(社)日本建築家協会近畿支部集合住宅部会資料集

中高層共同住宅標準管理委託契約書
昭和57年1月
住宅宅地審議会

○○マンション管理委託契約書

 ○○マンション管理組合(以下「甲」という。)と○○管理会社(以下「乙」という。)とは、○○マンション(以下「本マンション」という。)の管理に関し、 次のとおり管理委託契約書(以下「本契約」という。)を締結する。 

(総  則)

第1条 甲は、本マンションの管理に関する業務を、次条以下に定めるところにより、乙に委託する。 

(本マンションの表示及び管理対象部分)

第2条 本マンションの敷地及び建物は、次のとおりである。

 一 敷 地 所 在 地 面  積

 二 建 物 構  造 建築面積  延床面積 

2 本マンションのうち、本契約に係る管理の対象となる部分は、○○マンション管理規約(以下「管理規約」という。)によるものとし、その範囲は、次の各号に掲げるとおりとする。

 一 敷地 
 二 建物共用部分(専有部分以外の建物の部分)玄関ホール、廊下、階段、屋外階段、屋上、エレベーターホール、共用トイレ、湯沸室、エレベーター室、ポンプ室、電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、内外壁、界壁、床スラブ、柱、基礎部分、塔屋、バルコニー、ベランダ
 三 建物付属設備(専有部分に属しない建物の付属物で建物に直接付属する設備)エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、テレビ共聴設備、消防・防災設備、各種の配線配管

 四 建物付属設備(専有部分に属しない建物の付属物で建物に直接付属しない施 設)塀、フェンス、掲示板、駐車場、自転車置場、花壇、庭木、散水栓、外灯設備、水道引込管、排水施設、塵芥集積所、消火栓、専用庭
 五 規約共用部分(管理規約により共用部分となる部分)管理員室、管理用倉庫、 清掃員控室、集会所、トランクルーム、倉庫 

(委託業務の内容)

第3条 本マンションの管理に関する業務のうち、甲が乙に委託する業務(以下「委託業務」という。)は、次のとおりとする。

 一 事務管理業務(別表第1に掲げる業務)
 二 管理員業務 (別表第2に掲げる業務)
 三 清掃業務  (別表第3に掲げる業務)
 四 設備管理業務(別表第4に掲げる業務)

(第三者への再委託)

第4条 乙は、前条第二号、第三号又は第四号の業務の全部又は一部を、第三者に再委託することができる。 

2 乙が委託業務を第三者に再委託した場合においては、乙は、再委託した業務の適正な処理について、甲に対して、責任を負う。 

(善管注意義務)

第5条 乙は、善良なる管理者の注意をもって委託業務を行うものとする。 

2 乙は、甲の指示に基づいて行った業務及び乙の申出にかかわらず甲が承認しな かった事項に関して、責任を負わないものとする。

(委託業務に要する費用の負担及び支払方法)

第6条 甲は、乙が委託業務を行うため必要とする一切の費用を負担するものとする。

2 甲は、前項の費用のうち、その負担方法が定額でかつ精算を伴わない費用(以下「定額管理費」という。)を、乙に対し、毎月、次のとおり支払うものとする。

 一 定額管理費の額 月額○○円

 二 支払期日    毎月○日までにその翌月分を支払う。

 三 日割計算    期間が1月に満たない場合は1月を○日として日割計算を行う。 

3 第1項の費用のうち、定額管理費以外の費用の支払方法は、甲及び乙が協議して定める。 

(費用の事前承認)

第7条 乙は、甲の事業年度開始前に、甲に対し、委託業務を行うために必要な費 用の見積りを提示し、その承認を受けなければならない。 

2 乙は、委託業務を行うために必要な費用が、前項の承認を受けた額を超えることとなるとき(超える額が少額であるときを除く。)は、甲に対し、速やかに、その内容及びそれに要する費用の見積りを提示し、その承認を受けなければならない。 

3 前2項にかかわらず、乙は、次の各号に掲げる業務については、甲の承認を受 けないで実施することができる。この場合において、乙は、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を、甲に通知しなければならない。

 一 事故その他の事由により、緊急に行う必要がある業務又は緊急に行うことが 極めて有効であると乙が判断した業務で、甲の承認を受ける時間的余裕がないもの

 二 電気料金、水道料金、ガス料金その他の料金の改定に伴う料金増額分の支出

 三 前2号に掲げるもののほか、偶発的に生じた業務 

(収支報告)

