タイトル | ストーリー | 総合評価 ★5段階 |
興奮度 | ||
著者 | 感動度 | |
あらすじ | ||
感想 |
NEW!! LAST | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
石田 衣良 | 感 | ★★★ | |
もう後がない! 追い込まれた7人のそれぞれのラスト! 運転資金に苦しむ街工場主が闇金の返済期日にとった行動とは? 零細企業のサラリーマンが旧式のテレクラで垣間見た地獄。 他全7編 |
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かなり前から気になっていた作品。 なんだかんだでずるずると後になってしまったけどやっと購入。 池袋ウェストゲートパークで有名な著者の短編集。 今まで読んだ事の無いブラックさが新鮮。 どれもはっきりとした終わり方をするのではなく、最後を想像させる形式。 観点が他の作家さんには見られない感じで、おもしろかった。 |
NEW!! 片思い | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★ | |
十年ぶりに再会した美月は、男の姿をしていた。 彼女から、殺人を告白された哲朗は、美月の親友である妻とともに、彼女をかくまうが・・・。 十年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を、変えてしまったのだろうか。 過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長編ミステリー。 |
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男性と女性を分けるものとは一体何か? ホルモンの数だけで決まる身体的特徴に対して、精神の分け目は一体あるのか。 かつてのラグビー部の仲間をかくまう内に、その背後に潜む大きな組織が関わっている事に気付くが・・・ 表の世界と裏の世界で生きる人間を一つの事件で描いてるこの作品、内容が内容なだけに、あまり感情移入できなかったな。 |
NEW!! 犯人に告ぐ | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
雫井 修介 | 感 | ★★★★ | |
「犯人よ、今夜は震えて眠れ」 連続児童殺害事件── 姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。 史上初の、劇場型捜査が始まる! |
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故・野沢尚さんを彷彿させるような内容。 とある児童誘拐事件で犯人を逃がしてしまい、あげく児童を殺害させてしまった刑事。 左遷されて数年後に進展の模様が見えない児童誘拐事件の主担当に抜擢される。 情報が集まらない事件に対してTV局との協力を得て犯人に訴えかけるという公開型捜査なんてこれまでに見たことが無い。 そしてその裏でかけひきされている情報、プライド・・・ 終盤までの展開が非常におもしろい。 最後は割とあっさりめに終わるけど、この人の作品はなかなか読み応えがある。 |
NEW!! ずっと、ずっと、あなたのそばに | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
若月 かおり | 感 | ★★★ | |
最初は夢だと思った。 いつも隣にいた大好きなあなたと結婚し、ふたりの間には祐司というかわいい男の子が生まれた。 二十九歳のわたしは、あなたと祐司と共に幸せな時を過ごしていた。 穏やかで優しい日々を送っていた澪が、やがて知ってしまう悲しい運命──。 それでも、絶対に変わらない思いがあり、絶対に失いたくない人がいる。 ずっと一緒にいられないとわかっていても、澪はためらわず愛する人の元へ走っていった。 |
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失敗。 内容が悪いとかの失敗ではなくて、これを原作本だと思ってしまったことが失敗。 原作を元に絵本風に書いた作品だとは知らなかった・・・ 内容はそのまんま。 |
NEW!! 人間の条件(下) | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
森村 誠一 | 感 | ★★★★ | |
新興宗教「人間の家」を追い詰めた棟居は、OL殺人事件の容疑者がそこに関係しているだけでなく、自身の妻子を殺害した可能性が高い事を知る。 次第にその凶暴さをむき出しにし始める巨大な犯罪集団と全警察の威信をかけた壮絶な闘いが進む中、棟居は究極の決断を迫られる──。 欲望と狂気が生み出した未曾有の大惨劇、驚愕のフィナーレ。 |
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ちょっと前で言う「オウム真理教」みたいなものか。 あるカリスマ的存在を筆頭に教義に合わない考えを持つものを抹殺する危険な宗教団体。 だが、巧みなやり方により人員、資金、土地を凄まじい勢いで増大させて海外にまで支部を設立していく。 自身が所有する敷地で毒ガスを作り、都心主要部の壊滅を図る「人間の家」とそれを阻止する警察。 終盤ではやり切れない内容になっているが、驚くべきは最後か。 宗教団体とは一体何か、信者は何を求めているのかというのが描かれている。 |
NEW!! 人間の条件(上) | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
森村 誠一 | 感 | ★★★ | |
近くの川で魚が全滅したことから水質調査を始めた片倉宏は、人為的な細菌散布の可能性を探り当てる。 折しも、片倉の自宅周辺で起こったOL殺人事件の捜査を進める棟居刑事は、事件の背後に潜む新興宗教「人間の家」の危険な正体に気付く──。 「人間の証明」から二十八年。空前絶後の劇場型犯罪を描く森村ミステリーワールドの最高傑作。 |
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物語序盤で起こるOL殺害事件に対してどのような捜査が行われるのかと思いきや、何故か水質調査がメインになっていく。 あれ?殺人事件どうした?と思っているうちに今度は新興宗教の話へどんどん進んでいく。 ストーリー展開にとまどいつつ読んでいくと、終盤に繋がりがやっと見えてくる・・・なるほど大き目の伏線だったのか。 なんとなく雰囲気が「千里眼」系に感じてしまったのはやはり宗教が絡んでくるからだろうか。 |
NEW!! 火の粉 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
雫井 修介 | 感 | ★★★ | |
「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」 元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を下した男・武内真伍が越してきた。 愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い・・・。 武内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴む。 しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こり・・・。 最後まで読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説! |
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疑わしきは罰せず。 状況証拠が揃っているにも関わらず、背中についた殴打痕のせいで無罪になった武内。 最初は無罪判決をしてくれた梶間に対する恩返しのように見える善意も、時を重ねるに連れて次第に疑惑の色が深くなっていく。 介護中に喉をつまらせ死んでしまう祖母、ストレスが溜まり泣き喚く娘、アリバイ作りを強制される義母、巧みに家族から離されていく嫁・・・ 誘導するのがうまい人には気の小さい人ほど乗せられやすい。 そして一度不信感を持つと例え家族であっても容疑を晴らすのは容易では無い・・・ 最後のトリック解明よりも犯人の狂気の方が目立つ異色な作品。 |
死に行く妻との旅路 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
清水 久典 | 感 | ★★★ | |
高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくとも充実した日々を送っていた。 が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。 長引く不況、膨れ上がる借金。 万策尽き果てた時、私は妻のガンを知った・・・。 「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、古ぼけたワゴン。 二人の最後の旅が始まった──。 |
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借金に首が回らなくなり、仕事を探しつつも妻の容態を気にかける「オッサン」。 優柔不断な性格のオッサンは妻のガンを知るが、離れたくないという妻の願いを聞き入れ、仕事を探しながら各地を妻と旅行する。 ホームレスと大差ない生活を車中でするが、ついに妻の病状が悪化し身動きが取れなくなる。 苦しむ妻を病院に行かせるのが正しいのか、離れたくないという妻に寄り添うのが正しいのか・・・ 最終的には妻を見殺しにした罪で捕まる夫だが、本人達にしかわからない何かがあればそれは許されるのではないだろうか・・・ |
魔笛 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ! 二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。 新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。 妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は実行犯の照屋礼子を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。 迫真の野沢サスペンス。 |
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本当に野沢さんの作品はバラエティに富んでいる。 マスコミ、殺人被害者、警察物・・・今回は爆弾犯から見た事件の経過をつづった作品。 能力は優秀だが、さる事情により表舞台に立てなくなった刑事が雑用作業から渋谷爆弾事件の核心に迫っていく。 殺人事件により獄中にいる妻にヒントをもらいながら捜査を進めていく鳴尾にまるで逮捕を待ち望むかのように残される手掛り。 犯人を追い詰めていく鳴尾に対して予想もしない反撃が待っていた・・・ 読んでいると展開がちょっと早いかな、と思う部分がありましたが内容量は600頁近く。 犯人の回想と各人物の主観が混じる珍しい手法の作品です。 |
反乱のボヤージュ | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
坂下薫平19歳。 首都大学の学生寮で、個性溢れる面々と楽しい日々を過ごしていた。 だが、寮の取り壊しをもくろむ大学側は、元刑事の舎監・名倉を送り込み、厳しい統制を始める。 時を同じくして起こった、寮内のストーカー事件や自殺未遂騒動。 だが、一つ一つのトラブルを乗り越えながら結束を固めた寮生達は、遂に大学側との戦いに立ち上がる。 現代の若者達の「旅立ち」を描く、伸びやかな青春小説。 |
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以前も読んだ名作。 かなり前に主人公にV6の岡田、舎監に渡哲也という豪華キャストで放送されたドラマの原作。 共闘時代に若者を暴力で取り締まった元刑事が舎監として堕落しきった現代の若者達を統制する事になる。 だが、数々の事件を通して次第に若者達と心を通わせるようになり、最後は法を犯してまで大学側と闘う名倉。 早くに妻を亡くし、若者達をまるで自分の子供のように導いていく姿が凄く良いです。 数少ない原作よりもドラマの方が感動できる作品。 映画じゃなかったからビデオ屋さんに置いていないのが非常に残念・・・ |
夏の庭 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
湯本 香樹実 | 感 | ★★★ | |
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。 生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。 夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ──。 いつしか少年達の「観察」は、老人との深い交流へと姿を変え始めていたのだが・・・ 喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年達を描く清新な物語。 |
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某書店のおすすめNo.1だった小説。 やんちゃな3人の少年と普段何をしてるのかもわからない老人。 少年達は老人の死を見ようとするが、いつしか老人との生活が楽しくなっていく。 学校では教えてくれない事や生活の知恵などを教えてもらい、父親のような存在になっていく過程が微笑ましい。 長さは中編と言ってもいいくらいの短さ。 ちょっとほのぼのとして作品を読みたい方におすすめか。 |
氷の世界 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★ | |
保険調査員の廣川英器は、女子高の女教師の死亡事件を調べる中で江木塔子という魔性の女と出会う。 彼女は過去五年間で三人の恋人を亡くし、しかも誰もが高額の生命保険に加入していた。 廣川は真相を探るのだが、次第に彼女に魅せられていく。 愛した女は殺人者なのか。 そして彼も四番目の被害者になってしまうのか・・・ 究極のサスペンス! |
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野沢尚さん追悼シナリオ集その3。 これもそこそこ話題になったドラマ。 当時売れっ子No.1の松嶋奈々子と竹之内豊が主演。 というより演技が下手くそ過ぎた内田有紀の方が記憶に残っている・・・ 眠れる森を意識してなのか、これも犯人探しを意識させたストーリー。 眠れる森が強烈なインパクトだったため、こちらはそれほど熱中はしなかったような。 全3作のシナリオ集、ぜひとも普通の小説として出版して欲しかった。 せっかくの名作なのだから、もっと緻密な描写で表現して欲しい。 |
眠れる森 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★ | |
幼少期の記憶の一部を失くしている大庭実那子は、ある時「十五年後に、僕達の森で会いましょう」と書かれた古い手紙を見つける。 約束どおり故郷の森に行くと、直季という青年が待っていた。 そして彼女は自分が一家惨殺事件の生存者だったことを思い出す・・・。 やがて事件の真相の記憶が甦ろうとした時、彼女の目の前に現われたのは? |
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野沢さん追悼作品シナリオ集その2。 このドラマは凄く記憶に残っています。 当時小さな社会現象と言えるほど犯人探し、謎解きが話題になったドラマでした。 主演が木村拓哉、中山美穂とあって視聴率も凄かった覚えがあります。 十五年前に起きた一家惨殺事件と主人公の関わり、一話毎に深まる謎と予期せぬ展開。 シナリオ集なのでセリフや人物の動作がわかりやすく、昔見たシーンがすぐに思い浮かびます。 最後に犯人が暴かれるところがちょっと物足りない気がしますが、名作に入るのではないでしょうか。 |
青い鳥 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
柴田理森は、生まれ育った町で鉄道員として暮らしていた。 あるとき都会から憂いをおびた女性が少女と共にやって来る。 地元実力者の息子に嫁ぐことになった母娘だった。 やがて理森は、彼女と禁じられた恋に落ちていく・・・。 「この町から、私を連れ出して」その一言で始まった別世界への逃亡の旅。 一体どんな運命がそれぞれを待っているのか──。 |
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野沢尚さん追悼作品シナリオ集。 かなり前に豊川悦司と夏川結衣が主演を努めたドラマの原作。 本当に普通の原作だと思っていたら、映像を意識した台本っていう感じ。 これがシナリオ集っていう意味だったのか・・・ それでも頭に映像は浮かんで来易いし、ストーリーが捻じ曲げられている訳でも無いので十分楽しめた。 全国を舞台にして第一部は北へ、第二部は南へと逃亡を続ける壮大な作品。 人の道を外してでも守ってあげたい人が出来た時、一体どんな行動を取るのか・・・ ドラマ見ていなかったからぜひ、見てみたい。 |
まだ遠い光 家族狩り第五部 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
天童 荒太 | 感 | ★★★★ | |
俊介は遊子の病室を訪れた。 二つの心は、次第に寄り添っていく。 山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。 ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。 冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。 彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている──。 悲劇によって結ばれた人々は、奔流の中で、自らの生に目覚めてゆく。 永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結編。 |
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ついに最終巻。 全ての事件がクライマックスへと進んでいく。 山賀・大野夫妻を連続殺人犯と目星をつけた馬見原だが、確証・証拠が無い。 しかし、部下の椎村に見張りを変わってもらったときに事件は起きる。 本当の愛は死を目前にしないと目覚める事は無いのか。 そして本当の愛を知って次の世に旅立つことが幸せなのか。 様々な難問を抱えつつ、生きる事とは何かを訴える作品でした。 |
巡礼者たち 家族狩り第四部 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
天童 荒太 | 感 | ★★★ | |
孤立無援で事件を追う馬見原は、四国に向かった。 捜査のために休暇を取ったのだ。 彼はそこで痛ましい事件に辿り着く。 夫に同行した佐和子は、巡礼を続ける者の姿に心を大きく動かされていた。 一方、東京では、玲子のことを心配する遊子と、逃避行を続ける駒田の間に、新たな緊張が走っていた。 さまざまな鎖から身を解き放ち、自らの手に人生を取り戻そうとする人々。 緊迫の第四部。 |
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長編大詰め四部目。 うっすらと殺人事件の全貌が見えてきた馬見原は家族相談の会の主催者とその隣の害虫駆除業者が元夫婦であることを突き止める。 そして元夫婦は数年前に我が子をその手で殺めていた・・・。 同行していた妻は四国お遍路の巡礼者に心を打たれ、人生とは何かを改めて考えた末、夫との離婚を決意する。 遊子は逃避行を続ける駒田の説得に失敗し、腹部を刺されて重症を負ってしまう。 しかし、危機を救ってくれたのは俊介だった。 全ての事件が解決へと進もうとする中、最後のハードルを越していく過程が描かれた第四部。 次が早く読みたくてしょうがない。 |
贈られた手 家族狩り第三部 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
天童 荒太 | 感 | ★★★ | |
ピエロ。 俊介は、生徒達からそう呼ばれていたのだという。 ふたつの事件を経て、虚無に閉ざされていた彼の心に変化が訪れていた。 ピエロ。 馬見原は今そう見えるだろう。 冬島母子を全身全霊で守っているにもかかわらず、妻や娘との関係は歪んだままだから。 また一つ家族が失われ、哀しみの残響が世界を満たす。 愛という言葉の持つさまざまな顔と、かすかに見える希望を描く、第三部。 |
