高橋悠治×藤井一興 20世紀横断

  高橋さんは60〜80年代の現代音楽を代表する世界的な音楽家で、私は予ねてよりご一緒させて頂きたいと思っていました。 最初に共演させていただいたのは、何年か前の大阪のイシハラホールでのメシアンの企画で、曲は「アーメンの幻影」でした。その折に私の家のヤマハピアノを使って練習したことがありましたが、高橋さんの弾く音色はとても太い音で、いつも私が弾いているピアノにもかかわらず、その音色に驚きました。

 高橋さんと私はタイプの異なるピアニストだと思います。同じタイプの方との共演ですと、相手が何を考えているのか、何をやりたいのか、どうしたいのかが一瞬で分かってしまいます。それはそれで良いのですが、違うタイプの方とご一緒するのは非常に勉強になり、学ぶことも多く楽しいものです。それに高橋さんはとても凄い方で音が出る前に何か伝わってくるものがあるのです。 そういう方と今回また共演させていただけるのは光栄ですね。

 今回はソロ、連弾、2台ピアノとバリエーションもあり、個々、重なり、響きなど、それぞれのピアノの魅力が楽しめると思います。また、高橋さんが選ばれた2台ピアノや連弾の曲はとても珍しい曲ですが、お聴きになるときっと選曲の意図がよく分かると思いますよ。【談】