第8条 乙は、甲の事業年度終了後○月以内に、委託業務に係る収支決算書を作成し、甲に報告しなければならない。この場合において、定額管理費については、第7条第1項の費用の見積りにおける当該費用の額を決算額として計上するものとする。 

2 甲は、必要があるときは、乙に対し、委託業務に係る収支状況に関し、報告を 求めることができる。

3 前2項の場合において、甲は、乙に対し、委託業務の収支に係る関係書類の提 示を求めることができる。 

(立替金の補填)

第9条 第7条第3項の措置に要した費用及びこれに準ずる費用で、乙が業務遂行 上やむを得ず立て替えたものについては、甲は、速やかに、補填の措置をとらなければならない。 

(未収納金の取扱い)

第10条 乙は、第3条第一号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の 組合員に対し未収納金の督促を行っても、なお収納することができないときは、乙はその責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。 

2 前項にかかわらず、甲は、当該未収納金に係る取立てを、別途乙に委託するこ とができるものとする。 

(管理員室等の無償使用)

第11条 乙は、委託業務を行うため、管理員室、管理用倉庫、清掃員控室、器具、 備品等(次項において「管理員室等」という。)を無償で使用することができる。

2 乙の管理員室等の使用に係る費用は、甲及び乙が協議して定めるところにより、 甲が負担するものとする。 

(有害行為の中止要求)

第12条 乙は、委託業務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する 専有部分の占有者に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。

 一 法令、管理規約又は使用細則に違反する行為

 二 建物の保存に有害な行為

 三 所轄官庁の指示事項等に違反する行為又は所轄官庁の改善命令を受けるとみ られる違法若しくは著しく不当な行為

 四 委託業務の適正な遂行に著しく有害な行為

 五 組合員の共同の利益に反する行為

 六 前各号に掲げるもののほか、共同生活秩序を乱す行為 

2 乙が、前項により中止を求めても、なお甲の組合員又はその所有する専有部分 の占有者がその行為を中止しないときは、甲は、その行為の中止等に関する勧告又は指示若しくは警告を行わなければならない。 

(通知義務)

第13条 甲及び乙は、本マンションについて滅失、き損、瑕疵等の事実を知った 場合においては、速やかに、その状況を相手方に通知しなければならない。 

2 次の各号に掲げる場合においては、甲は、速やかに、書面をもって、乙に通知 しなければならない。 

 一 甲の役員又はその組合員が変更したとき

 二 甲の組合員がその専有部分を第三者に貸与したとき

(専有部分への立入り)

第14条 乙は、委託業務を行うため必要があるときは、甲の組合員の専有部分又 は専用使用部分に立ち入ることができる。 

2 前項の場合において、乙は、あらかじめその旨を当該組合員又は当該専有部分 若しくは当該専用使用部分の占有者に通知し、その承諾を得なければならない。ただし、防災等のため緊急を要するときはこの限りでない。 

(管理規約の提供等)

第15条 乙は、宅地建物取引業者が、甲の組合員から、当該組合員が所有する専 有部分の売却等の依頼をうけ、その媒介等の業務のために、管理規約の提供及び修繕積立金の積立総額の明示並びに当該組合員の負担に係る管理費及び修繕積立金の月額の明示を要求してきたときは、甲に代って、これに応じるものとする。 

2 前項の場合において、乙は、当該組合員に管理費等の未収納金があるときは、 甲に代って、当該宅地建物取引業者に対し、その精算に関する必要な措置を求めることができるものとする。

(乙の使用者責任)

第16条 乙は、乙の従業員が、その業務の遂行に関し、甲又は甲の組合員に損害 を及ぼしたときは、甲又は甲の組合員に対し、使用者としての責任を負う。

(免責事項)

第17条 乙は、甲又は甲の組合員が、次の各号に掲げる損害を受けたときは、そ の損害を賠償する責任を負わないものとする。

 一 天災地変等不可抗力による損害

 二 火災、盗難等の事故の発生による損害

 三 乙が善良なる管理者の注意をもって委託業務を行ったにもかかわらず生じた 諸設備の故障による損害

 四 前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害

(契約の解除)

