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QBS(Qualification Based Selection:能力による選定)について
1996年7月にスペインのバルセロナで開催された
UIA(世界建築家連合)の総会に報告された、
アメリカの公共建築工事の設計者選定方式のため最も広く採用されている方式で、全ての主要な設計職能団体の他ゼネラルコントラクター協会、米国公共工事協会、米国弁護士会等の多くの組織によって推奨され、連邦政府(連邦政府調達局の法律/ブルックス法ではQBSを採用し「建築家は価格によらず資格と能力により選定されるべき」としている)、約40の州政府、全国の地方公共団体で採用されている。UIAの職能実務委員会(PPC)リポートでは
「価格に基づく建築家の選定は、依頼主に提供するサービスを減らすよう建築家を強いることとなり、そのことが、デザインの質を妥協的なものとし、そのために、環境の質や快適性及び社会的、経済的価値を中途半端なものにする」とした上で、資格・能力による選定の採用を求めており、将来的には設計者選定方式の国際的方式となる可能性もある。
QBSガイドラインの概要
第1段階「選定」
1.クライアントは意図される規模、機能、収容力、その他一般的に予想される要求(修繕、解体、新築、エネルギー、土地利用、敷地選定に関する諸問題)を含めたプロジェクトの概要や利用可能なプロジェクトに関して終了している調査、基本的なフィージビリティスタディの作業についての記述、その事業に影響を与えるようなプロジェクトについての記述、プロジェクトのスケジュール、プロジェクトの予算、選定の評価基準を公表。2.建築家の資格と能力を示す申込書を受付け、公表した評価基準にしたがって申込書を評価し、業務遂行にもっとも資格を持つと思われる3−5事務所の候補者名簿を決め、候補者名簿の建築家に敷地や施設の見学会を行い
3.45分程度の面接を行い、技量、名声、信頼感、過去の仕事、技術的能力、クライアントへの利益への奉仕を基準にランクを付ける。
第2段階「限定」
ランク一番の建築家と業務範囲を協議し、報酬をネゴシエイトする。
1番の事務所と協議が整わない場合は2番以降の建築家と協議する。第3段階「指名」
協約の完了と応募者への選定プロセスの結果の通知、報告書の作成を行う。
JIA NEWS9409号データファイルより抜粋
Qualification−Based Selection QBS
資格に基づく選定法
公共のオーナーによる建築家選定のプロセス
1989年2月
AlA州政府事業部(訳:JlA)
前文
公共のオーナーたちは、どうやつて建築家を選定しているか?設計のプロフエツシヨナルを選定するとき、公共のオーナーの第一の関心は、納税者たちにとつて最善の設計業務を得ることであり、かつ、公正で正当な選定プロセスを経ることである。「資格に基づく選定」、すなわちQBSは、公共のオーナーが"教養ある消費者"であり、かつ、論理的で公正で、かつ客観的な建築家選定方式をもつことの必要性から、展開してきたのである。
公の資金が使われるプロジェクトで、建築家及び技術者の業務を調達するこの伝銃的な「資格に基づくアプローチは、アメリ力合衆国議会によつて1972年に法律に成文化された(公法92−582)。立法提案者であるテキサスの下院議員ジヤック・ブルックスの名をとって後に"ブルックス法"ど呼ばれたその法律は、すベての連邦政府プ□ジェクトのための建築家及び技術者が、公正で適切な報酬を折衝することを条件として、資格に基づいて選定されることを、要求している。公法92−582(翻訳省路)
それがブルックス選定法と呼ばれようと、あるいは「資格に基づく選定法」と呼ばれようと、そのプロセスは同じである。それは、特定のプロジェクトの要求や必要にかかわる建築家を選定する時、その資格と能力の評価に基づく公平で合理的、かつ効果的な方法をオーナーに提供するものである。QBSは連邦政府だけでなく、大抵の州や多くの都市自治体によっても採用されている。また、QBSは、アメリ力弁護士協会の「州及び都市政府のためのモテル調達規則」によつても推奨されている。
AlAは、公共建築のためのその資格に基づいて建築家を選定するアプローチを支持してきた。
もちろん、公共及び民間部門のすべてのクライアントは、彼らのニーズに最もよく合うと信ずる合法的な方法ならどんな方法によって建築家を選定しようが自由であり、価格見積り提出することが、建築家にとって非職能的、あるいは非倫理的であるとするのが、AlAの政策ではない。しかし、多くの成功したプロジェクトや成功しなかったプロジエクトの長い間の経験が我々に示すところによると、まず資格に基づいて選定し、つづいて公正かつ適切な報酬を折衝するやり方が、多分、各公共のオ一ナーが望む良い結果を得られるものだということである。QBSプロセス
公共のオーナーは何故QBSプロセスを採用するのか?
