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映画メモ 2007年3・4月

(劇場・レンタル鑑賞の記録、お気に入り作品の紹介など。はてなダイアリーからの抜書です)

クイーン / ラブソングができるまで / ナイト ミュージアム / 世界最速のインディアン


クイーン (2006/イギリス-フランス-イタリア/スティーヴン・フリアーズ)

作中のヘレン・ミレンの歩き方が私にそっくりだと言われた。足を投げ出すように歩くの。

何とはなしにポスター見てたので、ヘレン・ミレン演じるエリザベス女王の一代記だと思ってたら、実際は、ダイアナ妃が他界した一週間の、王室やブレア首相など周辺の人々を描いた映画だった。
まずは「マリー・アントワネット」同様、王室の生活を…忠実に再現しているにせよそうでないにせよ…映像で観られる、というのが面白い。女王が夜に着るピンクのガウン、ベッドの中のヘアピン、邸内で持ち歩くカバンの中身は何だろう(筆記具を取り出すシーンはアリ)、書類のやりとりに使う籐のカゴは、ファイルはみ出てるしもうちょっと大きい方がいいんじゃないか、テレビ古いな〜、などなど。川辺のピクニックで女王が持参した「冷めても食べられるシチュー」がタッパーの外からしか見られなかったのが残念。
それから、小道具じゃないけど、ブレア首相夫人は、あの朝、なぜあのスーツを選んだのかちょっと考えてしまった。

オープニングを始め、作中何度も女王の顔はアップになるが、その薄い上唇は印象的だ。
ブレアいわく、彼女は「ストイックで不平不満を言わない女性」。もともとヘレン・ミレンの唇は薄いけれども、紅でさらに直線のごとく強調された上唇はその象徴だ。私はリップペンシルを使う際、上も下もまるくふちどる。それはたぶん「ストイックじゃない」というしるしだ。
しかし映画の彼女はチャーミングである。ストイックであることと、ああいうチャーミングさとは両立するものなんだと再確認した。垂れてもいないハナをスカーフでこするシーンがかわいらしかった。

(07/04/30・新宿武蔵野館)


ラブソングができるまで (2007/アメリカ/マーク・ローレンス)

80年代に一世風靡したバンド「Pop」の元ボーカリスト、アレックス(ヒュー・グラント)は、人気歌手から曲作りの依頼を受ける。起死回生のチャンスだが、彼には詞が書けない。植木の水遣りに来たソフィー(ドリュー・バリモア)の才能を見込み、共作を依頼するが…

冒頭を飾る「Pop」のプロモは置いといて…その後に続く、いわゆる「あの人は今」的番組の出演依頼を受けるヒュー・グラントの表情や仕草が印象的。人の話を聴く様子が愛らしい男性っていい。シワシワになっても彼が主役を張る理由が分かる。
「元芸能人」の彼は常に胸元を開いた格好で、夕方や夜が似合う。太陽の光の下ではツライ。でも、半ばムリヤリ連れ出された朝のベーカリーで、明るい窓を背に座った姿も、見慣れれば、それはそれで良い。続けてポップソングの素晴らしさを説くくだりには、普通にがんばってきた男の人の、普通の良さを感じて、あったかい気持ちになった。

ピアノの下で朝を迎えたヒューは、マネージャーからの電話に、下がジーンズの上半身ハダカ姿でベランダに出て喋るんだけど、それなりに鍛えた二の腕と胸板に続くたるんだお腹がちょうどいい具合だった。
そしてその午後、彼の遊園地での公演に同行したドリューの、身内側から出演を見守る姿の可愛らしいこと。俗っぽく悪く言えば女房面、なんだけど、その笑顔を見ていると、仲良くなった相手のことを愛しく思うのって当たり前だと、改めて思わせられる。
それにしても、話をしてセックスして、互いに「合う」と感じるって、素晴らしいことだ。

最後にヒューは「ラブ・アクチュアリー」のラストと同じ抱っこスタイルをする。私も実はこの格好が好きで、それには結構ガタイが良い相手でないと難しいから、だから大きい人が好きってのもあるのかも。もっともヒュー・グラントの場合は、支えきれるかちょっと不安なとこがいいんだろうけど…(笑)

途中「ネバーエンディング・ストーリー」が流れるシーンがあるんだけど、ヒューの歌ばかり聴いてたもんだから、リマールの声はやはり華があったなあと思った。

(07/04/21・バルト9)


