(社)日本建築家協会近畿支部環境部会活動報告
「地球環境・私の関心」
「地球環境・私の関心」というテーマで、四人の方々に日ごろ感じるところを発表していだだき、その後参加者全員での自由なディスカッションが行われた。お昼をはさんでで二時間という短く、中途半端な時間帯にもかかわらず多数の参加で、静かな熱気も感じられる有意義なひとときであった。
菅家さんよりの、一九九三年JIA大会での環境宣言から、本年五月開催の理事会で採択された環境行動指針を受けて、まさしく行動の時代に入ったとの開会の疾拶に続き、
住宅部会・風の路の市居さんによる発表は「住まいのあり方を問う」。
われわれが教育を受け、建て続けて来た西洋的近代建築とは何だったのか。日本の気候風土に在ることの違和感を内面に問いかけ、本来のありうべき姿を”万物斉同、無為自然…”といった東洋思想の、わけ隔てしない謙虚でつつましい在り方にこそ、住み心地、居心地のよいものがあるのではないかというお話しが自邸のスライドと共に語られた。
二番目は、住宅部会・木の路の藤田さんによる「地球環境と木造建築」。
丹波年輪の里と取り組んでこられた、地域素材を川下の都市部で木造住宅として建て、流通では得られない山への親近感をもち地域経済を活性させることが、景観、環境をまもることにつながるとの活動報告が、作品のスライドをまじえて行われた。三番目は和歌山会の中西さんからの「和歌山をとりまく環境メモ」。
記憶に新しい和歌の浦”不老橋”の景観論争、紀淡海峡大橋や伊丹丹生川ダムなどの現況報告から、大規模な公共工事を目先の利便性にとらわれず次世代にまで及ぶ影響を考える時であること。また、戦争で六〇%の建物を消失した和歌山市でも古い建物の外壁に残る洪水跡などから、歴史が力強く教えてくれるものに謙虚に目をむけて行きたいとのメッセージ。最後に環境委員の直原さんから「パッシブアーキテクチュアのアレルギー疾患対策への有効性」。
アレルギー疾患のある方からの住宅相談を受けて、自然環境、
自然エネルギーを緩やかに活用した家作りが大変有効であることが改装例などをまじえて紹介された。…“紙面の都合上ディスカッションの模様をお伝えできず残念ですが、柿の葉寿司をつまみながらの反省会は和やかなものであったことをご報告しておきます。(執筆:谷口美樹子、JIA NEWS99年10月号より転載)