由の欄の選択項目は削除しました。
 しかし、いまだにオーバーステイの外国人に対する厳しい摘発は続いています。先日も労災で治療していたインド人が収監中に診療所を受診しました。入管の職員が3人もついて来て当人は手錠をかけられそれに縄がつけられ、まるで凶悪犯罪を犯した犯人のような扱いです。当然待合室の患者さんたちも驚いて見ています。診療所としては、手錠をはずして受診する、診察室には職員は入らないことを要求しました。しかし、逃亡の恐れがあることを理由にどうしても1人は診察室に入りたいと譲りません。こちらも患者のプライバシーを理由に抵抗し、押し問答の末、中には入らないがドアを少しだけ開けて中の様子が分かるようにすることで折り合いました。
 このような厳しい摘発の背景として、非合法であるオーバーステイの外国人労働者を追い出して、合法的に低賃金で雇える外国人研修生の導入を促進しようという国や財界の意図があるという見方もあるようです。いずれにしても、オーバーステイとはいえ出稼ぎ労働者として真面目に働いている外国人を犯罪者扱いにしてその人権を侵害し、排外主義を煽るようなやり方を許すわけには行きません。今後ともしっかり監視していきたいと思います。

(『労働者住民医療』 No.170 2004年4月25日)

労住医連幹事会は、労住医連参加医療機関で
「領収書を発行する運動」に取り組むことを提起します


  労働者住民医療機関幹事会

 医療機関にかかった時、窓口で「総額○○円」とだけ記されたレシートを出されてびっくりした経験はありませんか?スーパーのレシートにも大根一本の値段が記載されている現在、一括した合計点数表示だけの領収書で医療の場での信頼関係が築けるでしょうか。 労住医連幹事会は、医療を受けた人がその内訳を知り、納得のいく医療を受けるのは当然であり、領収書発行に耐えられる医療の質、住民との連携をめざそうと、昨年12月14日に開催した2003年度第3回幹事会で、各医療機関の発行している領収書を持ち寄って検討しました。そして、労住医連参加医療機関でレセプトに近い明細を記した「領収書を発行する運動」に取り組むことを呼びかけていくことになりました。


  ここ数年、老人の定額制から定率制へ、さらに上限の廃止、健保本人の3割負担と窓口での自己負担額が増えています。それに伴い、医療費の領収書が必要になることも増えてきました。医療費控除、高額「療養」費制度は申請に領収書の添付が必要です。
 また、高額「医療」費制度では領収書の添付は不要ですが、市町村によっては、領収書の提出を求める場合もあります。
 高額療養費の対象になる医療費とは、複数の医療機関の入院と外来の一部負担金、訪問看護、整骨院、あんまやはり灸、治療用装具などです。
 医療費の自己負担額が年10万円を超えた時、または年収の5%以上の時は確定申告すれば医療費控除が受けられます。その対象になる医療費は高額療養費より範囲が広く、通院に必要なタクシー代金も含まれています(表1)。
 このように患者さんサイドでは領収書発行のニーズが高まり、保険者は査定結果も含め医療費の内容を通知していますが、医療機関サイドでの領収書発行の準備は遅れています。そして、「医療不信」の原因のひとつになっています。
 厚生労働省は領収書の交付及び医療費の明細書、療養の給付に係わる領収書、特定承認保健医療機関又は保健医療機関等の領収書の交付について、医療費の内容の分かる領収書の発行に努めるように通知を出しています。(社会保険、老人保健診療報酬 医科点数表の解釈 平成14年4月版p807 )
領収書発行の医療機関サイドの問題点は、レセコンを導入してない診療所では「診療内容まで入った明細書の発行は大変だ」、「明細書を出しても、診療報酬の仕組みが複雑で、説明に手が回らない」などの声があります。同じ診療内容でも、一か月に請求できる回数に制限がある「指導料」を算定する日としない日があります。また、リハビリは算定方法が何通りもあり、逓減制が導入されているため同じサービス内容でも月の初めと最後のほうでは料金が違うこともあります。このように領収書発行に踏み切るためには複雑な診療報酬体系もネックになっています。
 レセコンを導入していない医療機関では領収書発行機能を持った電子レジスタが問題を解決してくれそうです。(機種と値段がHPよりご覧いただけます。 http//homepage2.nifty.com/mocal/casio/casio-top/casio-top.htm)
 老人は定額制が廃止になったので毎回、自己負担額を窓口で計算しています。これをあらかじめコピーしておいた白紙の明細付き領収書に手書きして渡すこともできます。
  患者さんが理解するには難解すぎる体系がいくつもあります。つじつまがあわない診療報酬体系について「医療機関が不正請求している」と誤解されないためにも、体系自体を患者さんに理解してもらう必要があると考えます。その説明は医療機関の窓口で一度はするにしても、理解していただけない時には、厚生労働省の問い合わせ先を紹介しましょう。
 それと同時に、何通りもある算定方法の中でどの方法で算定するかは、患者さんへの十分な説明と同意が必要だと考えます。リハビリでは疾患によって慢性疼痛管理料を算定する場合と、逓減制の消炎鎮痛処置を算定する場合で、一カ月の通院回数で医療費、自己負担額が変わります。「セールスマン」になることに多少抵抗はありますが、自己負担額が少ない方法をアドバイスすることで、患者さんとの信頼関係が生まれます。
 指導料を算定するときにも、患者さんの同意、わかりやすい説明、ニーズに沿った情報提供が必要になります。現在でも、患者さんへの指導箋、説明文はいろいろ工夫されていますが、もっと豊富に準備すべきだと考えます。North American Spine Societyでは脊椎疾患に限っても20種類以上のパンフレットが準備されています。