ナイト ミュージアム (2006/アメリカ/ショーン・レヴィ)

「ホリデー」と続けて観たけど、この2本が公開数日後にほぼ満員、というのはちょっとフシギな気がする。

「ナイト〜」は、最近観た映画の中で一番面白かった。
今回の「劇場を出て最初に耳にした一言」は、女のコ同士の、もっとシリアスな話かと思った〜というもの。私も何度も予告編を目にしていながら、どういう話だか想像がつかなかった。でも実際観てみたら、予告編、ああいうふうにしか作れないのがわかった。
オープニングで名前が出てこないから、どんな役柄かは伏せるけど、オーウェン・ウィルソン&スティーヴ・クーガンも最高でした。

私はジオラマが大好きで、しかも、壁掛けみたいのが一番好き。子どもの頃は「棚に人形が飾ってある」くるみ割り人形の話が好きだったし、護国寺のオルゴール博物館では、壁に掛けられてるジオラマが動くのが好き。
だから、ジオラマの人間たちが生き返ってワラワラする舞台が、飾り棚ぽいテーブルだったのが、楽しかった。

それにしてもこのヒロイン(カーラ・グギーノ)は羨ましい!最初と最後だけ出てきて、労せず楽しいことを体験できる。彼女の服装も、憧れというより普段の格好として、自分の好みにピッタリだった。

(07/03/26・新宿東亜)


世界最速のインディアン (2005/アメリカ/監督ロジャー・ドナルドソン)

どんな映画だか知らなかったので、劇場に入って、展示してある撮影用「20年型インディアン・スカウト・マンロースペシャル」に驚いた。前で写真を撮ってもらう。

観終わったあとは原作「バート・マンロー スピードの神に恋した男」を購入。表紙がよかったから。

60年代、ニュージーランドのちいさな町。60を超えたバートは、「20年型インディアン・スカウト」と暮らしていた。日々マシンの改造を続ける彼の夢は、アメリカ・ボンヌヴィルの塩平原で開催される公式大会に出場し、スピードの世界記録にチャレンジすること。細々と年金を貯めていたが、心臓発作を機に、一路アメリカへ向かう。

爺さんがバイクに乗って飛ばす。しかも、門外漢の私の目には初めての、あんな流線型のマシンに、うつぶせみたいに、ぎゅうぎゅう詰めで乗り込んで。それだけで楽しい。
とはいえ、疾走シーンは、冒頭にちょこっと、最後にどかんとあるのみで、あとはロードムービー。多くの人がバートと触れ合って、通り過ぎていく。ここまで「いい人」しか出てこない映画は久々、というほど「いい人」だらけだけど、わざとらしくマイナスに感じられるということはなく、面白かった。
旅の途中での、未亡人のおばさんとの一夜が良かった。白いシャツの下に、年月を経た身体。「見せたいものがあるの」…私はその時点でもう、ベッドに連れてくのかと思った(笑・いちおう、もう一段階ある)

バートは、40余年改造を続けた愛車を、ロスで買ったぼろいクルマにくっつけて、ボンヌヴィルまで引っ張って行く。ハダカで大丈夫?と思ってると、案の定、バイクのタイヤが外れてひっくり返る。あれだけ執念かけてるのに、今の時代の、私の目からすると、扱いがぞんざいなのが可笑しい。
旅のはじめの頃は、「ストレイト・ストーリー」の冒頭、トラクターで町を発ったものの故障ですぐ戻ってくるシーンを思い出し、いつ引き返すんだろういつ引き返すんだろう、と思ってたけど、トントン拍子に事が進んで、ちゃんと大会に出場できる。
インディアンは、皆に押してもらわなければ出発できないけど、走り出したら止まらない。「記録更新」が目的だから、見渡すかぎりの平原の上には、比べるものもない。インディアンだけだ。

「夢を追わない人間はキャベツだ」…言葉は、状況と一緒になって始めて意味をもつから、夢を追わない人間が皆「キャベツ」だなんて、私は思わない。大体、不眠症の自分にとっては、早朝からあんなに騒音たてるバートは、もしご近所さんだったら、訴えたくなるほどの迷惑人間である。でも映画においてバートがこう言うのは、いいシーンだ。

現地でバートを助けるジム役のクリストファー・ローフォードという人は、本当のレーサーかと思ったけど、いま検索してみたら俳優さんでした。それにしてもレーサー顔だ。

(07/03/12・テアトルタイムズスクエア)



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