【ベヘロフカ】 (becherovka)


 これは「ベヘロフカ」という名前のチェコのお酒です。
 何種類もの薬草が入っているらしく、とても複雑な味がします。
 甘さも相当にあるのですが、薬草の苦みというのか不思議な香りと味のせいで、ベタッとした甘さではありません。
 ジャンルとしては食前酒にあたるそうで、プラハのレストランに行くと、注文をしなくても席に着いたとたんにこのお酒を出してくる店もあるそうです。
 チェコはビールが有名ですが、まずかけつけに一杯のベヘロフカを飲んで、それからビールに移るのだという話も聞きました。
 まあ一種の国民酒なのでしょうね。
 アルコール度が38度もあるので、水で割ったりロックにしたりします。
 私はロック派の方で、これもチェコ製の小さな足つきのショットグラスに氷を3片ほど入れ、その上からベヘロフカを注いで飲んでいます。
 食前酒として良し、食後酒として良し、とても気に入っています。
 私がこのお酒を知ったのは、今年(2000年)の夏に女房殿がプラハに行き、そのお土産で買ってきたからです。
 女房殿が買ってきたのは350cc入りの少し小さめのビンだったため、たちまち空っぽになってしまい、それからというもの、大きな酒屋やデパートなどを探し回ったのですが、どこにも売っていませんでした。
 あちこち探し回って、ようやく見つけたのが、チェコ製品の輸入業者の「日越株式会社」。
 電話で問い合わせてみると、小売店への出荷はしていないそうで、新橋にあるその会社まで買いに行きました。
 チェコで売っているビンはこの画像のような、黄色地に青色の帯の、とてもおしゃれなデザインですが、輸出用のビンは青地に赤い帯で、ふむ、私は現地のデザインの方が好きですね。
 味はどちらも同じです。これを製造しているのは「CARLSBAD」という会社です。
 最近、もっと薬草の味が濃い「ビター」という種類が出て、私も「日越株式会社」で飲ませて貰いましたが、これはちょっときつい味でした。

 日越株式会社から戴いた資料に、ベヘロフカの歴史が書かれていました。
 興味深い話なので転載します。
 ベヘロフカは、チェコ共和国北西部の温泉保養地カルロビヴァリで、1807年から生産されています。
 1805年に保養で同地を訪れた英国のFrobug博士が、同地周辺の数種類のハーブからレシピを作り、それを地元の薬剤師J.Becherさんが手に入れて生産を始めました。
 同地のミネラルを含んだ水と樫の樽の中で育まれているそうです。