54号(H22.7) 電友下越へ戻る
○退任挨拶 〃
○あこがれの人「良寛」
新発田市 星 野 淳 雄
高校生の頃に良寛の書を知り、以来良寛とのつき合いがもう50年になりました。
今、この良寛を慕う人が増えております。「新潟日報」が毎日題字脇に良寛の言葉を載せてから3年目に入りま
した。全国良寛会の協力で始め、当初は半年か1年と思っていたのですが読者の評判もよくまだいつ終わるか決
まっておりません。
書店でもいろんな良寛本が並んでいます。同―人物に対し千種類を超える著書が発行された人物は良寛以外に
はないと思います。
また、良寛を慕う各地の「良寛会」は50を超えております。毎年1回各地の良寛会が一同に会する全国大会
が開かれます。今年は天台宗の総本山比叡山延暦寺で6月5日に開かれました。私も参加してきましたが、良寛
とは直接には関係ない延暦寺でも良寛を偉大な仏道者として歓迎し、寺をあげての180年法要を行っていただ
きました。
では、なぜ良寛が現代に慕われているのでしょうか。
一言でいえば「人間の本来の生き方をした」からなのです。良寛が修行をしながら周りを見ると当時の仏教界
も金と名誉を求め堕落していると感じ、本山にも上がらず、寺も弟子も持たず、ただ一人釈尊や道元の教えのと
おりの生活を実践したのです。
修行、座禅、にあけくれその合間に托鉢に出て村人、子どもだちとつき合い誰からも慕われました。
現代は競争社会、格差社会、と言われ 金、物、名誉を競っています。人間関係もゆがんでいます。良寛はそ
れらには一切目もくれず「生活はつつましく、心は豊かに」の生き方をしました。今、心が不在と言われている
時にこそ、この良寛の生き方が求められているのだと思います。
私はそんな良寛の心を知っていただきた<、新発田良寛会と市の教育委員会との共催で市民生涯学習「しばた
良寛講座」の企画運営を始めて5年目になります。
毎月1回、県内の良寛研究者を講師に迎えて講演をしていただいております。これも受講者が少なければ1~
2年で終わると思っていたのですが、1年目は90名程5年目の今年も120名程の市民から申し込みをいただ
いております。講師依頼とその運営準備が大変ですが何とか続けたいと思っております。
私は良寛が好きですが、皆さんがご存知のとおり私は良寛のような生活態度はとてもできません。ある場面場
面でふと良寛の心を思い出し「良寛さますみませんでした」と反省を繰り返しております。ですから、私にとっ
て良寛は永遠にあこがれの人なのです。
最後に私の好きな良寛のことばをご紹介いたします。
o「君 看よ双眼の色 語らざれば 憂い無きに似たり」
あなた私の両目をよく看てください。語らないと何もわかりませんが、私の心は深い憂いでいっぱいなのです。
現代でもこんな気持ちで過ごしている、若者、中高年、が多<いるものと思います。
o「いかなるが苦しきものと問うならば 人をへだつる心と答へよ」
身分制度の厳しかった江戸時代においても、良寛は人を差別してはならないと言っているのです
現代でも誰に対してもおなじ態度で接しましょう。
(次回は新潟市秋葉区の 松田正志さん にお願いします。)