第18条 甲及び乙は、その相手方が、本契約に定められた義務の履行を怠った場 合は、相当の期間を定めてその履行を催告し、相手方が当該期間内に、その義務を履行しないときは、本契約を解除することができる。 

2 前項の解除を行った場合は、甲又は乙は、その相手方に対し、損害賠償を請求 することができる。

(本契約の有効期間)

第19条 本契約の有効期間は、平成○年○月○日から平成○年○月○日までとする。

(契約の更新)

第20条 甲及び乙は、本契約の有効期間が満了する日の○月前までに、その相手方に対し、書面をもって、本契約の更新について申し出るものとする。ただし、甲及び乙から申出がないときは、本契約は従前と同一の条件をもって更に○年更新されるものとする。更新された契約についてもまた同様とする。

2 本契約の更新について申出があった場合において、その有効期間が満了する日までに更新に関する協議がととのわないときは、甲及び乙は、別に暫定特約を締結することができる。 

(誠実義務等)

第21条 甲及び乙は、本契約に基づく義務の履行について、審議を旨とし、誠実 に行わなければならない。 

2 本契約に定めのない事項で必要なものについては、甲及び乙は、誠意をもって 協議するものとする。 

(合意管轄裁判所)

第22条 本契約に起因する紛争に関し、訴訟を提起する必要が生じたときは、○ ○地方(簡易)裁判所を第一審管轄裁判所とするものとする。 

 本契約の証として契約書2通を作成し、甲及び乙が記名押印したうえ、各自1通 を保有するものとする。

 

  平成  年  月  日

            甲       印    


           乙       印 

別表第1 事務管理業務

1 出納業務 

(1)管理費、修繕積立金、組合費、専用使用料、水道料、冷暖房料、給湯料、その他甲の組合員が甲に支払うべき金銭(以下この表において「管理費等」とい う。)の収納及び保管

  イ 委託業務開始の際、組合員別の1月当たりの管理費等の負担額の一覧表を甲に提出すること。その額に変更があったときも同様とする。

  ロ 毎月の管理費等の支払方法については、各自組合員が○○銀行○○支店に自己名義の口座を設け、その口座から自動振替により毎月○日までに翌月分の管理費等を甲に支払う方法によること。

  ハ 管理費等の収納状況は、毎月甲に報告すること。 

  ニ 管理費等のうち修繕積立金については、○○銀行○○支店に○○マンショ ン管理組合理事長名義(又は○○マンション管理組合代行○○管理会社名義)

   の口座を設けて、保管すること。

  ホ 管理費等のうち余裕資金については、必要に応じ、甲と協議のうえ定期預

   金、金銭信託等に振り替えること。

(2)水道料、冷暖房料、給湯料等の精算

   精算方法等については、あらかじめ甲と協議すること。

(3)委託業務等に要する諸費用の支払

   委託業務等に要する諸費用及び甲の指示に基づく諸費用の支払を行うこと。

(4)帳簿等の管理

   管理組合の会計帳簿、請求書、領収書等を整理・保管すること。

(5)未収納金の徴収

  イ 管理費等の組合員別の未収納状況を毎月甲に報告すること。

  ロ 未収納者に対し、支払期限後○月の間、電話、自宅訪問、督促状の順により、その支払の督促を行うこと。これらの手続きによる督促にもかかわらず、 なお、未収納金を支払わないものに対しては、甲の承諾を得たうえ、その氏名を掲示すること。

(6)敷地等に係る公租公課の配分、徴収及び納付

   登記簿上の筆頭者に対して、一括課税される敷地等に係る公租公課について、各組合員の共有持分の割合に基づき、各に対する配分額を決定し、その徴収及び納付を行うこと。 

2 会計業務 

(1)管理組合の予算案作成の補助

   甲の事業年度開始の○月前までに、甲の当該事業年度の予算案の素案を作成し、甲に提出すること。

(2)管理組合の決算案作成の補助

   甲の事業年度終了後○月以内に当該事業年度の決算案の素案を作成し、甲に 提出すること。

(3)管理組合会計の収支状況の報告

   管理組合の会計の収支状況について、年○回甲に対し報告書を提出すること。

3 管理運営業務 

(1)補修工事、設備の保守点検等の外注に関する業務

   建物の補修工事、設備の保守、点検及び修理並びに建物等の清掃等(大規模 修繕又は火災等の事故による修繕を除く。)を外注により、他の業者に行わせる場合に、その発注、履行確認、その他の必要な業務を行うこと。

