双晶とヒーリング
みなさんは、双晶という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
今回は双晶とヒーリングの関係について、書いてみたいと思います。
水晶には、大きく分けて単晶と双晶があります。
単晶とは、一般にいわれているシングルポイントのことではなくて、結晶構造的に単一の結晶からなるものをいいます。
双晶は、さらに接合双晶と貫入双晶に分けられます。
接合双晶というのは、たとえば日本式双晶のように二つの水晶が一定の角度(84°33′)でくっついているものや、平行連晶のように複数の水晶が平行にくっついているもののことを指します。
貫入双晶とは、一見ひとつの水晶にしか見えないのに、実際にはふたつの水晶が相互に貫入しあったもので、ドフィーネ式双晶とブラジル式双晶のふたつが知られています。
少しだけ前置きになる話をしておきますね。
自然界には右巻きのものと左巻きのものが存在します。
高校の化学の時間に分子構造の光学異性体(鏡像体)を学んだことを思い出してください。
同じように水晶にも、結晶構造が右巻きのスパイラル構造でできているものと、左巻きのスパイラル構造でできているものがあります。
鉱物学では、左巻きのものを右水晶、右巻きのものを左水晶と呼んでいます。分子構造と名称が逆になっているのは、結晶の分子構造が解明されていなかった時代に形態から名付けられたためです。
右水晶は、結晶面をよく調べるとこの図のような形になっています。理想形では、メインフェースの右下にカイト(s面、またはx面)が一柱面おきにあります。(正確に調べるには、フッ化水素でファセットの表面を溶かせばわかります)
一方、左水晶は、次の図のような形になっています。理想形では、メインフェースの左下にカイト(s面、またはx面)が一柱面おきにあります。
話をドフィーネ式双晶とブラジル式双晶に戻しますね。
ドフィーネ式双晶というのは、ふたつの右水晶同士(あるいはふたつの左水晶同士)が相互に貫入してできた水晶で、結晶面に独特の特徴があるため判別することができます。
この図は右水晶同士のドフィーネ式双晶の模式図です。
理想形では6つの各柱面に右のみ(あるいは左のみ)の梯形面(x面)が現れるため、隣り合ったふたつの柱面に連続して、x面が現れれば、ドフィーネ式双晶である可能性が高いです。
ブラジル式双晶というのは、右水晶と左水晶が相互に貫入してできた水晶のことをいいます。
この図はブラジル式双晶の模式図です。
理想形では、ひとつおきの3つの柱面に右左ふたつのの梯形面(x面)が現れます。
ブラジル式双晶はかなり珍しく、ドフィーネ式双晶の方が出現する割合が高いといわれています。
前置きの話が長くなりましたが、やっと本題に入れます。(^^)
実は、クリスタル・ヒーリングの世界でも、みなさんは意識せずに単晶と双晶の区別をされているんですよ。
カテドラルライブラリと呼ばれている水晶は、明らかに貫入双晶のことですし、タイムリンクやウィンドウクリスタルと呼ばれているもののうち、ひとつの水晶の隣り合った柱面にふたつ以上のタイムリンクやウィンドウがあるものは、ドフィーネ式双晶である確率がかなり高いです。
では、カテドラルライブラリ、タイムリンク、ウィンドウという3つの水晶に共通する特徴とはいったい何でしょうか?
これら3つの種類の水晶は、おもに瞑想に使われるもので、病気などを癒す直接的なヒーリングにはあまり使われないことに気づかれた方もおられると思います。
紺野七郎氏という水晶の研究家が調べたことですが、古来から民間療法に使われてきた水晶には、貫入双晶(ドフィーネ式双晶やブラジル式双晶)がほとんどなかったそうです。
中国古代の薬石の書物にも「水晶は倭国のものが良い」と記されているそうです。
日本産の水晶には貫入双晶が比較的少ないという事実からしても、貫入双晶がヒーリングには不向きであることを傍証しているといえるかもしれませんね。
私の経験でも、ドフィーネ式双晶はかなり強いバイブレーションを出すものが多いのですが、ヒーリングにはあまり向いていないような感触を抱いています。
力の強い石が必ずしもヒーリングには向かないという経験則は、石の力の大小が直接的なヒーリング効果に比例しないという内容を暗示しています。
石が人に及ぼす効果は、単純な力の大小では割り切ることのできない複雑な作用であることが、このことからも伺い知ることができるように思います。石と人の間にはたらく相互作用というのは、われわれが考えているよりも、はるかに複雑な現象であるのかもしれませんね。
2002/3/16作成 2002/6/9修正
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