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■民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款改正<2009/6/8>
「平成21年5月改正」版として6月1日より発売
http://www.gcccc.jp/contract/contract.html
民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款委員会の公式ホームページが開設されました<2008/12>
約款の概要、新旧対照表、制定経緯などを掲載

民間(旧四会)連合協定工事請負約款の改定    

2007年5月にさらに改定されています> <住まいの建築へのアドバイス

建築関係7団体は、2000年4月1日の品確法の施行や
昨年9月に制定した「民間連合協定建築設計・監理業務委託契約約款」などと整合させるため
平成12年4月に下記の改定を行った。

1.構造及び雨水の侵入を防止する部分に関して、
瑕疵担保期間を
木造1年、非木造2年であるが 住宅に関しては10年とする。
2.請負契約書に設計住宅性能評価書が添付してあれば、表示性能を有する住宅を完成して引渡すことことを、契約書使用上の留意事項で明記、
3.性能表示住宅の場合は、品確法に定める指定住宅紛争処理機関に紛争解決を委ねることができることを定めた。

また遅延損害金を1/1,000から4/10,000に変更した(消費者保護法関係)ほか
工事監理者の業務関連部分等を建築設計・監理業務約款に整合させた。
改正経緯・新旧対照表は下記を参照。


民間(旧四会)連合協定工事請負約款・新旧対照表

旧約款 新約款(平成12年4月)

第3条 関連工事の調整  
甲または甲の委任をうけた丙は、甲の発注にかかる第三者の施工する他の工事が乙の施行す る工事と密接に開運する場合において、必要があるときは、それらの施工につき、調整を行うものとする。この場合において、乙は、甲または丙の調整に従い、第三者の施工が円滑に進捗し、完成するよう協力しなければならない。  



第6条 権利・義務の譲渡などの禁止 
(1)当事者は、相手方の書面による承諾を得なければ、この契約から生ずる権利または義務を、第三者に譲渡することもしくは承継させることはできない。

第3条 関連工事の調整  
甲(甲が監理に関する契約において関連工事の調整を行うことを丙に委任した場合は、丙)は、甲の発注にかかる第三者の施工する他の工事が乙の施行す る工事と密接に開運する場合において、必要があるときは、それらの施工につき、調整を行うものとする。この場合において、乙は、甲または丙の調整に従い、第三者の施工が円滑に進捗し、完成するよう協力しなければならない。

第6条 権利・義務の譲渡などの禁止
 (1)当事者は、相手方の書面による承諾を得なければ、この契約から生ずる権利または義務を、第三者に譲渡することまたは承継させることはできない。