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長編三部目。 向かい合っている苦難に対するかすかな光、希望が描かれています。 教師は職を辞め、あまり人と関わる事の無い田舎で暮らし始める。 児童相談員は暴力を振るう父親が少しずつ更正している事を知る。 刑事は母子を守りながら自身の妻との生活のあり方を考える。 だが、事件は終わらない。また新たな家族が犠牲になり、「愛」とは何かを問われる。 三作目ともなると登場人物も完全に把握し、感情移入もそれなりにしてきたのでおもしろくなってきた。 残りニ作の展開に期待! |
遭難者の夢 家族狩り第二部 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
天童 荒太 | 感 | ★★★ | |
あの日の光景をふり払おうと酒に溺れていた俊介は、さらなる痛みを味わう。 遊子は少女をめぐり、その父親と衝突する。 亜衣は心の拠り所を失い、摂食障害から抜け出せずにいる。 平穏な日々は既に終わりを告げていた。 そして、麻生家の事件を捜査していた馬見原は、男がふたたび野に放たれた事を知る。 自らの手で家庭を破壊した油井義博が──。 過去と現在が火花を散らす第二部。 |
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長編第二部。 一部で主要人物の置かれた環境、現在の状況が記され、二部ではそれぞれが抱える事になる苦難が描かれています。 殺人現場を目撃した教師はその光景を振り払おうとするが逆に若者達に暴行され、心と身体両方に傷を負ってしまう。 児童相談員は暴力でしか態度を示せない父親と対立するがどうしても良い方向へ持っていけない。 刑事は家族を守るために強引に刑務所送りにした男の復讐の対象となってしまう。 少しずつではあるけど3者が絡んできました。 メインとなる殺人事件も展開を見せるが犯人は読者にもまだわからず。 次作期待! |
幻世の祈り 家族狩り第一部 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
天童 荒太 | 感 | ★★★ | |
高校教師・巣藤俊介は、恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。 馬見原光毅刑事は、ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。 児童心理に携わる氷崎遊子は、虐待される女児に胸を痛めていた。 女子高生による傷害事件が運命の出会いを生み、悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す。 山本賞受賞作の構想を元に、歳月をかけて書き下ろされた入魂の巨編が、いま幕を開ける。 |
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超大作に挑戦! 大分前に「あふれた愛」を読んでたので特に疑いも無く読み始め。 なんと1ヶ月に1冊ずつ、全5巻の巨編・・・読み応えありそう。 1巻目は当たり前のことながら導入。 主要人物の紹介と軸になる事件の展開といったところでしょうか。 タイトルにもあるようにかなり残虐的な殺人事件がメインとなるようだけど、この作品もキーワードは「愛」なのかな? 次巻以降も期待! |
解夏 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
さだまさし | 感 | ★★★★ | |
東京で教師をしていた隆之は、視力を徐々に失っていく病におかされ、職を辞し、母が住む故郷の長崎に帰った。 そこへ東京に残した恋人の陽子がやってくる。 この先の人生を思い悩む隆之。 彼を笑顔で支えようとする陽子。 ある日、二人はお寺で出会った老人から「解夏」の話を聞く──。 表題作他、人間の強さと優しさが胸をうつ、感動の小説集。 |
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これまた映画「解夏」の原作本。 著者はあのさだまさしさん。「精霊流し」の作者でもあります。 正直な感想、並みの作家さんより良い。 何かを失いかけてる人、それを見守る人を書くのがうまい。 特に凝ったストーリーがある訳でも無く、読みやすい。 それでいて最後の締めくくりがしっかりしており、非常に良い。 切なくも心温まる作品が4編。 どれも味が出てておすすめ。 |
呪怨 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
大石 圭 | 感 | ★★★ | |
老人介護のボランティアをしている仁科理佳は、寝たきりの老婆・幸枝の様子を見てきて欲しいと頼まれる。 郊外の住宅地にあるその家の中は、悪臭が漂い、ゴミが散乱していた。 理佳が人の気配を感じて二回に上がるとガムテープで封印された押入れが目に飛び込んできた。 理佳は恐る恐るガムテープを剥がし・・・。 |
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ちょっとした社会現象にもなった呪怨の原作。 映画はかなり恐いと評判だったので原作でどれだけそれが伝わってくるのかと思ったのですが・・・。 映像先行のイメージがあったせいか、同系統の「リング」シリーズと比べると恐怖感は全然低い。 雰囲気をかなり細かく描写しているんだけど、何か足りないような・・・。 2は買わない。 |
海の空 空の船 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
上野 哲也 | 感 | ★★★ | |
高台の神社からは廃墟と化した造船所が見える。 喧騒と活気を失い、憧れの彼女もいない町で、中学生の辰雄は性のとば口にいる自分をもてあます。 昔の祭りさながらに、渾身の力で引き上げた船を海にすべらせた── 少年の一日を活写した小説現代新人賞受賞の表題作をはじめ好編三作。 |
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タイトルとブックカバーの爽やかさに引かれて購入。 内容は意外とドロドロしたものもありましたが、やりきれない思いを若さのままに何かにぶつける所が心を打ちます。 キーワードは「青春」になるのかな? これからの人生を不安に思い一人船で海に飛び出す若い力。 自分の経験を子供に重ねて一匹の鯉を通じて思い出作りをしてあげる夫婦。 閉鎖される炭鉱を舞台に役場と炭鉱に勤める親を見つめる子供達。 何かのきっかけで一つずつ大人になっていく子供をうまく描いた作品です。 |
天国の本屋 恋火 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
松久淳 田中渉 | 感 | ★★★ | |
ある日突然、ピアニスト健太は謎のアロハシャツ男ヤマキに声をかけられ、天国の本屋に短期バイトとして連れてこられた。 そこで彼は、運命の女性ピアニストに出会う。 一方、飴屋の娘香夏子は商店街復興のため、花火大会開催に向け奔走していた。 そこで彼女は「その花火を見ればふたりの恋は成就する」という伝説の花火師に出会う。 天国と現世。ふたつのストーリーが同時進行するなか、花火大会当日、ついにある”奇蹟”が訪れる──。 |
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竹内結子主演の映画の原作。 随所にカラーイラストが彩られた変わった趣向の作品。 最初は天国と現世のつながりが良くわからず登場人物がこんがらがってしまいましたが、話が区切れる所で切り替わるのがわかり一安心。 何故伝説の花火師は「恋火」を打ち上げなくなったのか。 そして天国の女性ピアニストは未完結の曲の最終楽章を完成させる事が出来るのか。 最後に天国と現世が絡み合い、しっとりとした感動を与えてくれます。 |
僕の生きる道 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
橋部 敦子 | 感 | ★★★★ | |
中村秀雄は進学高校の生物教師。 無難に安定した将来を望んでいた彼に余命一年の宣告が下る。 今までの二八年の人生を後悔した彼は、残された時間で精一杯自分を生きようと決心する。 憧れのみどり先生に思いを告げ、生徒にも積極的にかかわっていく彼に、周りの先生たちも、影響を受けていく。 受験と合唱コンクールの両立を目指し、やがて一年が過ぎようとしていた。 |
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ちょっと前に草薙剛と矢田亜希子の主演で放送されたドラマの原作。 割とよくありそうな余命少ない人の物語なんだけど、内容が良い。 先生が生徒に打ち解けていく過程が合唱コンクールっていうのが何とも。 みどり先生との恋愛が進む行方も非常に楽しかった。 最後はおきまりのパターンだったんだけどホロリと来る。 ちょっとドラマも見てみたくなった。 |
夜の果てまで | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
盛田隆二 | 感 | ★★★ | |
二年前の秋からつきあっていた女の子から突然の別れ話をされた春、俊介は偶然暖簾をくぐったラーメン屋さんで、ひそかに「Mさん」と呼んでいる女性と遭遇した。 彼女は、俊介がバイトをしている北大近くのコンビニに、いつも土曜日の夜十一時過ぎにやってきては、必ずチョコレートの「M&M」をひとつだけ万引きしていくのだった・・・。 彼女の名前は涌井裕里子。俊介よりも一回りも年上だった──。 ただひたむきに互いの人生に向き合う二人を描いた、感動の恋愛小説。 著者改心の最高傑作。 |
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札幌に住んでる人、北大近くを知ってる人ならより楽しめる(?)小説。 地名は実名、もしかしたら店名も実名かもしれない。 凄くリアリティのある分、想像しやすく読みやすい。 ・・・が、結局は不倫と駆け落ちの話な訳である。 学生と年上の女性の抑えきれないひたむきな恋愛を描いているんだけど、ちょっとありきたりかな? ラストまで読み終わると、冒頭の判決文の意味がわかる所がニクイ! |
四日間の奇蹟 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
浅倉 卓弥 | 感 | ★★★★ | |
第一回「このミステリーがすごい!」大賞・大賞金賞受賞作として、「描写力抜群、正統派の魅力」「新人離れしたうまさが光る!」「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」「ここ十年の新人賞ベスト1」と絶賛された感涙のベストセラー。 脳に障害を負った少女とピアニストの道を閉ざされた青年が山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。 |
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最近読んだ「天使の牙」・「ささら さや」と近い内容だったのがちょっとマイナス。 でもこれで新人だったというのは本当に驚き! 内容展開、人物描写、とても高いレベルでまとまっている印象を受けました。 多少読んでる途中で展開が読めるところがあったけど、あまり気にならずに読み進めれるのが良かった。 物語の中心を担う3人の個性がとても良い。 もう一度読みたくなる作品。 |
K・Nの悲劇 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
高野 和明 | 感 | ★★★ | |
夏樹果波は、幸福の絶頂にいた。 仕事で成功した夫、高層マンションでの新しい生活。 ところがそんな矢先、子供を身ごもった。予期せぬ妊娠だった。 中絶という苦渋の選択をした瞬間から、果波の精神に異変が起こり始める。 精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。 科学と心霊の狭間で、夫と精神科医が治療に乗り出すが、 二人の前には想像を絶する事態が待ち受けていた──。 |
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なんか・・・惜しい。 最後まで読んでみると、ストーリーが練られていて各登場人物の意味合いがはっきりしてるのですが、中盤までいまいちピンと来ないのは何でだろう? 映像化したら結構人気出るんじゃないかな?という感じ。 本当は凄く恐い内容なんだろうけど、主人公達が意外にすんなりとその状況を受け入れているから恐さはあまり伝わってこない。 中盤から凄く意外な展開になって行ったのはさすがだな、という感じ。 最後が割とあっさりしていたけど、含むものがあったな・・・。 |
ささら さや | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
加納 朋子 | 感 | ★★★★ | |
事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐々良の街へ移住する。 そこでは不思議な事件が次々に起こる。 けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。 そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。 そしてユウ坊が誘拐された! ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。 連作ミステリ小説。 |
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映画ゴーストのようなストーリー。 突然の交通事故で死んでしまった夫が小心者の妻が心残りで現世に留まってしまうというもの。 幽霊となった夫はある特定の人物にだけ乗り移る事が出来る。 しかし、一人に一回だけという条件付き。 心優しく気弱なサヤとそれを心配しながら見守る夫のどこか心温まるストーリー。 サヤを取り巻く人間関係もおもしろく、肩の力を抜いて読むことが出来ます。 最後もゴーストと同じで切なく感動的な幕切れが待っています・・・ |
悪夢狩り | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
大沢 有昌 | 感 | ★★★ | |
米国が極秘開発中の生物兵器・ナイトメアが奪われ、新種のドラッグとして日本に流入した! 人間の能力を増幅させるが、瞬時に未知の物体に変態してしまう未完成のものだ。 当局は、軍事顧問の牧原に事態収拾を依頼する。 異色バイオ・スリラー。 |
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意外とよくありそうであまり無いストーリー。 薬を飲むことにより、その人物の性格に関わった生物に変態するが、興奮状態が収まると元の姿に戻れるという薬。 精神状態が安定していれば安定しているほど自由に変態をあやつれるようになり、探すのが困難になってしまう。 しかもナイトメアを押さえ込む対抗薬は相手が変態していないと効果を発揮しない。 ここら辺が作家の腕の見せ所ですね。 5つしかない薬をどうやって探すのか、本当に対抗薬で押さえ込むことは可能なのか? 大沢さんにしては珍しい作品でした。 |
リアル鬼ごっこ | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
山田 悠介 | 感 | ★★ | |
全国500万の<佐藤>姓を皆殺しにせよ! ──西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。 生き残りを誓う大学生・佐藤翼の眼前で殺されていく父や友。 陸上選手の翼は、幼い頃に生き別れた妹を探し出すため死の競争路を疾走する。 奇抜な発想とスピーディな展開が若い世代を熱狂させた大ベストセラーの<改定版>。 |
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失礼だけど久々の駄作。 確かに奇抜なアイディアかもしれないけど内容が全然追いついてない。 背景、人物描写、個性、進行、どれも全然ダメ。 1日ずつにそんなに押し込まなくてもいいじゃない。 淡々と進んでいくだけ。 もっと主人公の中に生まれる葛藤とか妹への思いとかあるでしょ? 途中の展開も読めすぎ。捻ってるつもりかもしれないけど展開から全部わかる。 とある本屋さんの売れ筋No.1だったから買ったんだけど、がっかり。 |
妻の女友達 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
小池 真理子 | 感 | ★★★ | |
市役所の戸籍係をしている夫と美人では無いが清楚で控えめな妻。 平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現われた妻の学生時代の女友達。 女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく・・・。 推理作家協会賞受賞の表題作。 ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。 傑作サスペンス6編。 |
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久々の小池真理子さん。 福岡に里帰りしていた時に日中のんべら〜としながら読むために買ったものです。 平凡な生活があるきっかけで破滅への道へと転がっていく様子を淡々と書いた作品。 全作品が女性が主人公というのもおもしろいです。 「いい女とは悪女である」 恐い恐い・・・ |
臨場 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★ | |
臨場──警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たる事をいう。 ’終身検視官’の異名を持つ倉石は、他の者達とは異質の「眼」を持っていた。 ’終身検視官’、死者の人生を救えるか──。 組織と個人、職務と情、警察小説の圧倒的世界。 |
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やはり何度読んでも横山さんの警察小説は群を抜いてますね。 特に今作はキャラクターがずば抜けて良い。 一作一作の中で出番は少ないのですが、それだけに登場した時のインパクトが凄い。 自殺にしか見えない他殺死体のトリックを見抜き、他殺に見える自殺死体の潔白を証明する。 まるで精密機械のような仕事振りの合間に見せる情、人間臭さが面白さに厚みを加えています。 かなりオススメ。 |
天使の牙(下) | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
大沢 在昌 | 感 | ★★★★ | |
犯罪組織<クライン>の独裁者君国の愛人はつみの身体と、女刑事明日香の精神を持つアスカは、己だけを信じて決死の囮を演じていた。 組織は警察内部の通報者を使い、次々と殺戮の罠を仕掛けてくる。 アスカを守るのは、明日香の元恋人・仁王こと古芳ひとり。 だが、古芳はアスカの精神が明日香であることを知らない。 一方、アスカは古芳が組織の内通者である疑いを捨て切れない。 不協和音が生じた二人にさらなる刺客が・・・!! 息もつかせぬアクション、巧みな構成、想像を絶する展開。 感動と興奮を呼ぶエンターテイメントの真髄。 |
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下巻もひたすらノンストップ・アクション。 はつみの変化を徐々に感じ始める組織の暗殺者達。 しかしそれが君国との摩擦にも繋がり始め、全組織が混沌としてくる。 確かに映画にするのには持ってこいな内容でしたね。 ただ、映画では主人公の心の中の葛藤がうまく表現できてるのかな? 実時間ではおそらく3日間くらいの出来事ですが、中身が濃いので読み応えあり。 なかなか面白かったです。 |
天使の牙(上) | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
大沢 在昌 | 感 | ★★★ | |
覚醒剤に替わり、日本全土を脅かす新型麻薬アフター・バーナー。 その元締<クライン>を牛耳る独裁者・君国辰郎の愛人神崎はつみが逃亡した。 はつみは組織内部の事を知り尽くしていた。 そのはつみが警察に保護を求めてきたのだ。 連絡を受けた保安ニ課長・芦田は<クライン>壊滅の切り札として護衛・移送する事を決める。 この極秘指令を受けた男まさりの女刑事明日香は、はつみとホテルで接触するが、ヘリからの銃撃を受け二人は瀕死の重体に。 だが、奇跡は起こった──!! 冒険小説の新しい可能性に挑戦したノンストップ・アクション。 |
