書籍のご案内 



『吸光光度法ノウハウ−ケイ酸・リン酸・硝酸塩の定量分析』

技報堂出版,2002年12月,2000円(税別),A5版・137頁

ISBN 4-7655-0391-7





昨年の12月に書籍を出版しましたのでご案内させていただきます。

本書は,河川・湖沼・海洋などの天然水に含まれるケイ酸・リン酸・硝酸塩の定量法を詳細に述べたものです。従来,分析化学の書物は,分析の操作が簡潔に記されているだけで,「□□を測定することにどんな意義があるの?」「実際には○○はどうするのか?」「△△を分析するにはどんな注意が必要か」などの,重要な疑問が生じたときに,それらを解消することはできませんでした。初めて分析化学実験に取り組む実習生等の参考になるものではなかったのです。このため,誤った数値が得られても,そのデータを信じ込んでしまい,そのまま放置されるケースがあとを絶ちません。最近では,研究者や技術者でも,偏りを持ったデータを出してしまうケースの多いことがわかってきました。この点に注目して本書では,目次をみてもわかるように,分析を行うための室内環境や考え方,データの持つ意味,器具や器機の取り扱い,試料の採集や処理・保存,分析操作,栄養塩類の役割,応用例などについて詳しく記しました。

この本で取り扱っているのは吸光光度法によるケイ酸・リン酸・硝酸塩(栄養塩類と呼ばれます)の分析です。吸光光度法は水質分析のみならず,あらゆる化学分析の場面で用いられる代表的な分析手法です。この本をテキストとして栄養塩類の分析に取り組めば,吸光光度法の本質を理解して操作法を身につけることができます。同時に水質分析における栄養塩類測定の意義も深く理解することができます。現在までのところ,国立大学・私立大学(海洋・水産・農学系)で授業や研究室のテキストとして本書をご利用頂いているほか,理工系大学の図書館にも収蔵されてきています。

この本は以下のような場面で有用ではないかと思います

・分析化学実験の教科書や実習生のテキストとして
・水質分析講習会のテキストとして
・実験実習を指導する教員用資料として
・高等学校や高等専門学校における課外活動用のテキストとして
・卒研生や大学院生の独習テキストとして
・理系や農水産学系の図書館蔵書として
・環境アセス関連会社の社内教育用資料として
・水産系研究機関の研修用資料として
・事業所間の相互検定用の資料として
・自動分析を行う者が分析の原理を理解したいとき


なお,(社)日本分析化学会の機関誌『ぶんせき』2003年3月号の新刊紹介において本書が紹介されました。後半を一部引用します。

(前半略) 本書は,吸光光度法の基礎から応用例まで広くまた深く述べられており,吸光光度法の入門書として,さらに吸光光度法以外の分析においても正確な結果を得る上で非常に有用な一冊である。各分野での同様な図書が発行されることが切望される。

東京大学海洋研究所の教官のサイトにも「栄養塩分析に関する非常に丁寧な解説書」との紹介文があります。

『吸光光度法ノウハウ』を教科書・資料としてどうぞご検討下さい。また,水質分析や水環境の研究者に本書を紹介いただければ幸いです。少数部数発行なので全国の書店には行き渡りませんが,お手にとって確かめたい方は,紀伊国屋,淳久堂(ジュンク堂),八重洲ブックセンター,三省堂書店(本店)には常備してあるようです。またオンライン書店ではbk1,yahooブックストア,amazon,紀伊国屋などで注文することができます。紀伊国屋ではweb上で前日までの在庫状況を知ることもできます。

2003年9月6日
筆者