■焼け跡世代
(1935-1946生まれ)
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★幼少の頃に太平洋戦争を経験した世代。懐疑的なものの見方、モラルの高さや使命感の強さ、潔さ
▲語源は野坂昭如が用いた「焼け跡派」。都市部の焼け跡世代の人々は、第二次世界大戦中に幼少期と少年期を防空壕と焼け跡の中で過ごし、飢餓や経済的困窮、放射性被害など戦争による被害に苦しんだ。青空教室と闇市を経験した者もいる。父親を戦死や戦災で亡くし、母子家庭での生活を強いられた者も少なくない。戦中に農村部に疎開していた人々は、空襲で自宅が失われたことや、大都市部で深刻化した食料難から戦後もしばらく農村で過ごした者も多い。戦中派と共に、大日本帝国憲法が廃止され日本国憲法が施行される一大パラダイムシフトを体験した世代でもある。
●朝鮮戦争(1950〜)・サンフランシスコ平和条約発効(1952)
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■団塊世代・全共闘世代
(1947-1949生まれ)
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★戦後を作ってきたという自信・消費好き・競争に勝ってきた自負
▲命名者は当時、経済企画庁の官僚だった堺屋太一氏。オイルショック後の日本経済が団塊世代の加齢とともにどのように変容するかを描いた未来予測小説の題名が広まった。
▲戦後生まれの1期生である彼らの社会人デビューは70年前後。企業が高度経済成長のまっただ中にある一方で、親世代に生活の余裕はなく、若者たちは自分で生計を立てることを迫られた。仕事は生きる手段であり、会社から与えられるもの、指示されるものだったといえる。
▲企業が右肩上がりで成長する中で仕事の手応えは大きい。「頑張れば報われる」という実感が強く、未開の市場を自分たちが開拓してきたという自負も強い。経済環境が変化した後もその意識が消えず、下の世代から「声が大きい」「押しが強い」と煙たがられることもある。家族を顧みず、いわゆる「社畜」的な働き方も特徴の1つ。第1次ベビーブームに生まれ、世代人口が圧倒的に多く、雇用や消費、教育などにも大きな影響を与えた。
●東京タワー完成(1958)・東京オリンピック開催(1964)高度経済成長期(1954〜)東大安田講堂事件(1969)
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■断層の世代・しらけ世代・ポスト団塊世代
(1950-1964生まれ) |
★団塊ほど消費好きではなく、ちょっとしらけている。調整型
●あさま山荘事件(1972)・第二次オイルショック(1978)
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■新人類世代
(1961年代後半〜70年生まれ)

■バブル(就職)世代
(1965〜69年生まれ)