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まさにノンストップ・アクション! 1年程前に映画化されて、見よう見ようと思っていて機会を逃して、とうとう原作を読む事に。 CM等を見ていて各役のイメージが出来てしまっていたのですが、原作から想像するのと全然違う・・・ 麻薬組織を壊滅させるための切り札となる女性が派遣した女刑事と共に銃撃され瀕死の状態に。 また、この二人を護衛すべく極秘に結成されたチームも全滅。 警察内部に居るスパイは誰なのか!? そんな中、瀕死の重傷を負った女刑事の脳を女性に移植する事に成功。 警察のスパイと麻薬組織の一挙壊滅を目指すべく動き出すが・・・ 各人の思惑、すれ違い、疑惑が見事に重なり微妙なバランスを保ってストーリーが進んでいきます。 下巻に期待! |
呼人 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!? 僕はなぜ大人にならないのだろう。 心も体も成長を止め、純粋な子供のまま生きていく事は果たして幸せなのだろうか。 出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。 感動のラスト、権力者の思想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。 |
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「不老不死」を新たな角度で表現した作品。 12歳で身長、体重の成長が止まってしまった呼人。 そこから5年、10年と時間は過ぎても体は変わらない。 子供の頃、誰もが一度は思う「大人にはなりたくない」が現実となった時・・・。 そこには周りから取り残され、孤独になった自分しか居なかった。 周りは「子供の頃を思い出させてくれる宝石のような存在」と言ってくれるが、呼人は老いていく親友を見守る事しか出来ない。 そして自分の出生の秘密をある女性が握っている事を知り、かつての親友と行く旅の先にあったものは・・・ 物語と共に現実の歴史を追いかける点も素晴らしい。 |
深紅 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。 秋葉家を襲った一家惨殺事件。 修学旅行で一人生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。 父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年をの娘が居たことを知る。 正体を隠し、奏子は彼女に会うが!? 吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。 |
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深い。多分読めば読むほどわかる部分が出てくるんだろう。 物語は主人公が小学生で家族が惨殺されて心に傷を負う前半、犯人の娘に近づく大学生時代の後半に分かれます。 前半の凄絶さに比べると、後半はわりとおとなしめ。 が、主人公の心が段々と犯人の娘に向かっていく後半の方が違う意味で凄絶。 一家を惨殺されて心に傷を負った主人公と殺人犯の娘というレッテルを貼られて生きてきた娘が出会ったとき、一体どのような感情が沸き起こるのか。 東野さんの作品で同じような主題のものがありましたが、こうも書き手によって内容が変わるものなんだと感心。 |
破線のマリス | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
首都テレビ報道局のニュース番組で映像編集を担う遠藤瑤子は、虚実の狭間を縫うモンタージュを駆使し、刺激的な画面を創り出す。 彼女を待ち受けていたのは、自ら仕掛けた視覚の罠だった!? 事故か、他殺か、一本のビデオから始まる、超一級の「フー&ホワイダニット」。 第43回江戸川乱歩賞受賞の傑作ミステリ。 |
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大失敗! 何も考えずに先に「砦なき者」を呼んでしまったのがもったいない。 結末を知っていなかったらもっともっとおもしろく読めたのに・・・ まぁそれは無しにしてもストーリー展開は圧巻の一言。素晴らしい。 小説家としてはこれが第一作だったそうですが、脚本家としては数々の成功を収めている人ですから納得。 盛り上げ方、意表のつき方、締め方、よく心得ているなという感じです。 優秀であるが故に巧みに仕掛けられた罠にはまってしまうテレビマン。 たった2秒の笑顔で変わりうる人生。 テレビの影響は本当に計り知れない。 |
リミット | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
連続誘拐事件の謎を追う警視庁捜査一課・特殊犯捜査係勤務の有働公子。 婦人警官でなく、一人の母親として事件の当事者となってしまった彼女は、わが子を取り戻すため、犯人のみならず警視庁4万人を敵にまわすことに・・・。 驚愕の展開、そして誰も予想だにしなかった戦慄の結末。 ミステリーの到達点! |
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この人の作品は宮部さんの作品を読んでいるような感覚になりますね。 おそらく描写の手法が似ているんでしょう。 どうしても同じような方法ばかりになる誘拐事件を見事に新しい方法で書いています。 犯人側からの視点も用意され、読者が全部事件の展開を知っていると思わせておいての結末。 お見事です。 もうニ作品程この人を追いかけてみよう。 |
砦なき者 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★★ | ★★★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★★ | |
報道番組「ナイン・トゥ・テン」に売春の元締めとして登場した女子高生が全裸で首を吊った。 恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎の姿は、ライバル局の視聴率を跳ね上げた。 メディアが生んだ一人のカリスマ。 その邪悪な正体に気付いたのは、砦を追われたテレビマン達だった。 「破線のマリス」を超える衝撃! |
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おもしろい! たまたまストックを無くして昼飯帰りに立ち寄った書店で目に付いた作品だったのですが・・・ 久々に想像力をかきたてられ、先が気になる内容。 読み終わって気付いたのが、宮部さんの「模倣犯」に何となく似ているな、という事。 メディアが生み出したカリスマに操られる大衆。 その影で生み出される悲劇。 メディアの持つ危険性を問う大作です。 最初短編集かと思ったけど中編4つから成る長編でした。 春にドラマ化されるので期待。 |
蹴りたい背中 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
綿矢 りさ | 感 | ★★★ | |
長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。 気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとするクラスメートたちに、初実は溶け込むことができないでいた。 そんな彼女が、同じくクラスの余り者である、にな川と出会う。 彼は、自分が読んでいるファッション雑誌のモデルに、初実が会ったことがあるという話に強い関心を寄せる。 にな川の自宅で、初実は中学校時代に奇妙な出会いをした女性がオリチャンという人気モデルであることを知る。 にな川はオリチャンにまつわる情報を収集する熱狂的なオリチャンファンであった。 |
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今回の芥川賞はSMがテーマか!? それは言いすぎとしても「若者の無気力さ」をテーマにしてるのかと思えるくらい「蛇にピアス」と同じものを感じます。 そして同じように、これほどまでに高い評価を受けてる理由が結局わからない。 表現力?ストーリー性? 作者が主人公に近い年齢で、一人称の記述で書かれているので確かに説得力のある文章ではあるんだけど・・・ とにかく目立つのが「〜のような」という表現。 主人公が何事も「〜のような」と考えるっていう設定だとしたら大したものだけど、はっきり言ってうるさい。 今回芥川賞を取った二人には、ぜひとも三人称視点の物語を書いてみて欲しい。 そして出来れば今回の受賞が「最年少の女性二人」だという話題性だけでは無く実力である事を証明してほしい。 |
蛇にピアス | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
金原 ひとみ | 感 | ★★★ | |
ルイはアマのスプリットタンと刺青に説明できない憧れを持ち、自らもスプリットタンにしようとシバの店を訪れる。 まずは舌にピアスをいれ、続いては麒麟の刺青を入れるためにシバの店に通っているうちに、ルイはシバの冷酷な行為にMとしての悦びを感じ、関係を持ってしまう。 そんなある日、アマはルイにちょっかいを出したヤクザものを殴り殺してしまう。 翌日の新聞でその事実を知り動揺するルイだが何事もなく月日は過ぎていく。 しかしある日、アマが仕事に行ったまま戻ってこないことに不安を覚えたルイはアマを探し出そうとするが・・・ |
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今年の芥川受賞作を読んでみよう第一弾。 内容はピアス、刺青という身体改造にSM、暴力、セックス、と。 若い人だから書ける内容なんだろうな〜とは思いましたが、別にこの人だからっていう部分は特に感じませんでした。 途中、完全に自分の思いを吐き出してるとしか思えないような所もあり、違和感を感じましたね・・・。 はっきり言って、これが芥川賞ですか、っていう感想しかない。 でも芥川「新人」賞っていう賞があるとすれば納得かもしれない。 結構人物像も浮かんできたし、表現力もあるような気はする。 ま、こういうジャンルの作品好きじゃないからもう読む事は無いかな。 |
アナザヘヴン2 Vol.4 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
飯田 譲治/梓 河人 | 感 | ★★★ | |
「赤い月の夜」── ”紫の石”の力で如月市を統べる戸津山の邪悪な儀式を阻止するべく、皆月悟郎と飛鷹健一郎が動き出す。 だがイタリアから帰国した早瀬学は、遥か昔に滅亡した”マルデック”と呼ばれる異星の神話に、この戦いと悟郎たちの敗北が予言されていることを告げる── 破局はもうすでに避けようがないのか? そして儀式の生贄として囚われた悟郎の恋人・紀子の運命は!? この世のすべての法則を覆す壮大なクライマックスがいま、訪れる! 書き下ろしハイパーホラー超大作全4巻、ついに完結!! |
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む〜期待外れと言わざるを得ないか。 パート1の方がおもしろかったな。 4分冊と感じさせないテンポの良さは認めるけど、特に最後盛り上がるわけでもなく。 早瀬は出オチするために戻ってきたのか?全体的に昔話の語り部的役割で印象があまり無い。 「運命は自分で決めるもの」って言ってるけど、それほど自発的な行動は無かったようにも思えるけど・・・ 物語中盤でクローンの話が前面に出てきたけど、それに関してもなんかうやむやな感じが。 でも久しぶりにパート1が読みたくなってきた。 |
アナザヘヴン2 Vol.3 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
飯田 譲治/梓 河人 | 感 | ★★★ | |
悪夢再び! 血まみれの殺人現場に、料理された脳が残されていたのだ。 さらには血文字でG、O、R、O、とのダイイングメッセージが!? いっそうの窮地に立たされた皆月悟郎は、死んだはずのマッドクック=柏木千鶴とついに出会う! また、盗まれた千鶴の遺体の行方を追う飛鷹健一郎とイタリアで異星の神話を読み解く早瀬学の軌跡も重なり始める。 ”紫の石”の邪悪な力を操る大富豪・戸津山の目的とは!? 人智を超えた巨大な罠が、男達を招く── ハイパーホラー完結編、書き下ろし第3弾! |
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怪しい・・・非常に怪しい・・・ 何か、よくありがちな続編の穴にはまりかけているような・・・ もともとSFっぽいホラーだからこういう進め方もありなんだろうけど、嫌いな方向に進みつつあるような・・・? 3冊目だけあって終盤には全員の進む道がひとつになる雰囲気を匂わせるような展開にはなって、盛り上がりそう。 飛鷹と悟郎がキャラクターかぶってるんだよなぁ〜。そういう設定なんだけど。 いろんな要素をばらまきすぎてないかな? 4冊目に期待。 |
アナザヘヴン2 Vol.2 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
飯田 譲治/梓 河人 | 感 | ★★★ | |
依頼人殺しの容疑者として追われる皆月悟郎は、持ち主に不幸をもたらす”紫の石”に導かれるようにひなびた温泉地に辿り着く。 だがそこで発見した失踪者・矢野翔子は、悟郎に調査を依頼した婚約者の死にも反応せず、帰宅を頑なに拒むのだった。 一方、早瀬学とともにマッドクック事件を担当し、同じく警察を離れた飛鷹健一郎は、極秘裏に警察上層部から呼び出される。 遺体安置所からあのマッドクック・柏木千鶴の死体が盗まれた、というのだ。 ハイパーホラー完結編、書き下ろし第2弾! |
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さすが4分冊にもなってるだけあって1冊の分量は少なめで読みやすい。 また、各個人毎の行動で章分けされているので話の展開、区切りも綺麗。 今回は”紫の石”の不可思議さを強調してる話題展開。 稲富は実は生きてるし、翔子はそれにも無反応。 如月温泉では一体何が起きているのか・・・。 そして最後に、ついに飛鷹が始動! Vol.3からが盛り上がりそう。 |
アナザヘヴン2 Vol.1 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
飯田 譲治/梓 河人 | 感 | ★★★ | |
”マッドクック事件”も悪夢の予兆に過ぎなかった。 世界のあらゆるルールを覆すエンタテインメントが、ついにその全貌を現す! 被害者の脳を料理して喰うという凶行が世間を震撼させたあの事件より半年。 停職中の刑事・皆月悟郎は連続女性失踪事件の調査を引き受ける。 しかし依頼人が一夜にして老人化し変死、悟郎は殺人容疑者に!? 一方、マッドクック事件を担当し今や警察を離れた早瀬学は、流れ着いたイタリアの街で事件が古代から予言されていたことを知る! ハイパーホラー完結編第一弾、渾身の書き下ろし!! |
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まさか続編が出るとは思わなんだ・・・ 原作、映画、ドラマと結構ヒットした名作。 続編はちょっときついんじゃないかな〜と思いつつも購入。 やはり続編だけあって大半が前作関係者のその後。 その合間に新しい人物・キーマンをそれとなく関わらせてきています。 4分冊という大作のようなので、これ2冊目以降に期待! |
恐怖の報酬 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★★ | |
たった1台分の駐車場を確保するために、恐怖の体験をするOL・昭子。 課長の執拗な嫌がらせを受けるサラリーマン・柳井。 元刑事の父を持つ大学生・友子。 アイドルと共に強盗の人質になった銀行員・明美。 それぞれが望んだ事は、けして大それた事ではなかった。 だが何かを手に入れるためには、代償が必要なのだ──。 日常の些細な出来事が、戦慄の事件に変わる様を描いた傑作ホラー短編集。 |
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久々の赤川さん作品。 特に読む本を決めていなかったために目に付いたものを選びました。 やはり赤川さん作品は特徴がありますね。 ホラー文庫だからかもしれませんが、日常と非現実と融合がうまい、というか。 それが普通であるかのように読ませるのがうまいですよね。 たまには以前読んでいた作家さんの作品もいいですね。 |
看守眼 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★ | |
わかるんだよ。刑事にはわからなくてもな。 いつか刑事になる日を夢見ながら、留置管理係として過ごした近藤。 まもなく定年を迎える彼は、証拠不十分で釈放された容疑者の男を執拗に追う。 マスコミを賑わした「死体なき殺人事件」の真相を見抜いたのは、長年培った「看守の勘」だった。 |
|||
最近、映画「半落ち」で知名度もかなり上がったであろう横山さんの最新作。 タイトルから、また警察ものかな?と思ったのですが・・・ 今回は色々な職業の人が主役の短編集でした。 日頃の生活に潜む落とし穴、何気ない行動が生む事態がうまく描かれています。 最近同じ人の作品ばかり読む癖がまた出てきてしまった・・・ 名作が普通に思えるのは幸せなのかな? ちょっと違う人の作品を積極的に読んでいこう。 |
白い犬とワルツを | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
TERRY KAY | 感 | ★★★★ | |
長年連れ添った妻に先立たれ、自らも病に侵された老人サムは、暖かい子供たちの思いやりに感謝しながらも一人で余生を生き抜こうとする。 妻の死後、どこからともなく現われた白い犬と寄り添うようにして。 犬は、サム以外の人間の前にはなかなか姿を見せず、声も立てない── 真実の愛の姿を美しく爽やかに描いて、痛いほどの感動を与える大人の童話。 あなたには白い犬が見えますか? |
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前から読もうと思っていたものです。 映画化、ビデオ化もいつかみよういつかみようと思っててそのまま来てしまいました。 前回までロードオブザリングを読んでいたので、これも訳下手なのかな〜と思っていたら、違和感ほとんど無し。 非常に綺麗な文章でまとまっています。やはり訳の人は重要ですね。 内容はそれほど大事件が起こるわけではありませんが、前半が日常生活と犬との出会い、後半が同窓会への出席と2つに分かれています。 最後も号泣するのではなく、爽やかに終わります。 今度はビデオも借りてみよう。 |
ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間(上2) | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
J・R・R・トールキン | 感 | ★★★ | |
意外にもフロドの秘密を知っていたピピンとメリー。 二人は、サムとともに裂け谷への旅に同行することを申し出る。 こうなればフロドも勇気百倍。 追っ手が見張る街道を避けて、一行が分け入ったのは、何が住んでいるかわからないと噂される「古森」だった。 そこで4人は森の悪意にとりまかれ、あやうくピピンとメリーが犠牲になりかかる。 助けに現われたのは、思いもよらぬ人物だった。 |
|||
頑張って2冊目。 でも三部作の上下巻のさらに2冊目。 読むのが大変だ! しかし2冊目ともなると、うっとおしい表現や書き回しにも慣れて少しは読めるようになってきた。 映画の第一作目の30分くらいがやっと終わった感じかな? 川の濁流に黒の乗り手達が飲み込まれる所。 しかし、後8冊はさすがにきついのでこれでしばらく小休止。 |
ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間(上1) | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
J・R・R・トールキン | 感 | ★★ | |
遠い昔、冥府の魔王サウロンは自らの持つ悪しき力のすべてを注ぎ込んだ指輪を作った。 5千年近く経ったとき、偶然この指輪を手に入れたホビット族のビルボが、養子のフロドにこの指輪を譲ったことから物語りは始まる。 魔法使いのガンダルフに指輪の正体を知らされたフロドは、仲間と共に平和なホビット庄を逃れ出る。 冥王の手にこの指輪が渡れば、全世界は闇の支配下におかれることになるからだ。 フロド一行の後を追う不気味な謎の黒の乗り手たち。 行く手に待ち受けるものは・・・ 全世界に一億人以上のファンをもつ不滅のファンタジーがここに幕をあける。 |
