【ラスベガス】 (アメリカ)


概要: ラスベガス。ギャンブルの街。ショービジネスの街。眠らない街。夢の街。希望の街。そのすべてが揃う街。世界中の他のどこにも無い街です。
 私はこの砂漠の中に生じた蜃気楼のような街を、炎天下の8月に訪れました。
(画像は私が泊ったピラミッド型のルクソールホテル 1995.08)


ラスベガスは龍宮城

 暑い。
 気温は40℃を超えているのではないか。直射日光の下ではたちまち干からびてしまいそうだ。
 ところが日陰に入ると体感温度がスーッと下がる。
 空気が乾燥しているせいだろう。
 それが分かったから建物の影を伝い歩きして移動する。
 どうしても日陰が無いところは猛ダッシュだ。
 次の日陰に無事入れればセーフ。途中で立ち止まったら遭難必至である。
 冷房の効いたスーパーマーケットに入って一息つく。
 入口付近にたくさん並んでいるのはミネラルウォーターだ。
 1ガロン(約4リットル)のペットボトルは小さい方で、3ガロンの巨大なペットボトルまである。
 2025年の今でこそウォーターサーバーで見ることが増えたが、1995年当時の日本では見たことが無かったから目が点だった。

 ラスベガスはデスバレー(死の谷)で名高いモハーベ砂漠の中にある。
 最寄りのサンタ・フェの町まで100km以上離れている。
 それ以上の説明はいらないだろう。ラスベガスは砂漠の中にたたずむ陸の孤島なのだ。
 それはつまり、日常世界から切り離された非日常的な世界だとも言えるのである。

 ラスベガスにはホテルがたくさんある。それも巨大なホテルが。
 なんと、世界の大規模ホテル・ベスト15のうち、10軒がラスベガスのホテルである。
 そしてその一軒一軒にカジノがあり、アトラクション施設や劇場などがある。
 見たいもの、体験したいものを絞りこんでも、とても一日では足りない。
 そのため、長期宿泊者が増え、ホテルの数も部屋数も多くなるのだ。
 ホテルとしてはギャンブルや劇場やアトラクションで稼げばよいので、ホテル代も食事代も安く設定している。
 長く泊まってお金をたくさん使ってほしいのだ。
 ちなみにホテルのバイキング方式のレストランは24時間営業しており、朝食、昼食、夕食の他に、間食や深夜食など、いつ行ってもその時刻にふさわしい料理が用意されている。しかも安い。
 あれを見てこれを見て、あれを食べてこれを食べて、そうこうしているうちに日にちや時間の感覚が狂ってしまうのは必定だ。
 まるで龍宮城である。

 さて、私はと言うと、ルクソールホテルに泊まって、ホテル内のアトラクションや他のホテルのアトラクションなどを見て、「スプラッシュU」という評判のショーを見て、スロットマシンを少しだけやって、浦島太郎にならないうちにさっさとラスベガスから脱出したのだった。つまらん男です。

 (2025.01記)