(社)日本建築家協会近畿支部 福祉部会活動報告     ホームに戻る

高齢化、少子化、の時代を迎え、福祉の問題は今や社会の最重要課題となって来ております。
福祉の実態は厚生労働省を主体に制度が度々改変され、施設が追いついていません。
事業主は何10年も前の施設を抱え、制度、運営を現行に合わせていかなければならないと言う苦労を抱えています。

福祉部会は、実情を把握すべく福祉施設の見学会を実施しております。
また、部会員それぞれが携わっている施設の実情(具体的な改修を含む)の報告会を設け、
「福祉施設改善マニュアル」の作成に向け情報の収集を行ってきました。

さらに、認知症についても、それを正しく把握し、運営や施設を考えることが大切で、
「認知症サポーター養成講座」を開催し、認知症の実態と運営者の苦労等を直接聞くことができました。

2008年度も、引き続き「福祉施設改善マニュアル」の作成を目指します。

さらに視野を広げて、町づくりに於いてどの人にも優しい、ユニバーサルデザインの町となるよう、まずは、
公共施設のチェックを実施し、その是正を促す運動も進めて行きたいと思っています。


○見学会について
建築家の設計する建築の用途は多種多様で、用途毎に独特の専門知識などが必要です。
福祉施設は「器と中味」の一体性が求められる建物であると思われ、
デザインだけでなく、利用者の快適性や、スタッフの使い勝手といった視点もあわせて、総合的な視点も必要です。
福祉施設の視察などを通じて、建築以外の福祉・医療の専門家や利用者の意見を広く伺う活動をしています。

2007年度見学会
特別養護老人ホーム「シオンの里」(2007/7)
介護老人保健施設「リーベン嵯峨野」(2007/10)

○福祉施設改善マニュアル
建物の老朽化や、福祉制度の改正などにより、福祉施設の改修の依頼を受けることが多くなっています。
例えば、「福祉サービス第三者評価システム」ができていますが、建築的な観点が少ないと思っています。
改修のデザインなどによって施設の使い勝手や入居者の生活の向上ができるのではないかと考えています。

○認知症サポーター養成講座
厚生労働省の「認知症を知り、地域をつくる」キャンペーンの一環として、
認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守る応援者になるため、
認知症の症状や治療方法・予防、支援の仕方などの基礎知識を
テキストを元に講義を受け、実例をビデオで学びます。
認知症サポーター100万人キャラバンでは100万人の認知症サポーターの養成を目指しているそうです。
(認知症サポーターは平成20年3月現在で45万人強)

<用語集や政策の動向:これは作りかけの項目です>

○ノーマライゼーション(normalization)
1960年代に北欧諸国から始まった社会福祉をめぐる社会理念の一つ。
障がい者と健常者とは、お互いが特別に区別されることなく、社会生活を共にするのが正常なことであり、
本来の望ましい姿であるとする考え方。またそれに向けた運動や施策なども含まれる。
日本では、1993年(平成5年)にノーマライゼーションの思想に基づき障害者基本法が制定された。

○高齢社会対策基本法(平成7年法律第129号)
  高齢社会対策の大綱(平成8年7月5日閣議決定)
  高齢社会対策大綱の見直し(13年12月28日:多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援など)

○高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)

○交通バリアフリー法(高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)(平成12年法律第68号)
「道路の移動円滑化整備ガイドライン(平成14年12月策定)」

○「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平成6年法律第44号)
平成14年度に、一定の用途及び規模の特定建築物についてバリアフリー対応の義務付けの創設及び努力義務の対象の拡大、
容積率特例制度を始めとする認定建築物に対する支援措置の拡大等を内容とする改正

○「ゴールドプラン21」(平成11年12月19日大蔵・厚生・自治3大臣により合意)
高齢化社会に備えて、厚生労働省が1989年に制定した「高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略」の通称が「ゴールドプラン」。
上記が1994年に全面改定され、高齢者保健福祉5ヵ年計画が策定された。通称「新ゴールドプラン」
新ゴールドプランは1999年度で終了し、新たに策定された高齢者保健福祉5ヵ年計画が「ゴールドプラン21」。
「いつでもどこでも介護サービス」
「高齢者が尊厳を保ちながら暮らせる社会づくり」
「ヤング・オールド(若々しい高齢者)作戦」の推進、
「支えあうあたたかな地域づくり」
「保健福祉を支える基盤づくり」など、
介護サービスの基盤整備と生活支援対策などが位置付けられ、グループホームの整備を具体的な施策として掲げている。

○2002(平成14)年度から、ユニットケア型の
特別養護老人ホーム(小規模生活単位型特別養護老人ホーム)に対応した
施設整備費補助金が設けられた。

○ユニットケアとは
施設の居室(個室)を10人程度のグループに分け、それぞれを一つのユニット(生活単位)とし、
このユニットごとに食事や入浴、施設内の行事などの日常生活を送り、 少人数の家庭的な雰囲気に中で生活を共にしながら
個別にケア(介護)すること。

○平成12年4月からは公的介護保険制度が施行されました。
我が国の社会福祉が社会的弱者救済から国民すべてを遍く対象とした福祉に切り替わり、
そして社会福祉施設にとっては措置制度から利用制度への移行に伴い、
社会福祉制度の大きな転換期を迎えています。