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建築物のチェックリスト

相談室に自分でチェックするポイントを教えてほしいといった相談もあります。
素人の方ができる範囲の内容で特に構造や耐久性に関わる部分を中心としたチェックリストを作ってみました。
構造上適正な建物かどうかは建物が出来上がってからはなかなか分からない上に、
建築後にこれらの不備が分かっても、補修に費用と時間がかかる部分です。
安全な建物を作るためには
契約時(本来はこの時点で詳細な設計図書があることが望ましい)や設計図ができた時点で
これらのことが設計図書に記載されているか確認した上、
実際その通り施工されるかをチェックしていかなければなりません。 
建築家に設計監理を依頼された場合は、詳細な設計図書を作成することはもちろん
専門的な立場からこれ以外の部分も含め工事をみていきます。(工事監理)

2008年6月すこし難しい用語集をまとめてみました。(一番下の方にあります:作りかけの項目もあります)

建築物のチェックリスト

1.地縄張り
1)排水の勾配がとれるか。
2)ガス・電気の引き込み位置はどこか。
3)各メーターの位置はどこか。
4)建物の軒先は境界よりはみ出ないか。
5)建物の基準寸法は設計通りか

2.水盛遣方(「みずもりやりかた」*省略して「やりかた」ということが多い)
1)仕上がったときの敷地の高さはどこか
2)敷地と玄関の落差はないか
3)あとで盛土しないでいいか
4)外部の敷地面より建物の中の敷地が低くないか
5)床下の高さは十分取っているか
6)ガレージの位置はどこか
7)ガレージの屋根が敷地面より何cm位高くなるか

3.地盤の調査
1)敷地は盛土か切土か。軟弱ではないのか。またその際の対処方法は何が考えられるのか
2)地耐力調査はしたのかどうか。結果はどうであったか。
3)地質調査(ボーリング)はしなくていいか。またする場合の費用はどうなるのか

4.根切り、割りぐり石、捨てコンクリート
1)根切りの幅は何cmあるか
2)根切りの深さは地盤面より何?掘るのか

5.割りぐり地業
1)割りぐり石の厚さは何?あるか
2)ランマーで突き固めるのか

6.捨てコンクリート
1)捨てコンクリートの幅は何ミリか
2)捨てコンクリートの厚さは何ミリか
3)横の鉄筋は何?間隔で配筋するのか

7.布基礎とフーチング
1)基礎の幅と高さは何?か
2)基礎のフーチングの厚さは何?か
3)フーチングの幅は何ミリか。また地崩れ等が発生した際大丈夫な深さか。
4)縦の鉄筋は何?間隔で配筋するか
5)鉄筋の太さは何mmか
6)フーチングの型枠は入れるのか
7)鉄筋に使う鋼材の種類は(通常はアバラ筋を使用) 

8.玄関の基礎
1)玄関の下端にはモルタルが十分入るか
2)玄関の基礎はコンクリートか、モルタル下地か

9.床下通風口
1)床下通風口から水が入ることはないか
2)床下通風口は何カ所設けるのか
3)床下通風口の大きさはどの位か
4)床下通風口の土台の上に柱は立たないようになっているか

10.アンカーボルト
1)アンカーボルトの長さは何?で、間隔は何ミリおきか
2)アンカーボルトの締結状況はどうか
3)アンカーボルトは基礎の中心に立っているか

11.上棟式
1)柱は垂直か
2)職人の休みは何曜日か
3)現場の最高責任者は誰か

12.筋違い(すじかい)
1)筋違いを入れる個所はどこか
2)筋違いの大きさはどれぐらいか
3)筋違いの入れる方法は
4)筋違いはどれぐらいのくぎで止めるか

13.筋違い以外の軸組
1)通し柱は何ミリか

14.つか石、床づか、根がらみ
1)床づかの足元には防腐剤を塗るのか
2)大引きと床づかはカスガイで固めるのか
3)根がらみは入るのか
4)根がらみには防腐剤を塗るのか
5)つか石の下には割りぐり石を入れて突き固めるのか
6)土台部分には防腐剤を塗るのか