QBSプロセスは設計のプロフェッショナルというものが、公共建築プロセスにおいて重要な役割を演じるということ、及び建築家業務の調達ということが、極めて専門化したタイプの調達であるということ、を認識するのである。建築家あるいは技術者によつて提供される設計業務の質は、建築物の全建設コスト及びライフサイクル・コストを決める上で唯一の最も重要な要素である。設計業務は、最初の建設予算のほんの僅かな比率を占めるものであるので、最も資格のある事務所が公共のプロジェクトのために選定され得るということは、納税者の最善の利益となるのである。
建築家及び技術者業務に対する競争入札は、公共のオーナーの最善の利益にはならないのである。選定手統きの当初において、クライアントは、しばしば、どのような職能的業務が要求されるのかについて知らないのである。クライアントと選定された建築家とが折衝して、提供される業務をオーナーの二一ズに完全に適合させた結果として、それらの業務の範囲が明らかになるのである。
公共のオーナーのためにQBSを推奨するに当たつて、アメリ力弁護士協会の「州及び都市政府のためのモデル調達規則」は次のようにいっている。
建築家-技術者及び土地調査業務のためのこの選定手続きを支持する原則的理由は選定がなされる時点において、そのような業務のための明確な仕事範囲が欠けているということ、及び最善の資格を持った、事務所を選定することが重要であるということ、である。一般に、建築家一技術者あるいは土地調査士は、州の利益を代表する仕事に携わり、したがって、州との関係が、通常売買者の状況に存在するものと異なつているのである。これらの理由で、最も資格のある建築家一技術者あるいは土地調査事務所については、まず3の事務所の資格、能力及び有効性が考慮され、つづいて価格が折衝されるのである。
更に、いままでの調査によると、公共建築のためのQBSの採用は、第一の基準として価格を用いる選定システム(注1)の採用よりも、効果的で、かつ金がかからないのである。
注1.1985年にAlAは、メリーランドとフロリダ両州における建築家及び技術者選定システムの比較調査を行つた。調査の結論によると、選定に当たって主要な要素として価格を用いたメリーランド・システムは、フロリダにおいて採用されている伝統的な「資格こ基づくプロセス」よりも、結果的に金がかかって手間取り、かつ運営にも非常に費用がかかったというのである。その費用と非能率さが判って、メリーランド州は、1985年4月にこの選定システムをQBS方式に変更したのである。そのAlA調査「公共建築プロジェクトのための建築家及び技術者の選定:メリーランド及びフロリダ両システムの分折と比較」のコピーは、AlA政府事業部から入手できる。QBSはどう運営するか
QBSは、特定の政府プロジエクトの範囲とニ一ズに関連して、資格と能力に撃づいて設計者を遺定することを容易にする、一つの公正で合理的な手続きである。QBSといって、そこに魔法のプロセスがあるわけではない。そうではなく、QBSは、各特定のプロジェクトに合うように工夫されなければならない多くの変種からなるのである。
多くの場合、QBSプロセスは、次のような段階の全部あるいはそのいくつかを合んでいる。
1.オ一ナーは、全般的な仕事範囲を確認する。
2.選定期間の大枠が決められる。
3.建築事務所のリストがつくられる。
4.資格申請書提出が要求される。
5.資格申請書が評価される。
6.面接される事務所の候補リストが決められる。
7.敷地及び/あるいは施殻見学が、そのリストの事務所のために段取られる。
8.面接が行われ、事務所の選定順位がつけられる。
9.選定された事務所と、契約が折衝される。順位一位の事務所と、協定に達し得ない時には、その折衝は終わって、第二位の事務所と折衝が始まり、そういつた形で、協定に達するまで、下位に降りていく。
10.関係した全事務所は、選定後の情報を受ける。
このプロせス、及びそのバリエーシェンは以下の節で詳述される。全般的な仕事範囲を明らかにする。
選定プロセスを始めるためには、公共のオーナーは、そのプロジェクトの全般的範囲と特定のニ一ズを大まかに確認しなければならない。オーナーが、建築事務所の資格と能力についての情報を必要とするのとちょうど同じように事務所の方も、そのプロジェクトのパラメータが適切に記述されて伝達される時、それは、オーナーにとっても建築家にとっても、時間、金及び労力を節約することになる。仕事範囲がうまく規定されていると、それは、そのプロジェクトの要求に合わせて、建築事務所がその資格を陳述書をを作ること可能にし、その回答を評価するための統一的な基盤をオーナーに提供することにもなる。