(2)防火管理業務の補助

   消防法により、甲が行わなければならない防火管理業務を補助すること。

(3)施設運営の補助

   駐車場、トランクルーム、集会室その他の施設の運営の補助を行うこと。

(4)各種契約の代行

   駐車場、トランクルーム等の専用使用の契約及びエレベーターその他の施設 の保守、補修等の契約に関する甲の業務を代行すること。

(5)損害保険契約の代行

   共用部分の火災保険及びガラス保険並びに共用部分又は専有部分の賠償責任 保険の契約締結等に関する甲の業務を代行すること。

(6)大規模修繕計画の立案の補助

   大規模修繕計画案を作成し、甲に提出すること。

(7)総会、理事会の運営の補助

   甲の総会及び理事会の開催に際し、必要となる資料の作成、案内の通知、会 場の準備等甲の総会及び理事会の運営の補助を行うこと。

(8)通知事項の伝達

   組合員に対する甲又は公的機関からの通知事項の伝達を行うこと

(9)官公庁、分譲業者等との折衝

   甲の業務に関し、消防署、水道局その他の官公庁若しくは町内会等又は分譲 業者若しくは施工業者と折衝等を要することとなった場合、甲を代理し、その折衝等を行うこと。 

別表第2 管理員業務

(1)業務の区分及び業務内容

1 受付等の業務 

(1)外来者の応接、居住者との応対、電話の接受、不在者の郵便物、品物等の受 渡し及び拾得物の取り扱い 

(2)共用部分にかかる鍵の保管及び貸出並びに管理用備品の管理 

(3)通知事項の掲示並びに入居者及び退去者の届出の受理

(4)官公庁との連絡及び粗大ゴミ収集の申込み 

2 点検業務 

(1)建物、諸設備及び諸施設の点検 

(2)照明の点灯及び消灯並びに管球類等の点検 

(3)諸設備の運転及び作動状況の点検並びにその記録

(4)各種警報装置の点検 

(5)各種メーターの検針 

3 立会業務 

(1)諸設備の保守点検の際の立会い

(2)共用部分の営繕工事の際の立会い 

(3)清掃業務の立会い

(4)ゴミ収集の際の立会い 

4 報告連絡業務 

(1)定時報告及び緊急時の連絡

(2)日誌の記録 

5 管理補助業務 

(1)防火管理業務の補助

(2)未収納金督促業務の補助 

(2)業務実施の態様 

管理員住込方式 

(1)管理員の執務時間は、○時○分から○時○分までとする。ただし緊急事態の 発生したときその他やむを得ない場合においては、当該時間以外に適宜執務するものとする。

(2)管理員の休日は、日曜、祝日及び管理員の有給休暇(忌引、夏期休暇及び年 末年始休暇を含む。)の日とする。

(3)管理員の執務場所は、管理員室とする。 

 

別表第3 清掃業務(省略)

別表第4 設備管理業務(省略) 

以上

各業界団体の長あて


中高層分譲共同住宅(マンション)に係る管理の適正化及び取引の公正の確保について

平成4年12月25日 建設省経動発第106号・建設省住管発第5号

 近年のマンションストックの増大、居住者のニーズの多様化等に伴って、マンションに係る管理の適正化及び取引の公正の確保が重要な政策課題となっている。
 建設省においては、既に「中高層共同住宅標準管理規約」及び「中高層共同住宅標準管理委託契約書」の指針としての活用等の指導(昭和57年5月21日建設省経動発第69号・建設省住民発31号等)、「中高層分譲共同住宅管理業者登録規程」の制定(昭和60年8月5日建設省告示第1115号)、「中高層分譲共同住宅管理業務処理準則」の制定(昭和62年4月25日建設省告示第1035号)等の施策を講じてきたところであるが、本年5月の総務庁の「中高層分譲共同住宅の管理等に関する行政監察」によると、いまだ分譲マンションの管理及び取引について適正を欠く場合があるとの指摘がなされたところである。
 本年5月に策定された「新不動産ビジョン」においても、今後必要な施策として「不動産管理の高度化」「流通と管理の連携の強化」等が掲げられている。
 ついては、貴団体におかれては、下記事項について留意するとともに、併せて貴団体加盟の業者に対する周知徹底及び指導を行われたい。



