【ブルーマウンテン国立公園】 (オーストラリア)


概要: とにかくユーカリの多い国です。コアラが食べるだけの特殊な木かと思っていたら、オーストラリア全土に700種類以上のユーカリがあり、我々が目にする樹木の大半がユーカリなのだそうです。あの大木もこの灌木も全部ユーカリなのですね。鉄分を帯びた赤い大地と、ユーカリの白っぽい林がオーストラリアのナショナルカラーに思えました。そのユーカリが太陽にあぶられると揮発性の成分を出すそうで、それが遠くから見ると光の屈折で青く見えるのだそうです。ブルーマウンテンという名前はそこから来ました。ブルーマウンテン国立公園はシドニーの西、約100kmにあります。
(画像はスリーシスターズの奇岩 1998.09)


 リョー・ホー・スリー

 「リョー・ホー・スリー」、妙な発音で私がお金を差し出すと、係のおばさんは「ふむ」と肯いて、ちゃんと3人分の両方の切符を差し出した。
 切符というのは、この展望台から出発するシーニック・スカイウェイとシーニック・レイルウェイの乗車券のことである。
 「両方に乗りたかったら、リョー・ホーと言えばちゃんと通じるよ」、と教えてくれたのはツアー・ガイドである。
 「どうせ時間はたっぷりあるしね」、と付け加えた。
 この場所からはブルーマウンテン国立公園の最大の見所であるスリーシスターズの奇岩は見えない。
 従ってレイルウェイに乗って渓谷の途中にある展望台に行くか、スカイウェイに乗って空中からスリーシスターズを眺めるのである。
 大峡谷というとアメリカのグランドキャニオンが有名であるが、ブルーマウンテンもそれに劣らぬ雄大な眺めだ。
 しかし、グランドキャニオンと違って峡谷が緑に覆われているためにずっと印象が優しい。
 両方の切符を買った私たちは、まず最初にレイルウェイに乗った。
 まるで3両連結のトロッコのようなレイルウェイは、私たちが乗り込むと谷底めがけて真っ逆様に急降下していった。
 いや、これは大げさな話ではない。文字どおり真っ逆様に落ちていったのである。
 もしも事前に話を聞いて足を突っぱねていなかったら、きっと座席から放り出されていただろう。
 いや、それだけ用心をしていても、天井の金網に手をついて落ちないようにするのに必死だったのである。
 まるでディズニーランドのスプラッシュマウンテンである。
 あまり面白いものだから、下の駅で降りないで乗ったままの奴がいて、このレイルウェイはいつも満員だ。
 一方、シーニック・スカイウェイの方はごく普通のロープウェイであるが、駅が一つだけしか無いという風変わりなロープウェイである。
 ロープウェイが駅を出発すると、のろのろと谷の途中まで進み、そこから引き返して元の駅に戻ってくるのである。
 つまり、スリーシスターズの奇岩を間近に見るための観光ロープウェイなのであった。