以下は、公共プロジェクトのための仕事範囲を述べる時に通常含まれる基本的要素である。
・オーナーの名前
・そのプロジェトを企画するに至つた自的とか出来事を合めて、オーナー組織の機能及び小史を書いたもの。
・プロジエクトの場所
・担当者(そのプロジェクトに関する情報のために接触する唯一の人物として、その人物は明確に特定されるべきである)。
・選定委員会あるいはクライアント・グループの関係者たちの特定及び説明。例えば部局、基金、委員会、市民グループ。
・仕事範囲の部分ではないけれど、同じ数地内のほかの工事中のもの、あるいは計画されているものの記述。
・リストに挙げられ面接されることになる事務所に利用可能な、そのプロジェクトに関連する規制の研究、調査あるいは策一次フィージビリティ調査の記述。
・設計び工事に先立つ今後のフイージビリティ計画に対する要求。
・意図されている規模、機能及び占有を含めたプロジェクトのアウトライン。例えば改造、撤去、総地区、新築、及び工ネルギー、土地利用、敷地選定に関すること。設計完了時期、着工日及び竣工日を合めた期待される期限の大枠。
・上述のクライアント関係グループを含めて、建築家選定プロセスの記述。
・補足、あるいは特別の要求及び考慮事項−市民投票とか予想される財源のの遅れとかあるいは予算問額。
このリストに追加される事項として、オーナーの二一ズに適合させるため、ガイダンスとして適当な追加事項があるであろう。オーナーが、建築家に提供させたいと望むすべての業務は、…フィ−ジビリティ調査、設計、工事調整及び予算執行を合めて…明確に確認されるべきである。
プロジエクト範囲を作成するに当たってのガイトラインとしての一般書式とある仕事範囲を述べたものの実例は、附録にある。
選定時期の大枠を明確にする。
建築家選定プロセスをスムーズに進行させるために、オーナーは選定プロセス終了のための時期の大枠を明確にすべきである。その時期の大枠を明確にすることは、そのプロセスを遅れさせたり脱線させたりしかねない誤解とか、土壇場での"意外な事態"を予防する。
各公共プロジェクトのためのその時期の大枠は、プロジェクトの性格、オーナーの関心、その他のファクターによって、異なる。ある場合には、現存施設の見学が、候補リストを作る前に事務所に対して段どられることもある。しかし通常は、見学は、候補リストの事務所にのみ段取られる。一般に、多数の面接は思い止まるべきであるが、プロジェクトの複雑さが第2あるいは策3の面接を求めるような場合もある。どんな場合でも、それらのバリエーションのすべてが考えに入れられるようにするため、また、そのプロジェクトにとって適切なスケジュールが確定されるようにするために、その時期の大枠は修正されることになろう。
時期の大枠を決めるガイダンスを提供するためにサンプルのタイム・スケジユールの書式が附録に示されている。建築事務所のリストの作成
公共のオーナーはどうやって建築事務所を確認しそれから資格申請書提出を要求するのか。
建築事務所のリストを制作するに当たつて考慮されるべきファクタ一の中には次のようなことがある。
・オーナーが関係したいと思う事務所数
・事務所の地理的位置と分布
広告 新聞や商業あるいは職能の出版物でプロジェクトについて広告することが、州あるいは都市の法律や規定によつて要求されていることが多い。そのような通告は、建築界の広い範囲にまで達し、その結果、郵便や電話による極めて多くの応答が生まれることになろう。この方法が採用されるならば、オーナーは、十分の時間を寛悟すべきであり、それら最初に関心を示したものを評価して実行可能な事務所数にまでそのリストを狭めていき、次に、そこから資格申請書を提出することを要求することになろう。
名薄 ある職能団体は、名薄を出版するか/利用可能なその会員事務所の郵送リストを作っている。それらは、プロジエクトの特定のタイプ毎に関心及びあるいは経険を持つ事務所を確認するに役立つことが多い。あるAlA支部は、オーナーに事務所の場所を教える仕事紹介計画も行っている。地域の電話イエローページその他のコミュニティの実業名鑑もまた建築事務所の一資料であるし、地域図書館の参考部門に、それは通常見つけることができる。
