!高校にまつわる怪談話  篠山高校には、お決まりの七不思議や怪談がある。七不思議は時代と共に移ろい、今では語られなくなったものもいくつかある。 *理科室の人体模型  理科準備室にしまってある人体模型が夜中動き出し、理科室を徘徊する。しかし理科室にも理科準備室にはおろか、学内どこにも人体模型は無い。理科の先生の話によると、確かに人体模型は無いが、昔はあったらしい。 *髪詰まりのプール  プールに髪の長い水死体が浮いている。目が合うと「見ないで」と言い消えるが、おびただしい量の髪の毛が残っている。プールの水が抜けるのが遅いのはそのせいだという話。夜中にプールを覗くと、確かに排水溝に髪が詰まっているように見えるが、水の屈折や影の見え方でそう見えるだけという話。しかし静は何かに引っ張られる感じを受けたことがある。 *死体運びの女性  誰もいなくなった廊下に、何かを転がす音が聞こえたら要注意。誰もいなくなった廊下を、何かが乗ったカートのような物を押している女性が歩いている。布が掛かっているが、大きさから死体ではないかと言われている。何か乗っていれば大丈夫だが、何も載っていなかったら、見た人が狙われるらしい。 *音の出ないピアノ  音楽室にはなぜか1つだけ音の出ないピアノがある。夜中にひとりでにそのピアノが鳴っている。恐ろしい不協和音で、聞いてしまうと気が狂うと言われている。矢城と亜麻音が調べたが、今のところ音楽室には音の出ないピアノは無い。 *どこかにある古井戸  この学校のどこかに、今は使われていない古井戸があり、卒業までにそれを見つけると呪われる。実際にそれを見つけて、自殺した男子生徒がいるらしい。20年以上前からある話で、洋大は弥子の母親から聞いた。笹原先生は、職員用昇降口の前にある小さな噴水が、古井戸を潰して作った物だと調べたが、内容に鑑み生徒には話していない。 *トイレのワタリさん  いわゆる「トイレの花子さん」らしいが、詳細はわかっていない。 *教室の人形 2年5組の教室には、たまに日本人形の首が落ちている。目を合わせると、ぐにゃりと笑ったり、黒い涙を流したりする。 *黒いのっぺらぼう 月の無い夜はグランドに1人でいてはいけない。頭の大きな黒いのっぺらぼうが、どこかへ連れて行ってしまうから。 !夜の学校の怪異 *徘徊する死体運搬係  夜の学校を徘徊し、生ある者を巨大な断ち切り鋏で切り刻みどこかへ運んでいく。腐敗した看護婦のような出で立ちをしている。 *這いずる弥子の焼死体  暴走した火産夜の火結びの力で焼け死んだクラスメイトの成れの果て。犠牲者にしがみつき、貪る様に全身から消化する。 *在る筈の無い人体模型  学校の七不思議にも登場する、存在しないはずの理科室の人体模型。一度は火産夜に焼き尽くされ、どろどろに溶け落ちたが、特別棟階段の踊り場にいた。 *佇む先生の亡霊  和葉に見殺しにされ、校庭の黒い亡者にバラバラに引き千切れらたクラス担任。ただそこに佇む。その表情は見えない。 *日本人形の教室  その教室に入ると、無数の日本人形に気がつくと囲まれている。心に何かが入り込み、蝕む。耐え切れず発狂した者は、人形となってしまう。砕け散った亜麻音と、人形の中で狂気にさらされている桜子がいる。千弥子が教室の中に、姿のない女生徒が漂っているのを“見て”いる。 *水飲み場の破裂死体  柿川に見捨てられた友人、大西だったモノ。何倍にも膨れ上がり内側から破裂し、すさまじい腐敗臭を放っている。濁ったその目は大きく見開かれていた。 *足の無い矢城の死体  正体を隠していた殺人快楽者。暗い中にはその姿はなく、灯あるときのみその姿がある。全身がいびつにひしゃげ、いくつもの包丁で磔られている。 *包丁を持った女性  両手に錆びた包丁を逆手に持った、髪が長く顔の無い女性。西側階段付近に現れる。 *床に埋まる死体  通りかかる者に、自分を引き抜けと命令する、高慢な死体。石川健太郎と名乗り、以前篠ヶ岳で遭難・滑落し死亡したという。 *燃え盛る子供  激しい炎に包まれている教師用昇降口で、蠢く子が1人。見続けると、強烈な睡魔に襲われる。 *校庭の黒い亡者  校舎の外には、真っ黒で巨大な胞子のような物が無数に生え、音も無く揺らめいている。それは地獄の亡者の塊であり、迷い込んだ哀れな者を跡形も無く引き千切る。 !過去の行方不明者  今までの調査や聞き込みの結果、20年ほど前から行方不明者が定期的に出ていたことが判明している。多くは家出人として片付けられてしまっている。以下にあげるのは主な者達。それ以外にも何人かいる。 *宮木 京次:3年前、当時3年6組、生物部、一番最近の行方不明者 *南 伊知男:3年前、当時40代後半、生物教師、一番最近の行方不明者 *浅木 涼子:10年前、当時2年5組、帰宅部、同い年の鈴木祐介という恋人がいた *高橋 友也:15年前、当時1年3組、音楽部 *原町 岬:18年前、当時3年2組、最も古い行方不明者 両親は青森在住 *五十嵐 亮:18年前、当時28歳、国語教師、最も古い行方不明者 *昼田 健三:18年前、当時58歳、校長、最も古い行方不明者、現在の教頭の父親 !18年前の行方不明事件の詳細 '''関係者''' *原町 岬:3年2組。いわゆるちょっとマセた女生徒。 *原町 太一:12歳。岬の弟。 *五十嵐 亮:28歳国語教師。1人暮らし。未来と婚約していた。 *天野 未来:27歳家事手伝い。清楚な女性。亮と婚約していた。 *天野 正雄:未来の父。厳格な性格。昨年亡くなっている。15年前まで篠山高校の保険医だった。 *天野 夕子:未来の母。現在70歳。篠山町在住。 '''18年前のある日=n日''' *亮は、日付が変わるぐらいに帰宅。傘がなかったようにずぶ濡れだった。 *岬が学校を最後に、以降行方不明に。 '''n+1日''' *亮は早朝かなり早くに出勤していた。学校で車の目撃あり。 *その後、車ごと行方がわからなくなる。 '''n日の数ヵ月後''' *未来が篠ヶ岳の裾野で首吊り自殺。死後数日後発見される。 *太一が行方不明に。 '''n日の3年後''' *正雄は未来の自殺の理由を調べていたが、職務上の立場も最大限利用していたため、失職。 '''未来自殺の理由 正雄の手記より''' *亮の教え子である岬との浮気。 *亮と岬が行方不明になったのも、駆け落ちだとの噂もあった。 '''現在''' *亮と岬の行方はわかっていない。亮の車も見つかっていない。 *正雄は昨年死去。夕子は現在も篠山町に1人で住んでいる。 !篠山町にまつわる話 *篠山高校の裏から裾野の広がる篠ヶ岳は、その昔「死のうが岳」と呼ばれていた。死者が集まり、死者に会える、いわゆる自殺の名所であった。 !謎 *なぜ学校に看護婦(死体運搬係)がいるのか? *和葉の家に隠されていた小さな扉は? *弥子が最初にしていた話「殺された女子学生」とは?