第9条 監理者 
(1)丙は、甲の委任をうけてつぎのことを行う。   
a設計意図を正確に伝えるため、乙と打ち合わせ、必要に応じ説明図などを作成し、乙に交付すること。  
c乙の提出する施工計画を検討し、助言すること。  
d乙の作成する施工図(現寸図・工作図などをいう。以下同じ。)、模型などを検討し、承認すること。  
g乙の提出する出来高払または完成払の請求書を技術的に審査し、承認すること。  
h工事の内容・工期または請負代金額の変更に関する書類を技術的に審査し、承認すること。  
j第3条に定める関連工事の調整および連絡に当たること。  
k第24条(4)または第25条(5)に定める手続きを行うこと。
第9条 監理者 
(1)丙は、甲の委任をうけ、この契約における別段の定めのあるほか、つぎのことを行う。    a設計意図を正確に伝えるため、乙と打ち合わせ、必要に応じ説明図などを作成し、乙に交付すること。  
c乙の提出する施工計画を検討し、必要に応じて、乙に対して助言すること。  
設計図書の定めにより作成する施工図(現寸図・工作図などをいう。以下同じ。)、模型などが設計図書の内容に適合しているか否かを検討し、承認すること。  
g乙の提出する出来高払または完成払の請求書を技術的に審査すること。  
h工事の内容・工期または請負代金額の変更に関する書類を技術的に審査すること。  
j(削除)  
k(削除)
第10条 現場代理人・監理技術者など 
(3) 現場代理人は、つぎに定める権限を除き、この契約にもとづく乙のいっさいの権限を行使することができる。  
eこの契約の解除
第10条 現場代理人・監理技術者など 
(3) 現場代理人は、つぎに定める権限を除き、この契約にもとづく乙のいっさいの権限を行使することができる。  
e工事の中止・この契約の解除および損害賠償の請求
第14条 支給材料・貸与品 
(3) 乙は、支給材料または貸与品の引渡をうけたのち、本条(1)または(2)の検査または試験により発見することが困難であったかくれた瑕疵など、これを使用することが適当でないと認められる理由のあるときは、ただちにその旨を丙に通知し、その指示を求める。
第14条 支給材料・貸与品 
(3) 乙は、支給材料または貸与品の引渡をうけたのち、本条(1)または(2)の検査または試験により発見することが困難であったかくれた瑕疵が明らかになるなど、これを使用することが適当でないと認められる理由のあるときは、ただちにその旨を丙に通知し、その指示を求める。
第15条 丙の立会、工事記録の整備 
(2) 乙は.丙の指示があったときは、丙の立会に代えて工事写真などの記録を整備のうえ施工することができる。
第15条 丙の立会、工事記録の整備 
(2) 乙は.丙の指示があったときは、本条(1)の規定にかかわらず、丙の立会なく施工す ることができる。この場合、乙は、工事写真などの記録を整備して丙に提出する。
第19条 第三者損害 
(4) 契約の目的物にもとづく日照阻害・風害・電波障害その他甲の責に付すべき事由による損害を第三者に与えたときは、甲がその処理解決にあたり、必要あるときは、乙は、甲に協力する。この場合、第三者に与えた損害を補償するときは、甲がこれを負担する。
第19条 第三者損害 
(4) 契約の目的物にもとづく日照阻害・風害・電波障害その他甲の責に付すべき事由により、第三者との間に紛争が生じたとき、または損害を第三者に与えたときは、甲がその処理解決にあたり、必要あるときは、乙は、甲に協力する。この場合、第三者に与えた損害を補償するときは、甲がこれを負担する。
第24条 部分使用 
(4) 部分使用につき、法令にもとづいて必要となる手続は、甲が行う。また、手続に要する費用は、甲の負担とする。
第24条 部分使用 
(4) 部分使用につき、法令にもとづいて必要となる手続は、甲(甲が監理に関する契約において本項の手続を丙に委任した場合は、丙)が行う。また、手続に要する費用は、甲の負担とする。
第25条 部分引渡 
(5) 部分引渡につき、法令にもとづいて必要となる手続は、甲が行う。また、手続に要する費用は、甲の負担とする。
第25条 部分引渡 
(5) 部分引渡につき、法令にもとづいて必要となる手続は、甲(甲が監理に関する契約において本項の手続を丙に委任した場合は、丙)が行う。また、手続に要する費用は、甲の負担とする。
第26条 請求・支払・引渡 
(3) 乙が本条(2)の出来高払の支払を求めるときは、その額こついて丙の承認を経たうえ支払請求締切日までに甲に請求する。
第26条 請求・支払・引渡 
(3) 乙が本条(2)の出来高払の支払を求めるときは、その額について丙の審査を経たうえ支払請求締切日までに甲に請求する。
第27条 瑕疵の担保    第27条 瑕疵の担保 
(7)本条(2)にかかわらず、この契約が住宅の品質確保の促進等に関する法律第87条第1項に定める住宅を新築する建設工事の請負契約に該当する場合、乙は、第25条および第26条の引渡の日から10年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として同法施行令第6条第1項および第2項に定めるものの瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。)について、本条(1)の責任を負う。
(8)本条(7)の適用がある場合の瑕疵については、本条(4)は適用しない。
(9)本条(7)の適用がある場合、本条(5)および(6)の「本条(2)」とあるのは、「本条(7)」と読み替えて適用する。ただし本条(6)のうち第17条(4)cは適用しない。
第30条 履行遅滞・違約金 
(1) 乙の責に帰すべき理由により、契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができないときは、別に特約のない限り、甲は、遅滞日数1日につき、請負代金額から工事の出来形部分と検査済の工事材料・建築設備の機器こ対する請負代金相当額を控除した額の1/1000に相当する額の違約金を請求することができる。 
(2) 甲が第25条(4)または第26条の請負代金の支払を完了しないときは、乙は、遅滞日数1日につき支払遅滞額の1/1000に相当する額の違約金を請求することができる。
第30条 履行遅滞・違約金 
