ARKの日常
その3
注)
なお,この話に関しては100%嘘八百です。
似たようなことはあったかもしれませんが
細かいこと気にしちゃーいけません。
てーか、そんな細かい事いう人なんか嫌いだい。
○月×日 くもり
今日も今日とていい天気。
ギルド設立の資金調達の為に資金調達をしよう!!と心に決めながら
ユ銀でまったりと立ち尽くしていた。
なんかもー、始めっからだめだめって感じだ。
そんな時、フロット兄から通信が来た。
フロット兄は自称サポーターというちゃぶ台をひっくり返したくなるような
怪しい職業の人間だ。
実の兄貴じゃなきゃ絶対関わりたくないね、おいらは。
実際やってることはただの遺跡の盗掘だし、サポートするより
迷惑かけてる割合のほうがずっと多いように思えるのは気の所為じゃないだろう。
なんつーか、同じ血がつながっているかと思うと涙が出てきそうな奴だが兄は兄である。
なんか散々ひどいことも言っているがどうせ向こうも思いは同じ。
お互い様って奴だ。
まあ、こんな事いってるのがばれると何されるかわかんねーんで
さらっと聞き流してくれたらうれしいです。
ま、今日もがんばって各地の宝箱を巡って荒稼ぎ(フロット兄がそんな要領いいとも思えんが…)
しているのだろう。
がんばっておいらの分も稼いでくれ!!、とか思わず口が滑りそうになったが
そんなこといったら,今度はどこに連れてかれるかわかんないんでやめておく。
フロット「よっ、元気かー」
おいら「まあね、フロット兄は何してんの?」
フロット「あいも変わらず,宝箱巡りさ」
おいら「せいが出るねー」
フロット「いやー、しかしOLって強いねー。
弓じゃ無理だな」
おいら「……は?」
どうやら、オーガやオーガロードが駆け回るデスパイスの地下3階の
宝箱を漁っているらしい。
…なんちゅーか、
「お金と命とどっちが大事ですか?」
とか真顔で聞きたくなるくらい勇猛果敢(何も考えてないだけか?)ですな。
フロット兄もいいかげん自分の実力をわきまえて欲しいもんだ。
てーか、実力あってもOLなんて怪物相手に弓じゃあ無理です。
フロット「と,いうわけでよろしく♪」
おいら「……はい?」
どうやら、手伝いに来いってことらしい。
基本的においらは特に取り得はない。
フロット兄のように手先も器用じゃないし、マヨネのように魔法もつかえない。
ラッコみたいなハルバードの強烈無比な一撃があるわけでもない。
そんな,おいらの役目は一言で言えば『盾』だ。
『おとり』とか『餌』とか『人柱』とか,そんな呼び方もあるような気もするけど
なんか泣きたくなるからそんな呼び方嫌いだ。
そんなおいらが呼ばれたって事は要するにフロット兄が宝箱開けてる間
オーガ達を引きつけておけっていうことなんだろう。
言い換えれば,『俺の幸せの為に死んでくれ』ともいう。
真っ平ごめんだ。
これが可愛い女の子のお願いならまだしも、何が悲しくてフロット兄の為に
命をかけねばならんのか。
だいたい、これで死んだらまさに犬死だ。
しかも、おいらは金と命を天秤にかければ間違いなく命のほうが重い。
自衛の為なら仲間を見捨てるのも致しかたないんじゃなかろうか?とか
中々に素敵(腐れ?)な考えを常に心に持つような一般市民。
…うん、今忙しいような気がどことなくしてきたし,残念だけど救援は無理だよね。
まあ、例えおいらが行かなくてもフロット兄が死ぬとは限らないし。
もし,死んじゃったっておいらには痛くも痒くも………
フロット「もしこなかったら、ナイフ一本でワイバーン島一週間サバイバルツアーへご招待な」
おいら「……」
…この男、マジだ。
マジでやる気だ。
