−第29夜− フロートペンをコレクションすることは
「世界中で売っているし、そんなに高いものでもなく、重たくも嵩ばりもしないから」という理由で、特に旅行好きの人たちがフロートペンのコレクションを始めました。
古くからのコレクターの話を伺っていると、皆さん似たような原体験を持っています。
10歳くらいの頃に、両親と行った旅行先で何か記念にと買ってもらったのが最初のフロートペンだった、というような。
インクが無くなって(注:フロートペンのインクはすぐに無くなります)ペンもどこかに行ってしまい、フロートペンのことなんか忘れ去ってしまう人が多いのですが、まれに幸運なことにすぐに2本目を手に入れる人がいます。例えば夏休みに旅行に行った友達から、とか。
そうして手に入れた2本のペンを並べてみると、背景の景色が違い、動くものも異なります。
自分が買った方のペンは、景色や建物に見覚えがあり、その前を動くバスにも乗ったような記憶があります。
一方、貰った方のペンは、見覚えのない景色、見覚えのない建物ですが「いつかこの町に行ってみたいな」と憧れを抱くようになります。
そうなると、もっと他の場所のペンが欲しくなって、お父さんが出張に行けば「フロートペンを買ってきてね」とねだり、お姉さんが旅行に行けば「お願い!」と頼むようになり、ぽつぽつと増えていきます。
フロートペンが10本くらいになった時に不思議なことに気がつきます。
自分が買ったペンは国内の観光地だった。お父さんの出張先は隣の国だった、お姉さんが旅行で行ったのは南の島だった。それなのにどのペンも同じスタイルをしています。しかもよく見るとクリップのところに「メイド・イン・デンマーク」と書かれているのです。
こうして、エスケーセン社のことを知り、世界中にペンがあることを知り、コレクターになっていくのです。
本格的に集めようとするとこのペンに名前が必要です。
本当はエスケーセン社での正式名称は「フローティング・アクション・ペン」というのですが、その名前は一般の購買者には伝わっていません。コレクターたちですら知らないのです。
そこでコレクターたちは自分で名前を付けることにしました。
コレクターの世界では教祖的な存在のアメリカのダイアナさんは「フロートペン」と名づけました。
また、1万本を超える数のペンを持つオランダのミランダさんは「フローティペン」と呼んでいます。
私はと言うと、最初の頃は「面白動くボールペン」と呼んでいました。(センスがありませんね)
その後、私はダイアナさんと親交を持つことになり、彼女に合わせて「フロートペン」と呼ぶようになりました。
今では欧米では「Floaty pen」、日本では「フローティングペン」と呼ぶのが通り相場のようです。
さて、本数が増えて50本から100本くらいになると保管場所の問題が出てきます。
加えて、見たいと思ったペンを探し出すのに時間がかかるようになります。
20本くらいまでは特に何もする必要がありませんが、それより増えてくると何らかの工夫が必要です。
国別や地方別にまとめて輪ゴムでくくる、とか、ディズニーのものだけまとめておく、とかするのですが、本数が増えるとそれも限界が出てきます。
そこで私は入手した順にフロートペンに番号を付けることにしました。
1本目が1番、100本目が100番です。私はそれを25本単位にまとめて保管すると同時にデータベース管理をしています。
見たいペンがあればデータベースで検索してそのペンの番号を探し、25本単位の束の中から目的のペンを見つけます。これなら簡単に探し出せます。
このようにフロートペンに番号を付けて管理しているコレクターは意外に少ないようです。
1万本以上保有している人などは一体どのように管理しているのでしょうか?
上記したミランダさんはエクセルシートで管理しているようですが、それと現物とをどう繋げているかは不明です。
何らかの方法で格納場所が分かるようにしていると思うのですが。
それではまた明晩。