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映画3部作完結編公開が目前ということで、ここで一気に原作を読んでしまおうかと。 一応中空きするのがいやだったので2年近く読むのを待ってみたのですが・・・ う〜ん、やっぱり外国原作、しかもファンタジー小説はきつい! 私が外国原作の小説が嫌いな理由として、訳す事で本来の表現が伝わらない事と文章が変に切れてしまう、というのがあります。 それの悪い部分が全てつまった作品。 何度読むのを止めようとした事か・・・しかも第一部だけで上1、上2、下1、下2の四冊もある!ひぇ〜 すらりと読ませるのが訳の人の役目だと思うだけどなぁ・・・直訳ばっかり。 名作だって言う事、映画がおもしろかった事、まだ1冊目だという事でもうちょっとがんばって読んでは見るけど。 |
黄泉びと知らず | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
梶尾 真治 | 感 | ★★★ | |
感動再び! 原作でも映画でも描かれなかった、もう一つの「黄泉がえり」。 不思議な事が起きていると聞いた。 熊本のある地域で、死者が蘇るというのだ。 もう一度だけ、あの子に逢いたい──。 事故で亡くした子供を生き返らせるべく、別れた夫婦が再会し、熊本へ向かう。 再生への祈りを込めた旅路を描く表題作ほか、短編の名手と謳われるカジシンの魅力満載で贈るオリジナル文庫。 |
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短編集1つ目は原作を違う角度で見た作品で、これは良かった。 他の作品は最悪。 変な生き物は出てくるわ、かぐや姫は伝染病にかかるわ・・・なんですかこれは。 原作を知っていて、タイトルに引かれて買った人はがっかりです。 他の短編に関してはコメントする気も起きず。 笑えないブラックユーモアとでも言うんでしょうかね。 |
回廊亭殺人事件 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
一代で財を成した一ヶ原高顕が死んだ。 妻子を持たない高顕の莫大な財産の相続にあたり、彼の遺言状が一族の前で公開されることになった。 公開場所は旅館”回廊亭”。 一族の他には、菊代という老婆が招待されていた。 だが、菊代の真の目的は、半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探ることだった・・・。 その夜、第一の殺人が!? 斬新な趣向を凝らした傑作長編推理。 |
|||
う〜ん、ありきたりっていう感じがしましたね。 終盤はひねっているのはわかるんですが、ちょっと急ぎすぎなような気が。 それに弁護士の秘書があのような形で現われるっていうのがいまいち腑に落ちない。 それまでの生活は?弁護士はだまされてた?主人公もいくらなんでも気が付くのでは? ・・・読み方が足りなかったのかな? |
影踏み | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★ | |
窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一が真っ先に足を向けたのは警察署だった。 二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。 あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた──。 生きている人間を焼き殺す。 それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。 十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。 法曹界を目指していた真壁の人生は・・・。 |
|||
今回の横山さんの作品は警察側からでは無く、警察に目をつけられる方。 内容は同じ主人公が出てくる短編集。 様々な事件を通して、自分の中に住む弟の死の真相に近づく。 大事件を扱う訳でもなく、巧妙なトリックを使うわけでもありませんが、人物描写に非常に力が入っていますね。 このような作品もたまには良いのでは無いでしょうか? |
手紙 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★ | |
兄貴、俺の言っている事は、夢みたいなことなのかな。 断ち切られた兄弟の絆。 希望なき世界を彷徨う人生。 いつか罪は償われ、傷は癒されていくのだろうか。 |
|||
以前に読んだ「殺人の門」はこれの続編だったのかな、と思える内容。 貧乏な家庭に生まれ、それでも弟を大学に行かせたいがために強盗をして、殺人を犯してしまう兄。 殺人犯の弟というレッテルを貼られて、様々な障害が目の前に立ちはだかる人生。 夢を奪われ、恋人を奪われ、家族をも奪われそうになった時、弟のとった行動とは・・・。 なりたくは無いけど、いざそういう状況になったら自分はどうするんだろうか? 考えさせられる作品です。 |
誰か | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★ | |
「あれは偶然に起こった轢き逃げなんかじゃなくて、父は狙われてた。 そして殺されたんじゃないかと思うんです。」 財閥会長の運転手・梶田が自転車に轢き逃げされて命を落とした。 広報室で働く編集者・杉村三郎は、義父である会長から遺された娘二人の相談相手に指名される。 妹の梨子が父親の思い出を本にして、犯人を見つけるきっかけにしたいというのだ。 しかし姉の聡美は出版に反対している。 聡美は三郎に、幼い頃の”誘拐”事件と、父の死に対する疑念を打ち明けるが、妹には内緒にして欲しいと訴えた。 姉妹の相反する思いに突き動かされるように、梶田の人生をたどり直す三郎だったが・・・。 |
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久々の宮部さんの現代ミステリー。 期待いっぱいに読んだ感想は、悪い意味じゃなくてすごく普通の内容でした。 目立たない事件を重ねて人物との相互関係が複雑に絡み合って、一人の死をきっかけにそれらが解決していく。 タイトルの意味も終盤にかけて説明されますが、なるほど〜という感じ。 やりきれなさを感じる終わり方ですが、今までの宮部さんの作品からすると肩に力を入れないで読める作品です。 |
着信アリ | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
秋元 康 | 感 | ★★★ | |
由美が気乗りしないまま参加した合コンの席で、陽子の携帯電話が聞き覚えの無い着信音で鳴った。 液晶には「着信アリ」の文字。 メッセージを確認すると、陽子の悲鳴のような叫び声が録音されていて、着信履歴には2日後の時刻と、発信元として陽子自身の携帯の番号が残されていた。 そして、その2日後のその時刻。 陽子はメッセージに残されたとおりの悲鳴をあげて不可解な死を遂げてしまう・・・。 終わりの無いチェーンホラーの誕生! |
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新鮮味一切無し。 リングを現代テイストにしただけという感じ。 何となく発想はいいかな〜と思っていたけど、最初から最後まで予想通り。 それともこの系統は映像で勝負しようと思っているのかな? 何でもかんでも映画化すれば良いってものでも無いと思うんだけど。 |
11文字の殺人 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
「気が小さいのさ」あたしが覚えている彼の最後の言葉だ。 あたしの恋人が殺された。 彼は最近、「狙われている」と怯えていた。 そして、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれた。 女流推理作家のあたしは、編集者の冬子とともに真相を追う。 しかし、彼を接点に、次々と人が殺されて・・・。 11文字に秘められた真実とは? サスペンス溢れる本格推理! |
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なんとなく海外ものを連想してしまう作品でした。 犯人の独白シーンが途中で挿入されているために、中盤以降は犯人がわかってしまったのがちょっと残念。 しかもタイトルの11文字には特に意味は無いと言う・・・ 最後の真相はひねりが効いていますが、それまでに至る経過は特に目を引く事も無く。 最近この人の作品ばかり読んでいるから、なんとなく展開が似てきているのかな〜。 |
美しき凶器 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
安生拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。 かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、葬り去らなければならない過去があった。 四人は唯一彼らの過去を知る仙道之則を殺害し、いっさいのデータを消去。 すべてはうまく運んだかに思われたが・・・。 毒グモのように忍び寄る影が次々と彼らを襲った! 迫り来る恐怖、衝撃の真相! 俊英が贈る傑作サスペンス! |
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ドーピングを行って有名になった選手達が、発覚を恐れてある教授を殺害。 しかし、その教授は肉体改造を行ったある女性を育てていた。 殺害現場を見ていた女性は復讐のため東京へ・・・ 身長190cmを越す超人的な肉体を持つ女性とスポーツ選手との戦いを書いてます。 見つかる事を恐れずに追いかけてくる毒グモと、社会的地位を守ろうとしながら対抗しようとする元選手。 しかしあまりの力の違いを見せ付けられ、最後には・・・。 終盤のどんでん返しがほほ〜と思わせます。 一昔前の東京をイメージしてしまうのは何故なのでしょうか? |
犯人のいない殺人の夜 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★ | |
親友が死んだ。 枯葉のように校舎の屋上からひらひら落ちて。 刑事たちが自殺の可能性を考えていることは俺にもわかった。しかし・・・ 高校を舞台にした好短編「小さな故意の物語」。 犯人がいないのに殺人があった!?でも犯人はいる・・・ さまざまな欲望が交錯した一夜の殺人事件を描いた表題作。 人間心理のドラマと、ミステリーの醍醐味を味わう傑作七編! |
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これはなかなかの傑作。 誰もがうらやむお似合いのカップルの男子生徒がある日屋上から落ちて死んだ。 親友だった主人公は自殺と信じられず、真相の究明に乗り出すが・・・ 思いも寄らない犯人と動機。未必の故意は許されるのか? 頼りにしていたコーチに殺された女性選手が自殺と見せかけられて殺された。 トリックに使用したビデオテープに隠された真実とは? 全てを理解した上での最後のセリフ「さよならコーチ」 思わずやりきれない思いになってしまうせつない作品ばかりの短編集。 結構オススメ。 |
怪しい人びと | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
俺は同僚の片岡のデートのために一晩部屋を貸してあげた。 その後、そのことを片岡から聞いた2人の同僚、本田と中山にも部屋を貸す事になってしまう。 3ヵ月後のある日、いつものように、車から部屋に戻ると、見知らぬ女が寝ていて・・・。(「寝ていた女」) あなたのそばにいる優しい人が、いつの間にか怪しい人びとに──。 著者ならではの斬新なトリック満載の傑作推理集! |
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本格的なトリックが絡む事件を扱っているわけではなく、日常ありそうな事をややひねってみたという感じ。 特にこれといって目立つ作品は無かったような・・・? その中でも新婚旅行で娘の死因を妻に問い詰める「甘いはずなのに」と、親友からの葉書に見知らぬ人が写っていた「結婚報告」はちょっとおもしろかったかな。 |
探偵倶楽部 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
<探偵倶楽部とは、政財界のVIPのみを会員とする調査機関。美貌の男女が秘密厳守で捜査に当たる> 大手不動産会社社長・山上が自宅風呂場で感電死した。 電気コードを用いた家政婦の計画的犯行と処理されるが、山上の妻・道代は夫の入浴の手順がいつもと違っていた事に疑問を感じ、倶楽部に調査を命じた・・・。 五つの難事件の真相を、探偵倶楽部が鮮やかに暴く! |
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東野さんの作品としては珍しくトリックよりも人間関係、心理的な部分に重きをおいた短編集。 それだけに目の覚めるようなどんでん返しや、唸るようなものはありませんが、作品としての完成度は高いと思います。 大抵の作品は頭の中で役者さんのイメージができるものですが、この作品の探偵2人は何故か浮かんでこない・・・。 あまり前面に出てこない主人公というのも珍しい作品でしたが。 |
秘密 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★★ | |
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。 妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。 その日から杉田家の切なく奇妙な”秘密”の生活が始まった。 |
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名作ですな。 かなり前に映画を見た覚えはあるのですが、内容はほとんど覚えていなかった・・・。 大人と子供の2人分の生活をする戸惑い、しかしそれを受け入れなければいけない現実。 異なる環境によるすれ違い、しかし娘として生きる妻を支える夫の描写が素晴らしい。 そして9年間にも渡る奇妙な生活の末に明らかになる「真の秘密」とは・・・。 最後は感動した・・・映画ももう一回見ておこう。 |
殺人の門 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
どうしても殺したい男がいる。 その男によって、私の人生はいつも狂わされてきた。 あいつを殺したい。でも、私には人を殺めることがどうしてもできない。 殺人者になるために、私に欠けているものはいったい何なんだろう? ──20年もの間、くすぶり続ける殺意。 殺人者になりきれない男は、果たして「殺人の門」をくぐることができるのだろうか!? |
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全編通して非常に暗い内容。 何一つ不自由なく暮らしていた小学生の主人公が、ある事件をきっかけに不幸な人生を送るはめに。 そこには常にある一人の男がいる、と。 もう、読んでいても、うわ〜またか・・・とか、それは駄目なのに・・・とか思ってしまう。 とにかく徹底的に不幸な道を「歩まされる」男の話。 この世界には偶然など無い、全て必然である、っていう感じでしょうか。 |
ザ・ジョーカー | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
大沢 有昌 | 感 | ★★★★ | |
私立探偵にも逃がし屋にも依頼できないトラブルを、たったひとりで引き受ける最後のプロフェッショナル。 着手金は100万。 仕事は「殺し」以外の全て。 ジョーカーはつながらない数と数のあいだを埋めるのに使う最後の切り札。 使われたあとは用はない。 そこに捨て置かれるか、別の人間が使う──。 |
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大沢さんのハードボイルド小説は良いですね。 表では普通そうに見える中年の男性、しかし本職は殺し以外の全ての仕事を請ける裏のプロフェッショナル。 仕事のために全てを割り切り、時には人をも殺す。 ・・・なんですが、人情にもろく、時には金が入らなくても仕事をする。 キャラクター主体ですが、なかなかおもしろい。 映画化された「天使の牙」も結構宣伝されてるので、もう少し脚光を浴びるかも。 |
予知夢 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★ | |
深夜、16歳の少女の部屋に男が侵入し、気がついた母親が猟銃を発砲した。 とりおさえられた男は、17年前に少女と結ばれる夢を見たと主張。 その証拠は、男が小学四年生の時に書いた作文。 果たして偶然か、妄想か・・・。 常識ではありえない事件を、天才物理学者・湯川が解明する、人気連作ミステリー第二弾。 |
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探偵ガリレオに続く、湯川教授と草薙刑事の短編集。 普通の人間からすると超常現象としか思えない出来事を物理学者が科学的に解明していくのがおもしろい。 16歳の少女と結ばれる夢を17年前に見た男。 既に死んでいる女を窓の向こうに見た男。 ある時間になると全体が揺れる家。 大金の生命保険が掛けられて絞殺された男に残る擦り傷。 首吊り自殺をした女性を前日に首吊りしている姿を見た少女。 どれも最後には完全に解明されますが、ちょっとにやりとさせるテイストを含ませています。 おもしろいです。 |
白夜行 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★ | |
1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。 容疑者は次々と浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。 被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂──暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。 二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。 だが、何も「証拠」は無い。 そして十九年・・・。 息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。 心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長編! |
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文庫本ではありえないぶ厚さ、860ページ。 いやいや読み応えがあった・・・。 ここまで長いのに読みきらせるのは作者の力量ですね。 最初は登場人物と関係を把握するのに時間がかかりましたね・・・。 この作品で起きる幾つもの犯罪は結局、1件も解決しません。 最後に刑事が推論を述べるだけです。 魂を守るために相手の魂を奪う・・・って事かな。 犯人の内面を一切描かずに第三者の視点から描かれた作品というのも珍しい。 これはもう一度読み直す必要があるな・・・。 |
屍の聲 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
坂東 眞砂子 | 感 | ★★★ | |
「惚けてしまったおばあちゃんは生ける屍や。正気のおばあちゃんは死にたがっている」 そう信じた少女は溺れる祖母を見殺しにした。 そして通夜の席で一瞬、確かに祖母は蘇った──。 表題作「屍の聲」のほか、5編の恐怖短編を収録。 因習としがらみの中で生きる人間たちの、心の闇に巣くう情念の呪縛。 濃密な風土を背景に描く、恐怖の原型とは。 記憶の底に沈む畏怖の感情を呼び起こす本格ホラー小説集。 |
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まさに坂東節炸裂!っていう作品ですね。 地方に残る風土と風習を核にした怪談というかホラーというか。 読んでいても何となく後ろが気になる・・・って言う感じの人間の奥底にある本能的な闇への恐怖を刺激する作品。 坂東さんと小池さん、新津さんなどがホラー小説ではよく目にしますが、坂東さんは昔ながらの話を書くのが非常に上手いですね。 夏の暑い日の夜に窓を開けながら読んでみては・・・。 |
顔 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★ | |
