【嚊煙壷鑑定団〜良い嚊煙壺の見分け方〜】
およそ三百年の歴史を持つ中国の嚊煙壺は、年代を特定しにくいものが多く、素人にはなかなか鑑定が難しいものです。
たとえば、嚊煙壷の底裏に「乾隆年製」と書いてあっても、「乾隆年製の嚊煙壷のコピー」という意味でしかないものが多いのです。
しかし、嚊煙壺は宮廷貴族の小道具として発達してきたものですから、良いものは良いし、ダメなものはダメ、という、毅然としたものがあります。
つまり、本物とコピーものとでは自ずと風格が異なる、ということです。
例えば、一つの嚊煙壺を手にしてみて「こんな粗雑なものは、宮廷貴族が持つわけないよ」と感じたら、大概それは、後の時代のものでしょうね。
あるコレクターがこんな風に話していました。「古いものが良いものではない。良いものは古いものが多いのだ。それは何故かと言うと、古いものは時代に淘汰されて、良いものしか今の時代に伝わってこないからだ」
さて、時代の見分け方ですが、大雑把に言えば、明の時代の古いものは素朴なものが多く、デザインはむしろ稚拙なものが多い。
清の時代に入ると華麗な嚊煙壷がたくさん作られましたが、清朝も末期になると次第に粗悪になっていきます。
文化大革命の時代は、当然のことながらこのような贅沢品は排斥されましたが、最近になってまた作られるようになってきました。
しかし最近のものは嚊煙壺本来の使い方ではなく、単なる工芸品として作られているようで、実用品ではありません。
それでは、私の拙ない経験と、ある骨董店主の話を元に、見分け方をレクチャーしましょう。
@良いガラスの嚊煙壺の条件は、ガラスの薄さか彫りの深さ。
A瑪瑙などの石や陶磁器類も薄手のものの方が良品。
Bきれいな白色や、きれいな黄色は最近のもの。昔のものは色に柔らかみがある。
C蓋や匙はたいがい後のもの。オリジナルのままのものは少ない。
D実際に使った痕跡があるかどうかも見分け方の一つ。