(1) 乙の責に帰すべき理由により、契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができないときは、別に特約のない限り、甲は、遅滞日数1日につき、請負代金額から工事の出来形部分と検査済の工事材料・建築設備の機器こ対する請負代金相当額を控除した額の4/10000に相当する額の違約金を請求することができる。 
(2) 甲が第25条(4)または第26条の請負代金の支払を完了しないときは、乙は、遅滞日数1日につき支払遅滞額の4/10000に相当する額の違約金を請求することができる。
第31条 甲の中止権・解除権 
(1) 甲は、必要によって、書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。甲は、これによって生じる乙の損害を賠償する。 
(2) つぎの各号の一にあたるときは、甲は、書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。この場合、甲は、乙に損害の賠償を求めることができる。  
f 乙が強制執行を受け、 資金不足による手形・小切手の不渡りを出し、破産・会社更正・会社整理・特別精算の申し立てをし、もしくはうけ、または和議の申し立てをするなど乙が工事を続行できない恐れがあると認められるとき。
第31条 甲の中止権・解除権 
(1) 甲は、必要によって、書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。この場合、甲は、これによって生じる乙の損害を賠償する。 
(2) つぎの各号の一にあたるときは、甲は、書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。この場合(fに掲げる事由による場合を除く。)、甲は、乙に損害の賠償を請求することができる。  
f 乙が支払いを停止する(資金不足による手形・小切手の不渡りを出すなど)などにより乙が工事を続行できない恐れがあると認められるとき。
第32条 乙の中止権・解除権 
(1) つぎの各号の一にあたるとき、乙は、甲に対し、書面をもって,相当の期間を定めて催告してもなお是正されないときは、工事を中止することができる。  
c 甲が第2条の工事用地等を乙の使用に供することができないため、または不可抗力などのため乙が施工できないとき。 
(4) つぎの各号の一にあたるとき、乙は、書面をもってこの契約を解除することができる。  
d 甲が強制執行を受け、資金不足による手形・小切手の不渡りを出し、破産・会社更正・会社整理・特別精算の申し立てをし、もしくはうけ、または和議の申し立てをするなど甲が請負代金の支払能力を欠くと認められるとき。 
(5)
第32条 乙の中止権・解除権 
(1) つぎの各号の一にあたるとき、乙は、甲に対し、書面をもって,相当の期間を定めて催告してもなお解消されないときは、工事を中止することができる。  
c 甲が第2条の工事用地などを乙の使用に供することができないため、または不可抗力などのため乙が施工できないとき。 
(4) つぎの各号の一にあたるとき、乙は、書面をもってこの契約を解除することができる。 d(削除) 
(5)甲が支払いを停止する(資金不足による手形・小切手の不渡りを出すなど)などにより請負代金の支払能力を欠くと認められたとき(以下本項において「本件事由」という。)は、乙は書面をもって工事を中止しまたはこの契約を解除することができる。乙が工事を中止した場合においても、本件事由が解消したときは、本条(2)および(3)を適用する。 
(6) 
第34条 紛争の解決 
(1) この契約こついて当事者間に紛争が生じたときは、当事者の双方または一方から相手方の承認する第三者を選んでこれにその解決を依頼するか、または契約書に定める建設業法による建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)の斡旋または調停こよってその解決を図る。ただし、審査会の管轄について定めのないときは、建設業法25条の9第1項または弟2項に定める審査会を管轄審査会とする。 
(2) 当事者の双方または一方が本条(1)により紛争を解決する見込がないと認めたとき、もしくは審査会が斡旋または調停をしないものとしたとき、または打ち切ったときは、当事者は、仲裁合意書にもとづいて審査会の仲裁に付することができる。
第34条 紛争の解決 
(1) この契約について当事者間に紛争が生じたときは、当事者の双方または一方から相手方の承認する第三者を選んでこれにその解決を依頼するか、または契約書に定める建設業法による建設工事紛争審査会(以下「審査会」という。)のあっせんまたは調停によってその解決を図る。ただし、審査会の管轄について定めのないときは、建設業法25条の9第1項または弟2項に定める審査会を管轄審査会とする。 
(2) 当事者の双方または一方が本条(1)により紛争を解決する見込がないと認めたとき、もしくは審査会があっせんまたは調停をしないものとしたとき、または打ち切ったときは、当事者は、仲裁合意書にもとづいて審査会の仲裁に付することができる。
添付書類 民間(旧四会)連合約款・契約書使用上の留意事項  平成9年9月 添付書類 民間(旧四会)連合約款・契約書使用上の留意事項  平成12年4月
 3)この契約の目的物またはその一部が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下「住宅品確法」という。)第2条第1項に定める住宅に該当する場合は次の点に留意する。
 i.請負者は、住宅品確法第2条第1項に定める設計住宅性能評価書もしくはその写し(以下「設計住宅性能評価書」という。)を請負契約書に添付し、または発注者に交付した場合においては、設計住宅性能評価書等に表示された性能を有する住宅を完成して引渡すことを契約したものとみなされる。ただし、請負者が工事請負契約書においてこれと反対の意志表示をしているときは、契約をしたものとはみなされない。
 ii. 建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅の工事請負契約の当事者間に紛争が生じた場合は、住宅品確法第63条に定める指定住宅紛争処理機関のあっせん、調停または仲裁によってその紛争の解決を図ることができる。ただし、指定住宅紛争処理機関の仲裁に付すことが出来るのは仲裁合意書を締結した場合に限る。
 4)
 5)

