“仙台クラッシックフェスティバル”に寄せて
私は父親の転勤で5歳の夏から小学生3年の夏まで仙台で育ちました。両親は松島や蔵王などの温泉地へ何度も連れて行ってくれたり、休暇には少し足を延ばし東北各地の名所も案内してくれました。まだ幼かった私ですが、その美しかった景色を今でも写真のように思い出すことができます。また、小学校の校庭で様々な昆虫を見つけたり、担任の先生が名取川に連れて行ってくださったりと、豊かな自然を満喫することができました。
今回の震災では、私の大切な思い出のある多くの美しい風景が失われました。そして、数えきれない方々のお心に深い傷が刻まれたことと思います。しかし、私はお心も風景も、必ず元気と美しさを取り戻せると信じております。子供の頃や演奏会で何度も訪れた時に感じた皆様の意志の強さや人間の原点とも言える素朴で温かなお心は、震災からの復興を成し遂げ、より一層の輝きを放つ日がくると信じています。今回仙台で演奏させていただける機会に感謝するとともに、私はそのことを音楽で表現していきたいと思っております。【談】