紹介 もっと選定性をもって事務所を確認するために、オーナーは、最近自分のプロジェクトに建築家たちの業務を採用した他のオーナー達と接触したいと思うだろう。どのくらいの数の事務所をそのリストに合めるべきなのか?そこには何も魔法の公式があるわけではない。オーナーは、その特定のプロジェクトと状況に対して適当な数を決めるべきなのである。
資格申請書提出を要求する。
考慮されるべき事務所のリストが作成されれば、オーナーは、事務所にに送るべき次の資料を準備すべきである。
1.資格陳述書の提出に招待されるすべての事務所に対するメモ。
その場合、すべての事務所をアルフアベット順にリストする。
(競争する事務所の名前をそれぞれの事務所に知らせるのが、オーナーにとっての慣例である。)
2.事務所の資格の陳述書と申請書に合まれる要求資料のリスト。
3.計画スケジユール。
4.仕事範囲の説明書。
事務所の回答のすべてが同じプロジェクト仕様と拘束に基づいてなされ、したがって相互に比較するのも公平に行われ得るよう、すべての事務所が同じ資料を受取るということが、最も重要なことである。
オーナーと事務所との間の情報の交換は、選定プロセスにおける重要な初期段階である。資格申請書要求するメモの上に、公共のオーナーの代表としてリストされた個人は、電話の呼び出しを処理する覚悟をし事務所からの質問へへ回答する権限を与えられているべきである。一事務所からの質問が事務所へ送られた資料から漏れているような重要な情報項目であったならば、その情報は文書
にして全事務所に提供されなければらない。
QBSプロセスのこのステップの助けとなるサンプル様式は附録にある。(連邦政府標準書式254/255は、しばしば事務所の資格陳述書として公共のオーナーから要求されている。その書式は使い易く、大抵の事務所になじみ深いものである)。資格申請書を評価する。
事務所の候補リストをつくる仕事を割り当てられた人達の選定委員会は、事務所から受け取つた資格申請書を評価しなければならない。(スクリーニング委員会が優秀な選定・決定をすることのできる有能な人達によって構成されることを保征することはオ一ナーの責任である)締切日後に受け取られた資格申請書は考慮されないという政策を、オーナーがはっきりと取ることが、勧められている。候補者リストに合まれる−その後面接される−事務所の数は、プロジェクトの規模や範囲によって変わり得る。3〜5が、一般に十分だとされている。
資格申請書に基づいて事務所を調査し、候補リストにする助けとなるサンプル評価書式は、附録にある。この書式は、特定のプロジェクトのニ一ズに合うよう変えられるべきである。
オーナーが特に関心を持つ事務所の照会チェックのための書式も附録にある。照会は資格申精書が受け取られた時点ど選定委員会が候補リストを作るために開催される時点との間に、チェックされるべきである。
面接される事務所の候補リストを作成する。
前節で論議した資格申請書の評価と照会チェックに基づいて、公共のオーナーは、そのプロジェクトのために面接されるべき3〜5の事務所の候補リストを作成することができる。
資格申請書を提出したすべての事務所は、そのプロジェクトを求めて時間と比喩とを費やしたのだから、オーナーは、面接されるべき事務所はもちろんとして、候補リストに選ばれなかつた事務所とコンタクトを取るべきである。
候補リストに載らなかつた事務所へ送られるメモで、感謝の意を表し、面接されるよう招待される事務所を知らせることができる。そのサツプルメモも、附録にある。
面接のために選ばれた事務所には、面接要求に関する情報が直ちに送られるべきである。
これらの事務所へのメモには、どういう事柄が含まれるべきか。次のような要素が考慮されるべきである。
1.敷地/施設の見学のための適当な日時が決められるべきである。
見学は、そのプロジェクトを生んだ諸関係を直接目の当たりにする重要なチャンスをその事務所に提供することになる。また、それは、オーナーと事務所との間におけるそのプロジェクトについての情報の交換のための一層の機会をを提供することにもなる。もし、その敷地が更地であるならば、事務所自身がそこを訪れるために、敷地に至るまでの地図と方位を、オーナーは提供するだけで良い。しかし、そこに既存の施殻が存在しているのであれば、事務所は、多分、オーナーと一緒にそこを見学する機会を望むであろう。
2.面接基準や質問のリスト、及び採点法や選定プロセスの説明が、候補リストの事務所に送られるべきである。選定採点基準やオ−ナーの関心の特定分野を予め決めておき、またその情報を候補リスト事務所に提供しておくことは、面接委員会に事務所を"林檎対林檎"という形での比較をすることのできる最善の基盤を提供することになろう。
