−第35夜− フロートペンの特許
 フロートペンの基本的な構造、すなわち、前景と背景があり、その間をフローターが動く、という仕組みはEskesen社がデンマークで特許を取得しています。
 特許出願日が1955年6月11日で、特許権が成立したのが1960年2月22日、特許番号はDK88593です。
 特許書類は当然ながらデンマーク語なのでさっぱり分かりませんが、そこには手描きの稚拙な絵が3枚添えられていました。
 その絵は左の画像のような構造を表わしたもので、前景と背景とフローターは写真のフィルムを使って製造することまで示唆されていました。
 (バックパネルについては記載がありませんでしたが、これは特許事項ではないのでしょう)

 ただし、内部に充填する特殊な液体については、Eskesen社は特許を申請しませんでした。
 なぜなら、それこそがフローターをゆっくり動かす仕組みそのものであり、それは厳重に守られた企業秘密だったからです。
 液体の成分や比率を公開してしまえば競合他社に真似されてしまうことを恐れたのでしょうね。

 ちなみに、その液体をこぼすことなく、空気が混ざることなく充填する技術も厳重に守られた企業秘密だったそうで、その作業をする部屋には特別な7人の技術者しか入ることが許されなかったそうです。

 ところで日本の場合、特許権の存続期間は特許出願の日から20年までと定められています。
 もしもデンマークが日本と同じなら、1975年に特許権が切れていますね。
 中国製やイタリア製のフロートペンが存在するのは特許権が切れたからなのかもしれません。

 今夜はフロートペンの特許の話でした。


 それではまた明晩