てーか,そんな場所連れてかれたら一日だって生き残れっこねー(><
…どうやら道はOLに殺されるか,肉親に殺されるかしかなさそうである。
考えた末に救援に向かう事にした。
魔物より身内のほうが怖い。
……嫌な世の中になったもんである。
とりあえず、現場にいってみるとフロット兄が走り回っていた。
思った以上に元気そうだ。
おいら「来たよー」
フロット「よし、そんじゃ頼むぞ♪」
そういっていきなり走り去っていった。
そして、視線の先には山のようなオーガ達が猛り狂って向かってきてます。
おいら「……兄さん,あなた何やりましたか?」
フロット「ひ・み・つ♪」
そういって、口元に指を立てるフロット兄。
はっきり言って似合ってねー。
おいら「……フロット兄、次それやったら問答無用で帰るぞ」
フロット「…うぃ。俺もやって後悔した」
おいら「…たく」
フロット「ま〜,それはともかく……後は頼んだ」
それだけ言ってあっさりと消えるフロット。
当然,おいらに姿隠しなんて高度な魔法は使えねー。
そして数秒後…
無数のオーガ達にタコられるおいらの姿があった。
おいら「痛い,痛いよ(TOT」
フロット「がんばれー、骨は拾ってやれんが、変わりに持ち物は拾って
有効利用したるから安心して死んでこい」
おいら「鬼ぃー!! 絶対,死んでなんかやらねーからなぁぁ!!」
そんなことを叫ぶおいらの横をにこやかな笑顔と共に宝箱を漁りまくるフロット兄。
オーガ達の財宝を根こそぎ奪っていきそうな雰囲気である。
オーガの怒りもよくわかるってもんだ。
……ですが,それで何故おいらが殴られてますか?
世の中,つくづく理不尽なものである。
強固な鎧〔ラング製〕と包帯とフロット兄の回復魔法のおかげで
何とか周りを見渡す余裕も出来てきたので辺りを見回してみる。
……オーガしか見えませんな。
視界全てがオーガで埋まってます。
例えていうなら、人気アイドルに群がるミーハーな力士の群れ…
……なんか、命以外のもっと大切なものが
奪われそうでとっても嫌です。
おいら「……逃げちゃダメすか?」
フロット「却下」
おいら「しくしくしく…
こあいよー、たくさんの力士がぁ…飛び散る汗がぁ…
暑苦しいよぉ,貞操がやばいよぉぉぉ…」
フロット「えーい、泣くな! 情けない!!
親愛なる兄の為に死ねるならそれで本望!!くらい言ってみろ」
おいら「なんで、おいらがこんな腐れた兄貴の為に命かけなくちゃなんねーんだーっ!!
もういい,逃げ出しちゃる」
フロット「……An Ex Por(麻痺呪文)」
おいら「あうう,ごめんなさい,フロット兄。
こんな状況で麻痺喰らったら、恥ずかしくて表を
歩けない体になっちまいまうぅぅ(ToT)」
フロット「まったく、しょうがないな。
じゃあ、この箱で最後にするから待ってな」
おいら「うぃ」
これで帰れる。
むさい力士モドキともお別れだ。
こんな汗臭いバトルなんて二度とやるもんか。
帰ったら,お風呂に入って不貞寝しちゃる。
そんなこと考えながら耐えまくる。
……ん?
なんか妙に体が痛い。
オーガなんて暑苦しくはあってもそんなに強くは……
……オーガロード混ざってるし。
君達,似すぎです。
ちゃんと見分けがつくように色違いのマフラーとかすべきだろう?
そんな正論(?)を吐いてみたが,当然聞く耳なんて持ちやしねー。
がりがり,殴られてます。
おいら「きゃー、オーガロードォォォ(><)」
フロット「うるさい,気が散る!!」
おいら「……うぃ」
見事な集中力です,兄上。
おいらの事なんてまったくアウトオブ眼中な雰囲気で
黙々と箱を開けまくってくれてます。
…てーか、さっきの箱で最後って言葉はどこ行きましたか?
