石の撮影方法

石の写真の撮り方について、まとめてみました。
もっとも私自身そんなにカメラに詳しいわけではないので、初心者レベルの技術だけなんですけど。
なお、銀塩カメラではなくデジカメ(それもコンパクト機)を想定して説明しています。

・デジカメの種類について
ホームページにアップする程度の石の写真だったら、それほど高価なデジカメは必要ありません。200〜300万画素の初心者向けコンパクト機(光学式ズーム付き)のデジカメでも十分いけます。
マニュアル操作ができる機種がベストですが、フルオートタイプでも工夫すれば、美しい写真を撮れます。
なお、石の撮影ではマクロ機能の充実している機種がおすすめです。10cmぐらいまで寄れれば、かなり大きな拡大写真が撮れるので楽しいです。

・手ぶれについて
石の写真を撮るときに手ぶれが起きやすいという話をよく聞きます。
手ぶれ対策の基本は脇をしっかりと閉めて両手でカメラをホールドすることです。
安価な小型の三脚(1000円ぐらいで売っています)を使っても手ぶれ対策に有効です。
また、明るい場所で撮影すると、シャッタースピードが速くなるので手ぶれが起こりにくくなります。

・フォーカスロック
水晶などの透明な石を撮影する場合、オートフォーカスがうまく合わずピンボケ写真になってしてしまうことがよくあります。
こういう場合は、石の近くにマッチ箱などを立てておきます。いったんマッチ箱にピントを合わせておいてから(シャッターボタンを半押しする)、そのままファインダーの真ん中に石が来るように移動させて、シャッターボタンを完全に押し込みます。
こういうテクニックをフォーカスロックといいます。
フォーカスロックを上手く使うと、石の内部のインクルージョンにフォーカスを合わせることもできます。

・ピント合わせの裏技
ピントを合わせるときにデジカメの液晶モニターでは画像が粗くて、きちんとピントが合っているかわからないときがあります。
このようなとき、室内撮影時のみ使える裏技があります。
デジカメのビデオ出力端子をテレビにつないでおいて、テレビ画面でピントをチェックする方法です。画面が大きいので、ピントが合っているかいないか判別しやすくなります。
(デジカメの機種によってはできない場合があります)

・マクロモード
お使いのデジカメにマクロ(近接撮影)モードがあれば、より微細な写真を撮ることができます。
私も石の写真を撮るときは、よくマクロモードを使っています。
ただし、室内でマクロ撮影をする場合、内蔵のフラッシュを使うと白とびしてしまいますので、ライティングを工夫する必要があります。
またマクロ撮影では手ぶれを起こしやすいので、小型の三脚を使うと便利です。

・ライティング
屋外で太陽光の下で撮影すると自然な写真が撮れますが、撮影条件の変動が大きいので、私はもっぱら室内で外部照明を使って撮影しています。
よく使うマクロモードでは、被写体に近寄るため、内蔵のフラッシュは白とびして使えません。
ディフューザー、または内蔵フラッシュにティッシュをかぶせて、光をやわらげる方法もありますが、蛍光灯スタンドなどの外部照明を使う方法が簡単・確実だと思います。
蛍光灯は1灯でもかまいませんが、1灯だけでは影ができるので、もう1灯追加したり、レフ板(反射板)を使ったりして、別々の方向から2つ以上の光源で照らすと、影がなくなる・立体感がでるなどの効果があります。
コンパクトデジカメは十分な光量がないと鮮明に写らないので、ライティングは撮影の最も重要な要素になります。蛍光灯スタンドをひとつ使うだけで見違えるような写真になります。

・ホワイトバランス
照明に合わせて、デジカメのホワイトバランスを設定しておくと、自然な色合いになります。
たとえば、白熱灯、昼光色の蛍光灯、昼白色の蛍光灯、昼光(太陽光)などの設定がありますので、照明の種類に合わしておきます。
なお、外部照明は、白熱灯+蛍光灯のように種類の異なるものを混用しない方がいいです。
ホワイトバランスをカスタムで設定できるデジカメの場合は、撮影条件に合わせて設定しておくといいです。
安価な照明が使えるのもデジカメのいいところですね。

・背景
石の背景については、これでなければダメというものはありませんが、透明の石の場合は黒や白い布が無難かもしれません。
黒い石に黒い布などのように被写体と背景に同系統の色を使うと見づらくなりますのであまりよくありません。
石内部のインクルージョンを表現したいときは、単色の背景がいいようです。
私は撮影用のグラデーションペーパーというものをよく背景に使っています。写真が垢抜けた仕上がりになります。

・石の置き台
石の置き台を工夫すると、被写体のアングルの自由度が高くなります。
小型のクッションとか、標本用の粘土を使うと、撮影したい角度にピタっと合わせることができます。