3.もしオーナーが、フィージビリティ・スタディ、プロジエクト・プログラムあるいはその他のそのプロジエクトについての情報をもっていれば、それらの資料は事務所に提供されるか、調査の目的で彼らに利用できるようにされるべきである。
4.期日、場所、時間、及び面接を行うグループのメンバーの名前を含めて、面接それ自身に関するその他の事項も、合まれるべきである。
候補リストの事務所へのメモのサンプルは、附録にある。そのメモや極めて重要な採点、評価シートは、才一ナーの基準や、特別の優先性や関心に合うよう修正されるべきである。敷地/施設の見学
多くの場合、施設あるいは敷地の見学は選定プロセスの一つの必須の部分であろう。そのような見学は、関心のある建築事務所に、そのプロジエクトに関する直接の情報を入手する機会を提供する。
見学は個々に、すなわちオーナーの代表と競争する事務所の代表とが個々ににあって、処理されることもあるし、あるいはグループで、すなわち、すべての関心のある事務所が、敷地や施設の集団調査のために、与えられた日時、場所に集まって、処理されることもあり得る。更地、特に地方の場合、しばしぱ、建築家たちが自分自身で訪れていくままにされる。
見学に関して起こるもう一つの問題は、すべての関心のある事務所に見学させるか、候補リストに挙げられ、面接に招かれた事務所だけにするかどうかということである。
再び、これはオーナーやプロジエクトの個々の二一ズを考慮して解決されるべき問題である。しかしながら多くの場合、候補リストに挙げられている事務所のために1回の見学会を用意するのもよいだろう。
リストに挙げられた事務所への面接
目的 候補リストに挙げられた事務所への面接は、オーナーにとって各事務所の設計プロセスに対するいろいろな対処の方法や、特定のプロジエクト条件に対する興味や理解度を比べるよい機会となる。オ一ナーはこの時テザイン・スケッチを求めてはいけない。たとえ"簡単な"プロジェクトでもその設計要件は大変複雑であり得るし、アーキテクトはこの時点では充分な設計案を作り出せ
るほどオーナーのニ一ズや要件を十分に理解していないであろう。この面接によつて各事務所のマネージメントの個人的スタイルやキーパーソン、及び彼らがどのように,前に明らかにされた基準
をオ一ナーのプロジェクトにマッチさせるかを評価できる。このプロジェクトを担当する建築家及び事務所のコンサルタントの重要な代表者と共にこの面接に出席することが必須である。また、プロジェクトのユーザーが、この面接の過程に含まれていることも重要である。オーナ−/ユ−ザ−と建築家のニーズを真に満足させるデザインの開発に不可欠である。
用意 面接に物理的に用意すべきは、よい音響の広い室による快適さである。面接を受けるために待つている事務所のために、別の場所が用意されるべきであろう。黒板、フリップチャート、スクリーン等の機材も、もしあれば、たとえ各事務所が自分たちのプレゼンテーションのために機材を持参しても役に立つ。機材の用意に時間がかかり、遅れが生じるかもしれないので、可能であれば、2つの室が使用されるとよい。1つの事務所が面接を受けている間、もう1つの別の事務所が第2の室でプレゼンテーションの準備ができるので、それによつて手順をスピードアップでき、大事な面接時間を機材のチェックに費やすような無駄を省くことが確実にできる。多くの面接は非公開である。もし当該の法律あるいは規則が公開することを必要とするのなら、事務所にはそのことを事前に知らせなければならない。いくつかの面接指針
面接を用意し、実施するための指針として次のような点が提起される。
・面接を受けるすべての事務所が、プレゼンテーションに等しく準備の機会を保証されるために、選考の過程において連絡を取つた事務所とだけ面接する。
・各プレゼンテーションに45分、面接に15分の時間を予定する。
これによつて、プレゼンテーションと質疑応答、及び審査員が次の面接の前にそのプレゼンテーションについて討議するための十分な時間が取れる。
・面接のすべてを同日に行うことを予定する。
これは、委員会に、情報がフレッシュな間に、面接事務所のすべてを比較し、一貫した面接採点を確実にさせる。
・面接採点システムのための評価基準は、予め、すべての事務所に通知されるべきである。