スーパーのレシート並みとはいわないまでも、診療内容がわかる領収書の発行(表2)と、それに耐えられる医療の質を目指すことを提起いたします。

表1
控除の対象となる医療費
(国税庁HPタックスアンサーより http://www.taxanser.nta.go.jp/1122.htm)

 医療費控除の対象となる医療費は次のとおりであり、その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とされています。
(1) 医師又は歯科医師による診療又は治療の対価。ただし、健康診断の費用や医師等に対する謝礼金などは含まれません。
(2)治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価。ただし、風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費となりません。
(3) 病院、診療所、介護老人保健施設、指定介護老人福祉施設又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価。急患や怪我などで病院に運ばれる費用です。
(4) あん摩、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価。ただし、疲れを癒したり、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。
(5) 保健師、看護師、准看護師又は特に依頼した人による療養上の世話の対価。この中には、家政婦さんに病人の付添いを頼んだ場合の療養上の世話の対価も含まれます。ただし、所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象となる医療費になりません。
(6) 助産師による分べんの介助の対価。
(7) 介護保険制度の下で提供された一定の施設・居宅サービスの自己負担額。
(8) 次のような費用で、医師等による診療、治療、施術又は分べんの介助を受けるために直接必要なもの。
イ 医師等による診療等を受けるための通院費、医師等の送迎費、入院の部屋代や食事代の費用、コルセットなどの医療用器具等の購入代やその賃借料で通常必要なもの。ただし、自家用車で通院する場合のガソリン代などは含まれません。
ロ 医師等による診療や治療を受けるために直接必要な、義手、義足、松葉杖、義歯などの購入費用。
ハ 傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代。この場合には、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。
(注) 1. 医療費控除を受けるためには、その支払を証明する領収書等を確定申告書に添付す るか提示することが必要です。
2. 医療費の中には、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの規定により都道府県や 市町村に納付する費用のうち、医師などの診療等の費用に相当するものや 前記イ・ロの費用に相当するものも含まれます。
3.おむつ代についての医療費控除を受けることが2年目以降で介護保険法の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付するおむつ使用の確認書等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。
(所法73、所令207、262、所規40の3、所基通73−3〜7、昭62直所3−12、平12課所4−9、平12課所4−11、平13課個2−15、平14課個2−11)


 

 

 

 

 

 

 



 

 

 


(『労働者住民医療』 No.167.168 2004年2月25日)

 
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最終更新日 : 2004/08/20