「炭酸水素ナトリウム」「重炭酸ナトリウム」「重炭酸ソーダ」は、「重曹」?
●ふくらし粉やクレンザーとして使われる「重曹」の化学名は「炭酸水素ナトリウム」ですが、「重炭酸ナトリウム」「重炭酸ソーダ」等とも呼ばれます。
●ナトリウム化合物(soda)の中で、工業的にいちばん重要なのは炭酸ナトリウム(sodium carbonate)です。●重曹は炭酸ナトリウムより比重が重いという特徴があります。●「重い炭酸ナトリウム(ソーダ)」なので「重炭酸曹達」と名づけられました。これを略して「重曹」となったわけです。
●ソーダと言えば「炭酸ナトリウム」ということで、ナトリウムとソーダどちらも同じように使われているのです。●「ソーダ灰」「精製ソーダ」「洗濯ソーダ」と呼ばれているのは、どれも炭酸ナトリウムです。●昔はソーダに「曹達」という漢字を当てており、この言葉は今でも化学関連の会社名に使われることがあります。
「同じ物質なのに、なぜ様々な名前で呼ばれるの?」
●様々な名前があるのは、英語とドイツ語から由来した呼び名が両方とも使われていることが一番の原因です。●「Na」の正式な元素名「ナトリウム(natrium)」はドイツ語ですが、これが英語になると「ソディウム(sodium)」となります。●単体のナトリウムが何かと結合して「ナトリウム化合物」になると、英語で「ソーダ(soda)」と言います。
●現在の日本では、理化学分野ではドイツ語の「ナトリウム」、工業分野では英語の「ソーダ」を用いることが多いようです。●これは明治時代に、どの国からその技術を導入したかによってそれぞれの分野で違う呼び名が定着したのだといわれます。●ソーダは、アラビア語では「頭痛」の意味だそうです。炭酸ナトリウム(ソーダ灰)あるいは炭酸水素ナトリウム(重曹)を頭痛薬として使っていたからです。●ソーダ灰は旧約聖書に洗剤として出てきます。エジプトでは、ミイラの洗浄や乾燥にも重宝されたようです。
「ソーダとナトリウム、ソーダ水は同じ?」
●水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)は化学式 NaOH で表され、別名「苛性ソーダ(caustic soda)」とも呼ばれますが、ソーダはナトリウム化合物一般に使われる俗称です。また、苛性は「激しい性質を持つ」という意味です。●これは「普通のソーダ(炭酸ナトリウム)よりも性質が苛烈」ということでこのような名がつきました。
●では、「苛性ソーダ」と、炭酸の「ソーダ水」の「ソーダ」って同じ物でしょうか?●ソーダ水のソーダは、本来炭酸水素ナトリウム(重曹)とレモン汁を加えた発泡性の水のことですが、現在では二酸化炭素が溶け込んだ清涼飲料水(soda)のことを指しており、苛性ソーダのソーダとはまったく関係が無くなっています●では、なぜこれが「ソーダ」なのでしょうか?●これは、炭酸水を作るのに重曹を使っていた名残です。昔は、レモン水のような酸性の水に重曹を溶かし、酸性の水に含まれるクエン酸と反応させて二酸化炭素を発生させていました。
●重曹=重炭酸曹達を溶かして作ったので、炭酸水は「ソーダ」と名付けられ、それに味付けをした清涼飲料水も同じ名前になったというわけです。
●水酸化ナトリウムは、基礎工業薬品のひとつとして多様な方面で用いられ、代表的な用途としては単純なアルカリとして上水道・下水道や工業廃水の中和剤とされるほか、ボーキサイトからアルミニウムの原料であるアルミナ(酸化アルミニウム)を取り出すのにも使用されます。 ●パン、スナック菓子の生地を水溶液に浸けて、表面のつや出しと食感改善にも利用されています。●鹸化作用を利用する最も基礎的な薬品で、ほとんどの場合、固形石鹸の製造には水酸化ナトリウムが用いられています。
●水酸化ナトリウムそのものの強力な脱脂作用や強塩基性の溶解能力を利用して直接洗浄剤として用いられることもあり、市販の排水管クリーナーは水酸化ナトリウムを主剤としたものが多くあります。●またこれに加えて苛性カリや界面活性剤を加え洗浄力を強化した製品も販売されている。●また、油分と反応して鹸化する特性を利用して、めっき工場などでの脱脂処理として利用されることもあります。
●水酸化ナトリウムは大変危険な薬品です。強力な塩基性の薬品であるとともに、水和熱が大きいことから思わぬ爆発的反応を起こす事があり、不慮の事故につながりかねません。
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