少女の頃からの夢・・・婦人警官になること D県警捜査一課・平野瑞穂の独白 犯人が憎かった。 犯罪は直接の被害者だけではなく、思いもよらないところまで不幸の波紋を広げ、多くの大切なものを踏みにじる。 人を泣かせ、人を傷つけ、人の一生を狂わせる。 犯人は知らない。 おのれが撒き散らした毒も棘も生涯知ることなく、のうのうと日々過ごすのだ。 捕まえたい。 |
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ちょっと前まで仲間由紀恵さんが主演していたドラマの原作です。 ドラマは見ていませんでしたが、まぁそれほど飛んではいないでしょう。 犯人の似顔絵を描く鑑識課に所属していた主人公が、ある事件をきっかけに自分に自信を無くすが、様々な事件を通してより大きくなっていく過程が描かれた作品。 この作品を読む前から仲間さんがドラマをやる、という事を知っていたので完全に主人公のイメージが出来上がってしまっていましたが、なかなかあっていましたね。 ドラマも見たかった・・・。 |
真相 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★ | |
事件の後に残るものとは何だろう。 そんな漠とした思いが、この連作集の出発点だった。 事件とは、死者にとってのドラマではなく、死者を取り巻く人々の哀しみや懊悩──。 そうだとするなら、事件が終わった後にこそ、人の胸を焼き焦がす「真の事件」が頭を擡げる。 |
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事件の発生から解決までを追うのではなく、事件解決後の周りの人々に焦点を当てた作品。 あるきっかけから予想もしなかった真相が浮き彫りになった時、その影響とは・・・。 信じていた息子が万引きをしていたと知ったとき・・・。 過去に殺した女が見つかりそうになったとき・・・。 リストラ仲間が犯罪を起こしたとき・・・。 その事件の隠れた真相が暴かれたとき、という趣旨なので全体的に暗めですが、読むものを引き付ける内容です。 短編の連作集なので読みやすいです。 |
マークスの山 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
高村 薫 | 感 | ★★★ | |
「俺は今日からマークスだ!マークス!いい名前だろう!」 ──精神に<暗い山>を抱える殺人者マークス。 南アルプスで播かれた犯罪の種子は16年後発芽し、東京で連続殺人事件として開花した。 被害者達につながりはあるのか? 姿無き殺人犯を警視庁捜査第一課七係の合田雄一郎刑事が追う。 直木賞受賞作品。 |
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上下巻合わせて700ページを超える大作で直木賞受賞作品。 ですが、どうもおもしろさがわかりませんでした。 直木賞受賞というのもいまいち納得できず。 私にはまだ高尚すぎる作品という事でしょうか。 殺人事件を起こす背景、捜査過程、最終的なまとめ、どれも中途半端な気がしてならないです。 |
ストロボ | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
真保 裕一 | 感 | ★★★★ | |
走った。ひたすらに走り続けた。 いつしか写真家としてのキャリアと名声を手にしていた。 情熱あふれた時代が過ぎ去った今、喜多川は記憶のフィルムを、ゆっくり巻き戻す。 愛し合った女性カメラマンを失った40代。 先輩たちと腕を競っていた30代。 病床の少女の撮影で成長を遂げた20代。 そして、学生時代と決別したあの日。 夢を追いかけた季節が、胸を焦がす思いと共に、甦る。 |
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ある写真家の心に残る出来事をまとめた短編集。 現在から過去へ遡って行く構成がうまいですね。 若い頃に持っていた情熱や向こう見ずな所、地位や名声も手に入れ、それによって保守的になってしまった現在。 文章からも見事にその移り変わりが伝わってきます。 自分の知らない職業の人が主人公の作品は色々と知らない事が書かれていておもしろいですね。 |
黄泉がえり | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
梶尾 真治 | 感 | ★★★ | |
あの人にも黄泉がえってほしい───。 熊本で起きた不思議な現象。 老いも若きも、子供も大人も、死んだ当事そのままの姿で生き返る。 間違いなく本人なのだが、しかしどこか微妙に違和感が。 喜びながらも戸惑う家族、友人、混乱する行政。 そして”黄泉がえった”当の本人もまた新たな悩みを抱え・・・。 彼らに安息の地はあるのか・・・迫るカウントダウン。 「泣けるリアルホラー」、一大巨編。 |
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ちょっとしたブームになった映画の原作を読んでみました。 これは明らかに映画→原作の順で見るべきですね。 簡単に言うと、映画は原作の綺麗な部分のみに焦点が当たっていますね。 原作はもちろん、その他色々と細かい部分がわかります。 何故死者は黄泉がえったのか、本当に死んだそのままの姿で生き返っているのか? 結構考えさせられる作品なんですね。 再婚してる人の所に死んだ奥さんが戻ってきたら、それはびっくりですよね。 双子が一人になって戻ってきたら、誰にも見せられないですよね・・・。 映画だけでやめておくのもいいかな? |
深追い | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★ | |
「コンヤハ カレー デス」 事故死した夫のポケベルにメッセージを送り続ける妻。 何のために?誰のために・・・ 地方都市の警察署「三ツ鐘署」を舞台に起こる事故と事件。 警察官としての責務、体裁、慣習。 人としての良識、判断、希望。 真の被害者は・・・罪深き行為とは・・・。 真実の追及は、幸福に結びつくのか。 所轄所のリアルな実情を想起させる、警察小説の秀作。 |
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今放送中の仲間由紀恵主演ドラマ「顔(フェイス)」の原作者です。 この人の書く警察小説はおもしろい! 人間の暗い部分の描写がうまいですね。 これも短編集なのですが、表題から先が読めないのが凄い。 しっかりと練られていて、しかも納得させられる。 秀作ぞろいでオススメです。 |
第三の時効 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★★ | |
犯人か。 刑事か。 追われているのはどっちだ。 男たちの誇りがぶつかりあう。 これぞ警察小説の白眉! |
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はまったー! 警察小説はあまり読んでいなかったんですけど、おもしろいですね〜。 1班、2班、3班の各班の色と班長のキャラクター、お互いを認めながらもぶつかりあう事でより高い所を目指す男たち。 短編集ですが、それぞれの班を中心に置きながら事件の内容も手を抜いておらず、秀作です。 これからもこの人の作品を追っかけて行こう。 |
ゲームの名は誘拐 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
仕返しというふうに解釈しているんなら、それはちょっと心外だね。 最初に言っただろ。これはゲームなんだ。 おれはおたくの父親にゲームでの勝負を挑んでいる。 どちらがゲームの達人かはっきりさせようということだ。 前代未聞の誘拐小説! 事件は犯人側からのみ描かれる。 果たして警察は動いているのか? |
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確かに犯人側からのみの視点で描かれている誘拐小説です。 でも何か物足りないですね・・・。 背後に潜んでいるであろう警察を欺くためのあらゆる手段、意表をつく身代金の受け渡し方法、そして犯人もだまされる被害者の正体。 なんか淡々と書かれすぎていて引き込まれるものが無いと言うか・・・。 被害者の正体や、ラストの勝負所は確かにおもしろかったんですけど。 欲張りすぎですかね。 |
魔女たちの長い眠り | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★★ | |
───人間って、本当に馬鹿だわ。 見当外れのことでわざわざ、私たちを駆り立てて・・・。 人間が私たちに勝てるわけがないのに・・・。 夜が降りてきた。暗がりが町を大きな翼で包み込む。 静かで平和にみえる町の背後で起こる動機不明の連続殺人事件。 誰が敵で誰が味方か。 狂気と憎悪と混乱渦巻く中で、人間の想像を超えた恐るべき何かが動き始めた!! 闇と血が支配する<谷>の秘密とは!? 「魔女たちのたそがれ」に続いて贈る、ニューサスペンスの決定版。 |
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「魔女たちのたそがれ」の続編です。 前作で明かされなかった謎が新たな事件と共に解決されていきます。 前作の登場人物もかなり出てきますが、別の事件をきっかけに谷の秘密を明かそうとする二組の男女が主役となります。 今作は「彼ら」の正体が最初から明かされたうえで話が進んでいき、最後はもうサスペンスというよりはSFホラー。 そして最後の最後はやっぱり・・・という展開。 どうしても続編というのは固まった枠から抜けられませんからね。 でも結構読み応えはあるかも。 |
魔女たちのたそがれ | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★★ | |
津田は小さな雑貨の卸売会社に勤める28歳の独身男性。 今日は、15人の社員のうち5人が休みで、目の廻るような忙しさだ。 奇妙な電話は、そのさなかに掛かってきた。 「助けて・・・殺される」あの声は、幼なじみの依子。 確か山の中の小さな町で小学校の教師をしているはずなのに・・・。 閉鎖された町で連続して起こる、動機不明の殺人事件。 狂気、憎悪、蔑視、混乱の果てに隠された恐るべき事実と結末。 意外な犯人の素顔は? |
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大分前に読んだ作品を読み返してみようシリーズ。 この頃は角川ホラー文庫ばっかり買ってましたね。 ちょうど「リング」「らせん」全盛期くらいの頃だったと思います。 後にゲームの原作となるこの作品、なかなか面白いです。 閉鎖された町から逃げ出してきた女教師が語る、現実離れした事件。 そして事件の真相を伝えようとする時に明かされる真犯人と衝撃の結末。 ラストをちょっと変えれば十分普通のサスペンスにもなります。 そうきたか!という感じのラストが唸らされます。 |
墓地を見下ろす家 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★ | |
小池 真理子 | 感 | ★★★ | |
新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒なマンションに移り住んだ哲平一家。 問題は何一つ無いはずだった。 ただ一つ、そこが広大な墓地に囲まれていたことを除けば・・・。 やがて、次々と不吉な出来事に襲われ始めた一家がついにむかえた、最悪な事態とは・・・!? 復刊が長く待ち望まれた、衝撃と戦慄の名作モダン・ホラー。 |
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かなり前から読みたいとは思っていた作品です。 ちょうどネタ切れしていたのと、本屋さんで著者のフェアをやっていたので、これ幸いにと購入しました。 正直な所、ちょっと期待外れでしたが、先を気にさせる良い作品でした。 引っ越した途端に死ぬ小鳥、何も無い所に向かって吠える犬、突然動きがおかしくなるエレベータ。 一つ一つを取ってみれば他愛の無いことも、それが連続して起こると何かあるのではないかと思ってしまう。 そして住人が体験する見えない恐怖。 最終的にはとんでもない結末を迎えますが、私的にはそういう終わり方かよ!って感じでした。 「世にも奇妙な物語」にありそうなお話しです。 |
嘘をもうひとつだけ | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
バレエ団の事務員が自宅マンションのバルコニーから転落、死亡した。 事件は自殺で処理の方向に向かっている。 だが、同じマンションに住む元プリマ・バレリーナのもとに一人の刑事がやってきた。 彼女には殺人動機はなく、疑わしい点はなにもないはずだ。ところが・・・。 人間の悲哀を描く新しい形のミステリー。 |
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勿体無いですね・・・。 この短編集のタイトルがこれでは無かったら、全作品を新鮮に読めたのかもしれませんが、読む前から構えてしまっちゃうんですね。 「世にも奇妙な物語」と一緒です。終盤に向かうにつれて、ここからひっくり返るんだなぁっていうのがわかってしまうのがとにかく勿体無い。 それでも、うなずかされたり、ため息が出てしまうのは作品の質が高いからでしょうね。 作品の趣向上、犯人の視点から書かれているものが多数ありますが、見事な心理描写です。 |
朽ちた樹々の枝の下で | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
真保 裕一 | 感 | ★★★ | |
妻を事故で失い札幌を離れ森林作業員となった男が、自衛隊演習場と隣接する夜明け前の森で救出した女性は、謎を残し病院から逃亡する。 女性を捜し真実を突き止めることに己の再起をかけ調査を始めた直後、落とし穴などの罠が仲間を襲う・・・。 北海道を舞台に独り闘う男の葛藤と勇姿を描くサスペンス大作。 |
|||
いやー本当に大作。実に650頁オーバー。 でもなかなか読み応えのある作品でしたね。 森で救出した謎の女性の痕跡を追う所が一番良かったかな? その後の展開がやや急だったのと、妨害工作を行った犯人の所が割りとあっけなかったのが残念。 本当に自衛隊があんな所だったらちょっと怖いかな・・・。 |
誘拐の果実 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
真保 裕一 | 感 | ★★★★ | |
───「ムスメハ、アズカッテイル」 犯人からの電話と同時に届けられた黒髪。 総合病院院長の孫娘が誘拐され、身代金として患者の命が要求される。 政財界を巻き込んだ疑獄事件で起訴された、大企業の会長がターゲットだった。 秘密裏に警察の協力を得ながら、人質救出に奔走する家族たちの長い一日が始まる・・・。 同時期に、もうひとつの誘拐事件が発生。 被害者宅へバイク便で血まみれの生爪が届けられた。 深まる謎と疑惑、そして翻弄される家族と刑事たち。 前代未聞の誘拐ゲームが、今、幕を開けた! |
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身代金として患者の命が要求されるというのが、まず目を引きましたね。 そしてもう一つの誘拐は練りに練られた有価証券身代金誘拐。 とにかく斬新で、ここまで考えてるんだ!とうなるほどの内容。 中盤から終盤にかけては事態が三転も四転もし、追いついていけなくなるかと思いました。 ラストは綺麗に締めくくってあります。いいですね。 警察やマスコミまでもが翻弄される計画犯罪、読む価値あり。 |
盗聴 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
真保 裕一 | 感 | ★★★ | |
「な、何の真似だね、それは・・・おい、気は確かか・・・」老人の声がうわずり、椅子が激しくきしむような音が上がった。 違法電波から聞こえてきた生々しい”殺人現場”の音。 「狩り」に出た盗聴器ハンターが都会の夜でとらえたものとは? 今が”旬”の気鋭が送る初めての短編集。 表題作ほか秀作ミステリ4編。 |
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映画「ホワイトアウト」の原作者と言えばわかる方もいらっしゃるかな? この人の作品は随分前から気になっていたんですが、なかなか買うにはいたらず・・・。 短編集と言うのはその人の作品力が最もわかるものだと思っています。 そういう意味ではさすが、という感じですね。自分の色のようなものを持っている感じがしました。 表題作の「盗聴」と、浮気を知った妻が自殺を図った真相が徐々に明らかになる「再会」が非常に良かったです。 |
樹海 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
吉村 達也 | 感 | ★★★ | |
高校二年生の村木ルイは、暗い森をさまよう夢に繰り返し悩まされていた。 その悪夢には結末が無い。 記憶を失うほどの凄まじい恐怖体験が原因のため、ルイの深層心理が最後を見ることを拒んでいるのだ。 唯一の手掛りは青白く光る表紙を持つ『樹海』という名の絵本・・・。 やがてルイは、超能力者の恋人・神保透とその姉・真美の協力により、真相を探し求め、実在の森青木ヶ原の樹海へと向かう。 そこで待つ運命も知らず! |
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最初は引き込まれるストーリー展開が非常に良かったです。 ただ、中盤から私の嫌いなタイプの話になってしまって・・・。 現象は現象で良いんですよね。そこに科学的根拠とかを求めることにそんなにこだわりはないので。 電磁波がどーだとかテレパシーはこうだとか。 なるほどね〜と納得させる書き方はしてるのですが、説明が長すぎるかな? ただ、この人の他の作品も読んでみたいな、とは思えたので次に読む作品に期待。 |
そして二人だけになった | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
森 博嗣 | 感 | ★★★ | |
全長4000メートルの海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊。 その内部に作られた「バルブ」と呼ばれる閉鎖空間に科学者、医師、建築家など6名が集まった。 プログラムの異常により、海水に囲まれて完全な密室と化した「バルブ」内で、次々と起こる殺人。 残された盲目の天才科学者と彼のアシスタントの運命は・・・。 反転する世界、衝撃の結末。 |
|||
内容が薄い! 題名からしてアガサ・クリスティーの名著「そして誰もいなくなった」のパクリかと思ったんですが、さすがにそんな事は無かったですね。 しかし、登場人物の設定はきちんとされているのに、殺人の動機、物語の背景などが全部中途半端。 最後まで読むと意図的にそうしていたのかな、とも思えますが、ちょっと納得いきませんね。 だから結局何が言いたいの?という感じ。 |
罪深きものに罰を | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
日本推理作家協会 | 感 | ★★★ | |
女性カメラマンが冬山で遭難死──。 残されたフィルムを現像してみると、最後の一本には驚愕の真実が隠されていた。(「暗室」) 新聞記者になりたての姪から届く手紙に記された奇妙な放火事件の謎を、元判事の伯父が解き明かす。(「往復書簡」) ほか、ミステリーの名手たちによる豪華アンソロジー。 |
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とりあえずこのタイトルに意味はあったのかな? ミステリー作家の力作を集めた短編集傑作選。 いいですね。一作一作を読むのに時間がかからないし、それでいて練られたストーリーばかり。 あまり知らなかったのですが、この傑作選は既に42作品目。 あるテーマに沿った作品を集めたものがまだまだあるとは。 これから買うものに迷ったらこのシリーズを買っていこう・・・。 |
半落ち | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
横山 秀夫 | 感 | ★★★★ | |
「人間五十年」─── 請われて妻を殺した警察官は、死を覚悟していた。 全面的に容疑を認めているが、犯行後二日間の空白については口を割らない「半落ち」状態。 男が命よりも大切に守ろうとするものとは何なのか。 警察小説の旗手、初の長編。 |
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’03年版「このミステリーがすごい!」、週刊文春’02年ミステリーベスト10の二冠制覇した作品です。 真面目で模範的な警察官が起こした犯罪に揺れる警察とマスコミ、検察や裁判所までも巻き込む所がスケールの大きさを感じさせます。 真相を解明しようとする取調官と穏便に事を運ばせようとするため隠ぺい工作を図る上層部。 そして序盤からの謎掛けとなる空白の二日間が最後まで話をおもしろくさせます。 新年1作目としては良い作品でした。 |
