【サント・トメ教会】(スペイン トレド)


 スペインのトレドは美しい街です。
 殊に川の対岸の丘からの眺望は、街の景観としては世界最高ではないでしょうか。
 街の中は石造りの建物が並び、格式のあるカテドラルなど見どころが多い街です。
 街の一角にあるサント・トメ教会に世界三大名画の一つとされる傑作絵画があります。
 それがエル・グレコ作「オルガス伯の埋葬」です。
 サント・トメ教会を入ってすぐ右側にオルガス伯爵の墓所があり、その上に覆いかぶさるように「オルガス伯の埋葬」が架かっています。
 ちなみに私は「オルガス伯の埋葬」を見終わったらそそくさと外に出たので、教会の内部は見ませんでした。それは皆さん同じです。
 世界三大名画に関しては諸説あり、「あれを入れろ、これはいらない」とうるさいため、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」、レンブラントの「夜警」、ベラスケスの「ラス・メニーナス」、そして本作を入れた4枚の絵の中から3枚を選べばよい、ということになっているようです。
 でも私だったら他に候補に入れたい絵がいくつかありますけどね。
 (画像はサント・トメ教会の入り口です)

 「オルガス伯の埋葬」はオルガス伯爵が1312年に死去したときの伝説を題材にしています。
 伝説によればオルガス伯爵が埋葬されるときに聖ステファノと聖アウグスティヌスが天国から降臨したそうで、その様子と伯爵の魂が赤子のような形となって天国に昇っていく様子が描かれています。
 エル・グレコが1586年から1588年にかけて描いた絵で、タテ4.6mxヨコ3.6mという非常に大きな作品です。
 この絵を描いたエル・グレコはギリシャ人ですが、イタリアを経てスペインに渡り、その後は亡くなるまでトレドに住んでいました。
 そんな彼を街の人たちは愛着を込めてエル・グレコ(ギリシャ人)と呼んでいたそうです。
 ちなみにエル・グレコもオルガス伯爵も共にサント・トメ教会の教区(日本で言えば氏子、あるいは檀家)だったそうです。

 トレドと言えば、この景色です。
 街の中に入る前の、川の対岸の丘からの光景です。
 何時間でも見ていられます。

(2024.12記)