−第24夜− フロートペンのフィルムが代わった日
フロートペンの中にはオイルの他に数枚のプラスチック片が入っています。
そのプラスチック片は、固定されている背景と前景、そしてその間で動くフローターがあり、それぞれ風景や人や自動車などが描かれていてジオラマが構成されています。
当初はこれらのプラスチック片の材料にKODAK社のフィルムが使われていました。
私は写真技術や印刷技術についての詳しい知識は持ち合わせていないのですが、つまりKODAK社のフィルムとその印画技術が使われていたということでしょう。
初期のフロートペンのあの生々しさ、実際の写真を縮小して背景やフローターに焼き付けたような出来上がりはKODAK社の写真技術によるものだったのですね。
それでフォトラミックという言葉の意味も分かったように思いました。

これは私が初めて手に入れたフロートペンです。1989年にパリで買いました。
セーヌ川をヴィデット・パリという遊覧船がフロートします。
川の向こう岸にはパリの町並みが続いていて、エッフェル塔などが見えます。
さらにルーペを用いて観察すると、一つ一つの建物が識別できるほど精緻に描かれています。おやおや、セーヌ川の中州に立つ自由の女神像も描かれていますよ。
それがEskesen社のフロートペンの魅力です。細部を見たらグジャグジャのジオラマなんかジオラマではありませんからね。
そのKODAK社のフィルムが日本の富士フィルム社の製品に変更になりました。
「発色が良いから」というのが変更の理由だそうです。
いつ頃からなのかよく分からないのですが、確かにある時期から絵が明るくなったような気がしていました。

例えば2000年にデンマークで購入したこのペンは恐らく富士フィルム社に変更になってからのものと思われますが、赤色や緑色などがくっきりと発色しています。
それに、古いフロートペンはセピア色に退色しているものが多いのですが、ある時期以降のペンは殆んど退色していません。
そうしたことを勘案すると、富士フィルム社への変更は正しい判断だったのではないでしょうか。

このペンは富士フィルム社のプロモーション用のフロートペンです。
長らくEskesen社のホームページのトップを飾っていました。
それではまた明晩。