きのこの洗い方




立派なヒラタケやエノキタケ、ナラタケなどを採集できたときは、ついつい人に食べさせたくなってしまう。天然もののおいしさをぜひとも知ってほしいから。もちろん、安全性が確立された栽培ものだって十分においしいのだが(私はスーパーで売っているきのこも大好きである)、でもなぜか天然ものを勧めたくなる。山からとってきたきのこはいかにも「きのこだぁー」という見事な姿だし、だから「すごいねー」という評価も聞きたくなるし、それに格別の風味があるし、きっと本人にもわからないいろいろの理由がうずまいているのだろう。

しかしここで避けて通れない問題がある。それは野生のきのこには必ず虫が付いていることだ。もしもきのこに潜んでいる虫が目に触れたなら、きのこに興味のない人には食欲半減まちがいなし、である。そこでいかに虫をきれいに洗い流すかが大切になってくる。以下では、筆者の方法を紹介する。

きのこの虫は、きのこを塩水に漬けることによって取り除くことができる。塩分はこれといって決まっているわけではないが、ボールに水をはり、小さじで2,3杯程度入れることが多い。そこに、あらかじめ洗ってごみを落とし、石突きを取り除いたきのこを入れ、一時間ほど放置する。大型のきのこは幾つかに手で裂いてから塩水に漬ける。包丁を使うと虫を切断することにもなるので、あくまで手で裂くのがよい。ナラタケやベニタケ属のきのこは特に虫がつきやすいので裂くことが大切である。他方、冬のエノキタケなどは虫は少ないので裂く必要がないことも多い。























きのこを塩水に漬けているところ。中身はエノキタケとヒラタケ。



時間がたったら、きのこをすすぐ。そっとざるですくうようにし、すすぐときも水を張ったボールにザルごときのこを沈める感じで優しくすすぐ。美しい姿をそのままに保つように、心をこめてゆすいであげよう。きのこ料理は、きのこの美しい姿によっておいしさが増すからである。























こんな感じにすすぐといいと思いますよ。



すすぎ終わったら、ザルにあげて水をよく切ればできあがり。きのこのカサが輝いているはずだ。そうしたら盛りつけよう。都会の人向けには、イチゴパックに入れることをおすすめする。ビニール袋に入れたのを見せると「うわーきもちわるー」という人が、イチゴパックに入れて見せると、「あら、おいしそうねえ」に変化する。おいしそうと思ってもらえたなら、苦労の収穫はきっと満足して味わっていただけるはずである。























パックに入れたエノキタケとヒラタケ。このあと「きのこのおつゆ」になった。



なお念のために書いておけば、「きのこは洗わない方がいい」という人も多い。洗うと味が落ちる、香りが逃げる、という理由があるからである。とくにマイタケ・マツタケなどの香り高いきのこはそういう扱いをうける。この場合は堅く絞ったふきんで拭くとか、竹串で汚れをこそげ落とすとか、酒で洗うなどの方法がとられる。こだわりの方法はやはり自分で作っていくのが一番である。



(Dec 6, 1999)