カルシファード・前口上
7つの月が天に浮かぶルナルの世界。<遥か人>により、大陸とは異なった文化が発達した地。
歴史的な背景から鎖国を続けるこの国には唯一の開かれた街があった。
その街の名は「マツトキ」
カルシファードで唯一開かれたこの港で行われる交易。その利益は莫大なものである。
ゆえに幕府の直轄領であるこの街はその名目とは裏腹に、そして利益ある街にはよくありがちなことに、その実態は豪商連によって支配された街である。
さて、豪商達の思惑が渦巻く街といえばそこにはトラブルがつき物である。
豪商達の財産を狙う盗人、チンピラ、にぎわう街に流れ流れた野良武戦士、異国よりわたってきた不届き者。
そこに異国よりもたらされた妖しい品々が合わさればそこにトラブルが起きないわけがないではないか!
そんなトラブルの多いこの町でトラブルを解決すべく組織された組合がここにあった。
『マツトキ自警団』
マツトキの街で起こるあらゆるトラブルを迅速に解決するため作られた一つの組合である。
豪商連が作り豪商連により幕府公認の組合となり、実稼動し始めてからはや幾年。
はじめ豪商連のつかいっぱしりでしかなかった自警団は街の人々にも親しまれ、役人の中にも自警団に所属するものが出はじめ、いつの間にやらこの街になくてはならない存在になりつつあった。
その仕事は多岐にわたる。
来訪者の街案内から失せ物探し、商品護送に果ては盗賊退治に鬼退治!花見の幹事に祭りの運営etcetc...
この物語は自警団という名の何でも屋で働く人々の騒がしい日常の一幕である―――