クロスファイア | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★★ | ★★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★★ | |
深夜の廃工場。 三人の若者によって、男が水槽に投げ込まれようとしていた。 それを目撃したOL・青木淳子は、念を込めて掌から火炎を放ち、瞬時に若者二人を焼殺した。 彼女は念力放火能力を隠し持つ超能力者だった! 若者たちに連れ去られた恋人の救出を瀕死の被害者に頼まれた淳子は、逃走した残る一人の行方を探すが・・・。 警視庁放火捜査班の刑事・石塚ちか子は、不可解な焼殺の手口から、ある未解決事件との類似に気付く。 東京・荒川署の牧原刑事と共に捜査を開始したちか子の前に、新たな火炎焼殺事件が・・・! |
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宮部みゆきワールドにはまるきっかけになった作品です。 法では裁かれない未成年者犯罪に対する私刑を自らの使命とする念力放火能力を持つ女性とその力を狙う秘密組織。 妹を強姦されて殺された青年との約束は果たせるのか。 今読んでものめり込んでしまいますね。 宮部さんは現代社会が抱えている問題点を題材にして小説を書くのが本当にうまいです。 「クロスファイア」「火車」「理由」「模倣犯」「スナーク狩り」あげればきりがありませんが、全て名作です。 |
ループ | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★ | ★★ | |
鈴木 光司 | 感 | ★★ | |
闘え。 武器は、肉体と意思の力・・・。 全人類がガン化するとき、アメリカの大地に神は舞い降りた。 激しい光に、否応もなく魂をゆさぶられる。 かつてこのような物語が、あっただろうか。 「すべての答えは、ここにある」 |
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「リング」「らせん」に続く鈴木光司ワールド3部作完結編。 もうがっくり。何ですかこの内容は。 「リング」「らせん」で提示された謎に対する解答編になるはずなのですが、どこぞの作家さんが書いたものですか?っていうくらいお粗末な感じ。 「リング」「らせん」は全てマトリックスだったんですか。 確かに説明は全部つきますね。 でもほとんどが矛盾してますね。こじつけとしか思えません。 何故あれほどの作品を出しておいてこのような終わり方にさせたのでしょう。 残念でしょうがありません。 |
らせん | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
鈴木 光司 | 感 | ★★★ | |
幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山竜司の解剖を担当した。 冠動脈から正体不明の肉腫が発見され、遺体からはみ出た新聞紙に書かれた数字は、ある言葉を暗示していた。 ・・・「リング」とは? 死因を追う安藤が、ついに到達する真理。 それは人類進化の扉か、破滅への階段なのか。 史上かつて無いストーリーと圧倒的リアリティで、今世紀最高のカルトホラーとしてセンセーションを巻き起こしたベストセラー待望の文庫化。 |
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オカルトホラー的な位置づけの強い「リング」に対して、続編というよりも科学的根拠や詳細説明の意味合いが強い「らせん」。 暗号解読や突然変異するウィルスなど「リング」とは違う表現で唸らせるものがあります。 描写による直接的な恐怖ではなく、じわじわと込み上げて来る不安のようなものが出てきます。 続編というものは大体が質落ちしてしまうものがあるのですが、この作品に関しては全く問題無いですね。 |
リング | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
鈴木 光司 | 感 | ★★★★ | |
同日の同時刻に苦悶と驚愕の表情を残して死亡した四人の少年少女。 雑誌記者の浅川は姪の死に不審を抱き調査を始めた。 ・・・そしていま、浅川は一本のビデオテープを手にしている。 少年たちは、これを見た一週間後に死亡している。 浅川は、震える手でビデオをデッキに送り込む。 期待と恐怖に顔を歪めながら。 画面に光が入る。静かにビデオが始まった・・・。 恐怖と共に、未知なる世界へと導くホラー小説の金字塔。 |
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もう何回読み直しましたかね。 言わずとしれた日本でホラーブームの火付け役となった名作中の名作。 映画、ドラマで放映され、最近ではハリウッドにまで進出してしまいました。 ここまで映像が先行して人気になった作品もなのではないでしょうか? 映画と原作は大筋では一緒です。 が、肝心のラストが実は違うんですね。 はっきり言うと映画のほうが怖いです。 良い意味で裏切ってくれて味付けしてくれてます。 ですが、読むことによって想像力をかきたてられる恐怖感は小説ならではです。 映画ではビデオ映像から出てくる貞子によるショックで死亡しますが、原作では100年後の自分を見ることによるショックで死亡してしまうんですよ。 |
火車 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★★ | ★★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★★ | |
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。 自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して・・・なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。 山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。 |
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残虐な殺人事件が起こるわけでもなく。 練りに練られたトリックが使われた殺人事件が起こるわけでもなく。 でも、私の中では最高の傑作だと思います。 ストーリーの運び方、霧の中を探るような調査の末に浮かび上がってくる失踪の経緯と犯人像。 この作品は結局「調査」で全てです。 犯人と思われる人物に接触した所で終わりますが、十分に納得できる内容です。 また、カード会社の仕組みや自己破産とはどういうことなのかなども説明され、勉強にもなります。 本当に最高の作品です。これで直木賞を取れなかったのが不思議なくらいに。 |
グレイヴ・ディッガー | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
高野 和明 | 感 | ★★★ | |
「13階段」の衝撃、再び! 疾走するノンストップ・スリラー! 都内全域で、一夜のうちに起こる無差別大量殺人。 中世暗黒時代、異端審問官を皆殺しにした「伝説の死者」が、現代の東京に甦る。 圧倒的なスピード感で展開する、待望のエンターテインメント巨編、ここに登場! |
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13階段が静とするならば、このグレイヴ・ディッガーは動。 白血病患者に自分の血を移植する日に、周りの人間が次々と死んでく。 そして前科を持つ自分に襲い掛かる謎の集団。 警察と謎の集団の両方に追われながらも、移植するために病院へと急ぐが、次第に疑問と不安が浮かび上がる。 悪事に疲れ果て、一度だけでも善事を行いたいと願う主人公の精神の強さと中世の異端審問官殺しになぞらえた連続殺人。 読むものを捕らえて離さないストーリーと息をもつかせぬチェイスバトル。 13階段とは違うおもしろさがあります。 |
スナーク狩り | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★★ | ★★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★★ | |
織口邦夫が勤める釣具店に、関沼慶子は鉛板を買いに来た。 不審に思った織口は、彼女が銃を持っていることを知り、ある計画を思いつく。 そのためには今晩じゅうに銃を盗まなければならない。 が、その晩、彼女は元恋人・国分慎介の結婚式に散弾銃を持って現われた。 新郎新婦が雛壇に戻る瞬間を狙って・・・。 スナークとは何か・・・!? 人間の真実を抉る傑作サスペンス! |
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素晴らしい作品です。 妻と娘を殺された夫が、殺人犯二人の更正を見守ろうとするが、あるきっかけで二人にその意思が無いのでは、と疑問に思ってしまう。 裁判中の二人に真意を問いただすためには、どうすればいいのか。 また、それを知って一体自分はどうするべきなのか。 そんな折に競技用の銃を持つ女性が自分の店に現われ、ある計画を思いつく。 店の従業員である青年がその計画に気づき、止めようとするが・・・。 終盤までは追いつ追われつの内容ですが、最後は一変して悲しい惨劇に見舞われます。 犯罪者の更正はありえるのか。また、それはどうすれば伝わるのか。 この国の法制度そのものに疑問をもってしまうような作品です。 悲しい内容ですが、一見の価値あり。 |
地下街の雨 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★ | |
麻子は同じ職場で働いていた男と婚約をした。 しかし挙式二週間前に突如破談になった。 麻子は会社を辞め、ウエイトレスとして再び勤め始めた。 その店に<あの女>がやって来た・・・。 この表題作「地下街の雨」はじめ「決して見えない」「ムクロバラ」「さよなら、キリハラさん」など七つの短編。 どの作品も都会の片隅で夢を信じて生きる人たちを描く、愛と幻想のストーリー。 |
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この短編集は全体的に切なさが感じられる作品です。 挫折や失敗で落ち込むが、それを乗り越えていく過程が爽やかに描かれています。 気分が落ち込んでいるときに読むと勇気付けられるかもしれませんね。 |
学生街の殺人 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。 「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して・・・。 第二の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。 奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実。 |
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かなり東野さんの作品は読んできたつもりですが、結構学生が主人公の作品って多いような気がします。 そして必ず難解なトリックが出てきます。 今回もエレベーターを使った「状況密室」がキーになります。 一見どこにでも逃げ道がありそうなマンションのエレベーターを密室状態にするのが凄い。 複雑な人間関係と信頼、裏切りがよりいっそうこの事件を複雑にしています。 |
魔術はささやく | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★ | |
それぞれは社会面のありふれた記事だった。 一人目はマンションの屋上から飛び降りた。 二人目は地下鉄に飛び込んだ。 そして三人目はタクシーの前に。 何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。 さらに魔の手は四人目に伸びていた・・・。 だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。 日本推理サスペンス大賞受賞作。 |
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あなたは催眠術を信じますか? あなたはある瞬間、とてつもない恐怖を背後に感じたらどうしますか? 主人公の叔父が運転するタクシーに飛び込んできた女性がうめくように残した言葉『ひどい、ひどい。あんまりだわ。』 この言葉のせいで叔父は自分の主張を認めてもらえず、話は悪い方向に。 だが、甥の守は叔父を信じ、事故の真相を探っていくが全く関係の無い他の事件とのつながりが出てきて、姉までも巻き込まれていく。 罪をつぐなうというのはどういう事なのか。 結局人間は自分の事しか考えられないのか。 そんな重い話題に催眠術が絡んでくる充実した内容の作品です。 |
長い長い殺人 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★ | |
金は天下のまわりもの。 財布の中で現金は、きれいな金も汚い金も、みな同じ顔をして収まっている。 しかし、財布の気持ちになれば、話は別だ。 刑事の財布、強請屋の財布、死者の財布から犯人の財布まで、10個の財布が物語る持ち主の行動、現金の動きが、意表をついた重大事件をあぶりだす! 読者を驚嘆させずにはおかない、前代未聞、驚天動地の話題作。 |
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まず、この作品の主人公は「財布」です。 財布から見た1人称形式で1つの事件の発端から解決までを書いています。 全編は10個の短編から構成されていて、ある人物の財布が主人に対して起こった出来事を述べるという形になっています。 一見何の関係もなさそうな人物達が、実はある事件の重要な役割を担っている所がおもしろいです。 最後まで読むと何とも言えぬやりきれなさを感じますが、宮部さんの作品、特に現代長編はこの手の内容を鋭く書いたものが多いです。 何度でも読み返したくなる名作です。 |
アナザへヴン | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
飯田 譲治 | 感 | ★★★★ | |
ベテラン刑事飛鷹健一郎と部下の早瀬学の前に東京を震撼させる連続殺人事件が発生した。 犯人は、殺害した被害者の首を切り取り脳を料理していたのだ。 飛鷹と早瀬は犯人らしきひとりの女を追い詰め、事件は解決するかのようにみえたが・・・。 |
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映画化、ドラマ化された角川ホラーの名作。 結構ドラマは見てた人もいるんじゃないですか? 映画の方しか見ていませんが原作に忠実に再現されていて、配役も良いですね。 内容は結構グロテスクなんですが、それをそうと感じさせないストーリーです。 この作品は中盤以降、犯人が一体何者なのかという謎も出てきます。 が、原作では一番最初に犯人の正体がズバリ書いてあるんです。 普通に読んでると忘れちゃうんですけどね。 |
13階段 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★★ | ★★★★★ | |
高野 和明 | 感 | ★★★★★ | |
無実の死刑囚を救い出せ。 期限は3ヶ月、報酬は1000万円。 喧嘩で人を殺し仮釈放中の青年と、犯罪者の矯正に絶望した刑務官。 彼らに持ちかけられた仕事は、記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすことだった。 最大級の衝撃を放つデッド・リミット型サスペンス! |
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満点。 導入から中盤、終盤、どこを取っても飽きさせません。 引き込まれるようなストーリーと細かい人物設定がきちんと書かれています。 事件の謎解きと仮釈放の青年の過去を振り返る場面が伏線となっていて最後に交じり合うとき、思わず唸ってしまいます。 そして事件解決後に判る、ある過去の事件の真実。 映画化されるそうですが、この小説のイメージを壊したくないので絶対に見ません。 「模倣犯」しかし、「13階段」しかり、「青の炎」も・・・。 もうちょっとキャスト考えてくれって。 |
闇先案内人 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
大沢 在昌 | 感 | ★★★★ | |
過去も本名も捨てて生きる男に託された重要人物の行方。 追いつ追われつ、プロの意地と誇りをかけた凄絶なる死闘の幕が上がった・・・。 |
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おもしろい! 犯罪や借金などから依頼人を守り、安全な場所まで運ぶ「逃がし屋」。 その逃がし屋の中でも国内でトップレベルの主人公に持ちかけられたのは、ある国の重要人物の安全確保。 そして報酬は自分の過去を不問にすること。 ほとんど何も手掛りがない状態から他のチームによって守られている人物を探し出すという作業。 「このミステリーがすごい!」でTOP10に入っただけの事はあります。 ハードボイルド路線はあまり読みませんが、たまにはこういうのも良いですね。 |
ステップファザー・ステップ | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★ | |
中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。 そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような家庭生活がスタートする。 次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。 宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作。 |
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ちょっと苦手なジャンルですね。 一口にユーモアと言っても、明るいユーモア、ブラックユーモア、あからさまなユーモアと色々あると思っています。 そして、あからさまで、かつブラックなユーモアというのが一番苦手です。 読んでいて眉間に皺がよるような・・・。 アメリカンコメディっぽい作品で、大人が子供にやりこめられるという感じでしょうか。 さーっと読んでしまいました。 |
龍は眠る | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★★ | |
嵐の晩だった。 雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。 何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。 その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。 それが全ての始まりだったのだ・・・。 |
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荒れ狂う豪雨の中、マンホールに子供が落ちて死亡する事故が起こる。 その事件の詳細を知る少年は実際に現場を「見て」はいない。 雑誌記者が半信半疑で調査をすると、全てが少年の言うとおりだった。 しかし、その少年はペテン師だという青年も現われ、雑誌記者は少年の言う事を信じることができなくなってしまう。 そして事件は思わぬ方向に・・・。 実際に超能力を持ってる、という人に会っても、まず信じることはできないでしょうね。 実際にその眼で見て説明をしてもらっても、自分の常識の範疇を超える事は100%は信じる事ができなくて当たり前でしょう。 だけどもし、本当にそんな力を持つ人間が目の前に現われて力を貸してくれと言われたら・・・。 あらすじで受ける印象よりもはるかに深く、重い題材の作品です。 |
パラレルワールド・ラブストーリー | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。 「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。 錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。 精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!? 傑作長編ミステリー。 |
