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書面交付義務に関す建築士法の条文について(平成19年6月20日施行の改正建築士法及び平成18年12月20日公布/平成20年11月28日施行予定の改正建築士法)
改正建築士法について/JIA近畿支部(2008/6/20作成、新・建築士制度普及協議会パンフレットなどを参照に作成し、関連情報へリンクを貼っています)
建築士法改正に伴う建築士事務所の書面交付義務について (JIA NEWS9901号より抜粋)1997年6月20日に公布された「建築士法の一部を改正する法律」が1998年6月19日から施行されました。
今回の改正の中で、「設計の委託者に対する建築士の説明義務」「建築士事務所の業務実績等に関する書類の閲覧制度」および「建築士事務所の開設者の建築主に対する一定の事項を記載した
書面の交付義務」が定められています。(*建築士法の条文番号は当時、平成18年や平成19年の法改正により条文番号は変更になっていますのでご注意下さい)書面交付義務はつぎの通りです。
・法第24条の5の第1〜4号
(1)設計または工事監理の種類およびその内容
(2)設計または工事監理の実施の期間および方法
(3)報酬の額および支払の時期
(4)契約の解除に関する事項
・施行規則第22条の3第1項第1〜5号
(5)建築士事務所の名称および所在地
(6)契約の年月日
(7)契約の相手方の氏名および所在地
(8)設計または工事監理に従事する建築士および業務に従事する士法第20条第3項に規定する建設大臣が定める資格を有する者の氏名
(9)設計または工事監理の一部を委託する場合にあっては、当該委託に係わる設計または工事監理の概要ならびに受託者の氏名または名称および住所設計監理業務委託契約書にこれらの内容を記載することによって、書面交付義務を果たすことができます。
しかし、(8)(9)は現状では契約時点で必ずしも決定されないことが多く、また詳細な契約約款を規定しない業務委託書、業務受託書によって契約を結ぶことも少なくありません。
書面による設計監理契約を結ぶことは必ずしも法律上強制されておりません。今後は紛争を予防する方向で、契約約款に詳細な規定をした契約関係へと移行する必要がありますが、信頼関係を基礎として、当事者間での紛争が起こったときの解決を民法または裁判の結果に委ね、その煩項さや結果のいかんについても受け入れる覚悟があれば、口頭契約又は簡単な業務委託書、業務受託書による契約を結ぶことを否定するものではありません。
一方、士法改正に伴う書面の交付義務は法定のものであり、この通知義務違反は法律違反となります。従って、口頭契約または簡単な業務委託書、業務受託書による契約を結ぶ場合にあっても、委託契約をしたときは、なんらかの形で委託者に対して法で定められた内容の書面を交付する必要があります。
このためには、現行のJlAの業務委託契約書を、法改正の趣旨にしたがって改正する必要があります。ところが、JlA、日事連、士会連合会、BCSの4団体では、「民間建築設計監理業務標準委託契約約款」の検討を、本年末にはその成果がまとめられる予定で進めております。ここでJlAの業務委託契約書を改正しても、直ちに再度改正ということにもなります。そこで、口頭契約、または簡単な業務委託書、業務受託書による契約を結ぶ場合をも考慮して、契約とは別に委託者に交付する書面の書式を定めることにしました。
ただし、次の内容が業務委託契約書(または業務委託書、業務受託書)等に記載されておれば、その内容を改めて通知する必要はありません。
委託者に交付する書面の書式は、未決定の条項は、「未定、後日通知する」と記載する。
また、業務委託契約書または業務委託書、業務受託書と同時に交付するときは、重複する内容について「業務委託契約書(または業務委託書、業務受託書)による」と記載するなど、決定事項のみ、または他に規定のない事項を記載したものを委託者に交付します。さらに、その内容が確定しまたは変更された都度、その内容を記載して交付することとします。現行のJlA業務委託契約書を用いる場合には、(8)(9)の事項は必ず別途委託者に通知する必要があります。
(業務委員会・橋本喬行)
委託者に交付する書面の書式(案)
年 月 日
委託者 殿
受託者住所
事務所名
代表者名
建築地
件名
の設計監理業務に関して、建築士法第24条の5の定めにより,下記を通知します。1.業務の種類,実施担当者,業務期間(法第4条の5第1〜2号)
注)各業務の内容(範囲)及び上記の実施方法に記載された以外の実施方法については、
業務の種類 実施方法 業務期間 担当者名 資格種別 1.設計前(企画・調査)業務 年 月 日〜 年 月 日 2.基本設計業務 年 月 日〜 年 月 日 3.実施設計業務 年 月 日〜 年 月 日 4.工事契約・監理業務 年 月 日〜 年 月 日 5.特約業務 年 月 日〜 年 月 日 6.その他の業務 年 月 日〜 年 月 日
別途「業務項目一覧表」による。上記担当の他、業務に従事する建築士法第20条第3項に規定する建設大臣が定める資格を有する者の氏名(施行規則第22条の3第1項第4号)
担当者 資格種別2.業務の一部の再委託先(協力事務所)(施行規則第22条の3第1項第5号)
再委託する業務の概要 協力事務所・代表者 協力事務所・住所 ・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・
3.報酬及び支払時期(法第24条の5第3号)
報酬の額は、別途業務委託契約書(又は業務委託書、業務受託書)によって定めたとおりとする。注)
4.契約の中止又は解除に関する事項(法第24条の5第4号)
(1)委託者による業務のの中止と契約の解除
委託者は受託者の業務が完了する以前においては、その業務の中止を求め、又は契約を解除することができる。この場合においては、委託者は受託者に対し中止のときまでに履行した業務に対する報酬を支払い、又解除によって生じた損害を賠償する。
(2)受託者による業務の中止と契約の解除
受託者は受託者の業務が完了する以前においては、その業務を中止し、または契約を解除することができる。この場合においては、委託者のために不利となる時期に中止又は契約を解除したときは、その損害を賠償する。止むを得ない理由があるときはこの限りではない。
本書面作成上の注意1.本書面は業務委託契約書(又は業務委託書、業務受託書)と同時に交付するときは、重複する内容については「業務委託契約書(又は業務委託書、業務受託書)による」と記載し、
そのときまでに決定している事項で、業務委託契約書(又は業務委託書、業務受託書)に記載のない事項を具体的に記載する。2.現行のJlA業務委託契約書を用いるときは、「1.業務の種類、実施担当者、業務期間」および「2.業務の一部の再委託先(協力事務所)」を必ず通知する。
3.「3.報酬の額及び支払時期」は、口頭契約等で、業務委託契杓書(又は業務委託書、業務受託書)によらず、本書面以外に契約金額を証する書面がないときには、本書面が契杓金額を証する書面として印紙税法の対象となり、契約金額に相当する収入印紙を貼ることが求められるので注意を要する。
4.「4.契約の中止又は解除に関する事項」は、現行のJlA業務委託契約書の規定をそのまま記載しているので、設計4団体による「民間建築設計監理業務標準委託契約約款」が制定されたときには変更するものとする。
5.本書面の記載事項は、その後確定又は変更したときは、その都度、その内容を記載して、委託者に交付する。
注)業務委託契約書(又は業務委託書、業務受託書)の報酬の額及び支払時期には下表の内容を明示する。
支払時期 報酬額 (内取引に係る消費税及び地方消費税の額) 1.委託契約成立時 ( 2.・・・・ 3.・・・・ 4.・・・・・ 5.業務完了時 6.・・・・・・