石の洗浄方法
ショップで買った水晶でも、クラスターやカテドラル、ジャカレーのようなタイプでは溝に洗い残しがあったりする場合があります。
石を洗剤で洗っても赤サビのような色が落ちなかった経験をされた方も多いと思います。
こういう石を薬品で洗浄する方法について書いてみます。びっくりするほど綺麗になりますよ。
水晶は鉱山から掘り起こされた状態では、泥や赤サビ(褐鉄鉱)などに覆われています。
この後、水洗いや酸による洗浄が行われますが、かなり大雑把に洗浄されるため、原石の場合、細かい泥や赤サビが一部残った状態で売られていることも多いです。
家庭で安全にできる洗浄方法や、危険ですがたいへん効果的な方法を紹介してみます。
ただし、この方法は水晶のみに使ってください。方解石、緑泥石などの他の鉱石が付いていた場合、溶けてしまうことがありますので、ご注意ください。
1.塩素系のトイレ用洗剤を使う方法(比較的安全)
サンポールなどの強力型のトイレ用洗剤の溶液に水晶を数日間浸けておきます。
水晶を溶液から取り出して水洗いを行い、水道水に一日浸けて溶液を完全に抜きます。
その後、古ハブラシや竹串、まち針などを使って、細かい溝に残っている泥や赤サビを取り除きます。
トイレ用洗剤できれいにならない場合は、次の方法を使います。
2.シュウ酸(蓚酸)を使う方法(比較的安全)
赤サビ系の汚れに効果的な方法です。
まず薬局でシュウ酸を購入してきます。500gで700円ぐらいです。
シュウ酸は医薬用外劇物に指定されていますので、購入時に印鑑が必要です。
容器に水晶がすっぽり浸かる深さの水を注ぎ、シュウ酸を溶け残りが少しできるぐらいまで入れて、シュウ酸の過飽和溶液を作ります。この溶液に水晶を数日間浸けておきます(気温が低いほど長く時間がかかります)。
水晶を溶液から取り出して水洗いを行い、水道水に一日浸けて溶液を完全に抜きます。
その後、古ハブラシや竹串、まち針などを使って、細かい溝に残っている泥や赤サビを取り除きます。(トイレ用洗剤と同じ手順です)
シュウ酸の水溶液を扱う場合、肌の弱い人はゴム手袋などをした方がいいですが、手についてもすぐに水洗いすれば、さほど害はないようです。
ただし、シュウ酸の水溶液が金属に付くと変色しますので、眼鏡のフレームや腕時計、アクセサリーなどに付かないようにご注意ください。
3.漂白剤を使う方法(比較的安全)
ハイターなどの液体漂白剤を使う方法です。
シュウ酸や塩酸で落ちない黒い汚れが落ちます。
やり方は簡単で、ハイター原液の中に一日漬け込むだけです。
ただし、他の薬品(トイレ用洗剤、塩酸、シュウ酸)が残っていると化学反応が起こって、塩素ガスが発生するので、よく洗浄してから漬け込んでください。
換気にも十分注意してください。
4.塩酸を使う方法(危険なので注意!)
この方法はかなり危険なので、上の3つの方法を試しても駄目だった場合にのみ試した方がいいでしょう。自己責任で行ってください。
シュウ酸と同じく赤サビ系の汚れに効果があります。
塩酸は薬局で購入できますが、シュウ酸と同じく医薬用外劇薬に指定されているので印鑑が必要です。35%濃度で500gのものが300円ぐらいです。
作業は屋外で行う方がいいです。室内で行う場合は換気に十分気をつけてください。
念のため、ゴム手袋を着けて作業します。ヒフに付いたときのためにすぐに水で洗い流せるような準備をしておいてください。
塩酸を入れる容器はペットボトルをカッターナイフで切って作ると安上がりです。
塩酸は原液のまま扱うとたいへん危険なので、4〜5倍ぐらいに薄めた希塩酸を使った方がいいでしょう。
塩酸の揮発成分が顔に触れると、目、鼻、のどの粘膜がダメージを受けますので、塩酸の容器からできるだけ顔を遠ざけるように注意して作業します。
容器の中にまず水晶を入れ、その次に水を入れ、最後に塩酸を注ぎます。塩酸に水を注ぐと飛び跳ねて危険なので、水に塩酸を少しずつ注ぐようにします。
1日〜数日ぐらい漬け込みます(気温が低いほど長く時間がかかります)。水晶を希塩酸の中から取り出すときも液が飛び散らないように慎重に行ってください。
希塩酸から取り出した後は水洗いして、水の中に一日ぐらい漬け込み、塩酸を抜きます。
5.シュウ酸や塩酸を湯煎する方法(危険なので注意!)
シュウ酸や塩酸を入れた容器を湯煎して温める方法です。
この方法が最も短時間で洗浄できますが、一番危険な方法でもあります。
十分に準備を整えてから自己責任で行ってください。
酸は温度が上がると活性が増しますが、危険性も同時に増します。酸は必ず冷めた状態で扱うようにしてください。
蒸発する量も大きくなるので、できるだけ屋外で作業してください。作業中はけっして目を離さないように!
電気ヒーターかホットプレートを用意し、少し大きめの鍋に水を張ります。この鍋の中に水晶と酸を入れた容器を入れます。
この状態から50〜60度ぐらいまで徐々に温度を上げていきます。急激に温度を上げると水晶が割れてしまうので、少しずつ上げるようにしてください。
数時間煮た後、自然に冷やしていきます。温めるときと同様に急激に冷やすと水晶が割れるので、ゆっくりと温度を下げてください。
2002/03/18作成 2003/10/04修正
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