民間(旧四会)連合協定・工事請負契約約款
平成12年(2000)4月改正の経緯と留意点

業務委員会 四会工事約款検討WG・主査 天 野 禎 蔵

従来の平成9年(1997)9月改正約款が3年ぶりに改正されました。今回改正の経緯と改正条項の要点について報告いたします。なお、民間(旧四会)連合協定・工事請負契約約款委員会では「工事請負契約約款」の他に「工事請負契約書」、「仲裁合意書」、「約款・契約書使用上の留意事項」を1セットとして制定しています。これらを使用する場合は内容を確認の上、適切に対応する必要があります。

また、約款の改正概要、契約の概略、契約書、逐条解説など詳しい内容については約款委員会の編著による「民間(旧四会)連合協定・工事請負契約約款の解説」(大成出版社発行)が参考となります。

■今回改正の経緯
1.「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(平成11年法律第18号)が平成12年(2000)4月1日に施行された。この法律によって住宅または一部を住宅として新築する場合の請負契約における瑕疵担保期間は、構造耐力上主要な部分や防水部分に関して建物引渡から10年とされ、これに反する特約で発注者に不利なものは無効とされることになった。したがって、本約款第27条(2)瑕疵の担保は瑕疵の部分にかかわらず一律1年または2年としていることから、同法に定める住宅部分の瑕疵につき必要な改正を行った。

2.建築設計と建築監理に関する民間の「四会連合協定建築設計監理業務契約約款」がわが国で初めて平成11年(1999)10月1日に制定された。この約款は(社)日本建築士事務所協会連合会、(社)日本建築士連合会、(社)日本建築家協会、(社)建築業協会の4団体によって作成されたものである。作成過程において監理業務につきかなり議論がなされ、まとめられたものであるため本約款第9条監理者の業務も建築監理業務約款に沿った改正を行った。
3.民事再生法の制定(平成11年12月施行)など倒産関連法との関連や消費者契約法の動向を鑑み、必要と思われる改正を行った。
4.その他若干の条項の見直しと字句改正を行った。

■改正条項の要点
1.第3条「関連工事の調整」は監理業務上オプション業務となるため、発注者から監理者に委任した場合の扱いを加えた。
2.第9条「監理者」の(1)項の見直し。民間監理業務約款と建設省告示1206号に照らしてオプション業務の削除と、甲・丙間に別段の監理業務契約がある場合の扱いを加えた。
3.第10条「現場代理人・監理技術者など」の(3)項eに工事の中止と損害賠償の役割を加えた。
4.第15条「丙の立会、工事記録の整備」で丙の立会に代える場合の扱いを明確にした。
5.第19条「第三者損害」の(4)項に損害を第三者に与えたときの他に、第三者との間に紛争が生じたときの扱いを加えた。
6.第24条「部分使用」、第25条「部分引渡」に甲・丙間に別段の監理業務契約がある場合の扱いを加えた。これは第9条(1)項j、kの削除との関連による。7.第26条「請求・支払・引渡」の(3)項で丙の承認を審査に直した。これは最終承認者が甲であることによるダブル承認を是正した。
8.第27条「瑕疵の担保」に住宅品確法による住宅を新築する場合の10年間の瑕疵担保期間の取り扱いについて(7)(8)(9)項を加えた。
9.第30条「履行遅滞・違約金」の(1)(2)項の違約金算定率を公共工事契約約款や消費者契約法などの動向に鑑み見直した。
10.第31条「甲の中止権・解除権」の(2)項fを民事再生法などに照らして条文を見直した。
11.第32条「乙の中止権・解除権」の(4)項dの削除と、(5)項を民事再生法などに照らして条文を見直した。
12.本約款の添付書類である「民間(旧四会)連合約款・契約書使用上の留意事項」に住宅品確法に関連する留意点を加えた。

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