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「本当の記憶」と「作られた記憶」が入り乱れて、現実での生活の中でその違いに迷走する・・・。 読んでるほうも訳がわからなくなってきます。 ですが、終盤になるにつれて「本当の記憶」がはっきりとなり、最初の方に読んでいた事が、あぁなるほどねとうなずけてきます。 伏線だと思われていた事が実は主線だったりと、様々な所で意表をつかれます。 なかなかおもしろいのでは。 |
鳩笛草 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★★★ | |
祖母の死でひとりぼっちになった麻生智子。 八歳のとき交通事故で両親を亡くし、同情していた智子は助かったものの記憶喪失に・・・。 祖母が隠していたビデオを見て、記憶を失くす以前の自分には”ある秘密の能力があった”ことを確信した!そして・・・。(朽ちてゆくまで) 女子高生の妹が乱暴され、溺死した。 復讐を誓う兄の前に現われた女は「私がお役に立ちます」と言って、眼でキャンドルの日をつけた・・・胸を打つ結末!(燔祭) 城南署捜査課の本田貴子には、人の心を読める透視能力がある。 そのことが彼女にある衝撃を・・・。(鳩笛草) 今、最も注目される人気作家が描く情感溢れる異色ミステリー中編三部作! |
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超常能力を持つ女性を主人公にした中編作品。 素晴らしい作品ばかりで、完成度も高いです。 このうち、「燔祭」は後に発表される「クロスファイア」の原点となる作品です。 私としては表題作が一番好きです。 図らずも超能力を持ってしまったが故の苦悩・・・。 しかし、それを乗り越えてまた強くなる姿が見事に書かれています。 |
しのぶセンセにサヨナラ | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
竹内しのぶ、25歳、独身。 大阪大路小学校の教諭だが兵庫の大学へ内地留学中。 あれから三年、浪花のヘプバーンこと、しのぶセンセがさらにパワーアップして帰ってきた。 もう誰にも止められない!? 抱腹絶倒、でもチョッピリ切ない物語。 いま人気急上昇中の俊英が送る超人気連作ミステリー、待望の文庫化。 |
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東野さんの作品で連作っていうのは珍しいのではないでしょうか? 東野さんの作品は結構重たい内容のものが多いので、このくらい明るい内容の作品が逆に受けるのかも。 前作と共に肩の力を抜いて読める作品です。 |
浪花少年探偵団 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
竹内しのぶ、25歳、独身、短大卒。 大阪大路小学校六年五組担任の教師。 ちょっと見は丸顔の美人だが、口も早いし手も早い。 そのしのぶセンセのクラスの福島の父親が殺された。 事件解決のためにしのぶセンセと教え子探偵団が大活躍。 エリートの本間と刑事の新藤もしのぶをめぐって恋のさや当て大捜査戦。 |
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最初の印象は、あれ?これ宮部さんの作品? それくらい作風が似てるというか登場人物の雰囲気が似てるというか。 全然気張らずに読めますね。 ちゃんと事件の解決にはなるほどと思わせる所もありますし。 |
名探偵の掟 | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★ | |
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。 フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。 すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは? 本格推理の様々な”お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリ。 |
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コメントなし。 |
仮面山荘殺人事件 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。 外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。 恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。 だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。 七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった・・・。 |
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この作品はかなり早い段階で犯人が仲間内にいるのでは、という方向に流れていきます。 こうなると読む方もいろいろと予想を立てながら読めるので、出来事がある度にうなずいたり悔しがったり。 そういう点ではおもしろい作品でした。 ですが、ちょっと意識しすぎですかね?最後のほうはわかってしまいましたからね・・・。 東野さん作品は相当凝ったものが多いですから、その点から逆に犯人を推理出来ちゃったり。 でもこの作品、どっかで読んだなぁっていう感じが・・・。 |
OUT | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
桐野 夏生 | 感 | ★★★ | |
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。 「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へと導いたのは、思いもよらぬ事件だった。 なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか? 犯罪小説の到達点! |
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映画化されたのは最近ですが、本作が発表されたのは97年です。 その当時も一回読んでますが、随分間が空いたのでもう一度文庫を買って読み直しました。 新鮮さはありませんでしたが、映画化が決まり配役も知っていたので感情移入の度合いは以前とは比べるべくもありませんでした。 室井滋さんははまり役だろうなぁ。 あなたは一回200万で死体をバラバラに出来ますか?な〜んて・・・。 |
名探偵の呪縛 | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★ | |
図書館を訪れた「私」は、いつの間にか別世界に迷い込み、探偵天下一になっていた。 次々起こる怪事件。だが何かがおかしい。 じつはそこは、「本格推理」という概念の存在しない街だったのだ。 この街を作った者の正体は?そして街にかけられた呪いとは何なのか。 『名探偵の掟』の主人公が長編で再登場。 |
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こういうのは好きではないですね。 東野さんの作品だから外れはないべさ〜と思っていたんですけど。 ユーモア?なんのジャンルかも良くわからないし。 ということでコメントはこれで終わり。 |
むかし僕が死んだ家 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
「あたしには幼い頃の思い出が全然ないの」。 7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。 それは、めったに人が来ることの無い山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。 そこで二人を待ち受ける恐るべき真実とは・・・。 超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。 |
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ストーリーとしてはそれほど目新しいものでもないですかね。 幼い頃の記憶を無くしている女性と一緒に思い出の場所を訪れ、その中で様々な体験とともに記憶が蘇える。 読み進めていくと、もしかしてこうなんじゃないか?とかって思うんですけど、進むたびに、あぁ違うか、お?やっぱりそうか?なんて思ったり。 最後は結局良い意味で裏切られるんですが。 こういう所で作家さんの力量がわかるんですね。 |
宿命 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
高校時代の初恋の女性と心ならずも別れなければならかった男は、苦闘の青春を過ごした後、警察官となった。 男の前に十年ぶりに現われたのは学生時代ライバルだった男で、奇しくも初恋の女の夫となっていた。 刑事と容疑者、幼なじみの二人が宿命の対決を果たすとき、余りにも皮肉で感動的な結末が用意される。 |
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この作品は確かNHKでドラマになったはずですね。 確かに完成度、内容共に申し分無い出来だと思います。 ただ、東野さんの作品としては普通かな、と。 刑事と初恋の女性、ライバルの幼なじみの関係が非常に見事に書かれています。 そして全く無関係だと思っていた昔の事件にも絡みついてきて、全てが解決するときは、なるほどのため息が出ます。 ・・・もうちょっと点数高くてもいいなぁ。 |
とり残されて | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★ | |
勤め先の小学校で、ヒロインは「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。 そんな折、校内プールに女性の死体が・・・。 その謎にせまる表題作ほか、夢の「場所」捜しから始まる内面の旅を描いて名作の聞こえ高い「たった一人」など6篇を収録。 巧みな伏線、鮮やかな舞台設定。 清新にして熟達の筆致をおたのしみください。 |
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宮部さんには珍しく、ブラックな色合いが濃い短編集。 非現実、超常現象的なものを巧みにあつかい、作品に厚みを持たせています。 個人的にはちょっと苦手な感じですが・・・。 あえて言うならば「世にも奇妙な物語」に近い感じです。 もうちょっと現実的な作品の方が好きなんですよね。 |
死が二人を分かつまで | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★★ | |
由利江は驚いた!気がついたら自分の心臓が止まっている。 いったい何が自分に起こったのか? 生き続けるためには他の人間の生命エネルギーを奪わなければならない。 殺人を犯してまで生を選ぶのか。 大学のキャンパスに迷い込んだ由利江を追いかけて、夫・広造はついに銃を手にした! 傑作ホラー長編。 |
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ストーリーはおもしろかったですね。 心臓に負担がかかりすぎ、あるショックで死んでしまうが、何故か意識はある。 しかし、生きている人間に触れると、その生命エネルギーを吸い取ってしまう。 これ以上犯罪を犯させないために夫は二人の大学生と共に妻を追いかける。 大学生の恋愛と夫婦の逃走劇がサスペンス的に組み合わさり、良かったですね。 しかし、最後のおまけはいらないんじゃないかな? ちょっと拍子抜け・・・。 |
卒業 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
七人の大学四年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。 ある日、祥子が自室で死んだ。 部屋は密室、自殺か、他殺か? 心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛りに死の謎を追求する。 しかし、第二の事件はさらに異常なものだった。 茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!? |
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うーん・・・結局説明されても良くわからないなぁ。 かなり凝ったしかけで茶道のお茶に毒をしかけて飲ませたのはわかるんだけど。 図解までしてくれたにも関わらず、いまいちピンとこず。 あまり興味がなかったからかもしれないな。 内容的にはよくある仲良しグループの中で殺人が起こり、同じグループの仲間が真相を究明するという感じ。 まぁ普通でしょうか・・・。 |
どちらかが彼女を殺した | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
最愛の妹が偽装を施され殺害された。 愛知県警豊橋署に勤務する兄・和泉康正は独自の”現場検証”の結果、容疑者を二人に絞り込む。 一人は妹の親友。もう一人は、かつての恋人。 妹の復讐に燃え真犯人に肉薄する兄、その前に立ちはだかる練馬署の加賀刑事。 殺したのは男か?女か?究極の「推理」小説。 |
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東野圭吾さんの読者に対する挑戦状とも言える作品の第一弾。 最愛の妹から「親友に裏切られた」との電話を受け、不安になり妹を訪ねて見ると睡眠薬と電気ショックにより死亡していた。 当初自殺かと思われたが、警察官である兄はこれを偽装と見破る。 独力の捜査により犯人を絞り込むも決め手が無い。 最終的には命をかけての自白をせまるが・・・。 以前読んだ「私が彼を殺した」もそうでしたが、普通に読んだだけでは全然犯人がわかりません。 それっぽい所を読み返しても、まだわからず・・・。 結局袋とじの「解決の手引き」を読んでしまうのです。 |
返事はいらない | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★ | |
失恋からコンピュータ犯罪の片棒を担ぐにいたる微妙な女性心理の動きを描く表題作。 『火車』の原型ともいえる「裏切らないで」。 切なくあたたかい「ドルネシアにようこそ」など6編を収録。 日々の生活と幻想が交錯する東京。 街と人の姿を鮮やかに描き、爽やかでハートウォーミングな読後感を残す。 宮部みゆきワールドを確立し、その魅力の全てが凝縮された山本賞受賞前夜の作品集。 |
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宮部さんは女性を描かせたら本当にうまいですね。 この6編の中では「返事がいらない」が最もおもしろかったですね。 現在の社会のしくみの弱さを露呈するために事件を起こして小さな抵抗をする3人。 警察に容疑者として事情聴取されるも、最後は爽やかな終わり方をします。 また、他の作品も切なさとあたたかさが同居する良い作品ばかり。 何度も読み返したくなる一品です。 |
天空の蜂 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。 無人操縦でホバリングしているのは、稼動中の原子力発電所の真上。 日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。 そしてヘリの燃料が尽きるとき・・・。 驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。 |
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テロリスト対政府という図式の作品は数多く出ていますが、人質を国民全てにしている所が凄い。 原子力発電所の危険性と非常時のしくみを丁寧に説明してくれる箇所もあり、非常に読みやすいと思います。 原子力発電所を盾にとっての脅迫事件に誘拐事件の要素も加わり、読み応えあり。 600ページを越す大作ですが、事件の始まりから終わりまではたった数時間。 いかに密度の濃い作品なのかがわかるでしょうか。 最後の犯人の心のつぶやきが非常に胸に残ります。 |
デッドウォーター | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
永瀬 隼介 | 感 | ★★ | |
獄中の敵を撃て! 神の采配か悪魔の悪戯か、希代の殺人鬼と事件ライターを繋ぐ、血塗られた絆とは!? |
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5人の女性を暴行し殺害し、神を信じる殺人鬼。 事件記者こそが本当のライターと信じる主人公があるきっかけで獄中の殺人鬼との取材に成功する。 しかし、取材を進めるうちに記者と殺人鬼の意外な接点が浮かび上がる。 中盤以降まではすごく良かったんですけど、最後がちょっと弱かったかな・・・。 序盤から出てくるボクサーと暴力団の関係もあまり意味が無かったような? 二兎を追って一兎も・・・さすがにそれは言いすぎですね。 |
同級生 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
同級生の宮前由紀子は俺の子を身ごもったまま、そして俺の愛が本物だったと信じたまま事故死した。俺にできる償いは本気の関係だったと皆に告白することと事故の真相を暴く事だけだった。やがてある女教師が関わっていたことを突き止めるが、彼女の絞殺体が発見されるや、一転俺は容疑者にされてしまう。 | |||
ふと、赤川次郎さんが書きそうだなぁと思った作品でした。 犯人はほとんどわかっているのに確証が無く、疑惑が浮かんでは消えていく・・・。 本当にこの人の作品はストーリーのもっていきかたがうまいですね。 また色んな人の作品を読まないとすぐにネタ切れしそうだ。 |
私が彼を殺した | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
婚約中の男性の自宅に突然現れた一人の女性。男に裏切られたことを知った彼女は服毒自殺をはかった。男は自分との関わりを隠そうとする。醜い愛憎の果て、殺人は起こった。容疑者は3人。事件の鍵は女が残した毒入りカプセルの数とその行方。加賀刑事が探り当てた真相に、読者のあなたはどこまで迫れるか。 | |||
この小説の最後の1行。 「犯人はあなたです。」 これで終わってしまうんですよ。 読者に犯人を推理させる、ちょっとした小説クイズ? はっきり言って1回目はさっぱりわかりませんでした。 そして2回目読み返して、ここら辺かな〜という当たりをつけて巻末の推理の手引きという袋とじを見てみると・・・。 犯人は合ってましたが、謎解きが半分も出来てませんでした。 いかにいつも小説を斜め読みしてるかという事を教えられた作品でした。 内容もおもしろかったです。 |
世にも奇妙な物語 小説の特別編「再生」 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
落合 正幸 他 | 感 | ★★★ | |
携帯電話に届いた不思議なメールに従い友達登録をした小百合。友達がたくさん出来始めたのだが・・・。「友達登録」 一攫千金を夢見て株に興味を持ち始めた高桑喜一郎。彼が見つけた自分と同じ名前の株とは?「株式男」 第二次世界大戦中姿を消した爆撃機<雷神>。突然、現代に姿を現してしまい・・・。「太平洋は燃えているか?」 心臓移植の手術を受けた緑。手術は成功したが、以前には無い感覚が襲い始めた。「心臓の思い出」 悪夢の世界より再び四つの奇妙な物語が生まれる。 |
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テーマは非常によかったと思います。 ただ、世にも奇妙な物語独特の展開が読めてしまうのが残念。 全く違うタイトルで出版されていたらおもしろかったと思います。 固定されたイメージが出来上がってしまったブランドを打破してくれる作品は残念ながらありませんでした。 |
世にも奇妙な物語 小説の特別編「悲鳴」 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
落合 正幸 他 | 感 | ★★ | |