第1 管理規約の適正化

 1 宅地建物取引業者若しくは管理業者が管理規約の案を作成する場合に「中高層共同住宅標準管理規約」(以下「標準管理規約」という。)を指針として活用すべきであることについて、昭和57年に通達したところであるが(昭和57年5月21日建設省経動発第69号・建設省住民発31号)、十分な活用がなされていない管理規約も見受けられるため、この趣旨をさらに徹底すること。

 2 宅地建物取引業者若しくは管理業者が管理規約の案を作成した場合は、管理組合に対し、当該規約案と併せて標準管理規約を提示し、その内容の周知を図るとともに、当該規約案と標準管理規約との主たる相違点についてその理由を説明するよう努めること。

   宅地建物取引業者については、宅地建物取引業法第35条第1項第5号の2に基づき、規約案の中の一部の事項を説明することが義務づけられているが、法律上の説明義務の厳正な履行に加え、上記の説明に努めること。

 3 管理業者は、管理委託契約を結んでいる管理組合が、昭和59年の建物の区分所有等に関する法律の改正に伴い無効となった事項を含む管理規約等明らかに不合理と思われる管理規約を使用している場合においては、当該管理規約を改正することが必要である旨、管理組合に対し周知を図ること。

第2 管理業者による管理業務の適正化

 1 管理業者が管理委託契約を締結する際に「中高層共同住宅標準管理委託契約書」(以下「標準管理委託契約書」という。)を指針として活用すべきであることについて、昭和57年に通達したところであるが(昭和57年5月21日建設省経動発第69号・建設省住民発31号)、十分な活用がなされていない管理委託契約も見受けられるため、この趣旨をさらに徹底すること。

 2 宅地建物取引業者若しくは管理業者が管理委託契約書の案を作成した場合には、管理組合に対し、当該管理委託契約書の案と併せて標準管理委託契約書を提示し、その内容の周知を図るとともに、当該管理委託契約書案と標準管理委託契約書との主たる相違点についてその理由を説明するよう努めること。

 3 管理業者は、管理委託契約の本旨に従い、受託した管理業務を適切に実施すること。特に、管理費、修繕積立金等の保管については、その預金口座を管理業者名義にすることがないようにするとともに、収支状況の定期の報告の励行についてさらに徹底すること。

 4 建設省においては「中高層分譲共同住宅管理業者登録規程」に基づく管理業者の登録制度を実施しているところであるが、その登録件数はいまだ低位にとどまっており、今後、未登録の管理業者について登録勧奨の一層の推進を図ること。また、宅地建物取引業者が、マンションの分譲に際して、当該マンションの管理業者を推薦する場合には、登録済の管理業者を推薦するよう努めること。
   なお、登録申請が円滑に行われるよう、(平成5年度を目途に社団法人高層住宅管理業協会の各地方支部(札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡)を経由して申請できることとするので、これを活用すること。

第3 長期修繕計画の策定の促進及び修繕費用の適切な積立て等

 宅地建物取引業者にあってはマンションの分譲時に、また管理業者にあっては管理受託時に、マンションの実態に即した長期修繕計画の策定、これに基づく適切な修繕積立金の積立て及び適時の劣化診断の実施の必要性について、管理組合に対する周知に努めること。

第4 宅地建物取引業者による取引の適正化

 1 宅地建物取引業者は、マンションの取引に際して、宅地建物取引業法第35条に基づく重要事項説明及び同法37条に基づく契約内容書面の交付を適正に実施しなければならないが、この旨さらに徹底をはかること。

 2 宅地建物取引業者が、中古マンションの取引を行う場合において、当該マンションの建築年次及び内装・外装の修繕の実施状況について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げた場合には、宅地建物取引業法47条第1号に違反することとなるので、その旨留意すること。

 3 マンションの販売後に建物の不具合等が発見された場合においては、現在、法律上の瑕疵担保責任及び契約上のアフターサービス特約に基づいて、宅地建物取引業者がその補修を行っているところであるが、引き続きその適切な実施に努めること。

 4 マンション販売公告の適正化を図るため、宅地建物取引業法における取引に関する規制(第32条等)及び公正取引委員会の告示による「不動産の表示に関する公正競争規約」を遵守すること。また、モデルルームを利用する際に、展示物件と実際の販売予定物件が相違する場合には、その相違の状況を適正に表示すること。

以上