【ミレー3大名画展】(東京都 Bunkamuraザ・ミュージアム)
渋谷Bunkamuraで2003年4月10日から7月13日まで開催中の「ミレー3大名画展」に行ってきました。
ミレーの3大名画というのは、「落穂拾い」「晩鐘」「羊飼いの少女」の3作品のことです。
「えっ、種蒔く人は入らないの?」という声が聞こえそうですが、この3大名画というのはパリのオルセー美術館が所蔵している中での、という意味ですからご勘弁ください。
それでも3大名画の中に「落穂拾い」と「晩鐘」が入ることには異存が無いでしょうから、よくぞ揃って日本にやってきたと思います。
この開催期間にオルセー美術館の1階を訪れた人はきっと目が点になっていることでしょう。
まず一つ目は「落穂拾い」
この絵を見るのはこれが3度目です。
一度目はだいぶ前に日本で、二度目は数年前にオルセー美術館で見ました。
オルセー美術館のときの印象は「暗いなあ」。
絵も照明も暗かったので少々がっかりしたことを覚えています。
でも今回は照明が明るいだけでなく、絵も明るくなっていました。
きっとクリーニングをしたのだと思います。
3大名画の中でも一番出来が良いですね。
格調の高さがあります。
でもこの絵の主題は、背景にいる金持ちと、落ちこぼれの麦の穂を拾う貧乏人との対比なのです。
次は「晩鐘」
夕暮れに聞こえてきた鐘の音に手を合わせて祈りを捧げる農夫を描いた絵です。
暗い絵です。
絵の注文主が「葬式のような絵はいらん」といって受け取りを拒んだというエピソードがあります。
「こちらのほうがより名画だ」という声もあるでしょう。
違う場所で見れば私もそう思うかもしれません。
でもこの展覧会場では暗い印象が強すぎました。
3番目の絵は「羊飼いの少女」です。
これも良い絵ですが、私は同じ主題で山梨県立美術館が保有する「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」のほうが好きです。
今回の美術展に山梨県立美術館の収蔵品をジョイントさせて「ミレー5大名画展」にしたらすごかったでしょうね。
さて、今回の美術展はミレーの作品だけではなく、他にも素晴らしい絵がたくさんありました。
セガンティーニ の「グラウビュンデン地方の衣装」、フレデリック の「農民の子」、ピカソの「年老いた漁師」など、大変に楽しめる美術展でした。
(2011.02記)