−第19夜− 二つの鉄腕アトム

 鉄腕アトムの英語名は「アストロ・ボーイ」といいます。
 いつの頃からか英語圏ではそういう名前になっています。
 ところがそれ以前は「マイティ・アトム」と称していたらしいのです。
 これまたいつの頃の話しなのか分かりません。
 多分「鉄腕アトム」のテレビアニメがアメリカに上陸した頃のネーミングだと思われます。
 となると1970〜80年代の話しでしょう。
 当時「マイティ・マウス」というアニメがテレビ放映されていたので、それにあやかったものと思われます。
 それではどうして「アストロ・ボーイ」と改名されたのでしょうか。

 俗説によると、米語のスラングで「マイティ・アトム」といえば「でっかいオナラ」という意味があるそうで、それを嫌った手塚治虫が「アストロ・ボーイ」と改名した らしいのです。
 ちょっとマユツバものの逸話ですけどね。
 ともあれ現在は「アストロ・ボーイ」で通っていますし、「アストロ・ボーイ」のフロートペンなら比較的容易に手に入ります。
 今はどうか分かりませんが、宝塚にある「手塚治虫記念館」にはボールペン、シャーペン、キータグの全てのタイプが揃っていました。



 私が「マイティ・アトム」のフロートペンの存在を知ったのは数年前のことです。
 コレクターの一人から「私が持っているペンはアストロ・ボーイではなくマイティ・アトムと書いてある」という報告があり、画像も見せてもらいました。
 それ以来、私にとって「マイティ・アトム」のペンは幻のペンになっていたのですが、ある時ひょんなことで実物を入手することが出来ました。

 二つのペンはバックパネル以外にはデザイン上の相違はないのですが、よく見ると前景の宇宙ステーションの位置が微妙に変更になっています。

 「マイティ・アトム」のペンは宇宙ステーションが左端にあるのですが、そのために宇宙ステーションの浮遊感がありません。
 改正された「アストロ・ボーイ」のペンは宇宙ステーションの位置を少し右にずらしたおかげで、浮遊感が出ているのです。
 こんなところも手塚治虫のこだわりでしょうか?

 ということで今回は二つの鉄腕アトムのフロートペンのお話でした。
 それではまた明晩