・スフィア(丸玉)の撮影方法
透明な水晶やヘマタイトのスフィアなどを撮影する場合、石に照明や撮影者の姿が映り込んでしまうことがあります。
このような場合、照明や撮影者の位置を変えると、映り込みが目立たないポジションが見つかります。
照明にトレーシングペーパーや白い布を被せても、映り込みがやわらげられます。
いろいろと試してみてください。

・露出補正
露出をマニュアルで変更できるデジカメでは、いろいろな露出に設定しておいて、何枚か試し撮りしておくとよいです。
露出の値で石のイメージが大きく変わります。

・撮影ボックス
撮影条件を安定させたい場合は撮影ボックスを使います。
撮影ボックスを使うと、写真のできのばらつきが減り、コンスタントに安定した写真を撮ることができます。
50〜60cm四方のダンボール箱の内側に白い紙や皺をつけたアルミホイルを貼れば、簡易の撮影ボックスになります。(反射率の高い被写体の場合は内側を黒色にする方がいいそうです)
撮影ボックスに2灯以上の蛍光灯を組み合わせると、天井の照明の映り込みや影のない写真をきれいに撮ることができます。
直接蛍光灯の光をあてるよりもいったん壁に反射させたり、トレーシングペーパーを被せると、光がやわらかくなります。
市販品も比較的安価で「撮影用ミニスタジオ」でサーチすれば、いろんな商品がヒットします。
ちなみに、私はこんな撮影ボックスで、上から1灯、左右から1灯ずつ、計3灯の照明で撮影しています。

・ダイナミックレンジをかせぐ方法
コンパクトデジカメの最大の欠点はダイナミックレンジが狭く、白とびや黒つぶれしやすいことにあります。
石の表面に光を反射させた場合など、階調が飛んでしまい、仕上がりにガッカリしてしまうことがあります。露出を下げると、今度は全体的に暗くなってしまいますし・・・。
ダイナミックレンジの広さは銀塩カメラには較べるべくもありませんが、擬似的にダイナミックレンジを広げる方法があります。
もしコントラストをマニュアルで設定できる機種なら、コントラストを下げてみてください。黒つぶれを抑えられる場合があります。(機種によっては効果がありません)

・絞りと被写界深度
コンパクトデジカメはもともと被写界深度(ピントの合う前後の範囲のこと)が深いため、問題を感じることは少ないと思いますが、クラスターのような奥行きのある被写体を写す場合、絞りを変えると効果的なことがあります。
もし、絞りをマニュアルで変更できる機種なら、絞り優先モードにしておいて、F値を大きくしてみてください。ピントの合う前後の範囲が広がります。
絞るとシャッタースピードが遅くなり、ぶれが起こりやすくなるので、三脚を用意しておいた方がいいでしょう。
もし、ノイジーな写真になるようなら、照明を明るくしてみてください。露光時間が短くなりノイズが減る場合があります。

・ボケ味
コンパクトデジカメは被写界深度が深いので、なかなかボケ味を出すことができません。
しかし、多少なりともボケ味を出そうとするなら、ワイド端マクロよりもテレ(望遠)端マクロの方がボケ味が出ます。

・マクロレンズ(クローズアップレンズ)
マクロ撮影に弱いデジカメでも、市販のマクロレンズを利用できる場合があります。
メーカー純正オプションになくても、カメラ用品メーカーが作っていることがありますので、マクロ機能に不満のある方はネットで調べてみてください。
マクロレンズを付ければ、被写体をもっと大きく撮影することができます。
あと一歩近寄りたいという場合は、マクロレンズは強力な味方になります。
(簡単な方法では虫眼鏡をマクロレンズの代わりに使うこともできます)
ただし、非純正品の場合、ケラレ(写真の周辺部が暗くなること)が出ることがあるので、購入前にインターネットなどでチェックしておくといいかもしれません。

・一眼レフ
レンズ交換式の一眼レフをお使いの場合は、私の浅い知識では教えられることはほとんどありません。
マクロ撮影のテクニックを紹介した次のような書籍が参考になるかと思います。
 『クローズアップ撮影テクニック』(玄光社)
 『花撮影のレンズワーク』(田中博著、学習研究社刊)

・下手な鉄砲も・・・
とにかく枚数を多く撮るといいです。数を撃つとマグレで当たるときがあります。
何枚かに一枚ドンピシャで写っているものがあるので、私はひとつの石の撮影でも、照明や石の位置をいろいろ変えたり、露出などのパラメータを変えて、何十枚も撮りまくっています。(^▽^)
充電式電池か、ACアダプタを使うとランニングコストが安くなるので、おすすめです。


2003/7/26作成 2003/11/29更新

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