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★画一化・無機質。見栄っ張り
▲学生運動が下火になった時期に成人を迎え、政治的無関心が広まった時代の若者たち(=しらけ世代)を挟んで、登場したのが「新人類」。79年に始まった「共通1次試験」という一律のハードルを飛び越えた世代で、マンガやアニメ、テクノポップなどを嗜好し、インベーダーゲームが大流行。元祖サブカル世代とされ、一風変わった若者たちという趣旨で語られた。
▲だが、彼らが世に出たころは「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、日本企業の国際的な地位が高まり、ビジネス環境が成熟してきた時代。団塊が市場開拓を担った世代とすれば、新人類は量的拡大を求められた世代であり、スマートに段取りよくPDCA(計画、実行、評価、改善)を回せることが優秀とされた。このため、団塊世代に比べると調整型でこぢんまりとした印象がある。
▲拡大一辺倒だった60年代のアンチテーゼとして「猛烈からビューティフルへ」というコピーが話題になったが、日本企業が絶頂期を迎える中、仕事量は膨大でビューティフルとは言いがたい働き方が続いた。
▲サラリーマンの働き方が大きく変わるきっかけとなったのがバブル景気。実際の日本経済は成熟していたのにプラザ合意後、大量の資金が国内に流入し、企業が不動産や事業開発に資金をつぎ込むいびつな状況が生まれた。企業が規模拡大を目指して大量採用を行い、空前の売り手市場を形成。大卒の5割以上が一部上場企業に入ったと言われ、多くの若者が請われて入社した。
▲企業では既存ビジネスがうまく回らない一方、新しいことをやる機運は旺盛。豊かな発想力を持つ優秀なプロデューサーが数多く誕生したのも事実だが、好景気を背景に企業の決裁がゆるくなり、若手の提案が通りやすかったため勘違いする若者も多かった。
▲本来は成熟期を迎えた経済環境の中で、地道なビジネススタイルを身につけるべき時期に、バブル経済でカネがあふれたことが若者たちに別の経験を促したともいえる。若者の間に「仕事は会社から与えられるのではなく自分で生み出すものだ」という意識の変化が生まれ、働く目的が食べていくためや家族のためではなく、仕事そのものが目的化し始めた世代でもある。86年の男女雇用機会均等法施行以降は若い女性の活躍も注目された。大量採用で企業内人口が多く、中年になった彼らは今、激しい管理職ポスト争いにもさらされている
●ファミリーコンピュータ発売(1983)・バブル景気(1986〜)
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■ロスジェネ世代・氷河期世代
(1970-1986生まれ)
■団塊ジュニア世代
(1971-1974生まれ)
■ポスト団塊ジュニア世代
(1975-1982生まれ)
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★会社に対する信用低下、貯蓄好き
▲バブル崩壊後に登場するのが「団塊ジュニア」。広義には70年代に生まれた世代を指すが、団塊に次ぐ世代人口を抱える「第2次ベビーブーマー」(70〜74生まれ)と、団塊の子供世代である「ポスト団塊ジュニア」(75〜84年生まれ)を分けて考えるべきだという意見もある。
▲彼らが社会人になったのは求人環境が一変し、採用人数がグンと減った時代。特に前半の世代は人口も多く、厳しい受験地獄をくぐり抜け、ようやく大学に入ったのに目の前でバブルがはじけ、経済が長い後退局面に入ったため被害者感情が強い。「ロストジェネレーション(失われた世代)」「氷河期時代」とも呼ばれる。
▲就職前に企業の倒産やリストラを目の当たりにしたため、会社の中で言われたことだけをやっていても安泰でない、転職市場でも評価される個人にならないといけない、という意識が強いのが特徴だ。「キャリアアップ」という言葉がはやり、自分の市場価値を高めるため資格取得やダブルスクールにも積極的。プロフェッショナル志向が強く、ゼネラリストである管理職になることを嫌う。
▲後半の世代は子供時代からテレビゲーム機に親しみ、高校・大学時代にはインターネットや携帯電話が普及するなどネット文化の中心を担う存在でもある。企業への忠誠心などの面で言えば会社と個人の距離感が大きく変わった転換点に位置しており、女性の進出が一段と進んで共働き世帯が一気に増えた世代でもある。
●バブル崩壊(1991〜)・阪神・淡路大震災(1995)
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■ミニマム世代
(1980-1988生まれ) |
★人生を縛るものを持ちたくなる
●バブル崩壊(1991〜)・阪神・淡路大震災(1995)ITバブル(1999〜)・世界金融危機(2007)
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■ゆとり世代・さとり世代
(1987-2004生まれ)


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★仕事よりプライベート
▲「ゆとり教育」と呼ばれる02年から10年に施行された学習指導要領に沿った教育を受けた世代。授業時間数の減少が学力低下を招いたとされ、やり玉に挙げられがちだが、「生きる力」を身につけるという教育ビジョンに共感する意見も少なくない。特徴的なのは前の世代と比べ、自分の内的な部分に忠実だという点。仕事は手段ではなく、より目的化しており、地位や年収という外的なものでなく、自分自身が充実することを重視する。会社や上司との関係はドライで自分の時間を大切にし、ワークライフバランスを権利として主張する傾向が強い。
▲指示待ち、リスク回避志向などと批判され、仕事中心だった上の世代からは違和感を持って語られることが多いが、会社に頼らず、自分の内的な信念に忠実に生きようという良質な人材も生まれている。
▲SNSなどを使いこなし、強い横のつながりを持つ一方、縦社会に弱く、企業の中ではやりたいことが満たせないという思いから、仕事が手段的になり、休日のボランティアなどで自己実現を図ろうとする傾向がある。日本企業がこうしたピュアな思いを持つ若者を上手に活用できていない側面が見落とされがちだ。
●東日本大震災(2011)・地上デジタル放送化(2011)・東京スカイツリー完成(2012)
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