このままではあっさりと殺されちゃいそうなんで
全力ダッシュで逃げる。
そんな、おいらに群がるオーガ&オーガロード。
……何故,君達の財宝盗みまくってるフロット兄ではなく
おいらに向かってきますか?
フロット「…さて、そろそろ帰るか?」
おいら「うぃ!!」
待っていました、その言葉。
命がけの全力疾走のおかげでいい感じにまいってます。
だが,それもここまで!!
フロット「あ、ちょいまち」
おいら「うぃ?」
フロット「…重くて動けないや。
あはは、これはびっくり」
……何で,そんなになるまで漁りつづけてますか?
実の弟が瀕死になってるっていうのに…
おいら「…荷物、持つから少しおくれ」
フロット「悪いね。
じゃあ,これ代わりに持ってくれ」
そして、ずっしりと重くなるおいらのリュック。
…いったいどれだけ渡したですか?
重くて動けねーし(><)
そして、当然のようにそこへ群がるオーガ達。
気分は阿鼻叫喚って感じだ。
おいら「ぷりぃーず、へるぷみぃぃーーーーー!!」
フロット「なに遊んでんだ?
もう帰るぞ」
そんなおいらの叫びをあっさりと聞き流して
町へのゲートが現れた。
その中に颯爽と姿を消すフロット兄。
なんとも軽やかな動きだ。
おいらに荷物の大半を押し付けていったんだからそりゃあ軽やかだろうさ。
その後を這うようにして、おいらは重い体を引きずって
オーガにタコられながらようやくゲートを抜けた。
フロット「おかえりー」
おいら「た、ただいま・・・・」
既に今回の戦利品より分けてやがるし。
おいらの事なんか気にも止めてねーな。
こうなったら,仕事料ふんだくったる。
おいら「フロット兄,今回のおいらの取り分だけど…」
フロット「そんな睨むなって。
安心しなちゃんと払うよ」
おいら「当然だい」
フロット「はい、アークの取り分だ」
おいら「…へ?」
渡されたのは明細書と書かれた紙切れ一枚。
おいら「フロット兄、これは?」
フロット「なんだ,知らんのか? それは明細書ってもんだ」
おいら「いや,そうじゃなくて…」
フロット「まずお前の取り分の半分は新ギルド設立資金として
ラッコさんに流れる。これはいいな?」
おいら「……うぃ」
あんまよくない気もするが、まあ仕方ない。
フロット「で,今回の残りの報酬は…」
おいら「うん」
フロット「お前が今までに使い込んだ俺の金への返済に自動的に回る」
おいら「……へ?」
フロット「まあ、あと数十回もいけばお前も晴れて自由の身だ。
がんばれよ!」
おいら「今までの分,ちゃんと記録してたの?」
フロット「大体の記録だがね。まあ利子として多少多めに貰うがな」
おいら「で、でも、船買った時とかその度にお仕置き受けてたし…」
フロット「それは、それだ。罰を受けたからって使ったお金が戻るわけないじゃないか♪」
おいら「…あうぅ」
なんかもう、涙でくもって何も見えませんって感じだ。
フロット「ま、がんばって返してくれ。
ちなみに、借金返済まで俺の呼び出しを断るのは不許可だ」
……ちくしょう、大人って汚いや。
なんつーか、せっかく拾った命を捨てること大確定ぽい雰囲気だ。
ま、まあ、先のことは気にしない事にして、今は生き残ったことを喜ぼう。
ああ、生きてるってすばらしい!!(自棄はいってます)
フロット「じゃ、次いくかー♪」
おいら「……もうすか?」
なんか、辞世の句を読む暇もないくらいスピーディな展開だ。
……この後のことは、思い出したくない。
ただ、人間の限界って割りと奥が深かったってことだけは記録しておく。
…もう、限界にチャレンジなんて死んでもしたくない。
おいらの人生山ばっかな気がするのは気のせいですか?
おわし