建ぺい率許可制度活用コンペ結果報告 報告者 小南一朗氏(コンペ審査員)
はじめに
本委員会の目的は集合住宅研究が中心ですが、住宅の縦に積み上げたのが集合住宅で、横に並んでいるのが街並ともいえ、街並や景観の形成といった視点で見ると、この制度や活用コンペを一度勉強しておいた方がいいと考えて企画しました。
*平成14年3月現在で、大阪市内で3区画で、建ぺい率許可制度を利用した事例がでてきているそうです。
平成14年3月のの建築基準法一部改正により、「まちづくりに関する都市計画の提案制度」が創設され、住民等の自主的まちづくりの推進や、地域の活性化を図りやすくするため、土地所有者、まちづくり協議会、まちづくりNPO等が、一定の面積以上の一体的な区域について、土地所有者等の2/3以上の同意を得て、都市計画の提案ができることとなりました。
建築家は、街並や景観をリードする役割がますます重要になってきているのではないかと思います。
■趣旨
今春、建ぺい率の緩和をする許可制度の実施に伴い、大阪府がこの制度を活用し、密集市街地や狭小宅地で建替えを進め、防火性能・災害時の避難・居住環境が向上した街づくりが実現できることを、広く市民に知って頂くための、設計コンペである。
■制度の概要建築基準法の改正により、老朽木造住宅が集積している街区で、採光・通風等に寄与できる一定の空間及び、防火上有効な耐火性能を備えた建築物について、法定建ぺい率に10%を加えたものを上限とすることができることとなった。(別途条件により20%まで可)条件等は各特定行政庁毎に作成することとなっている。
詳しい内容等は、各行政庁作成資料参照(13年6月現在で府下では、大阪府と大阪市が作成済み、他特庁も検討中)■優秀作品の講評(略)
■委員から出された感想・意見
・市民は、この制度を知らないのではないか。又知ったとしても、専門家でないと対応できないのではないか。
・審査員が住宅の設計の経験が少ない方や、宅建協会、不動産協会の方々がおられた為、
建築家の視点との違い(建築家は居住性や新しい住まい方の提案の有無を重視するのに対し、
販売者側は売りやすさを考え、居住室数があること:nLDKにこだわる)により審査にてこずった。
・一戸単位でなく街区単位でコンペをしても面白いのではないか。
・委員会が、街区を選定し計画案を市に売りこむ。又、市と協力してモデル地区を指定しコンペを行ってはどうか。
・南北方向につながる街区で、壁面後退線をとる計画も検討してはどうか。
・付加条件(壁面後退線緑化、屋上緑化、壁面後退距離の割増)等で、補助金制度が期待される。
・作品展などに計画案を提出し、この制度をもっとアピールする。
・容積緩和もあってもいいのでがないか。4.その他
・こらからの行政では、準防火地域を広げる傾向にある。(防災上と固定資産税が上がる)
・インターネットでアイディア募集が多く行われているが、著作権はどうなるのか気がかり。
(勝手にアイディアが使われているのではないか)