・事務所が、プロジェクトの設計にどうアプローチするかについて質問することは適当であるが、オーナーは、面接の間に、実際の設計案を求めるべきではない。適切な回答となる設計というものは、選定段階の間で可能であるよりも極めて多くの、オーナーと建築家との相互作用を要求するものである。もしも、オーナーか建築家かのどちらかが、予断の設計案をもってそのプロジェクトに相対するならば、それを超えてもっと良いものに至るために大きな時間とエネルギーを費やさなければならないし、あるいは、それがあるために、その後の探究をストっプさせ、他の多分最適の設計案を開発する妨げとなるかもしれないのである。
・オーナーは、事務所がその職能業務のため、適切なレベルの報酬をどうやって明らかにさせようと計画しているか尋ねたいと思うかもしれないが、特定の報酬額というものは、最終的に選定され
た事務所との詳細な討議によって、また、実際の業務範囲についての包括的な相互理解が存在するようになった後に、はじめてうまく決められるものである。
・ 選定の決定がなされたとき、全事務所にそれを知らせる。もしできれば、委員会がすべての事務所を評価するだけの十分な時間をもったあと、面接と同じ日に、その決定がなされることが推奨される。
選定のために競争している建築事務所の順位付け
各基準/質問に対する重みと採点を含む評価方式は、評価し、順位づけをし、そして最後に最も資格のある事務所を選定するための有益な道具である。各事務所は、その事務所のプレゼンテーションや面接の間中、各面接者によつて別々に評価されるべきである。面接委員会議長は、すべての面接が結論を出されたとき、その個々の採点シートを集めるべきである。このシステムは、選定委員会の行動を指示するものとして選定プロセスの文書化された記録という形を提供する。選定委員会は、多数決によるよりはむしろコンセンサスによつて、順位づけと選定に達するために時間をとることが推奨される。
サンプルの評価/順位づけシステムは、附録にある。
面接と順位づけが完了した後、メモが作られ、面接に参加したすべての事務所へ郵送されるべきである。そのメモは、すべての面接事務所をアルファベット順にリストにし、委員会がそれらをどのような順に順位づけしたかが、名前を挙げて述べられるべきである(その情報を事務所に対する一つの礼儀として提供することが、オーナーにとっての慣行である)。サンプルの面接後メモも、附録にある。選定された事務所との協定行動
選定後できるだけ早くオーナーは、最も資格があると思われた事務所との折衝を始めるべきである。業務範囲と報酬についての一つの協定に達することができないならば、第一位事務所との折衝は終結させ、オ一ナーは、第二位事務所との折衝を開始するべきである。
通常、QBSプロセスは選定段階を経るなかでそのプロジェクトの範囲や要求についての初期理解を容易にするので、報酬についての協定に達することは困難ではない。
次のようなことが、追加して提案されている考慮事項である。
・詳細かつ包括的な業務範囲は、オーナーと第一事務所によつて協同して決められるべきである。これは、建築家とオーナーとの一回以上の会合によつてなされることが多く、その間、そのプロジェクトの業務計画には、コンサルタンツがリストにされ、オーナーはもとより、設計チームの全メンバーの役割と責任がリストにされる。
・文書化された契杓書が採用されるべきである。当事者たちは、AlA契約標準書式を採用したがるものである。これらの契約は、広く採用され、年月を経ており、オーナー、建設業音及び建築家の二一ズを調整するようデザインされている。
・オーナーと建築家との間の契約は、両当事者がそのプロジェクトについて同じ期待と理解をもつことを確保すべきである。
・法律顧問が、その契約の展開には関係させられるべきである。
・建築事務所は、報酬折衝を始めるために、オーナーに対してその報酬の提案を出すべきである。
付録:QBSプロセスのモデル書式/資料(リスト)
・資格申請書提出の要求
・資格申請書に対する諸要求
・活動スケジュール
・仕事範囲
・サツプル:完結した工事範囲
・照会チェック様式
・資格申請書評価プロセス
・資格申請所評価プロセス:評価書式
・資格申請書評価プロセス:評価要約
・資格申請書評価プロセス:事務所の候補リスト
・面接に選ばれなかった事務所へのメモ
・候補リストの事務所に対するメモ
・面接プロセス:質問と採点シート
・面接プロせス:採点シート要約
・面接された全ての事務所へのメモ
(AlA許可#93112)