15.根太大きさと間隔
1)根太の大きさは何?か
2)和室の根太の間隔は何ミリか
3)洋室の根太の間隔は何ミリか

16.火打土台、火打ちばり
1)火打ち土台の大きさはどれぐらいか
2)火打ち土台はどこに入るか
3)火打ち土台はどうしても必要か
4)火打ちばりの大きさはどれくらいか
5)火打ちばりはボルトで梁につないでいるか
6)火打ちばりはどこに入るか

17.はりとけたの太さ
1)通し柱は何本使うか、材質は何か
2)管柱は何本使うか
3)和室の柱の材質は何か
4)洋間の柱の材質は何か
5)はりの大きさはどのように決めたか

18.野地板
1)野地板は何枚ごとに継ぎ目を替えるのか
2)野地板の釘は垂木へ2本打っているか

19.軒の出
1)軒先の出は何?ぐらいか

20.垂木と金物
1)垂木の大きさと間隔はどの位か
2)瓦の重量で軒先が下がるようなことはないか
3)垂木止めには金物を使っているか

21.瓦、瓦の下地
1)瓦に釘を何本打つのか
2)屋根がわらはいつ葺くのか
3)瓦下地はフェルトか、トントンか

22.天井の高さ
1)天井の高さはどれぐらいか
2)トイレ、浴室等の天井の高さはどれ位か
3)出入口の建具の高さはどれ位か

23.床の高さは床下の換気等が十分できる高さになっているか

24.外部のモルタル下地板
1)外部下地板は何枚ごとに継ぎ目を替えるのか
2)釘は何本ずつ打つのか
3)ワイヤーラスか、メタルラスか
4)土台の防腐剤、防蟻剤

25.小屋組
1)小屋筋違いは入っているか
2)小屋筋違いの大きさはどれくらいか
3)もやの大きさはどれぐらいか
4)もやの間隔はどれぐらいか
5)もやを受ける小屋づかの間隔はどれぐらいか
6)小屋づかの大きさはどれぐらいか
7)もやと小屋づかはカスガイで止めているか
8)小屋梁と小屋づかはカスガイで止めているか

その他
シックハウス対策などはできているか(換気設備がショートサーキットになっていないか)

地耐力(ちたいりょく)
地盤が構造物を支持できる強度。

火打材(ひうちざい)
木造で床組みや小屋組みで、地震や台風時に発生する水平力による変形を、防止するために、
建物のコーナーや主要室のコーナーの隅角部に水平・斜めに取付ける部材で、
床の面剛性を高めるための部材です。
耐震性を確保するには、これらの部材を適切に取付ける必要があります。
1階の床に設けるものを火打土台(ひうちどだい)、
2階などの床や小屋組に設けるものを火打ち梁(ひうちばり)といいます。

間柱(まばしら)
大壁造の場合に、柱と柱の間に取り付けられる壁下地用の垂直材で、柱のように上部の荷重を負担する部材ではない。
木造の場合は、柱を2等分、または3等分した大きさのものを40〜50cm間隔程度に取り付けられることが多い。

切土(きりど)盛土(もりど)
切り土は斜めになっている土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。
盛り土は逆に既存の敷地の地盤の上に新たに土を盛り、よく突き固めて、敷地を造成すること。
山などを造成する時は、切土部分と盛土部分の体積を近づけ、
切土を盛土に用いることで建設コストを安くする。
元々あった地盤なので、当然切土の部分の方が固い。