素敵な恋に憧れる理沙が迷い込んだドラマのような世界とは・・・?「ドラマティックシンドローム」 犯罪被害者の遺族が加害者に仇討ちをするTV番組、仇討ちショー。蘭は撲殺された父の敵を打つべく番組に出演する!「仇討ちショー」 昏睡状態で話せないはずの祖母の声を聞いてしまった美保。彼女が祖母に頼まれた願いとは・・・。「おばあちゃん」 189名が帰らぬ人になった飛行機事故。ただ独り奇跡的に生き残った凛を悪夢が襲う!「奇跡の女」 奇妙な世界に迷い込み、恐怖のあまり絶叫した四人の美女たちの物語。 |
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完全にTVでの映像化を念頭に置いているというのが、はっきりとわかります。 小説ではなく台本みたいな印象を受けました。 TVを見逃す事が多いので原作を買ってみたんですけど、ちょっとがっかり。 大分小説のネタ切れになってきたので、そろそろあれに手を出すか・・・。 |
眠れぬ夜を抱いて | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
野沢 尚 | 感 | ★★★ | |
二週間のうちに、同じ新興住宅地に住むふたつの家族が、生活の痕跡を残したまま忽然と姿を消した。 地元消防団も山狩りを行い、警察も大規模な操作網を敷いた。 しかしこんな事態になっても、悠子には警察に隠している事があった。 あの約束を守ろうとする自分がいる。 |
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この春からの連ドラの原作ですね。 感想ですが、内容がちょっと薄いような気がしました・・・。 登場人物の設定がしっかりしていただけに残念。 ドラマは人気が出そうな配役だったので、いい感じで盛り上がるんじゃないでしょうか。 CMを見る限り、原作の3分の1を第1話だけで進めるらしい・・・。 |
卒業 | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★ | |
吉村 達也 | 感 | ★★ | |
高校卒業の日、積年の怨みを自殺という形であてつけようと伊豆山中に死に場を求めた神保康明は、そこで奇妙な老人と少女に会う。 「二十年後を待て」それが老人の放ったメッセージ。 死を思いとどまった康明は、やがて愛妻家で子煩悩のよきパパとなる。 だが、二十年後の同じ日、平和な暮らしをしていた康明に突然復讐の鬼が取り憑いた。 何も知らぬ妻の前では理想の夫を演じながら、陰では人の頭を打ち砕く殺人鬼。 その背景には常識を超えた驚愕の真相が! |
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あらすじの一番最後の「常識を超えた驚愕の真相が」に引かれて買いました。 途中までは、まぁ普通の展開という感じでした。 が、終盤はちょっと・・・。 確かに驚愕でした。なんじゃそりゃっていう驚愕。 この出演者が関係する連作になるそうですが、ごめんなさいです。 |
THE S.O.U.P. | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
川端 裕人 | 感 | ★★★★ | |
たったひとつの部屋から世界は崩壊しはじめる。 「本日、インターネットの経路障害の<公開実験>を演出したのは我々である。これは全面的な宣戦布告である。史上初のサイバーウォーズは、新たな世界のはじまりを告げるときの声となろう」 |
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インターネットの持つ危険性に焦点を当てた小説。 しかも内容がものすごく濃い。パソコンに興味が無い人や、あまり詳しくない人は置いていかれるかも。 ゲームとインターネット、ハッカーとクラッカーなどいろいろな要素が加わって壮大な内容になってます。 いつかこれに近い事件が起こってもおかしくないかも。 |
姫椿 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★★ | |
浅田 次郎 | 感 | ★★★★ | |
ペットに死なれた独身OL、不況で自殺を考える経営者、妻に先立たれた大学教師・・・ 凍てついた心を抱える人々に、救いの手はさしのべられるのか。 冬の公園の日溜まりにも似た微かな温もり。 魂をゆさぶる八篇。 |
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えーっと・・・何て言うか・・・読むの2回目です。 以前にも読んだ事あるのに、また買ってしまいました。 既読の書名くらい覚えとけって・・・。 また懲りもせずに短編集です。 特別抜きん出た作品はありませんでしたが、一定水準以上の作品ばかりだと思います。 ちなみに映画化された「鉄道員(ぽっぽや)」も短編だったってご存知でした? |
天使の殺人(完全版) | ス | ★ | 総合 |
興 | ★★ | ★ | |
辻 真先 | 感 | ★ | |
このミステリの犯人は天使です。しかし探偵役もまた天使が務めます。一方、このミステリは「犯人捜し」の物語であると同時に、死者と探偵が誰なのか判らず、しかも「天使の殺人」の作者さえ判らない、という作品なのです。どうしてそういうことになるのかは、直接本文をお読みください・・・実験推理のパイオニア・辻真先の代表作を、幻の戯曲版と合わせ「完全版」として文庫化! | |||
やってしまいましたね・・・今期初の最低評価。 天使が迎えに行った魂の持ち主がわからず、とにかく誰かの魂を持って帰ろう、そして適当な理由をつければ納得するでしょ? そんな感じ。そんなくだらない部分を出演する3人それぞれが死んだ場合、つまり3回も繰り返すから読む気が完全に失せました。 勝手にすれば。それがこの作品への評価です。 |
密室+アリバイ=真犯人 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★★ | |
日本推理作家協会 | 感 | ★★★ | |
秘密組織「黒窓の会」に出席したN大学工学部の助教授がインドにある遺跡にまつわる奇妙な謎を解き明かす「石塔の屋根飾り」、重要容疑者へのインタビューを目論むTV取材班と少女失踪事件の顛末を描く「独占インタビュー」をはじめ、手に汗握る選りすぐりの全9編。これぞ現代ミステリー! | |||
最近短編集を選んで買ってしまうようになってしまいました。 いろいろな作家さんの長所がこめられた作品なので、短編集で良かった作家さんの長編を買うという順番で行こうと思います。 ある写真から奇妙な建造物の謎を解き明かす「石塔の屋根飾り」、マスコミを利用してある計画を遂行しようとする容疑者のたくらみを暴く「独占インタビュー」。 あらすじに書いてある作品以外に目立った作品が無いのが残念。よって評価も普通という事に。 |
探偵ガリレオ | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
突然、燃え上がった若者の頭、心臓だけ腐った男の死体、池に浮かんだデスマスク、幽体離脱した少年・・・警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。 帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。 常識を超えた謎に天才科学者が挑む、連作ミステリーのシリーズ第一作。 |
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いや、本当に最近は短編集が当たる。 謎解きというか、事件のトリックを化学現象にスポットを当てている短編集。 いろいろ勉強になる事もあり、刑事と助教授のコンビもいい味を出しています。 連作になるらしいので次回作に期待。 |
東京タワー | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★ | |
江國 香織 | 感 | ★★ | |
恋はするものじゃなく、落ちるものだ。 ふたりの少年と年上の恋人・・・恋の極みを描く待望の長編恋愛小説。 |
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結構TVとかで紹介されていたので、興味もあり買ってみました。 が・・・はっきり言って全くおもしろくありませんでした。 TVドラマにしたら人気はでるかもしれないけど・・・。 若い青年が年上の人妻と隠れて会う。ただそれの繰り返し。 オチも無し。こういう小説が世間には人気があるんだ、と勉強になったと思うことにしよう。 |
枝の折れた小さな樹 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
鈴木 光司 | 感 | ★★★★ | |
妹の死んだその日から、壊れてしまった父と母。 彼女の「死後」を「再生」しようとする兄。 「画像」の中で最後を迎える彼女が残す言葉は・・・。 人生の一瞬の時を紡ぐ七つの物語。 |
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あるひとつのテーマを決して前面に出すわけではなく、物語を読んでいき最終的に浮かび上がってくるように描いてある短編集。 何度も読み返したくなる作品が多数ありました。 最近短編集の良作に恵まれています。 でも力のある長編も読みたいです・・・。 |
リカ | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★★ | ★★★★ | |
五十嵐 貴久 | 感 | ★★★ | |
きっかけは、ほんの出来心だった・・・。 本間隆雄は妻子を愛する、42歳のごく平凡なサラリーマン。軽い気持ちで始めたインターネットの「出会いサイト」でのナンパで、ある日「リカ」と名乗る女性と知り合う。当初はリカからのメールを楽しみにしていたが、徐々に常軌を逸していくリカの言動に脅えた本間は、携帯の番号を変え連絡を断った。ほとぼりも冷めた頃、インターネットカフェを訪れた本間は、リカがネットを通じて異常な執念で彼を探している事を知る。そしてリカの恐るべきストーキングが始まり、ついには娘にまで手を出した。意を決した本間は”怪物”と化したリカと対決するが・・・。 |
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第2回ホラーサスペンス大賞大賞受賞作。 まず設定が良いですね。実際に出会い系サイトでの事件も頻発していますし。 この作品はストーカーという要素も加えて見事なホラーにまとめています。 読み終わったときに、R15指定くらいはされるでしょうけど映画化したらおもしろいだろうなぁと思いました。 もうちょっと長くてもいいかなぁと思いましたが読み応えはありました。 |
ある閉ざされた雪の山荘で | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
早春の乗鞍高原のペンションに集まったのはオーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、一人また一人と現実に仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれた。はたしてこれは本当に芝居なのか?驚愕の終幕が読者を待っている! | |||
実際には雪も降っていなければ電話も通じる開放された状況を舞台稽古という設定で密室に仕立て上げるというのが良い設定でしたね。 居なくなった仲間が果たして設定なのか現実なのかという不安が正常な思考を奪い去る。 そして真相は・・・ ありがちな終わり方じゃなかったところが良かったです。 |
変身 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★ | |
平凡な青年・成瀬純一をある日突然不慮の事故が襲った。そして彼の頭に世界初の脳移植手術が行われた。それまで画家を夢見て優しい恋人を愛していた純一は、手術後徐々に性格が変わっていくのを自分ではどうしようもない。自己崩壊の恐怖に駆られた純一は自分に移植された脳の持ち主の正体を突き止める。 | |||
人の死は一体どこで決まるのか。 体には異常は無くとも他人の脳が半分移植されていたら果たして「自分」であるのかどうか。 いまだ現実では行われていない脳移植が行われたら一体どうなるのかという問題をホラーに仕上げた作品。 なかなかおもしろいテーマで内容もしっかりまとまっていたと思います。 |
友に捧げる哀歌 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★★ | |
「死んだ浩子がどうしてここに!?」私立M大学の入学式、はるかが出会ったのは十数年前、故郷の村で行方不明になった幼なじみと瓜二つの美少女だった。浩子の話になるとなぜか口を閉ざす父と母。やがて、はるかの周りで不審な事件が起こり始める。殺人、誘惑、陰謀。華やぐキャンパスがにわかに揺れだした・・・。 | |||
行方不明になった浩子を色々な伏線でうまく隠せてました。 しかし、起こったイベントをきちっと処理しきれていなかったような気が。 旅館で襲われた犯人なんか一回も登場しない人物にしてしまうとは。 ちょっと腑に落ちない点がありましたが、まぁ・・・。 |
闇が呼んでいる | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★★ | |
美香、小百合、さとみ、淳子の女子大生四人は自らの罪を隠蔽するため、無実の西川勇吉をレイプ犯に仕立てあげ自殺に追い込んだ。数年後、美香は小百合の恋人を奪い結婚、小百合は大物政治家の愛人となり、さとみはアナウンサー、淳子は大学講師に。それぞれが新しい人生を歩み始めたとき、西川らしき人物から手紙やFAXが届く。以降、仕事や家庭に異変が・・・。闇の中の亡霊におののく彼女たちの未来に光はあるのか?長編ミステリーの傑作! | |||
赤川次郎さんの作品を一気に読みすぎたせいか、最近読む作品がどうも集中して読めない。 やっぱり同じ著者の作品だと作風も同じなわけで、展開が似てしまうのはしょうがないのでしょうか。 金持ちの社長令嬢とその仲間が麻薬に手をつけて外国人にレイプされ、麻薬を使っていたことを隠すために無実の元恋人を犯人にしたてあげる。 中心となる人物のわがままぶりと仲間の変貌ぶりがものすごい。結局、最後はそれが仇となるわけですが。 そろそろ赤川次郎作品から一度距離をおかないとだめだな。 |
天使の耳 | ス | ★★★★★ | 総合 |
興 | ★★★★ | ★★★★★ | |
東野 圭吾 | 感 | ★★★★★ | |
深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か?死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。 | |||
久々の満点! 短編でこれだけレベルが高い作品は初めてじゃないかな? 全ての作品においてストーリーがしっかりしていて、結末が予想を裏切ってくれる。 表題作の「天使の耳」はその中でも最高作。最後は思わず唸ってしまいましたね。 この人の作品にこれから注目していこう・・・。 |
訪問者 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
新津 きよみ | 感 | ★★★ | |
夫の出張で七ヶ月の息子と二人きりの周子の家に、強盗殺人犯の男が侵入、立てこもった。隙を見て外部と連絡を取ろうとする周子。それらの行為に苛立ちをつのらせていく「訪問者」。さらに、夫の浮気をほのめかす突然の電話が周子の神経を揺さぶる・・・。 <家>という密室の中で追い詰められた女に芽生えてゆく感情とは?女性心理を描く名手が送る、傑作サイコ・サスペンス。 |
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実際に強盗が入ってきたらこんな感じなのかな、と思わせるような非常に心理描写が細かく描かれた作品。 中身は2部構成で、前半が強盗殺人犯が入り込んできてから開放されるまで。後半はその後引越しして連続殺人に巻き込まれてしまう。 前半部分はかなり引き込まれましたね。あらすじを読んでいたので、前半部分が終わった所で気が抜けてしまいました。 後半は作業的に読んでしまい、あまり内容が頭に入ってこなかったです。 |
恋占い | ス | ★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
赤川 次郎 | 感 | ★★ | |
いつも誰かに恋してはトラブルに巻き込まれる姉、まどか。そんな姉をサポートするしっかり&クールな妹、みゆき。 ふたりは同じ学園の中学と高校に通う姉妹。 「全く世話のやける人!」妹はよく思う。 「私、もう恋はしないわ・・・」姉はたまに反省する。 でも、「恋してないお姉ちゃんは、お姉ちゃんらしくない」 21世紀も、恋は事件で冒険です。キュートな9つのストーリー。 |
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たまにはこんなジャンルもいいかなぁと思って・・・ でもやっぱり読みたいと思ったのを買わないと失敗しますね。 |
東京下町殺人暮色 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
宮部 みゆき | 感 | ★★★ | |
13歳の八木沢順が刑事である父の道雄と生活を始めたのは、ウォーターフロントとして注目を集めている隅田川と荒川にはさまれた東京の下町だった。 そのころ町内では”ある家で人殺しがあった”という噂で持ちきりだった。はたして荒川でバラバラ死体の一部が発見されて・・・。 |
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非常に宮部さんらしい作品。 バラバラ死体が発見されるたびに届く警察を挑発する怪文書。 刑事である父と好奇心旺盛なその息子が少しずつ事件の核に迫っていき、最後にたどり着く所は・・・。 最終的な事件の動機が表面に見えてるものとあまりにも違う所がいかにも、という感じがしますが、そこに持っていく技法がやはりうまい。 2001年度ミステリー大賞受賞の「模倣犯」がちょっと残念でしたが次回作に期待。 |
十の恐怖 | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★ | ★★ | |
赤川 次郎 他 | 感 | ★★ | |
「迎えに来たの・・・約束だったでしょ。今日で十代はおしまいよ」 十代最後の日、友也の前に現れた可愛いドレスの女の子。 死神だと名乗った彼女は、友也につきまとい始めた。 三年前の約束を果たし、友也の死を見届けるために・・・。 赤川次郎「十代最後の日」ほか。 「十」にまつわる十一の恐怖があなたの知覚を激しく揺さぶる。 豪華執筆陣によるホラー短編集。 |
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「十」にまつわる話が十一話。なのにほとんどが怪物が出てきたりSFチックなものばかり。 大抵、短編集となると可も無く不可も無くという作品が大半をしめるけれども、これはちょっとひどかった。 でも、まぁ当たりもあれば外れもあるということで。 |
シーズ・ザ・デイ | ス | ★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★ | |
鈴木 光司 | 感 | ★★★★ | |
16年前、5人の男女を乗せたヨットが南太平洋フィジー沖で遭難した。 愛したがゆえに傷つき、見えざるものの手によって翻弄された男と女。 ヨットという閉ざされた空間でいったい何が起きたのか。 |
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あらすじを見て買いました(いつもそうだけど)。 が、期待はずれ。鈴木光司さんといえば「リング」で有名ですね。 そのネームバリュー含めて購入したんですけど・・・。 序盤はおもしろくなりそうだなぁと思っていたんですけど、予想通りの展開になってしまったのが残念。 主題を何にしたいのかがはっきりしないまま終盤を迎えてしまった感じです。 |
あふれた愛 | ス | ★★★★ | 総合 |
興 | ★★★ | ★★★★ | |
天童 荒太 | 感 | ★★★★ | |
ふたりでいても、かなしい。 ひとりでいても、いとしい。 生きていくということ・・・その意味と真実とは。 人々の交錯する心情を通して問いかける四つの物語。 |
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子供を通じて気づく愛、空想と現実の狭間に揺れる愛、困難を乗り切るためにお互いを支えあう愛、一人の男性の死によって気づく愛。 内容は少し暗めでせつないですが、なかなか考えさせられるいい作品でした。 同著者の「永遠の仔」の執筆過程で生まれた作品らしく、テーマに共通する所が多かったように思います。 |