人が心から恋するのは
肩こりを知って、肩こりになる。
ある時期、欧米で肩こりが大流行したらしい。それは、突然みんなが神経質になったとか、姿勢の悪い人が増えたとか、そんなのではなく、「肩こり」という概念が外国から入ってきたかららしい。つまり、それまで肩こりだった人も、そのような概念がなかったから全く気づかなかったのが原因だったわけ。それなら、肩こりを知らなかった方がよかったなぁ、というお話で。では、これは知ってた方がいいのでしょうか?それとも・・・?
人が心から恋するのはただ1度だけである。それが、初恋だ。
17世紀、フランスのモラリストであるラ・プリュイエールの、「人さまざま」からの一説。この後には、「それからあとの数々の恋は、初恋ほど無意識のものでない」と続く。この現象も、「恋」という概念を知ってしまったから起こる出来事。自分の初恋を思い出してみると、やっぱり初恋に気がついたのは、大人からあの子の事好きだったんだよね、とか言われてから。今思えば、そのときの行動はその子の事が好きだったから起こされたものだったことが分かるけど、当時は全く気づかなかった。
最近の世の中では、ものの「概念」というものが増えてきて、みんながいろいろなことに敏感になってきているような気がする。たとえばセクハラ、ストーカー、学級崩壊、ドメスティックバイオレンス等。自分の好きな人に「今日はおしゃれしてるね」と言われれば喜ぶけど、嫌いな課長から肩をたたかれ名前を呼ばれるとセクハラ。一途な男とストーカーは紙一重。今で言う学級崩壊と呼ばれるものは昔から起きていてその現象に「学級崩壊」という言葉がついただけ。家庭内での暴力は昔からあったもの。確かに、ひどいものはひどいと思うけど、敏感になりすぎるのも考え物。これらのものが増えてきている、といわれる理由は、それこそ「肩こりを知って肩こりになる」というのと同じ原因のような気がする。つまり、概念というものが生まれるのも良いけど、それに対する対策っていうものがこれから重要になっていくのではないか。と思う今日この頃。
でも、恋に対策は無いんだよね。対策があってもつまんないけど。ところで、最近初恋の人を覚えていない人が増えているらしい。原因はおそらく、小さい頃から恋(という概念)を知っているからなんではないかな。いろいろなところに恋というものを知る要素が落ちているので、無意識のうちに知ってしまうのかもしれない。その後で実際に恋をしても、無意識の恋よりは印象が薄くなるんでしょう。どちらが良いともいえないけど、自分は初恋を覚えていて良かったな、と思います。
ところで、あなたは初恋の人を、覚えていますか?
(2000/1/16)