よう壁
宅地造成などの切土、盛土部などの段差が崩れないようにのり面(人工斜面)を保護する壁のこと。
壁体の自重、土の重量による土の圧力(土圧)に抵抗し、急傾斜の地盤を支えます。
擁壁の構造や維持管理が悪いと、被害が起きるおそれがあります。
構造面では、建築基準法の検査済証が交付されているかどうかなどをご確認下さい。
特に、宅地造成等規制法という法律があり、、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい区域を
宅地造成事規制区域として指定されている地区があり、そこで一定規模以上の工事をする場合は
工事の許可が事前に必要です。
また、水捌けをよくする裏込め石や水抜き穴を適切な場所に設けるなど、排水処理も重要です。
降雨の際でも、水抜き穴からあまり水が流れないなどの時は調査した方がいいこともあります。
俗に「土留め」。

地縄張り(じなわばり)
工事着工の最初の作業で、建築予定地に縄を張って、
設計図どおりに建物の配置を決めていく作業のこと。

水盛遣方(みずもり やりかた)、根切り(ねぎり)
基礎工事の最初の作業。
「水盛」は、水準器などを使って水平を確認し、水糸を張っておく作業。
昔は水を使って水平を出したので水盛という名前が付いたといわれています。
レベル出しともいいます。

「遣方」は、これから建てる建物の正確な位置を決めるために設けるもので、
「遣方」をもとに基礎の位置決めや寸法計測を行います。
そこで決めた位置に従って、基礎の形に地面に穴を掘る作業が「根切り」(ねぎり)

通し柱 (とおしばしら)
木造の2階建て以上の建物で、土台から軒桁までを1本もので通した柱。
平面図では、通し柱の位置を○で囲んで他の柱と区別する。
構造的には重要な役割を果たす柱で、一般の管柱(各階毎の柱)より太い柱が用いられ、
建物の隅柱をはじめ、要所に設けられる。

管柱(くだばしら)

2階建て以上の木造の建物の柱で、
土台から軒桁まで1本の柱で通さずに
途中の胴差などで分断されている柱。

梁(はり)
柱が垂直に建つ材料であるのに対して
建物の骨組で、横に架けた構造材を指す言葉を示す、
横架材(おうかざい)のひとつ。
柱が垂直に立っているだけだと不安定になるので、
水平方向の部材と組み合わせて耐震性を増す役割をする。
また、横架材は梁、桁(けた)、棟木(むねぎ)、胴胴差(どうさし)などを指します。

かぶり厚さ(かぶりあつさ)
コンクリート表面から鉄筋、鉄骨外面までの被覆厚をさすかぶりの寸法。
構造体の種別、コンクリ−トの種別により最小厚さが定められている。通常3〜5?。

フーチング
地盤の支持力を増すために、布基礎の底面を逆T字形にするように幅広くした部材。

アンカーボルト
土台と基礎をつなぎ、地震などで建物が動くのを防ぐ役目のボルト。
基礎に埋め込まれる部分の先端はL型に曲げられており、引き抜きにくい形状になっている。

筋違い、筋かい、筋交い(すじかい)
地震や風圧などの水平力に建物を対抗させるために、
柱・梁などの四辺形に組まれた軸組に対角線状に挿入した補強材で、軸組の変形を防ぐ働きをする。
筋かいなどの耐震要素が組み込まれた壁を耐震壁といい、耐力壁の量やバランスが大事。

軸組(じくぐみ)
柱・梁・桁・胴差・筋かい・土台などで構成される骨組。
屋根や2階床の荷重を支え、基礎に伝えると共に、地震・風などの水平力に抵抗する役割をもつ。

根太(ねだ)
床の構造の一部で、1階の場合床板のすぐ下にあり、床の重量を大引に伝える役目をします。

大引(おおびき)
木造の床組の部材で、根太を支えるための横材。

床束、床づか(ゆかづか)
木造建築の1階の床組材で、
大引から垂直に地面に下ろし、束石を通じて床の目方を地盤に伝える部材。

小屋筋交い(こやすじかい)
小屋組の横倒れを防ぐために小屋梁と直行する方向に入れた筋交いのこと。

垂木(たるき)
小屋組の一部で、屋根の板(野地板)のすぐ下に滴の流れる方向に入れる部材のこと。